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花杉という女 暴走編

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「私はその仕事好きじゃないので、しませんよ?」
自分の耳を疑う。こいつは何を言ってるんだ?与えられた仕事をしないということは、一体何をしに会社に来ているんだろうか。
 正直、私はびっくりしてしまった。なぜなら、入社してからこんな事を言う人間に出会ったことがなかったからだ。とんでもなく人間性に欠けるもの、外にはいても社内にはいなかった。
初めての事で、私は対処できなかった。
よく痴漢に遭った人に「声を出すなりつねるなり、何かできただろう。」と言う人がいる。
違うのだ。人間は予期していないことをされると固まるのだ。
蛇に睨まれた蛙。ブスに睨まれたチーフ。
そして、ブス杉はそれを見て、「こいつはくみやすい奴」と認識したのだ。

そこからだ。当たり前のように仕事はしない。あてつけのようなメールをどんどん送ってくる。
私はどんどん疲弊していった。ここで大きな声で反論すると、もっと仕事をしなくなる、それは自分が管理できていないという評価に繋がる。それなら、、自分で仕事をする方が…。
大きな間違いであった。既にこの段階で、管理できていないのである。それであれば、直ぐに周囲に助けを求めるべきであった。
しかし、周囲の人間にはうまく取り入ろうとするのだ。悪いのはチーフだと、吹聴するのである。
あいつのことを考えるだけで、動悸がしイライラするのである。しかし、グッと堪える。こんな奴のために、なぜ自分が苦しまないといけないのか?そんな思いで日々の生活を送る。勿論、仕事中だけでなく普段の生活にまで影響する。せっかくの休みの日にさえ、あいつのことがチラついてしまう。自分だけ悩み、あいつは休んでるのかと思うと発狂しそうになる。それでも耐え「自分は平気だ、屈しないぞ」という態度で仕事を進めていた。
そんな時、会議中にあいつから一通のメールが届く。
from花杉丸絵「あなたとの仕事は、精神安定剤を飲まないとできないくらいに、辛いです。これからは、仕事を一切ふらないようにお願いします。」

………
視界が一瞬で暗くなり、何も考えられなくなった。あのブ、彼女は精神汚染だけでなく、状態異常まで使える魔法使いだったのか…。
気づいた時、私は荷物をまとめ会議室から出て行っていた。
一体何を言っているんだ?お前はどの立場でものを言っているんだ?
そのまま家に帰り上司に電話した。
「私は、、もう、、あの人、、」言葉が出ないのである。嗚咽しながら、何も話せない。30を超えた大の大人が、会社を無断退勤し、1人家で電話口で泣いているのである。
非常に辛かった。こんなになるまで言い返せない自分が辛かった。。

もう辞めるか…え
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