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楽の戦士トーチの章
112.楽しい買い物-9
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「それは私が考案したスキルでして」
なら知るわけがないな、と納得しつつも反面で驚いていた。
スキルというのは、そのクラスと武器が持つと優位な技法を、誰でも扱えるように世の理に沿って定型化したもの。
レベル、知識、道具、これらが条件に合致することで、俺たちは自然とスキルを使うことが出来るわけだが、これだって元を辿れば、考えた人が存在しているのだ。
俺が今使いたい盾のパリィだって、先人が研究した末、扱うのに適したレベルや盾の種類が定まっている。
なので、ある程度そういうノウハウがあれば、新しく作り出すすることも流れとしては可能なはずだが、そもそも作ろうという発想にならなかったほとんど人のがそうだろう。
「どういうスキルなんですか?」
聞くと彼は近くに合った盾を手に取り、
「敵の攻撃を受けたときに、こう……」
押し出すような動きをして、
「強制的に突き飛ばして、攻撃してきた奴との距離を大きく離すことが出来るんです」
俺はしばらく黙っていた。
何か続く言葉があると思ったからだ。しかし、男からの話の続きはなかった。
「え……? 終わりですか」
「はい、そうですけど」
それがどうかしたのか、みたいな反応をされても困る。
「何か他に効果は?」
「特にはありませんけど」
「突き飛ばしたときに敵にダメージとかは」
「あー、当たり所が悪ければ、ダメージも入るかもしれませんねえ」
良ければではなく悪ければ、というところに望み薄さが滲み出ている。アドバンスとやらは、それを期待したスキルではないということだろう。
俺はがっくりした。
その反応を見て、流石に面白くなかったのか、彼は言い返して来た。
「でも基本は盾なんですから、別にダメージなんかなくてもよくはないですか?」
「それはまあ、その通りなんですが……」
盾は防御するためのものであって、攻撃を期待するためのものではないというのは、まったくもって正論だ。
しかしこれだと、他の盾スキルに比べて優位な部分がないし、何より効果自体も使えないとは思わないが、しょぼいとは言わざるを得ない。
なら知るわけがないな、と納得しつつも反面で驚いていた。
スキルというのは、そのクラスと武器が持つと優位な技法を、誰でも扱えるように世の理に沿って定型化したもの。
レベル、知識、道具、これらが条件に合致することで、俺たちは自然とスキルを使うことが出来るわけだが、これだって元を辿れば、考えた人が存在しているのだ。
俺が今使いたい盾のパリィだって、先人が研究した末、扱うのに適したレベルや盾の種類が定まっている。
なので、ある程度そういうノウハウがあれば、新しく作り出すすることも流れとしては可能なはずだが、そもそも作ろうという発想にならなかったほとんど人のがそうだろう。
「どういうスキルなんですか?」
聞くと彼は近くに合った盾を手に取り、
「敵の攻撃を受けたときに、こう……」
押し出すような動きをして、
「強制的に突き飛ばして、攻撃してきた奴との距離を大きく離すことが出来るんです」
俺はしばらく黙っていた。
何か続く言葉があると思ったからだ。しかし、男からの話の続きはなかった。
「え……? 終わりですか」
「はい、そうですけど」
それがどうかしたのか、みたいな反応をされても困る。
「何か他に効果は?」
「特にはありませんけど」
「突き飛ばしたときに敵にダメージとかは」
「あー、当たり所が悪ければ、ダメージも入るかもしれませんねえ」
良ければではなく悪ければ、というところに望み薄さが滲み出ている。アドバンスとやらは、それを期待したスキルではないということだろう。
俺はがっくりした。
その反応を見て、流石に面白くなかったのか、彼は言い返して来た。
「でも基本は盾なんですから、別にダメージなんかなくてもよくはないですか?」
「それはまあ、その通りなんですが……」
盾は防御するためのものであって、攻撃を期待するためのものではないというのは、まったくもって正論だ。
しかしこれだと、他の盾スキルに比べて優位な部分がないし、何より効果自体も使えないとは思わないが、しょぼいとは言わざるを得ない。
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