【完結】誓いの鳥籠

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第二話

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 時計を見ると遅刻とまではいかないが、そろそろ家を出なければいけない時間だった。
「じゃあ父さん、俺学校行ってくるから。食べ終わったら水に浸しておいて。帰ったら俺が洗うから」
 食器を片付け、リュックやバッグを肩から下げて後は出発だけの状態で父に声を掛ける。「分かった」と父が一言返す。出ようとしたところで「勇士」と呼び止められた。
「トイレはまだだろう。済ませてから行きなさい」
 それを聞いて勇士の頬が一気に羞恥で赤くなる。
「はい……」
 父の命令は絶対だ。反抗なんて選択肢はそもそもない。一旦荷物を床に置き、トイレへと向かう。父も読んでいた新聞紙から目を離し、勇士の背中を追う。
 個室トイレに二人。密着する程狭くはないが、距離感の近さに勇士の心臓は太鼓のような音を立てていた。
 下に手をかけるが、父のじっと見下ろす視線に中々脱ぐことが出来ない。
「遅刻してはいけないだろう。早く脱ぎなさい」
 父の温度のない命令に勇士の手は従順に下へ下がる。霰もなく晒される滑らかな若い肌。故に中心の歪さが目立っていた。
 陰茎を覆う銀に光る貞操帯。陰嚢の根本をリングで固定され簡単に抜けられないようになっており、更に本体には錠前がつけられ自分では決して外すことが出来ない仕様になっている。
「排尿は済ませたのか?」
 先端には付けた状態のままでも排尿が出来るように穴が空いている。排尿は起きてすぐに済ませた。父の問いに勇士は羞恥に俯きながらもこくんと頷く。
「排便は昨日の昼からしていないだろう。連絡があればすぐ向かうが、今のうちに全て出しておきなさい」
 そう言って父は視線を後ろへと向ける。勇士の後孔にはメタルのアナルプラグが嵌め込まれていた。腰にはステンレス製のベルトが巻かれ、そこからは帯が伸びており前と後ろからプラグを固定する役割を果たしていた。
 陰茎を覆う貞操帯と同じく、ベルトには鍵は掛けられているが、基本下の装飾品は触ってはいけないことになっている。
 父は静かに突っ立つ勇士の腰へ手を差し伸ばし鍵を開け、ベルトから帯を外して、繋がっているアナルプラグをぐぷりと抜く。
「っ……!」
 頬を上気させ目を固く瞑り、手を固く握る。腹を埋めていたプラグはただ後孔を塞ぐためのもので欲を煽るような作りは一切ないが、父の手によって後孔から異物を取り除かれている状況に興奮は収まらないでいた。
 トイレと風呂、そして自慰以外こうしてアナルプラグを外されることを許されない後孔は異物が中に存在することが当たり前となってしまい、喪失感にひくひくと動いて異物を求めていた。
 便座に座り、用を済ませる。その間、父はトイレを出ることはないが、見つめられることはなく腸内洗浄のために手際良く動いているのがまだ救いだろう。
 父は棚からシリンジと桶を取り出し、手洗器で桶に水とお湯を出してぬるま湯を作っていく。
「終わったか?」
 父が時機を見て訊ねる。勇士はそれに返事をするのも難しくてまた頷くだけにしてしまった。
「脚を広げて支えろ」
 いつもの命令に勇士は便座に足を置き、脚を大きく開いた状態で膝裏に手を入れて抱える。
 自身で手洗器に繋いだシャワーヘッドでお湯をかけ、脱脂綿で拭い、綺麗になったとはいえ、恥部を自ら晒す行為は何度やっても慣れない。勇士はまともに父の顔が見れず目の端にも入れないように顔を背ける。
 けれどそんな勇士の様子に父は気にもせず、ぬるま湯を含ませたシリンジを後孔に挿す。異物感は当たり前のようで気にはならない。けれど次に訪れるそれがいつも嫌だった。
「いれるぞ」
 その声が聞こえたすぐ後に、中に温かな感覚が広がる。シリンジの中身が全て中に注がれ、腹をぬるま湯で満たされる。
「いいと言うまで我慢しろ」
 いつもの命令に勇士は俯いたままじっと耐える。
「……ん、……」
 しばらくは我慢出来た。けれどぎゅるぎゅると腹が鳴り、痛みと出したい欲求に駆られる。その様子に父が気付いたのか「あと一分だ。もう少し頑張れ」と寄り添う。
 「いいぞ」と許しを得てやっとのこと中を出した。
「っ……はぁ、はぁ」
 途中で何かあっても対応出来るように父はずっと勇士を見守っていた。小学校に通い始めてから毎日続けられるこの行為。けれど流石に思春期に突入すれば見られていることに抵抗感は湧く。
 勇士の顔は悩ましげに眉根を寄せて、頬は赤く染まっていた。
「……ん」
 その一連の流れを数回繰り返して、父は再びアナルプラグを嵌め込む。
「よく頑張ったな」
 父がぐったりと疲れきった勇士の頭を優しく撫でる。
 洗浄は体力もだが精神を結構擦り減らす。だから日々の洗浄はあまり好きではないというより、なるべくしたくはない程に苦手だった。
 けれどこんな風に父に労われれば洗浄自体に文句一つも出ては来ない。
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