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番外編(本編の内容とは少し異なります。時系列バラバラです)
①⓪小さな願い(シンシア&メメ)
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(サラマンダーに怪我を負わされたメメとシンシアの関係)
思えば、初めからシンシアに好意を寄せていたのかもしれない。
「きゃっ……!!」
シンシアはリオノーラの周囲を泳ぐ自分にビックリしていた。
クリッとしたシンシアの瞳と目が合う。
此方を見て優しく微笑んだシンシアに不思議な気持ちを抱いたのを良く覚えている。
「ふふ、シンシア……驚いた?」
「お、驚きますっ!」
「メメって言うのよ」
「メメ様……」
心が澄んでいて、真っ直ぐで、愛情深い。
そして、どこか儚くて……そんな人間を水の精霊は好むのだ。
シンシアの周りを跳ね回る。
「どうやらメメちゃんはシンシアが好きみたいね」
「そうなのですか?」
シンシアはにっこりと嬉しそうにしていた。
「メーアに貰ったの」
「メーア……?」
「私の精霊、メーアって名前よ」
「あぁ、なるほど!綺麗な名前ですね」
自分の主人に対しても好意的で、姫に一番信頼されている人間。
そんなシンシアのことが気になって仕方なかった。
*
サラマンダーがリオノーラの夢に現れた日。
火の精霊王であるサラマンダーに敵うはずもなく、酷い火傷を負った。
けれど何とかメーアにリオノーラの危機を伝えることができた。
(あとは、メーア様が何とかしてくれる)
メメはそのまま意識を手放した。
そしてリオノーラが目覚めた後、少しでも怪我がよくなるようにと懸命に尽くしてくれた。
そして忙しい合間をぬって、側で看病をしてくれていた。
大変な時期なのに自分のせいで……と、メーアとリオノーラに対して申し訳なく思っていた。
メメは水精霊としては異端だった。
水の精霊なのに魔法が使えずに、水槍だけが武器だった。
生まれた時から雨を乞うことも、水を操ることも出来なかったのだ。
そんな自分を、メーアは側近として迎えてくれた。
だからどんな事があってもメーアとリオノーラに守る……そう決めていたのに。
自分の力不足で、このような結果を招いてしまった事が苦しかった。
「メメちゃん……大丈夫?どこか痛いの!?」
「お嬢様……!落ち着いてください」
「シンシア……」
「メメ様のことは私に任せてください。お嬢様が魔力を込めたお食事の介抱は私が致します」
「……でも」
力を振り絞って尾鰭を振る。
メーア様が待ってる……そう言いたいのに力が出ない。
「お嬢様はメーア様と訓練へ。メメ様もそう言いたいんだと思います」
シンシアの言葉に驚いてしまった。
今、人型ではなく魚の姿だ。
それなのに何故、シンシアに言いたい事が伝わったのだろうか。
それが不思議で仕方なかった。
リオノーラが名残惜しそうに部屋から出たのを確認して、ゆっくりと目を閉じた。
目を覚ますと、シンシアは安心したように小さく息を吐き出した。
「メメ様、人型になれますか?」
『……』
「食欲が無くても、お皿を空っぽにしませんと……お嬢様が心配されますよ?」
『分かってる』
「メメ様の火傷、大分良くなりましたね」
そう言ってシンシアは安心した表情を浮かべた。
リオノーラが訓練している間は彼女が側に居てくれる事が多かった。
侍女の仕事も忙しいだろうに、シンシアは自分の世話を丁寧にしてくれる。
『シンシアは……精霊が好きなのか?』
「メメ様もメーア様も、とても好きですよ」
『……!』
「お嬢様の味方で居てくれる御二方がいれば、いつか私がいなくなっても……お嬢様はもう、寂しくないですね」
『ッ、シンシアはどこかに行くのか!?』
慌ててシンシアに問いかける。
そんな様子に、シンシアはクスクスと笑った。
「いいえ……願いが叶うなら、ずっとお嬢様の側に」
『え……?』
「メメ様がメーア様にずっと仕えたいと思うのと一緒ですよ」
『……うん』
シンシアはどこか嬉しそうな表情を浮かべていた。
いつも此方を気遣ってくれる優しいシンシアに、想いが溢れた。
『俺……シンシアが好きだ』
「ふふ、ありがとうございます。私もメメ様が大好きですよ」
『もし、この件が落ち着いたら……俺と契約してくれないか?』
「契約、ですか?」
『メーア様と姫みたいに、なりたいんだ』
「……」
『勿論、シンシアがいければだけど……』
シンシアは驚いているのかパチパチと瞬きをしていた。
恥ずかしくなり、思わず顔を赤くした。
すると、シンシアが包み込むように優しく抱き締めてくれた。
「勿論ですよ……メメ様」
『ありがとう』
「こちらこそ、ありがとうございます」
今は子供の姿である自分が、青年バージョンになった姿を見て、シンシアが腰を抜かす事になるのは、また別のお話である。
end
思えば、初めからシンシアに好意を寄せていたのかもしれない。
「きゃっ……!!」
シンシアはリオノーラの周囲を泳ぐ自分にビックリしていた。
クリッとしたシンシアの瞳と目が合う。
此方を見て優しく微笑んだシンシアに不思議な気持ちを抱いたのを良く覚えている。
「ふふ、シンシア……驚いた?」
「お、驚きますっ!」
「メメって言うのよ」
「メメ様……」
心が澄んでいて、真っ直ぐで、愛情深い。
そして、どこか儚くて……そんな人間を水の精霊は好むのだ。
シンシアの周りを跳ね回る。
「どうやらメメちゃんはシンシアが好きみたいね」
「そうなのですか?」
シンシアはにっこりと嬉しそうにしていた。
「メーアに貰ったの」
「メーア……?」
「私の精霊、メーアって名前よ」
「あぁ、なるほど!綺麗な名前ですね」
自分の主人に対しても好意的で、姫に一番信頼されている人間。
そんなシンシアのことが気になって仕方なかった。
*
サラマンダーがリオノーラの夢に現れた日。
火の精霊王であるサラマンダーに敵うはずもなく、酷い火傷を負った。
けれど何とかメーアにリオノーラの危機を伝えることができた。
(あとは、メーア様が何とかしてくれる)
メメはそのまま意識を手放した。
そしてリオノーラが目覚めた後、少しでも怪我がよくなるようにと懸命に尽くしてくれた。
そして忙しい合間をぬって、側で看病をしてくれていた。
大変な時期なのに自分のせいで……と、メーアとリオノーラに対して申し訳なく思っていた。
メメは水精霊としては異端だった。
水の精霊なのに魔法が使えずに、水槍だけが武器だった。
生まれた時から雨を乞うことも、水を操ることも出来なかったのだ。
そんな自分を、メーアは側近として迎えてくれた。
だからどんな事があってもメーアとリオノーラに守る……そう決めていたのに。
自分の力不足で、このような結果を招いてしまった事が苦しかった。
「メメちゃん……大丈夫?どこか痛いの!?」
「お嬢様……!落ち着いてください」
「シンシア……」
「メメ様のことは私に任せてください。お嬢様が魔力を込めたお食事の介抱は私が致します」
「……でも」
力を振り絞って尾鰭を振る。
メーア様が待ってる……そう言いたいのに力が出ない。
「お嬢様はメーア様と訓練へ。メメ様もそう言いたいんだと思います」
シンシアの言葉に驚いてしまった。
今、人型ではなく魚の姿だ。
それなのに何故、シンシアに言いたい事が伝わったのだろうか。
それが不思議で仕方なかった。
リオノーラが名残惜しそうに部屋から出たのを確認して、ゆっくりと目を閉じた。
目を覚ますと、シンシアは安心したように小さく息を吐き出した。
「メメ様、人型になれますか?」
『……』
「食欲が無くても、お皿を空っぽにしませんと……お嬢様が心配されますよ?」
『分かってる』
「メメ様の火傷、大分良くなりましたね」
そう言ってシンシアは安心した表情を浮かべた。
リオノーラが訓練している間は彼女が側に居てくれる事が多かった。
侍女の仕事も忙しいだろうに、シンシアは自分の世話を丁寧にしてくれる。
『シンシアは……精霊が好きなのか?』
「メメ様もメーア様も、とても好きですよ」
『……!』
「お嬢様の味方で居てくれる御二方がいれば、いつか私がいなくなっても……お嬢様はもう、寂しくないですね」
『ッ、シンシアはどこかに行くのか!?』
慌ててシンシアに問いかける。
そんな様子に、シンシアはクスクスと笑った。
「いいえ……願いが叶うなら、ずっとお嬢様の側に」
『え……?』
「メメ様がメーア様にずっと仕えたいと思うのと一緒ですよ」
『……うん』
シンシアはどこか嬉しそうな表情を浮かべていた。
いつも此方を気遣ってくれる優しいシンシアに、想いが溢れた。
『俺……シンシアが好きだ』
「ふふ、ありがとうございます。私もメメ様が大好きですよ」
『もし、この件が落ち着いたら……俺と契約してくれないか?』
「契約、ですか?」
『メーア様と姫みたいに、なりたいんだ』
「……」
『勿論、シンシアがいければだけど……』
シンシアは驚いているのかパチパチと瞬きをしていた。
恥ずかしくなり、思わず顔を赤くした。
すると、シンシアが包み込むように優しく抱き締めてくれた。
「勿論ですよ……メメ様」
『ありがとう』
「こちらこそ、ありがとうございます」
今は子供の姿である自分が、青年バージョンになった姿を見て、シンシアが腰を抜かす事になるのは、また別のお話である。
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