【完結】誓いの鳥籠

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第三十六話

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 住宅街に銃声が二度響いたため、警察が家にやって来たが、手から血を流す龍一郎を出すわけにもいかなくて勇士が出て「いたずらで爆竹で遊んでいたら暴発した」と説明した。警察はそれでも納得がいっていないようだったが、直後に闇医者だろうくたびれた風貌の男がやってきて勇士の親戚というていで説得してくれた。医者の話は上手くておかげで最終的に警察はニコニコ笑顔で帰ってくれた。
 龍一郎の手は傷は塞がっても前のように動かすことは難しいという。だが利き手じゃなかったのがまだ救いかもしれない。それに全く動かせなかったとしても自分が龍一郎の手になればいい話なのだ。もうこれからはずっと一緒なのだから。
 龍一郎は組長の座を樋宮家に譲り、今は相談役をたまにはするが早めの隠居生活を送っている。勇士は大学に進むことも就職することもせず、以前のように龍一郎から家に囲われていた。だが別に息苦しい思いをすることはなかった。勇士がどこかに行きたいと言えば、龍一郎は二人でというルール付きではあるが、必ず行きたいところに連れて行ってくれた。
 それ以上に勇士は龍一郎と共にいれることに幸せを感じていた。愛を抱いて、愛を返してくれる。それは以前勇士が夢見たことなのだ。龍一郎とただ抱き合いながら共に眠った夜、このために生きてきたとそんな風に思いさえした。
 龍一郎の手の傷が癒え、リハビリにより小指以外は日常生活をなんなく送れるくらいまで回復した。
 時はそこまで進む。
 朝、尿意とお腹の張った感覚にベッドから起き上がる。パジャマを捲ると下腹部が少し膨らんでいた。昨夜、寝る前にトイレに行かなかったのが祟ったのだろう。
 起き上がると体勢が変わったことで尿意が酷くなる。テーブルに置いていたスマホの画面には樋宮からメッセージの通知が映っていた。樋宮は地方の大学で語学を学んでいるそうだ。樋宮とはこうして今もよく連絡を取り合っている。だが今は少しタイミングが悪い。逼迫する尿意に連絡を返す余裕はなかった。
 勇士は耐えながらのそのそと階段を下りていく。更に中を埋める大きな異物の違和感が更に歩くことを邪魔する。
 龍一郎はリビングでソファに寛ぎながらコーヒー片手に新聞を読んでいた。
「父さん」
 呼びかけると龍一郎は目を細め優しく微笑む。
「おはよう、ゆう」
「おはよう。……あの、父さんトイレに行きたいんだけど」
 股をすり寄せる勇士の姿に龍一郎は軽くため息を吐く。
「やはりか。あれ程寝る前は排泄を済ませるようにと言ったのに。眠たければ俺に任せればいいんだ」
「だって流石に眠ったまま父さんに任せるのはちょっと……」
「俺の言うことを守らなかったんだ。お仕置きが必要だな」
 勇士は先のことを考えて俯く。その顔は真っ赤になっていた。龍一郎に連れられてトイレに向かう。下を脱ぐと、陰茎と後孔を覆うように装着されたメタルの貞操帯が外界に晒される。
 便座で自身の膝に手を入れて大きく股を開く。正面には龍一郎が立っていて、恥ずかしいところを見せつけているような様に勇士は目を逸らした。龍一郎は前を覆う銀の貞操帯の鍵を開け、ゆっくりと外していく。
「んっ……」
 つぷぷと小ぶりな陰茎からは銀の尿道プラグが抜けていく。勇士はこれにより排泄に加えて排尿も管理されていた。全てが抜けてやっと用を足すことが出来る。もう我慢の限界だが龍一郎の目線が邪魔をする。
「どうした? 辛いんだろう? 早く出しなさい」
 始めから終わりまで全て瞳に収めようと、龍一郎の目線は勇士の小ぶりな陰茎に真っ直ぐだ。以前は執拗に排泄を見られることはなかった。羞恥が崩れそうなダムを堰き止める。
「……けど」
 戸惑っていると龍一郎は「仕方ないな」と言って、勇士に自分で脚を開くようにと指示する。脚がM字になるように抱えると龍一郎は正面に屈み、勇士の陰茎を摘んで下に向ける。それから丁度膀胱の辺りをグッ、グッと手で押し始めた。
 迫り上がる排泄欲に眉を寄せて耐える。
「あっ、っんん、父さん、やめて……!」
「ほら早く出しなさい。病気になってしまうだろう」
 無慈悲に与え続けられる膀胱への責めに遂に限界が訪れる。
「あ、あっ…………」
 水音が耳に届く。溜まっていたからすぐには止まらず、龍一郎がじっとその様子を見つめていることに赤面する。
 終わった頃には羞恥からかとても疲れてしまっていた。
「頑張ったな」
 そんな勇士に龍一郎は腹を刺激していた手で頭を優しく撫でて労る。後は貞操帯を再びつけるだけなのだが、龍一郎は勇士を抱いてリビングに連れて行ってしまう。
「何するの?」
「最近、処理をしていなかったからな。今済ませよう」
 それで勇士も察した。床にタオルを敷かれてその上で四つん這いになるように言われ、その通りにする。すると龍一郎は後孔を覆う貞操帯の鍵をカチャリと外す。
 ぬぷぷ。
「あっ、あ……」
 腹を埋めていた大きな異物がゆっくりと抜けていく。連なった玉が一つ二つと外に出て行く。中はよく調教されたように行かないでと締め付け、後孔も抜けていく異物と一緒に引っ張られていく。
 ぬぽっ。
「ぁあはぁっ……!」
 最後の一つが慈悲なく抜けると後孔は切なく求めるようにヒクヒクと動いていた。寂しい。早く奥まで埋めて欲しい。弱った後孔を龍一郎に見られていることも相まって欲情してしまう。
「そんなに中に欲しいのか?」
「うん。父さん、挿入れて。早く父さんのおちんぽ、俺の弱々マンコにちょうだい」
「またそんなはしたない言葉を覚えて。こんな子に育てた覚えはないんだがな」
「淫乱なエロ息子でごめんなさい。ね、謝ったから、早く中にちょうだい」
 強請るように後孔がよく見えるように両手で尻を割り開く。なのに龍一郎は「ネットの影響か。フィルタリングをした方がいいな」と一人冷静に呟いていた。
「父さんっ……」
 痺れを切らす。まるでお菓子を買ってもらえなくて駄々を捏ねる子どものようだ。
 龍一郎はその声に作業に戻るような冷静さで「さっき処理を済ませると言っただろう」と言い聞かせる。
 高まった欲情を抑え付けられて「うぅ……」と唸り、諦めて尻を掴んでいた手を下ろして四つん這いに戻った。
 つぷ。
 龍一郎はローションで濡らした指を後孔に挿入れていく。ひくつく後孔はきゅっと指を締め付け、「ぁっ……」と快感を拾う。
 だがこれからの処理に快感は伴わない。それがとてもどかしかった。
 龍一郎がある一箇所を指で深く押す。グイグイと押し続け、しばらくすると勇士の陰茎からトロトロと濃い白濁が垂れていく。
「っ…………」
 強制的な射精。だが快感は全くなく、ただ精液を無駄に垂れ流すだけだ。白濁は何の役割も果たせずタオルに染み込んでいく。黒いタオルなのがまた意地悪だと思った。
 事務的な射精はなんと虚しくさせるんだろう。まるで雄として失格なのだと断言されているようだった。いや、何度前を弄っても、中から刺激しても勃つだけでうんともすんとも言わないのだからもう既に自分は雌だろう。龍一郎に手伝ってもらって再び射精出来るように頑張ったが、回復の見込みだってなかった。
 結局、一度雌になったら後には戻れないのだ。
 龍一郎は排泄に加えて射精管理もするようになった。だが彼自身、下を全て管理出来ることに嬉しそうにしていた。
 溜まった精液を出し切ると龍一郎は指を抜いて、今度は裸になれと言う。
「もう終わりじゃないの?」
「お仕置きがまだ残っているだろう」
 思い出した。何をされるんだろうと不安な手つきでボタンを外していき、床に落として龍一郎を前に一糸纏わない状態になる。
 朝からそれに自分だけが陰茎も何もかも全て晒しているのが恥ずかしくてもじもじと下を向いていると、龍一郎に手を取られた。
「えっ……」
 肘を曲げられ、ぴったりと腕が折り曲げられた状態できつくベルトで縛られる。片方もそうだった。
 何をしているのか茫然と見つめていると、龍一郎は勇士を抱いてソファに横たわらせる。
 それから両脚も膝を曲げられ、太腿と脹脛がくっついた状態でベルトで拘束される。これではまともに歩くことも出来ない。出来たとしても犬のように四つん這いで移動するしかない。
「今日は俺が勇士の全てを管理する。排泄も食事も性欲も」
 追い討ちをかけるように首輪をつけられる。その首輪と脚の拘束をベルトで繋がられ、強制的に開脚させられる。これで勇士には犬歩きさえ封じられた。
 それからローションで滑ったブジーがずぷぷと陰茎に挿入される。
 蜘蛛の巣にかかった蝶のような気分だった。
「移動も排尿もこれじゃあ俺がいないと何も出来ないな」
 そう言われると耳が熱くなった。
 龍一郎がソファに座り、下を寛げ高まった熱が露わになる。そこへ脇に手を入れ抱えるようにして、背中を龍一郎に預ける形でその熱へと体を下げていく。
「あっ、ぁあ……」
 大きな熱がヒクつく後孔へ挿入っていく。ドクドクと熱い脈動を直に感じる。根本まではいり、腸壁が熱を締め付け、ぴったりと収まる。
「見てみろ」
 背後から視線で促され、目を向けると丁度電源の切れたテレビに勇士の醜態が映っていた。
 体をベルトで拘束され、身動き一つ出来ない。晒された陰茎にはブジーで管理され、中ですら支配されている。
 惨めな姿に肌が熱くなり、同時に喜んでいる自分もいた。
「自己申告で排泄が出来るようにしていたが、今朝みたいに睡眠欲に負けただけであっても乱雑に自分を扱うことは許さない。もしまたお前がそんなことをしたらこれからは俺がこうしてずっとお前の全てを管理する」
 醜態に目を背けたいのに見つめたくもある。うっとりとしていると聞いてないと思ったのか、龍一郎は「分かったな?」と叱るように訊ねる。
「はぁい……」
 目を細めてしまい、反省している風を装えているかも怪しい。
 これはお仕置きだと言っていいのだろうか。それくらい龍一郎に支配されていることに幸福を感じていた。



 自由に空を翔べるはずの純粋な鳥は自ら鳥籠へと閉じ込められ、飼い主に躰の全てを明け渡した。鳥は支配されることに幸せを感じ、飼い主だけに美しい翼を晒した。
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