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最後に。
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かくして。
ウトとトメは隠居し、チャーリーが正式に国王へ就任した。
ようやくイグセル王国に平和が訪れた。とは言いがたかったけれど、国民が飢えることもなく、帝国やどこかから攻められることもなく、無事に危機を乗り越えた。
食糧を守る施策も上手く機能したし、外貨として通貨もそこまで奪われなかった。通商協定のおかげで物量の減少も最小限に抑えられたし、何より帝国からの圧力が軽減されたのは大きい。
ついでに使えなさ過ぎた騎士団長はさっさと左遷しておいたし、商人協会の会長もなにやら怪しい動きを見せたのでさっさと罷免しておいた。これで人材的にも平和である。
もちろん、知性の高い魔物たちも平和に暮らしてくれていて、トラブルらしいトラブルも起こさずに頑張って働いてくれている。
で、その問題の帝国はというと、結局は飢饉に見舞われた。
ただ、英断だったのは帝国中央が途中で代替わりしたことだ。帝室でいったい何が起こったのか、地方の私たちには知る由もないのだけれど、代替わりしてからは一気に政策が変わった。
本気で色んな大国に頭を下げたのか、交渉したのか、援助物資を引き出したのである。
もちろん十全とは行かなかったが、国民が飢えに飢えて大量に死んでしまう、という事態は避けられたのだ。
どうも帝国の中央も風通しが良くなったようで、いろいろと良い方向へ進んでいくことだろう。
そしてその良い風は、私たちにも訪れた。
「ねえ、チャーリー」
「どうしたんだい、メイ」
「この一年間、本当にありがとね。ずっと助けられてた、私」
夜風に当たりながら、私はふと本心を零す。
理解ある旦那、愛してくれる旦那。チャーリーがいなかったら、私はここまで出来なかっただろう。
「メイ、今さらだよ。僕だってメイにいっぱい助けられてるんだから」
「チャーリー」
柔らかい口付けを頬に受け、私はぽっと赤くなる。
そのまま、ゆっくりと手をつながれた。
ぎゅっと、温かい。
「愛してるよ」
「うん、私も愛してる」
そして、二人は抱き合った。
完結
ご愛読ありがとうございました。
新作の《元聖女の悪役令嬢、学院改革のために暗躍します~最強無敵、そしてベタ甘~》
を連載しますので、どうぞそちらもチェックお願いいたします!
ウトとトメは隠居し、チャーリーが正式に国王へ就任した。
ようやくイグセル王国に平和が訪れた。とは言いがたかったけれど、国民が飢えることもなく、帝国やどこかから攻められることもなく、無事に危機を乗り越えた。
食糧を守る施策も上手く機能したし、外貨として通貨もそこまで奪われなかった。通商協定のおかげで物量の減少も最小限に抑えられたし、何より帝国からの圧力が軽減されたのは大きい。
ついでに使えなさ過ぎた騎士団長はさっさと左遷しておいたし、商人協会の会長もなにやら怪しい動きを見せたのでさっさと罷免しておいた。これで人材的にも平和である。
もちろん、知性の高い魔物たちも平和に暮らしてくれていて、トラブルらしいトラブルも起こさずに頑張って働いてくれている。
で、その問題の帝国はというと、結局は飢饉に見舞われた。
ただ、英断だったのは帝国中央が途中で代替わりしたことだ。帝室でいったい何が起こったのか、地方の私たちには知る由もないのだけれど、代替わりしてからは一気に政策が変わった。
本気で色んな大国に頭を下げたのか、交渉したのか、援助物資を引き出したのである。
もちろん十全とは行かなかったが、国民が飢えに飢えて大量に死んでしまう、という事態は避けられたのだ。
どうも帝国の中央も風通しが良くなったようで、いろいろと良い方向へ進んでいくことだろう。
そしてその良い風は、私たちにも訪れた。
「ねえ、チャーリー」
「どうしたんだい、メイ」
「この一年間、本当にありがとね。ずっと助けられてた、私」
夜風に当たりながら、私はふと本心を零す。
理解ある旦那、愛してくれる旦那。チャーリーがいなかったら、私はここまで出来なかっただろう。
「メイ、今さらだよ。僕だってメイにいっぱい助けられてるんだから」
「チャーリー」
柔らかい口付けを頬に受け、私はぽっと赤くなる。
そのまま、ゆっくりと手をつながれた。
ぎゅっと、温かい。
「愛してるよ」
「うん、私も愛してる」
そして、二人は抱き合った。
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