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8.土曜の夜
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”ピンポーン”
約束の土曜の夜、徹志くんの家を訪ねインターフォンを鳴らすや否や、勢いよくドアが開けられた。
久しぶりに見るその顔は……目の周り真っ黒アイライナーメイクの徹志くんだった。
「どうしたのその顔! 」
「ごめん。今日イベントだったんだ。メイクも落とさずさっき帰ってきたところ」
「間に合ってよかった」といったとおり、帰った来たばかりなのだろう。玄関に置かれたままの大きなバッグの上にはアウターとパーカーが無造作に投げられている。
「そういうメイクして踊ってるんだね、へぇ」
「大会とかだとしないけど、今日はショーケースだったから。……変? 」
「ううん、カッコいいよ」
メイクをした徹志くんは、それこそモデルかロックスターかという容姿で素直にカッコいいと思う。その顔で私の顔を覗き込まれると本気で照れてしまうからやめて。赤くなった耳触るのもやめて欲しい。そんなに嬉しそうにされたら、愛されてると勘違いしてしまいそう。
「ごめんね、顔洗うからちょっと待ってて。ついでにシャワーも浴びていい? 」
「どうぞどうぞ」
玄関を入ってすぐの洗面所の扉を開けると、徹志くんはおもむろにメイク落としオイルを手に取った。
「あ……」
「ん? 」
「それ……徹志くんがいつも使ってるの? 」
「そうだよ、きぃちゃんも使う? 」
そういうと、徹志くんはオイルまみれの両手を私の頬にぐりぐりとこすりつけた。
「やめてよ~。私はメイク落としたくないからっ」
私たちはメイク落としオイルをこすりつけあった挙句、水もかけあい二人で笑いあった。おかげで二人とも水浸しである。
「まさか、メイク落としが徹志くんのだったなんて」
「誰のだと思ったの? きぃちゃんもそういうこと思ったりするんだ。ヤキモチってやつ? 」
「そういうんじゃない。こともない」
彼は腰に腕を回して私を引き寄せると、少し甘えたような顔をして耳元でささやく。
「うれしい。可愛いとこあるよね、きぃちゃん」
「私は可愛いとこだらけです」
「じゃあ、一緒にシャワー浴びて、可愛いところもっといっぱい見せて」
腰に回していた手は素早く背中へと登り、右手でブラのホックを外したかと思うと左手はもう胸を包み込んでいた。
「やだぁ」
「だって、こんなに濡れた服じゃ、乾くまで帰れないし、ね」
優しく髪を撫でられたから、そこに高性能乾燥機能付き洗濯機があることは知らないふりしておいてあげることにした。
約束の土曜の夜、徹志くんの家を訪ねインターフォンを鳴らすや否や、勢いよくドアが開けられた。
久しぶりに見るその顔は……目の周り真っ黒アイライナーメイクの徹志くんだった。
「どうしたのその顔! 」
「ごめん。今日イベントだったんだ。メイクも落とさずさっき帰ってきたところ」
「間に合ってよかった」といったとおり、帰った来たばかりなのだろう。玄関に置かれたままの大きなバッグの上にはアウターとパーカーが無造作に投げられている。
「そういうメイクして踊ってるんだね、へぇ」
「大会とかだとしないけど、今日はショーケースだったから。……変? 」
「ううん、カッコいいよ」
メイクをした徹志くんは、それこそモデルかロックスターかという容姿で素直にカッコいいと思う。その顔で私の顔を覗き込まれると本気で照れてしまうからやめて。赤くなった耳触るのもやめて欲しい。そんなに嬉しそうにされたら、愛されてると勘違いしてしまいそう。
「ごめんね、顔洗うからちょっと待ってて。ついでにシャワーも浴びていい? 」
「どうぞどうぞ」
玄関を入ってすぐの洗面所の扉を開けると、徹志くんはおもむろにメイク落としオイルを手に取った。
「あ……」
「ん? 」
「それ……徹志くんがいつも使ってるの? 」
「そうだよ、きぃちゃんも使う? 」
そういうと、徹志くんはオイルまみれの両手を私の頬にぐりぐりとこすりつけた。
「やめてよ~。私はメイク落としたくないからっ」
私たちはメイク落としオイルをこすりつけあった挙句、水もかけあい二人で笑いあった。おかげで二人とも水浸しである。
「まさか、メイク落としが徹志くんのだったなんて」
「誰のだと思ったの? きぃちゃんもそういうこと思ったりするんだ。ヤキモチってやつ? 」
「そういうんじゃない。こともない」
彼は腰に腕を回して私を引き寄せると、少し甘えたような顔をして耳元でささやく。
「うれしい。可愛いとこあるよね、きぃちゃん」
「私は可愛いとこだらけです」
「じゃあ、一緒にシャワー浴びて、可愛いところもっといっぱい見せて」
腰に回していた手は素早く背中へと登り、右手でブラのホックを外したかと思うと左手はもう胸を包み込んでいた。
「やだぁ」
「だって、こんなに濡れた服じゃ、乾くまで帰れないし、ね」
優しく髪を撫でられたから、そこに高性能乾燥機能付き洗濯機があることは知らないふりしておいてあげることにした。
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