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二章
②⑥ギルバートside2
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そして魔術師はサルバリー王国にいることが判明した。
サルバリー王家に聞くものの、手紙の返信はあやふやで誤魔化されて終わってしまう。
そんなタイミングでロイスが焦った様子でサルバリー王国に帰ると言ってきた。
アシュリーに何かあったのかと問いかけると、侍女のクララからアシュリーが体調をひどく崩していると聞かされた。
それとアシュリーには黙っていて欲しいといわれたが、王家や家族からひどい扱いを受けて助けて欲しいと書かれていたそうだ。
(アシュリー嬢に何かあったら……!)
ギルバートは居ても立っても居られずにロイスに同行を願い出た。
しかしロイスは隣国の王太子であるギルバートを私情に巻き込むわけにはいかないと言った。
だがギルバートは胸騒ぎがした。
アシュリーの扱いや体調を聞いた限り、魔力不足ではないかと思ったのだ。
そのことをロイスに話して、護衛兼友人のバートとして同行させてもらうことにした。
両親にはロイスについて禁書を持った魔術師の情報を集めにいくと言って許可をもらう。
ロイスとともにエルネット公爵家に向かった。
バートと名乗り、髪色と瞳の色を魔法で変えてからアシュリーの前に立つことを決めた。
アシュリーを気遣ってのことだった。
しかしギルバートは信じられない光景を目にすることになる。
アシュリーは衰弱しているのにもかかわらず力を巡り、喧嘩するエルネット公爵たち。
魔獣に対する対策を怠ったのはサルバリー王家にもかかわらず、アシュリーのせいにしていた。
劣悪な環境に今すぐにこの二人を闇に飲み込んでしまいたくなった。
彼女は傷つきながらも笑っていた。
自分が悪いと責めていたがアシュリーは何一つ悪くないことは明白だった。
(……無能なのはどちらか、思い知らせてやりたい)
アシュリーと話をしていると彼女はギルバートが怒りから握り込んでいた手のひらに食い込んだ爪痕に気づいて、力を使い治してくれたのだ。
あの時と何も変わらない。
アシュリーを守りたいと強く思った。
ロイスはあまりの惨状に学園を休学してエルネット公爵邸に戻ると言った。
ギルバートも一緒にいたかったが立場故に難しい。
そしてずっと危惧していたことが起こる。
やはりサルバリー王家は禁術を持っている魔術師と接触していたようだ。
そこで異世界から少女を召喚した。
サルバリー王国から受け取った大金は逃亡資金にするつもりらしい。
引き渡しを要求するも魔術師を渡すことはなかった。
(バカな奴だ……禁書と禁術に手を出すなんて)
ギルバートは魔術師を捕獲するために動き出したが、サルバリー王家は魔術師の居場所は知らないという。
先にエルネット公爵邸に向かったロイスを追いかけるようにギルバートも魔術師の調査に向かうとサルバリー王国へと向かった。
ロイスに迎えにきてもらいエルネット公爵邸に向かう。
そこで見たのは信じられない光景だった。
アシュリーがエルネット公爵たちに殴られて倒れている。
玄関には花瓶が散らばってひどい有様だった。
ギルバートはアシュリーを抱え上げてエルネット公爵たちを睨みつけた。
ロイスは二人を止めるために口論となっている。
ギルバートも内心、静かに怒りの炎を燃やしていた。
(僕が彼女を守りたい……こんなこと許されていいはずがないだろう?)
そんな気持ちから口を開く。
「また君を……守れなかった。すまない」
アシュリーはそのまま意識を失ってしまう。
エルネット公爵たちは王家に抗議しに行くために出かけて行った。
沸々と憎しみが湧き上がる。
しかし今はアシュリーのことが優先だった。
ロイスとクララと共にアシュリーを部屋に運ぶ。
アシュリーは深刻な魔力不足だった。
ギルバートはアシュリーに魔力を分け与えていた。
ロイスとクララは医師を手配したり、怪我を手当したりする間、ギルバートはアシュリーの様子を見ていた。
目を覚ましたアシュリーは絶望していた。
ギルバートは正体を明かし、アシュリーを守るために動くことを決めた。
そこでアシュリーに彼女の祖母が持っていた力を明かした。
そして異界から召喚した少女をペイスリーブ王国の魔術師が召喚したことも。
アシュリーに気持ちを明かすが彼女はガラス玉のような瞳でこちらを見ていた。
この国の奴らに彼女の心が壊されてしまったのだと、そう思った。
そしてアシュリーは良い子から悪い子になると言った。
「みんな大っ嫌い……だからわたくしがすべて壊してあげる」
アシュリーの願いを叶えたい。
そして自分がずっと心の奥底に押し込んでいた気持ちが一気に溢れ出す。
今は利用されたっていい。
彼女が手に入るならどんなことだってしてみせる。
アシュリーは傷ついて心を閉ざしてしまった。
だが、今度は自分が彼女を救い、癒そうと思った。
互いの利益になる契約だと言ってアシュリーを安心させた。
今の彼女に募らせてきた想いを伝えたところで、今は信じてはくれないだろう。
(必ず君をこの地獄から救い出してみせる)
アシュリーを傷つけた罪は重い。
ギルバートはアシュリーの笑みを必ず取り戻すために動き出すことを決意したのだった。
サルバリー王家に聞くものの、手紙の返信はあやふやで誤魔化されて終わってしまう。
そんなタイミングでロイスが焦った様子でサルバリー王国に帰ると言ってきた。
アシュリーに何かあったのかと問いかけると、侍女のクララからアシュリーが体調をひどく崩していると聞かされた。
それとアシュリーには黙っていて欲しいといわれたが、王家や家族からひどい扱いを受けて助けて欲しいと書かれていたそうだ。
(アシュリー嬢に何かあったら……!)
ギルバートは居ても立っても居られずにロイスに同行を願い出た。
しかしロイスは隣国の王太子であるギルバートを私情に巻き込むわけにはいかないと言った。
だがギルバートは胸騒ぎがした。
アシュリーの扱いや体調を聞いた限り、魔力不足ではないかと思ったのだ。
そのことをロイスに話して、護衛兼友人のバートとして同行させてもらうことにした。
両親にはロイスについて禁書を持った魔術師の情報を集めにいくと言って許可をもらう。
ロイスとともにエルネット公爵家に向かった。
バートと名乗り、髪色と瞳の色を魔法で変えてからアシュリーの前に立つことを決めた。
アシュリーを気遣ってのことだった。
しかしギルバートは信じられない光景を目にすることになる。
アシュリーは衰弱しているのにもかかわらず力を巡り、喧嘩するエルネット公爵たち。
魔獣に対する対策を怠ったのはサルバリー王家にもかかわらず、アシュリーのせいにしていた。
劣悪な環境に今すぐにこの二人を闇に飲み込んでしまいたくなった。
彼女は傷つきながらも笑っていた。
自分が悪いと責めていたがアシュリーは何一つ悪くないことは明白だった。
(……無能なのはどちらか、思い知らせてやりたい)
アシュリーと話をしていると彼女はギルバートが怒りから握り込んでいた手のひらに食い込んだ爪痕に気づいて、力を使い治してくれたのだ。
あの時と何も変わらない。
アシュリーを守りたいと強く思った。
ロイスはあまりの惨状に学園を休学してエルネット公爵邸に戻ると言った。
ギルバートも一緒にいたかったが立場故に難しい。
そしてずっと危惧していたことが起こる。
やはりサルバリー王家は禁術を持っている魔術師と接触していたようだ。
そこで異世界から少女を召喚した。
サルバリー王国から受け取った大金は逃亡資金にするつもりらしい。
引き渡しを要求するも魔術師を渡すことはなかった。
(バカな奴だ……禁書と禁術に手を出すなんて)
ギルバートは魔術師を捕獲するために動き出したが、サルバリー王家は魔術師の居場所は知らないという。
先にエルネット公爵邸に向かったロイスを追いかけるようにギルバートも魔術師の調査に向かうとサルバリー王国へと向かった。
ロイスに迎えにきてもらいエルネット公爵邸に向かう。
そこで見たのは信じられない光景だった。
アシュリーがエルネット公爵たちに殴られて倒れている。
玄関には花瓶が散らばってひどい有様だった。
ギルバートはアシュリーを抱え上げてエルネット公爵たちを睨みつけた。
ロイスは二人を止めるために口論となっている。
ギルバートも内心、静かに怒りの炎を燃やしていた。
(僕が彼女を守りたい……こんなこと許されていいはずがないだろう?)
そんな気持ちから口を開く。
「また君を……守れなかった。すまない」
アシュリーはそのまま意識を失ってしまう。
エルネット公爵たちは王家に抗議しに行くために出かけて行った。
沸々と憎しみが湧き上がる。
しかし今はアシュリーのことが優先だった。
ロイスとクララと共にアシュリーを部屋に運ぶ。
アシュリーは深刻な魔力不足だった。
ギルバートはアシュリーに魔力を分け与えていた。
ロイスとクララは医師を手配したり、怪我を手当したりする間、ギルバートはアシュリーの様子を見ていた。
目を覚ましたアシュリーは絶望していた。
ギルバートは正体を明かし、アシュリーを守るために動くことを決めた。
そこでアシュリーに彼女の祖母が持っていた力を明かした。
そして異界から召喚した少女をペイスリーブ王国の魔術師が召喚したことも。
アシュリーに気持ちを明かすが彼女はガラス玉のような瞳でこちらを見ていた。
この国の奴らに彼女の心が壊されてしまったのだと、そう思った。
そしてアシュリーは良い子から悪い子になると言った。
「みんな大っ嫌い……だからわたくしがすべて壊してあげる」
アシュリーの願いを叶えたい。
そして自分がずっと心の奥底に押し込んでいた気持ちが一気に溢れ出す。
今は利用されたっていい。
彼女が手に入るならどんなことだってしてみせる。
アシュリーは傷ついて心を閉ざしてしまった。
だが、今度は自分が彼女を救い、癒そうと思った。
互いの利益になる契約だと言ってアシュリーを安心させた。
今の彼女に募らせてきた想いを伝えたところで、今は信じてはくれないだろう。
(必ず君をこの地獄から救い出してみせる)
アシュリーを傷つけた罪は重い。
ギルバートはアシュリーの笑みを必ず取り戻すために動き出すことを決意したのだった。
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