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痛みの朝、労働の朝
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身体が痛い。
あちこちが痛い。
激痛に苛みながら、アイナは目を覚ます。どうやら失神していたらしい。
「朝だ」
今まで起きたことがない早朝の時間に、アイナは起きなければならない。
辺境伯が目覚めるまでに身なりを整えて出迎えなければならないのだ。そこで機嫌がよければ何もないが、機嫌が悪ければ鞭で叩かれる。
粗相があってはならない。
もはや恐怖心にとりつかれていたアイナは、必死に水浴びし、髪を整えて着替え、痛む身体を引きずって部屋の前へ向かう。
息を切らせて歩く中、悔しさが芽生えた。
どうして――。
どうして自分がこんな目にあっているのだろう。
自分はただ幸せがほしかっただけだった。
義姉がいつも幸せそうだったから、自分で幸せを見つけるような人だったから、それが欲しくて欲しくてたまらなくて、いつもねだって手にしていた。
たったそれだけだ。
それなのに、どうして今は不幸なのだろう。
幸せを見つけるはずの義姉から奪った幸せのはずなのに。
どうして、私は不幸なの?
部屋の前について、アイナは跪く。
扉の向こうで、かすかな物音がした。びくり、と全身が緊張する。
さっきまでの不幸と思う思考は、全部消え去っていた。
◇ ◇ ◇
天気が良い。
夜に雨が降った後なので、なおさら土の匂いが気持ちよかった。
私とチル伯爵は土作業をこなしていく。
このあたりは一年間休ませた畑で、土作りからしないといけない。栄養状態を十分に整えてやることは、美味しい作物を作るうえで欠かせない要素だ。
「ふう」
朝からいい汗をかいて、タオルで額を拭う。
畑を担当する農民たちと共同作業するには理由がある。
為政者として、土の具合を直接確かめて収穫量の見込みを立てること。ちゃんと困ったことがないか確かめること。不当な扱いをしている地主がいないかチェックすること、だ。
チル伯爵の統治は、民衆たちにとって心地よいものだ。
税金も重いわけでもないし、何かしらの強い制限がかかっているわけでもない。経済的にも困っているわけではない。
奴隷制を拒否している土地でもあるので、誰もが生きていく権利を持っている。
だからこそ、激しい商売争いは得意ではないし、軍事力も高くない。
それを補うために、チル伯爵たちは頑張っているのだ。
「よし、土の具合はこんなものかな」
「もともとの土壌が良いってスゴいことですね」
タオルで顔を拭いたチル伯爵の隣に立ち、私は素直な感想を言う。
裏庭で畑をしていたときは、土の調整が大変だった。
「それでも無理をさせれば土の栄養が偏ってしまうし、痩せてしまうんだけどね」
「普段からの努力があってこその土ですね」
「うん。美味しいものが出来て欲しいからね」
「ええ、ほんとうに。さて、朝ごはんにしましょう」
「そうしようか。おなか空いた~」
「今日はサンドイッチが用意されているようですよ」
「楽しみだ」
私とチル伯爵は笑いあいながら、朝食が用意されている会場へ向かった。
あちこちが痛い。
激痛に苛みながら、アイナは目を覚ます。どうやら失神していたらしい。
「朝だ」
今まで起きたことがない早朝の時間に、アイナは起きなければならない。
辺境伯が目覚めるまでに身なりを整えて出迎えなければならないのだ。そこで機嫌がよければ何もないが、機嫌が悪ければ鞭で叩かれる。
粗相があってはならない。
もはや恐怖心にとりつかれていたアイナは、必死に水浴びし、髪を整えて着替え、痛む身体を引きずって部屋の前へ向かう。
息を切らせて歩く中、悔しさが芽生えた。
どうして――。
どうして自分がこんな目にあっているのだろう。
自分はただ幸せがほしかっただけだった。
義姉がいつも幸せそうだったから、自分で幸せを見つけるような人だったから、それが欲しくて欲しくてたまらなくて、いつもねだって手にしていた。
たったそれだけだ。
それなのに、どうして今は不幸なのだろう。
幸せを見つけるはずの義姉から奪った幸せのはずなのに。
どうして、私は不幸なの?
部屋の前について、アイナは跪く。
扉の向こうで、かすかな物音がした。びくり、と全身が緊張する。
さっきまでの不幸と思う思考は、全部消え去っていた。
◇ ◇ ◇
天気が良い。
夜に雨が降った後なので、なおさら土の匂いが気持ちよかった。
私とチル伯爵は土作業をこなしていく。
このあたりは一年間休ませた畑で、土作りからしないといけない。栄養状態を十分に整えてやることは、美味しい作物を作るうえで欠かせない要素だ。
「ふう」
朝からいい汗をかいて、タオルで額を拭う。
畑を担当する農民たちと共同作業するには理由がある。
為政者として、土の具合を直接確かめて収穫量の見込みを立てること。ちゃんと困ったことがないか確かめること。不当な扱いをしている地主がいないかチェックすること、だ。
チル伯爵の統治は、民衆たちにとって心地よいものだ。
税金も重いわけでもないし、何かしらの強い制限がかかっているわけでもない。経済的にも困っているわけではない。
奴隷制を拒否している土地でもあるので、誰もが生きていく権利を持っている。
だからこそ、激しい商売争いは得意ではないし、軍事力も高くない。
それを補うために、チル伯爵たちは頑張っているのだ。
「よし、土の具合はこんなものかな」
「もともとの土壌が良いってスゴいことですね」
タオルで顔を拭いたチル伯爵の隣に立ち、私は素直な感想を言う。
裏庭で畑をしていたときは、土の調整が大変だった。
「それでも無理をさせれば土の栄養が偏ってしまうし、痩せてしまうんだけどね」
「普段からの努力があってこその土ですね」
「うん。美味しいものが出来て欲しいからね」
「ええ、ほんとうに。さて、朝ごはんにしましょう」
「そうしようか。おなか空いた~」
「今日はサンドイッチが用意されているようですよ」
「楽しみだ」
私とチル伯爵は笑いあいながら、朝食が用意されている会場へ向かった。
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