【完結】誓いの鳥籠

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第十話

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 家についてもリビングまで抱えられてやっとのことソファに下ろされる。
「脱ぐんだ」
 ソファに膝をついた状態でファスナーに手を伸ばす。
 いざ前を露わにするとなると恥ずかしさが湧いてくるけれど早く脱がないと龍一郎がどこかに行ってしまいそうでさっさと下を脱ぐ。
 貞操帯にきつそうに押し込められた先端は緩く勃ち上がっていて、痛みを休みなく与えられていた。
 龍一郎は焦らすことはせずに手早く前を外しにかかる。
 前を処理したのは四日前。鍵穴をカチリと開けられる振動でさえ中心を更に熱くさせる。何の縛りもなくなった高ぶりは久しぶりの解放に期待で大きくなる。
「よく耐えたな」
 優しく頭を撫でられ、心地良さに勇士は目を細める。龍一郎は同じ男であって欲を我慢させられるのはどんなに辛いか知っている。だからこの時だけは勇士に対してもひどく甘い。
 自慰を許されても龍一郎が立ち去ることはしない。終わったらすぐに貞操帯をつけられるように最中関わらず勇士の前に立つ。
 包み隠さず見られていることに恥ずかしさが湧いて身動きが出来なくなる。しかし同時に指先までも熱くなるほど興奮もしていた。
 興奮には抗えない。聳り立つ先端を包み込むようにして握り、上下に動かしていく。
「っは、……っ」
(自慰してるのに。父さんが俺を、見てる……)
 龍一郎のあくまで事務的な温度のない瞳が更に興奮を加熱させる。扱かれる熱は最高まで高まりそして。
「う……」
 達する予感に眉間を狭める。
 けれど迫る快感は解き放たれない。しばらく続けていてもあと一歩というところで熱は高まったまま。
(……やっぱりイケない)
 張り詰めた陰茎から手を離す。
「……父さん」
 助けを求めるような瞳で龍一郎を見上げる。
 勇士はもう随分と前から前だけで達することが出来なくなってしまっていた。原因は明らかだ。アナルプラグ、それしかない。後ろにプラグを挿入しっぱなしなものだから中を刺激されないとイケなくなってしまったのだ。
「無理そうか?」
 こくんと頷く。すると龍一郎は勇士の前で屈み、もう一つの鍵を取り出す。鍵が外され、がっしりと腰につけられていたステンレス製のベルトを外される。落ち着きを取り戻したとはいえ、部活で散々虐められた中は数段敏感になっている。後孔から異物が抜けていく感覚に「っぁ……」と思わず喘ぎが漏れた。
「自分でやれそうか?」
 言い換えれば後ろを自分で刺激出来るかということ。それにはふるふると首を振った。やろうと思えば本当はやれる。けれど勇士は俯いたまま全身で無理の雰囲気を纏い、中を傷つけるのが怖いかのように振る舞った。
「分かった。なら後ろを向いてくれ」
 龍一郎はそんな勇士を見捨てはしない。
 羞恥が湧いているかのように勇士はわざと目を潤ませ、ソファの背もたれに上体を預けるようにして後ろを龍一郎の前に晒け出す。
「……ごめん父さん」
 情けないように、申し訳なくて顔向け出来ないかのように弱々しく謝ると龍一郎は「気にするな。これは仕方ないんだ」と言ってくれた。
 龍一郎は棚にしまっていたローションを取り出し、手を滑らせる。
「っは、……っあ……!」
 龍一郎の骨貼った指が中にはいってくる。後孔を濡らすローションは人肌と同じくらいに温かい。
 あの父がと思うと中を進むだけで歓喜に唸った。
 息子の性処理の手伝いだなんてたとえ父親だとしても強い抵抗感があるはず。けれど下の管理は龍一郎の責任。管理のせいで性処理に支障が出たならば龍一郎が責任をもって手伝うことになっていた。
「痛くないか?」
「ん、……大丈夫」
「二本目いれるぞ」
 龍一郎が慎重に指を増やす。
「はぁ……っはぁ」
 腹を埋める圧迫感に勇士は受け入れやすいように息を吐いて力を抜く。常日頃中にいれていたため、抵抗なくすんなりと指がはいった。腸壁を大きな指が滑りを借りてぐちゅぐちゅとかき混ぜられる。
 ふと龍一郎の指が狙いを定める。
「っぁあ──!」
 電気のように刺激が背中に走って体が大きく仰け反る。快楽に惑わされる霰もない声が反った喉から溢れた。
 龍一郎は勇士の反応を認めると戸惑いなく弱いそこを指でぐっぐっと押し始めた。
「っあ、っああ、っう、ぁあっ、んあっ!」
 問答無用に前立腺を虐められ、力が入らなくなり脚が震える。体勢が崩れそうになって勇士はソファの背もたれにしがみつく。
 プラグをいれっぱなしだったため後ろはぷっくりと前立腺が腫れていた。龍一郎はそんな弱い部分をぎゅっと挟むようにして摘み上げた。
「っぁああ──!」
 何も考えられない。体を駆け上っていく大きな衝撃に勇士はビクビクと痙攣するように体を震わせた。
「はぁはぁ……」
 腰が抜けてぺたんとソファに座り、消耗した体を背もたれに預ける。
「よく頑張ったな」
 龍一郎が労うように頭をそっと撫でる。多幸感が勇士の胸を覆い尽くす。まるで本来掴むことさえ出来ない雲に優しく抱かれているような心地だった。
 この時だけは寂しさなんて欠片も感じない。龍一郎は子を労うことだけに目を向ける。
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