ガームルド帝国記

豹鬼

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1章 ガームルド騎士国編

第5話 王女様

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あれから数時間がたった。

僕達は、ガームルド騎士国の首都、ガームルドに向かって旅をしている。

ここまで旅と言っても特に何もなく、魔物を数体、火魔法で焼いたくらいだ。

僕は、ミケーレに話しかけた。

「後どれくらいで着くかな?」
ミケーレは、快く答えてくれる。
「後1時間くらいですかね。」

ガームルドの町までは、数時間で着く、旅の中で長いわけでは、ない。

しかし、初めての旅の僕にとってその数時間は、長かった。

しばらく歩くと少し前の方に馬車が止まっている。

今の地形は、草原も終わり森が広がっている。

なんか、鉄?血?あまり嗅ぎたくない匂いがしている。

向こうを見るとゴブリンの群れが、馬車を襲っていた。

しかも、あきらかにゴブリンが多い・・・・

これ、やばいんじゃ・・・・

ローマルス大陸は、あまり魔物は、強くない、しかしいくら強くない魔物でも多数に囲まれると命が危ない。

馬車には、5人の護衛がついているようだが、あきらかに劣勢だ。

しかも、近くに来て気づいたが、このゴブリンの群れの中にゴブリン・メイジ2体とゴブリン・アックスが1体しかも、なんと、ゴブリン・キングまでいるじゃないか・・・・

ゴブリン・メイジとは、ゴブリンの魔法使いの事だ。ゴブリン・アックスとは、ゴブリンの戦士の事だ。2匹とも、Bランクのかなりやばい魔物だ。

通常ゴブリンは、Dランクの魔物だ。
しかし、群れを作るとCランク相当の危険度に変わる。
しかも、ゴブリン・〇〇〇とつく上位種がいるとさらに危険度は、ます。

しかも、今回更に最悪な事にゴブリン・キングまでいる・・・

名前からしてやばいが、ゴブリンの大様である。
魔物としての危険度は、ゴブリン・メイジやゴブリン・アックスと同じBランクだが、通常のゴブリンを強化するリーダースキルを持っている。

こうなって来るとあの馬車の護衛だけでは、かなり厳しいだろう・・・・

ミケーレは僕に旅の途中魔物の事を少しずつ教えてくれてた。

しかし、そんな習い初めたばかりの僕でもあれがやばい事くらい分かる。

「ミケーレ、あの馬車を助けよう。」
かなり慌てながらもミケーレに問いかけた。
「ガルムさんなら、余裕ですよ。ゴブリンの群れなんて。」

ミケーレは、簡単に言ってくれる。
しかし、これは、お世辞でも何でもない今の僕ならゴブリン・キングごとき一撃だ。

僕はゴブリンの群れに近づき数を確認する。

ゴブリン                       10体
ゴブリン・メイジ           2体
ゴブリン・アックス        1体
ゴブリン・キング            1体

全部で14体のゴブリンの群れだった。

まず、僕は、覚えたばかりの火魔法の中級魔法ファイアマグナムを使った。
ゴブリンの群れの中を火あぶりにしていく。

さっきの攻撃で、通常ゴブリンは全て息絶えた。
ゴブリン・アックスもかなりのダメージをうけている。
やはり、魔法に強いゴブリン・メイジとキングは、あまりのダメージは、受けていたいようだ。

そして、僕は馬車に駆け寄った。

「大丈夫ですか?」
近くに倒れている護衛に話しかけた。
「私は助からない・・・どうかお嬢様だけでもお助けください。」
護衛は、お嬢様を助けてくれと泣いている本人は、助からないと思っているようだが、助けられる。
まず、広範囲に光魔法の回復系魔法クリアヒールをかけた。
その瞬間死にかけていた護衛達が全員回復してしまう。
先ほどの護衛は、唖然としている。
「これは・・・」
「回復魔法をかけさせてもらいました。ですが、あまり無理はしないで下さいね。傷を消しただけですので・・・」
僕は護衛にそう言うと、また、次の魔法を使っている。
闇魔法からの創世魔法ダークソードだ。
まだ、僕は、剣を買っていない。
なので魔法で剣を作ったので。
この、ダークソードで、ゴブリン・メイジを一瞬で切り裂いた。
その後ゴブリン・アックスは、キングを守るように後退する。
「勝てそうだな。」
僕は勝利を確信した。
そして、最後はこの魔法だ。
僕は風魔法の中級魔法エアーカットを使った。
その瞬間、ゴブリン・アックスとキングの首が飛んだ。
そして、ゴブリンの群れを全て倒したのあった。

「皆さんもう、大丈夫ですよ。」
僕は護衛達にそう伝えてあげる。
なぜ、火魔法で最初に焼き殺さなかったかって?
それは、火魔法だと素材が無駄になるからだ。
まあ、ゴブリンの素材なんていらないからさっさと殺しちゃったけど、さすがにゴブリン・キングは、もったいない。
そんな事を考えていると  護衛が駆け寄ってきた。
「本当にありがとうございます。お嬢様をお助けいただいて感謝してもしきれません。」
護衛達から凄く感謝されている。
少しまっていると、馬車の中から叫び声が聞こえてきた。
「アーヤがアーヤが・・・・」
そこには、銀色のロングに赤い目僕より少し年上くらいの女の子が泣きながらメイドの服をきた少女たぶん(高校生くらいの)に抱きついている。
(ちなみに今の僕です・・・小学生くらいの)

そのアーヤと呼ばれたメイジは、凄く黒い何かに呪われている。
そして、護衛の1人が叫ぶ
「これは、ゴブリンの死の呪い・・・」
「なんなのそれは、速くアーヤを助けて」
お嬢様は、泣き叫ぶ。
「お嬢様・・・死の呪いは、普通の冒険者や僧侶では、解除出来ません。教会なら、解除出来ると思いますが・・・しかし、死の呪いは5分以内に解除しないと助かりません・・・」
「そんな・・・」
お嬢様は、絶望の顔をしている。

すると案内猫ミケーレが念話で僕に
(ガルムさんなら治せるんじゃない?)と話しかけてきた。
最近ミケーレとは、念話で話すことが多くなっている。
普通の人に猫が話しているのを見られるのが困るからだ。
僕は、念話で、答える。
(たぶん治せるよ)


そう答えて、僕は、上級回復系呪文クールシャドウを使った。
すると目の前のメイドが急に回復した。
「あれ・・・」
アーヤが驚いて固まっている
「まじかよ・・・」
護衛達も固まっている
「アーヤ・・・アーヤアーヤアーヤ」
お嬢様は、泣きながらメイドに抱きつく。
「お嬢様・・」
メイドは、安心したように笑っている。
「あのどこでそんな呪文を、覚えたのですか?」
護衛の1人が聞いてくる
「まあ、いろいろありましてね。ところであなた達はどちらの方ですか?」
僕は話をはぐらかした。


「あ、申し訳けありません。お嬢様の命の恩人に名前も名乗らないとは、私とした事が。」
先ほどからお嬢様の横で泣きながらよかったと叫んでいた。
大男が、僕の方にきた。


「こちらは、ガームルド騎士国第一王女ジスカ・ガームルド様です。私は護衛隊長のポルムです。この度はお嬢様いや、王女様のお命を助けていただきありがとうございます。」
僕は、正直驚いた。皆お嬢様お嬢様言うからどこかの商人の娘かなんかかと思ったらこの国の王女って・・・・

「これは、王女様一向とは、知らずに御無礼をしました。僕は、ガルムと言います。」
「ガルムさん・・・私を助けていただき本当にありがとうございます。しかも、アーヤまで助けていただいてなんとお礼を言っていいのかもう・・・・」
王女様は、顔を赤くしながらそういった。
あら、僕なんか、したかな・・・

「いえ、困っている人を助けるのは当然です。では、僕はこれで失礼します。」
そう言って、この場を後にしようとした。

「お待ちください。これから、どちらに?」
「ガームルドの町に行きます。」
「私もこれからガームルドに帰るの、お礼もしたいしあなたをこの馬車で送っていくわ。」
王女様は、また、顔を赤くしながらそう言った。

「王女様と同じ馬車だなんてそんな申し訳ないです。」
慌ててそう言うと。
「いえ、命の恩人なのだから当然です。」
また、顔を赤くしながらそういった。
僕はこれ以上断るのと変かと思い乗ることにした。
「分かりました。王女様にそう言っていただけるのであれは、お言葉に甘えさせて頂きます。」


僕はそう言って王女様と馬車に乗るのであった。
もう、すぐそこまでガームルドの町は見えている。
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