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三章
バラバラの道
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「黒沢さん!分断しちゃいましたけどこれでいんですよね?」
暗い部屋の中、大量のモニターをバックに一人の白衣を着た男が座っていた
同じ部屋の隅でキーボードを打ちならす少女、彼女が男にそう告げていた
「あぁ…計算外なことが起きてどうしようとかと思っていたが……ふふっ、こんなことになってるとはな」
男はニヤリと笑う
「ようやく干渉できたんだ、せっかくだから私の研究に付き合ってもらおう」
「きゃは♪」
彼女が笑う、その笑みはどこか残忍な光が見え隠れしていた
「……ここどこ?」
アイは見知らぬ空間に居た、真っ暗で何も見えない、まるで初めの部屋に戻ったような場所だった
「ルイさん?ケンタくん?キューちゃん?」
アイが呼びかけるが反応はない
「みんな…どこいっちゃったの?」
さっきまで一緒にだった仲間の影はなく、アイは急に心細くなった
「うぅ…とりあえず明るくしてみよう…優しき光手!」
手をかざすと部屋全体が明るくなり、部屋の全貌がわかるようになった
その場所はどこかの研究所のようで椅子に掛かった白衣、フラスコや小瓶などが並び、パソコンや試験管が数多く並んでいた
「…知らない場所…いや、私は知ってるのかな?私が忘れている記憶…」
アイがキョロキョロ辺りを見回しているとふと背後に気配を感じた
「誰!?」
振り向くとそこには
死んだはずのアイの母の姿があった
「え…うそ?…お母さん?」
母優しそうな表情でニコッと笑ってみせた
「お母さんっ!!」
アイが母に抱きつき、母も抱きしめ返した
アイはめいいっぱい温もりを感じる
「お母さんだ…お母さん…会いたかった」
アイがそう言うと母も口を開き、こう一言を発した
「…失敗作」
「………え?」
「くそっ!!アイ!!ケンタ!!キュー太郎!!どこだ!!」
時同じくしてルイも不思議な場所に居た
「っち、仕方ねぇ探すしかねぇ……クソっアタシがついていながら…クソっ!クソっ!!」
ルイは憤怒の形相で叫んだ。ここで出会えた仲間、アイ、ケンタ…共にいた時間こそ少ないが確かに絆を感じていた
その矢先に分断された、ルイはおそらく自分が一番イレギュラーに対応できる、そう思い込んでいた
自分が無事ながら他の連中も無事だと考えるが、これが攻撃だったらと思うと怒りが込み上げてくる
自分の不甲斐なさに反吐がでる、そんな風に思いながらギロリと目の前のそれを睨んだ
(ウィーン)
前回の部屋で対峙したロボット、それが確認できるだけでも20…多くて30体程確認できた
ロボット達はルイを見てキャタピラの駆動音を鳴らす
「…上等だ、アタシゃ今イライラしてぇんだ、スクラップにもなれねぇぞ!!!覚悟しなぁああ!!」
「ひぇ~…みんなどこッスか?…うぅ一人じゃ心細いッスよ…」
ケンタもアイ達同様に見知らぬ部屋に居た。そこはただの通路に見えた
一本道で何も無く、ただ進むしかない、そんなことを強要されている気分だった
「…いや、頑張るッスよ!!眞子柴謙太!!きっと姉さんやアイちゃん達も頑張ってるッス!!」
ケンタは顔を両手で軽く叩くと歩き始めた
「こういう時はまず周りを見てみるのが1番ッス!不可侵の目視!!」
ケンタは周りの壁や天井を見渡した、すると
「っ!?アイちゃん!!姉さん!!」
「キュ?」
ペンギンは崩れた部屋の場所に居た
それはアイとルイが出会った部屋、本とパズルの部屋であった
その部屋はすでに崩壊寸前で今にも廊下まで崩れていきそうだった
「キュ……」
ペンギンはゆっくり目を閉じる
すると身体が光の粒子になっていき…
やがてその姿は消えてしまった
「…お母さん?」
「…失敗作、あんたなんか生まれなければよかったのよ」
「…なんで、そんなこと…言うの?」
アイは母親と向き合いショックを受けた表情で母の顔を見る、その母の顔は優しい面影は無く、憎しみに満ちた恐ろしい表情をしていた
母はアイの首を手で掴んだ
「…ガッ、く、くる…しぃ…」
「あんたなんかアンタなんかアンタなんか!!」
手の力は強まりどんどんアイの首を絞めていく
アイは必死に抵抗するも次第に力が抜けていき、手足がだらんと垂れてしまう
「アンタは失敗作だ!アンタは!!」
その瞬間アイと母の間に火柱が上がった
「うぎゃああ!!」
母親は手が燃え、パッとアイを離す
「…げほっ…けほ……やってくれたわね」
アイの目付きは鋭くなり、口調が急に変わり以前時折見せた大人びたような話し方に変わる
「…貴女はお母さんじゃない、わかってたわ、お母さんは死んじゃったもの…でも、それでも会えて嬉しかった…抱きしめてもらえてよかった」
「アイぃ!!この失敗作がぁ!!」
「…でも、私の思い出を汚したのは許せないわ……消えてちょうだい…光手の閃火!」
蒼い炎が母の周りを囲み、一瞬にして燃やし尽くした
後には灰も残らず綺麗にその姿は消失した
「…ごめんなさい、お母さん」
そう呟くアイはいつもの様子に戻っていたが、どこか寂しそうな表情をしていた
暗い部屋の中、大量のモニターをバックに一人の白衣を着た男が座っていた
同じ部屋の隅でキーボードを打ちならす少女、彼女が男にそう告げていた
「あぁ…計算外なことが起きてどうしようとかと思っていたが……ふふっ、こんなことになってるとはな」
男はニヤリと笑う
「ようやく干渉できたんだ、せっかくだから私の研究に付き合ってもらおう」
「きゃは♪」
彼女が笑う、その笑みはどこか残忍な光が見え隠れしていた
「……ここどこ?」
アイは見知らぬ空間に居た、真っ暗で何も見えない、まるで初めの部屋に戻ったような場所だった
「ルイさん?ケンタくん?キューちゃん?」
アイが呼びかけるが反応はない
「みんな…どこいっちゃったの?」
さっきまで一緒にだった仲間の影はなく、アイは急に心細くなった
「うぅ…とりあえず明るくしてみよう…優しき光手!」
手をかざすと部屋全体が明るくなり、部屋の全貌がわかるようになった
その場所はどこかの研究所のようで椅子に掛かった白衣、フラスコや小瓶などが並び、パソコンや試験管が数多く並んでいた
「…知らない場所…いや、私は知ってるのかな?私が忘れている記憶…」
アイがキョロキョロ辺りを見回しているとふと背後に気配を感じた
「誰!?」
振り向くとそこには
死んだはずのアイの母の姿があった
「え…うそ?…お母さん?」
母優しそうな表情でニコッと笑ってみせた
「お母さんっ!!」
アイが母に抱きつき、母も抱きしめ返した
アイはめいいっぱい温もりを感じる
「お母さんだ…お母さん…会いたかった」
アイがそう言うと母も口を開き、こう一言を発した
「…失敗作」
「………え?」
「くそっ!!アイ!!ケンタ!!キュー太郎!!どこだ!!」
時同じくしてルイも不思議な場所に居た
「っち、仕方ねぇ探すしかねぇ……クソっアタシがついていながら…クソっ!クソっ!!」
ルイは憤怒の形相で叫んだ。ここで出会えた仲間、アイ、ケンタ…共にいた時間こそ少ないが確かに絆を感じていた
その矢先に分断された、ルイはおそらく自分が一番イレギュラーに対応できる、そう思い込んでいた
自分が無事ながら他の連中も無事だと考えるが、これが攻撃だったらと思うと怒りが込み上げてくる
自分の不甲斐なさに反吐がでる、そんな風に思いながらギロリと目の前のそれを睨んだ
(ウィーン)
前回の部屋で対峙したロボット、それが確認できるだけでも20…多くて30体程確認できた
ロボット達はルイを見てキャタピラの駆動音を鳴らす
「…上等だ、アタシゃ今イライラしてぇんだ、スクラップにもなれねぇぞ!!!覚悟しなぁああ!!」
「ひぇ~…みんなどこッスか?…うぅ一人じゃ心細いッスよ…」
ケンタもアイ達同様に見知らぬ部屋に居た。そこはただの通路に見えた
一本道で何も無く、ただ進むしかない、そんなことを強要されている気分だった
「…いや、頑張るッスよ!!眞子柴謙太!!きっと姉さんやアイちゃん達も頑張ってるッス!!」
ケンタは顔を両手で軽く叩くと歩き始めた
「こういう時はまず周りを見てみるのが1番ッス!不可侵の目視!!」
ケンタは周りの壁や天井を見渡した、すると
「っ!?アイちゃん!!姉さん!!」
「キュ?」
ペンギンは崩れた部屋の場所に居た
それはアイとルイが出会った部屋、本とパズルの部屋であった
その部屋はすでに崩壊寸前で今にも廊下まで崩れていきそうだった
「キュ……」
ペンギンはゆっくり目を閉じる
すると身体が光の粒子になっていき…
やがてその姿は消えてしまった
「…お母さん?」
「…失敗作、あんたなんか生まれなければよかったのよ」
「…なんで、そんなこと…言うの?」
アイは母親と向き合いショックを受けた表情で母の顔を見る、その母の顔は優しい面影は無く、憎しみに満ちた恐ろしい表情をしていた
母はアイの首を手で掴んだ
「…ガッ、く、くる…しぃ…」
「あんたなんかアンタなんかアンタなんか!!」
手の力は強まりどんどんアイの首を絞めていく
アイは必死に抵抗するも次第に力が抜けていき、手足がだらんと垂れてしまう
「アンタは失敗作だ!アンタは!!」
その瞬間アイと母の間に火柱が上がった
「うぎゃああ!!」
母親は手が燃え、パッとアイを離す
「…げほっ…けほ……やってくれたわね」
アイの目付きは鋭くなり、口調が急に変わり以前時折見せた大人びたような話し方に変わる
「…貴女はお母さんじゃない、わかってたわ、お母さんは死んじゃったもの…でも、それでも会えて嬉しかった…抱きしめてもらえてよかった」
「アイぃ!!この失敗作がぁ!!」
「…でも、私の思い出を汚したのは許せないわ……消えてちょうだい…光手の閃火!」
蒼い炎が母の周りを囲み、一瞬にして燃やし尽くした
後には灰も残らず綺麗にその姿は消失した
「…ごめんなさい、お母さん」
そう呟くアイはいつもの様子に戻っていたが、どこか寂しそうな表情をしていた
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