ひたすら楽する冒険者業

長来周治

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楽の戦士トーチの章

150.楽だったかもしれない

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 決着してしまうと、なんだかあっさりだった、という気分になる。
 最後は寝ているバーサクウルフをひたすら攻撃するだけだったし、なんだかんだ言って回復アイテムも余ったので、一瞬そんな風に思うだけで、もちろん途中経過を含めるとまったくそんなことはなかった。
 極端な不運も幸運もなくてこの状態での勝利なので、ちょっと不運の方にいっただけで普通に敗走していた可能性がある。少なくとも増援があったらそうなっていただろうし、メリルのあの思い切った前進しての昏睡魔法、という選がなかったら、今ほど余力の残っていないギリギリの戦いになっていたかもしれない。
 危なかったは危なかったし、反省するべきところは多い。
 とはいえ勝つには勝ったし、これで安全かつ時間通りに宅配が出来ることに感謝しよう。
 一応まだ敵が出てこないかだけを念入りに確認。
 他に魔物の気配のない安全なルートになったようなので、二人で荷物を置いた場所に一旦戻ってきた。
 戦闘用の身軽な装備をやめ、運搬用の荷造りを始める。
 盾を持ちながらの蜜の運搬はメリルには難しいので、ここで盾は一旦返してもらう。 
 この盾も予想していたより大分活躍したな、なんてことを思いながらメリルに話しかけた。
「それにしても、メリルが……なんていうかあんなに戦うとは思ってなかったよ」 
「えっ、あっ……そうですか」
 どこの事を言われているかはわかっているだろう。
 普段から戦闘についてはそつなくこなせる印象だったが、今回のことで実はかなり戦いに向いた才能があるのかもしれないと思った。
 自分から積極的に言わずに黙っている事が多いから気が付かなかっただけで。
「でも、その……ちょっと危険を冒し過ぎたような気もしてます」
 迷いなく前に出て来たように見えたが、やはり上手くいかなかったときのことを考えはしたのだろう。
「いや、あそこは守っていても危険度は変わらなかったと思うし、同じ危険度なら結果が良くなる可能性が高い方を選んだメリルの判断がよかったと思うよ」
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