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番外編(本編の内容とは少し異なります。時系列バラバラです)

側にいるためには2

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(リオノーラがサラマンダーに襲われた後、クーシャが精霊と契約したことを報告する話)

リオノーラside



体を休めるために本を読んでいると、父とクーシャが料理長お手製のチョコレートケーキを持ってお見舞いにきてくれた。
シンシアに切り分けてもらい、口一杯にチョコレートケーキを頬張った。
元気にケーキを食べる姿を見て、父とクーシャは安心した様子を見せた。
父がゾイと話している間、アーリンとスフレ、料理長に手紙を書きながらクーシャと話していた。

手紙を書き終わり伸びをする。
クーシャに手紙を渡そうとするが、クーシャは困ったように首を振る。
それを見てリオノーラは首を傾げた。


「クーシャ?」

「今日は姉上にお知らせがあって……」

「なにかしら?」

「僕、リーベとして明日から訓練受けます」

「……………へっ?」


リオノーラは間抜けな声を出してしまったが、クーシャの表情は微動だにしない。
一瞬、時が止まったのかと思ったほどだ。


「僕、リーベに……」

「えっ……?だだ、くー、おと……えっ!?」
(えっ……?だ、だって、クーシャは男の子……えっ!?)

「落ち着いてください」

「!?!?」


精霊は王族以外の男性と契約することは今までなかったのではないだろうか。
頭の中は激しく混乱していた。

ゾイのようにリーベだと何か感じられる能力があればいいが、リオノーラには未だにその感覚がよく分からない。
モニカの時もそうだったが、何となくしか気配を感じられないのだ。
目を凝らしてクーシャを見てもやはり何も分からない。


「も、もしかして……クーシャって女の子?」

「は……?」


クーシャは実は女の子で男として振る舞っているのだろうか。

「クーシャは綺麗だし可愛いからもしかして……!悩みがあったら、わたくしに!」

「…………確認のためにも脱ぎましょうか?」

「ーーーぶえっ!!!??」

「ふふっ、嘘ですよ」


クスリと笑ったクーシャに恥ずかしくなり顔を背けた。
どうやらクーシャはリオノーラを揶揄って楽しんでいるようだ。
弟に翻弄されて情けない気持ちではあるが、クーシャが感情を表に出すのは喜ばしい。
それにクーシャの笑顔は、とてつもなく可愛いのだ。


「僕は男です」

「分かったけど……は、はしたない事を言ってはダメよ!」

「姉上がそう言うなら今度から気をつけます。約束は出来ませんが」

「……!」


いつからこんなに小悪魔キャラになったのだろう。
クーシャの新しい一面に驚きながらも考えていた。


「なので、暫くは訓練を受けるためにここでお世話になります」

「そうなのね……!嬉しいわ」

「……僕も、嬉しいです」


(…………デレた!!!)


やはりクーシャは可愛い。
しかし気になるのはクーシャの精霊だ。


「クーシャの精霊はどんな子なの?」

「狐です」

「ふふ、きっと綺麗なんでしょうね」

「まぁ……見た目は。それなりに」

「それともクーシャに似て可愛いのかしら?」

「あんまり、可愛くはないと思いますけど……」


狐といえば、中型の精霊だろうか。
クーシャに聞くと、火の精霊でやはり中型のようだ。


「でもすごいわ!クーシャは王族でもないのに」

「王妃陛下には前例が無いと言われました」

「そうなのね!さすがクーシャだわ」

「……僕も何が何だか分からないままここにいます」


表情が動かないが、少し不安そうな様子を見せたクーシャ。
柔らかい金色の髪をそっと撫でる。


「姉上……?」

「大丈夫よ、クーシャ。わたくしも、皆も居るわ」

「……はい」


長い睫毛に釘付けになりながら、暫くクーシャの柔らかい髪で遊んでいた。





end
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