かむづまり──朱夏の庭で君と

RINFAM

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 そうして俺は、初めて心を通わせて、セツと愛し合うセックスをした。
「セツ……セツっ、あ…あ、う……ッ」
 自分のことながら不思議で仕方ないけど。俺は男でありながら同じ男であるセツを、なんら抵抗もなく受け入れることが出来た。もちろん、慣れない行為は苦しくて、尋常じゃなく痛かったりして、内心『止めとけば良かった』なんて後悔もしたのだけれど。
「く、う……ハ、ハル……!!」
 涙で潤む目で背中越しに見たセツの顔が──嬉しそうで幸せそうで気持ち良さそうな彼の顔が、俺の中から痛みも苦しみも後悔も全部消し去ってくれたから。
 セツを感じたい、感じさせたい、もっともっと喜ばせたい。
そんな愛おしい気持ちだけが、俺の心身を満たしてくれたから。
「あっ……あ、あっ……あ…ッ!!」
 俺は獣みたいに四つん這いとなって、後ろからセツのモノで激しく胎内を突き上げられた。身体の内を異物が行き来する生々しい感覚。パンパンと肉を打つ渇いた音と、繋がった場所から響いてくる、ぐちゅぐちゅと濡れた卑猥な水音。
 ああ、セツが俺の中に居る。俺のことを愛してくれてる。肉体を通じて伝わるその確かな感覚に俺は、いつしか痛みだけではない何かを感じ始めていた。
「ハル…ハルッ、愛してる…ッ」
「あ…あっ、あっ、セツぅぅっ!!」
 実を言うとセックスの最中の俺の記憶はかなり曖昧で、覚えてないことも多い気がするのだけれど。でも、セツが俺のことを性急に求めてくれていたことだけは、事後も、朦朧とした記憶の中にハッキリと刻み込まれていた。
 体位を変え、何度も何度も、彼の熱い迸りを、この胎内に受け止めたことも。
 互いに互いの名を呼び、好きだと、愛してると、囁き続けたことも。
 身体を繋ぐことによって、心が、魂が、溶け合うように1つとなれたことも。

「愛してる……セツ……ッ」
「ああ、俺もお前を愛してる…ハル!」

 俺はこの日、初めて身体の繋がりが心を、より強く結び付けてくれるものだと知った。
 そして行為それ自体よりもなによりも俺は、セツに愛されてると解ったことが、彼の愛を感じられたことが、この上なく幸福で泣きたいくらいに嬉しかったのだ。
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