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「蓮……れ…ん…ッ」
現に以前一度、人狼の里を滅ぼした時、リアムは蓮に言った事があった。『今なら人間の世界へ帰れるんだぞ』と。だが、蓮は、一族の身勝手で心も体もボロボロに傷付けられたのに、そんなリアムの勧めに頑として頭を縦には振らなかった。
「リアムと居たい。リアムと2人で居たい…」
「蓮…でも……ッ」
これから対面する厳しい現実と状況を考えると、辛い想いをさせるのが解っていたから。リアムはその気持ちを嬉しいと感じながらも、蓮の想いを素直に受け入れる事が出来なかった。すると、
「リアム……」
そんな彼の戸惑いを拒絶と受け取ったのか、蓮は、泣きながら彼に問い掛けてきたのである。
「リアムは、俺が要らない…??汚れてしまった俺なんか、もう要らない??」
血と精液で汚れた裸の胸に手をやりながら、蓮は恐れ怯える表情のまま言い募った。もしもリアムが要らないというのであれば。必要でないというのであれば。今ここで、自分の命も断ってくれたら良い、と。ボロボロと大粒の涙を零しながら。
「馬鹿言うな!!!蓮が要らねえなんて、そんな訳あるかよ…!!!」
「………リアムッ」
蓮は命を賭けて、リアムと行く事を選んだ。選んでくれた。ならばリアムの答えも決まっている。愛しい番の小さな身体を、溺れる者の様に激しく掻き抱きながら、リアムはすべてを受け入れる覚悟を決めた。
「蓮…愛してる…俺と行こう、蓮」
「うん…うん。リアム…ずっと…ずっと一緒だよ…」
その時から彼は誓ったのだ。どんな事があっても、蓮を守ろう。誰よりも、何よりも、愛する番を幸せにしよう、と。
それなのに、リアムは守ってやれなかった。幸せにしてやれなかった。
助けを求める蓮を、むざむざと人間の男に攫われてしまったのだから。
「…………くそっっ」
考えている内にも変身は進み、腕などが狼の毛に覆われていた。ヤバイ。残された僅かな理性でそう思う反面『もうどうでも良い』という自暴自棄な心が解放を求める。と同時に、メキメキと筋肉が音を立てて隆起し、身体が人狼のソレへと変化していった。
その、時──
「ああ、やっぱりあの子は、君の『番』だったんだね」
「────っっ!!??」
低い垣根の向こうから声を掛けられ、リアムは狼狽し驚いて振り返った。
「やあ、こんばんは!」
手遅れと知りつつも人の姿を取り戻すリアムを、垣根越しに恰幅の良い人の良さげな青年が見ていた。驚くでもなく、怯えるでもなく、まるで懐かしいモノを見る様な目で。
「あ!!ご、ごめんね!?突然声を掛けちゃって…」
「…………っっ!?」
「ていうか、俺の言葉、解る?…普段使わないから、ヒアリング自信ないんだけど」
「…………ッ!?」
警戒しどうすべきか考えてる様子のリアムに、どんぐり眼の青年は親しげな笑みを浮かべて自己紹介を始めた。それも、この国の難解な言葉ではなく、リアムの使い慣れた故郷の言語で。
「俺はジャック。一応、この国での本名は別にあるけど…とりあえずジャック・オーウェンって覚えておいてよ」
「この国??…本名?お前……?」
おかしな言い回しにリアムは人の顔で眉を寄せるが、ジャックと名乗った青年が被っていた帽子を取って見せると、驚愕にその金色の眼を大きく見開いた。
「混血が進んでるけど、俺も君と同じ人狼の子孫なんだ」
「………な…っっ!?」
人の良さげな顔でニコニコ笑う青年の、短く切った茶色の頭髪の間からは、明らかに血の通った狼の耳が生えていたのである。
現に以前一度、人狼の里を滅ぼした時、リアムは蓮に言った事があった。『今なら人間の世界へ帰れるんだぞ』と。だが、蓮は、一族の身勝手で心も体もボロボロに傷付けられたのに、そんなリアムの勧めに頑として頭を縦には振らなかった。
「リアムと居たい。リアムと2人で居たい…」
「蓮…でも……ッ」
これから対面する厳しい現実と状況を考えると、辛い想いをさせるのが解っていたから。リアムはその気持ちを嬉しいと感じながらも、蓮の想いを素直に受け入れる事が出来なかった。すると、
「リアム……」
そんな彼の戸惑いを拒絶と受け取ったのか、蓮は、泣きながら彼に問い掛けてきたのである。
「リアムは、俺が要らない…??汚れてしまった俺なんか、もう要らない??」
血と精液で汚れた裸の胸に手をやりながら、蓮は恐れ怯える表情のまま言い募った。もしもリアムが要らないというのであれば。必要でないというのであれば。今ここで、自分の命も断ってくれたら良い、と。ボロボロと大粒の涙を零しながら。
「馬鹿言うな!!!蓮が要らねえなんて、そんな訳あるかよ…!!!」
「………リアムッ」
蓮は命を賭けて、リアムと行く事を選んだ。選んでくれた。ならばリアムの答えも決まっている。愛しい番の小さな身体を、溺れる者の様に激しく掻き抱きながら、リアムはすべてを受け入れる覚悟を決めた。
「蓮…愛してる…俺と行こう、蓮」
「うん…うん。リアム…ずっと…ずっと一緒だよ…」
その時から彼は誓ったのだ。どんな事があっても、蓮を守ろう。誰よりも、何よりも、愛する番を幸せにしよう、と。
それなのに、リアムは守ってやれなかった。幸せにしてやれなかった。
助けを求める蓮を、むざむざと人間の男に攫われてしまったのだから。
「…………くそっっ」
考えている内にも変身は進み、腕などが狼の毛に覆われていた。ヤバイ。残された僅かな理性でそう思う反面『もうどうでも良い』という自暴自棄な心が解放を求める。と同時に、メキメキと筋肉が音を立てて隆起し、身体が人狼のソレへと変化していった。
その、時──
「ああ、やっぱりあの子は、君の『番』だったんだね」
「────っっ!!??」
低い垣根の向こうから声を掛けられ、リアムは狼狽し驚いて振り返った。
「やあ、こんばんは!」
手遅れと知りつつも人の姿を取り戻すリアムを、垣根越しに恰幅の良い人の良さげな青年が見ていた。驚くでもなく、怯えるでもなく、まるで懐かしいモノを見る様な目で。
「あ!!ご、ごめんね!?突然声を掛けちゃって…」
「…………っっ!?」
「ていうか、俺の言葉、解る?…普段使わないから、ヒアリング自信ないんだけど」
「…………ッ!?」
警戒しどうすべきか考えてる様子のリアムに、どんぐり眼の青年は親しげな笑みを浮かべて自己紹介を始めた。それも、この国の難解な言葉ではなく、リアムの使い慣れた故郷の言語で。
「俺はジャック。一応、この国での本名は別にあるけど…とりあえずジャック・オーウェンって覚えておいてよ」
「この国??…本名?お前……?」
おかしな言い回しにリアムは人の顔で眉を寄せるが、ジャックと名乗った青年が被っていた帽子を取って見せると、驚愕にその金色の眼を大きく見開いた。
「混血が進んでるけど、俺も君と同じ人狼の子孫なんだ」
「………な…っっ!?」
人の良さげな顔でニコニコ笑う青年の、短く切った茶色の頭髪の間からは、明らかに血の通った狼の耳が生えていたのである。
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