ひたすら楽する冒険者業

長来周治

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楽の戦士トーチの章

131.重装備の苦楽

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「わかりました」
「よろしくね」
 とりあえず何かすぐに対応しなければならないような事がなかったのはよかった。
「あの、それで今後女王っぽい夜甲虫を見つけた時はどうしたらいいですか?」
「あー……今のまま残す方向でとりあえずは行こう」
「わかりました」
 もし女王を倒して取れ高が減ってしまうなら問題があるし、逆に増え過ぎたとしても……たいして困らない。ひとまずは現状維持の方向でいいだろうと思う。
「うーん……うーん?」
 今やっている作業を全て終え、道具を仕舞って立ち上がったとき、何か奇妙な違和感のようなものを感じた。
 喉元まで何かかが出かかっていて出ない。何か重大なことに気が付いたような感覚だけがあるが、それが何かはわからない。
「どうかされたんですか?」
 つい考え込んでぼうっとしてしまっていた俺を、メリルが不審そうに覗き込んでくる。
「あ、いや何でもない。行こう」
 何かまだつっかえたような感覚があるが、いずれわかるかもしれない。今は考える事ではないと考え直し、次の狩り場へ向かうことにする。
 一度の入荷量を増やす関係で、いつもより急ぎ気味、かつ運搬の事を考えて、後のルートがなるべく安全になるようにしないといけない。
 普段蜜はほぼ俺が担いでいるが、今回はメリルにも少し手伝って貰う予定なので、余計な戦闘はなるべくなら避けたかった。
 といっても、ここ最近は時間にも作業的にも余裕がある事が多かったので、そこまで致命的な事にはならないはずだが、ちょっとしくじったなと思ったのは、新たに導入した盾だった。
 ……正直、邪魔だなあ。
 戦闘では多少役に立ったものの、荷物の運搬においては大いに邪魔だった。
 鞄によって増えたアイテム所持数を綺麗に相殺してしまっている感があるし、蜜の取り出しを行うときには、外さないといけない。
 少なくとも今日装備してくるのは失敗したか。早急に必要だったものではなかった事もあって、微妙な後悔をし始めていた。
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