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"全く興味がない"それだけだった
①②
しおりを挟むラバンジールとリマは先程のソリッドの時とは違い、ミケーレを見て怒る訳でもなく、敵意すらも向けなかった。
「ふっ‥ご冗談を」
「ソフィーア、冗談も程々にしてくれ!思わず笑ってしまった」
「弱そう‥」
ミケーレはその言葉を聞いて、唖然としていた。
「この男が婚約者な訳‥」
「本当なのか?」
「‥‥」
ソフィーアが否定もせずに柔かに笑っている姿を見たランバジールとリマは驚くように目を見開いた。
ルゼットはミケーレに全く興味がないのか、詰まらなそうに紅茶に砂糖を大量に入れている。
「其方にいる男ならまだしも、ソフィーア様の婚約者がそんな、まさか‥‥アバン語すら習得してないと?」
「こんな男がソフィーアの婚約者?‥‥嘘だろう?」
「‥‥はぁ」
ミケーレは2人の言葉を聞いて、恥ずかしいのかカッと顔を赤くしている。
つまりソリッドならまだしも、"ミケーレがソフィーアの婚約者なんて有り得ないだろう?"と2人は言っているのだ。
要するにソフィーアにミケーレは全く釣り合っていないと。
「ミケーレ様、剣や武術は嗜まれますか?」
「‥‥いいえ」
「アバン語も習得してないとなると、他の言語で話せる言葉はあるのか?」
「いや‥‥」
「得意な魔法は‥‥なに?」
「‥‥」
ミケーレは青ざめた顔で静かに首を振る。
「剣や武術など俺には必要ない、面倒だ」
「勉強は嫌いだ」「魔法など最低限使えればいいだろう?」
そう言って、何も学ばなかったミケーレに得意な魔法などはありはしない。
「ミケーレ様、数日前‥‥わたくしの前で御自分が何を言ったのか覚えていらっしゃいますか?」
スッとソフィーアの目が細まる。
ミケーレの頭の中には、自分がソフィーアに言った言葉の数々が浮かんでいた。
『お前も隠れて男の1人や2人手玉にとってみたらどうだ?』
『他の男を知らないから、俺のありがたみが分かないんだ』
ソフィーアの冷めた態度の理由が分かったところで後の祭りだ。
あれだけソフィーアを小馬鹿にして下に見ていたミケーレは、とんだ赤っ恥である。
極め付けは『それに俺はお前と違ってモテるからな』というミケーレの言葉。
いくら自国の伯爵令嬢や男爵令嬢に言い寄られたところで、ソフィーアとはレベルが違うことは見て分かる通りだろう。
ランドリゲス公爵家どころではなく、あのアバン帝国の第2皇子やヘール王国の王太子‥そして周囲の国々から恐れられている暗黒の魔術師までもが、ソフィーアに求婚しているではないか。
それもミケーレの前で。
(俺だってソフィーアの本当の姿と価値を知っていれば‥!)
そうすればミケーレだってソフィーアを大切にしていただろうに。
こんなことならなかったのかもしれない。
ソフィーアは何故こんなにも男を惹きつけているのか‥‥そう考えてミケーレはハッとする。
(ソフィーアは俺に隠れて、数々の不貞行為をしていたに違いないっ!)
ミケーレはそう思えて仕方なかった。
確かにソフィーアは恐ろしいほどの美女だ。
ミケーレも鳥肌がたつほどに‥。
だがそれだけで、こんなにも複数の男が言い寄るだろうか?
(俺に隠れてこの男達を誘っていたんだ)
ミケーレはソフィーアの行動に疑惑を持った。
「ソ、ソフィーア‥‥お前は!!」
「なんでしょう、ミケーレ様」
「俺と婚約しておきながら、何故こんなにも他国の人間と関係が出来ている!?絶対に変だ!」
「やめろ!ミケーレ‥!!ソフィーアはっ」
「ソリッド兄様は黙っていてください」
「‥‥ッ!この状況を見て何故分からないんだ!!」
「だっておかしいじゃないか!何か気を持たせる事をしたからこんな事に‥っ」
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