4 / 31
4.虫はちょっと
しおりを挟む
落ち着け。こういう時は焦ってはいけない。
自分のお腹に手を当てつつ、島の書をペラペラとめくる。
ネコジャラシ以外にもいくつか食べられる野草を見つけていたはず。生で食べることができるのかは不明……。
「ええと、ハコベ、シロネグサ、ナズナ……全部葉っぱばっかりだな。土を掘り返してみないとジャガイモみたいな芋類は発見できないよなあ……」
実はこれ以外にも食べられるものを発見している。
ただ病院暮らしの長かった僕にとって口に含むには相当な覚悟がいるものなんだよね。
こういうやつだよ。
『カミキリムシ
幼虫は可食』
『ミールワーム
クリーミー』
何でこれを島の書に乗せたんだって話なんだけど、興味本位というか危険が無いか確かめるため木の棒で挟んで本に当ててみたというわけなのだ。
もし毒を持っていたりしたら、うかつに触れないように注意しなきゃいけないだろ?
それがまさかまさか、食べることができるなんて。
カミキリムシの幼虫とミールワームはどちらも白いイモムシである。
そのままぶちゅっと潰して食べる……無理だああああ!
はあはあ。
「あれやこれや好き嫌いを言っている場合じゃないのは分かるのだけど、無理なものは無理だ……」
人間、本当の危機に陥った場合は何でもできるというから、飢餓状態になったら食すことができるかもしれない。
だが、今ではない。
「カピー。僕に残された道は三つ」
「きゅっ」
カピーの頭を撫でたら片目だけ開いて可愛らしく鳴く。
彼に聞いてもらったところで、彼が僕の言葉を理解するわけではない。だけど、声に出すことで自分の考えを整理することができる……かもしれない。
太陽が真上に近くなってきて、焦りだけが募ってくる。
こんな時こそ落ち着いて自分のペースを落とすべきなのだ。じれったいけど、病弱だった頃は次へ次へとやってしまったためにぶっ倒れてしまうことが何度もあった。
急いては事を仕損じるを身をもって体感しているのが僕である。
そんなわけで指を一本立て、カピーへ語りかけた。
「一つ。火起こしの手段を確立し、魚と野草を楽しむ。これが最善」
火起こしの手段は火打石方式か摩擦熱、あとは虫眼鏡方式あたりだろうか。
クラフトを上手く使えばいけるかもしれない。だけど、どれくらいの時間を要するかの見積をできないことが難点か。
「二つ。木の実みたいなそのまま食べられるものを探す」
これが最も現実的な手段かな。探しながら火起こしの手段も同時に見繕うのがよさそうだ。
僕はクラフト以外にも採集と釣りに特性を持つ。
採集なら既に行っているのだけど、クラフトみたいに手が光ることがなかった。使えるアイテムが見つかりやすくなるとかそういう特性かもしれない。
三つ目は、最初に戻る……イモムシはご勘弁願いたいところ。最悪、明日の夜までに何も成果がでなければ、今は考えることをしないでおこう。
◇◇◇
枯れ木や火種となる綿のような植物性の何かやら乾燥した落ち葉を拾って小屋に運びつつ、探索を続ける。
この島に転移したのが昨日の15時ごろだとするとようやく丸一日が経過したってところか。
この頃になって僕はようやく自分の体が健康体になっていることを確信していた。
水分補給だけで朝からずっと動きっぱなしにも関わらず、空腹以外に変調が無い。以前の自分なら想像がつかない体力だ。
埃ぽい空気を吸おうがぜんそくが発症することもないし、試しに軽く走ってみたのだけど胸が痛むこともなかった。
食べ物さえ見つかっていない現状だけど、健康体を意識すると無性に嬉しくなってくる。
ここでは何をするにも簡単にはいかない。だけど、自由に動け痛まぬ体がある。便利で何不自由ない暮らしよりも、不便であるが元気な方がよほどいい。
イモムシを食べる勇気はまだないけどね……。
お。落ち葉に紛れて緑色の果実があったぞ。
大きさはビワの実くらいかな。
「お、おお。当たりだ。クルミだって!」
黒曜石のナイフで緑の実を切ってみたら中から茶色い殻が出てきた。
この殻を割って中の種がクルミってことだな。
近くにいくつも転がっていたので緑の実の状態のままポケットに詰め込む。
この辺りは高木が多く、他にも何か果物がないかと少し進んで立ち止まり見上げて枝を確認する動作を繰り返し探索を続ける。
「こいつはスモモか。よし、今日のところはクルミとスモモがあればよいかな」
スモモを両手いっぱいに抱えて小屋へと戻った。
クルミはそのままだと食すことができない。堅い殻があるからね。
手頃な岩を用意してクルミの殻を割ろうと石を握った時に緑色に光った。
すると、オートでクルミの殻が割れていく。
いいね! 地味だけどとても便利だ。
クルミの殻を割ったことで感動している間にハプニングが起こる。
ヤカンに水を張って中にスモモを放り込んで後で洗おうと思っていたら、いつの間にやら起き上がったカピーが前脚でヤカンを倒してしまったんだ。
哀れスモモが水と一緒に外へ転がってしまった。
カピーはすんすんと鼻をつけパクっとスモモを食べている。
「お腹が空いていたのか?」
「もしゃもしゃ……」
カピーは癒し系の鳴き声を発することもなく、スモモを完食すると次のスモモを食べ始めた。
彼の食べる姿に癒されていたが、ハッとなり自分の分を二個だけ確保する。残りはカピーに食べてもらうことにしよう。
余談であるが、スモモはとても酸っぱかった。クルミは食べなれた味といったところ。
スモモとクルミだけとはいえ、拾い集めに行けばまだまだ量がある。これだけで栄養価は足りないが、食糧確保を急ぐ必要がなくなった。
「そんなわけで、蔓やら木の枝を集めてきました」
誰に向けて言ったわけでもないのだけど、様式美というやつだ。気にしないで欲しい。
かなり曖昧な記憶で正確な構造は分からないのだけど……クラフトの特性があればひょっとしたらと思って。
蔓と枝に手を当てイメージする。
よっし、緑色に光ったぞ。
枝が弓のようになり、矢がつがえられる。
矢は弓の中央部を貫通する形になっていて、蔦が巻き付けられていた。
お、おお。良い感じじゃないかな。
クラフトの特性で削った板とふわふわの乾燥した植物を置いて、そこに矢の先をあてがう。
「よいっしょっと」
弓を下へ押し込むとその力が蔦を伝って矢に回転の力を加える。
弓を上に戻し、再び押し込むを素早く繰り返した。
すると火種となるふわふわから煙があがり、あっという間に火が付く!
火が消えないように集めておいた枝をくべ焚火にできた。
「おお、うまくいったぞ。竈を作っておいた方がいいな」
といってもレンガとかはないし。いずれ岩を集めてきて竈もどきを作ることにしようか。
今日のところは火起こしができただけでも満足だ。
火を使った料理は明日への楽しみにとっておくとして、クルミとスモモを集めて夕飯にしようかな。
その日の晩――。
『すたーたす
クラフト 熟練度3
採集 熟練度5
釣り 熟練度0
今日の成果 島の書にたくさんのものを埋めた』
カピーが投影してくれた「すたーたす」を眺め、うんうんと頷く。
採集は意識しなくても発動する特性と捉えればよいみたいだ。クラフトは分かりやすいんだけどね。
『デイリーガチャを引きますか?』
「うん」
『どこどこどこどーん』
宝箱を開けてみると、中には100円ライターが入っていた……。
え、えええ。火起こしを頑張ったのに。
自分のお腹に手を当てつつ、島の書をペラペラとめくる。
ネコジャラシ以外にもいくつか食べられる野草を見つけていたはず。生で食べることができるのかは不明……。
「ええと、ハコベ、シロネグサ、ナズナ……全部葉っぱばっかりだな。土を掘り返してみないとジャガイモみたいな芋類は発見できないよなあ……」
実はこれ以外にも食べられるものを発見している。
ただ病院暮らしの長かった僕にとって口に含むには相当な覚悟がいるものなんだよね。
こういうやつだよ。
『カミキリムシ
幼虫は可食』
『ミールワーム
クリーミー』
何でこれを島の書に乗せたんだって話なんだけど、興味本位というか危険が無いか確かめるため木の棒で挟んで本に当ててみたというわけなのだ。
もし毒を持っていたりしたら、うかつに触れないように注意しなきゃいけないだろ?
それがまさかまさか、食べることができるなんて。
カミキリムシの幼虫とミールワームはどちらも白いイモムシである。
そのままぶちゅっと潰して食べる……無理だああああ!
はあはあ。
「あれやこれや好き嫌いを言っている場合じゃないのは分かるのだけど、無理なものは無理だ……」
人間、本当の危機に陥った場合は何でもできるというから、飢餓状態になったら食すことができるかもしれない。
だが、今ではない。
「カピー。僕に残された道は三つ」
「きゅっ」
カピーの頭を撫でたら片目だけ開いて可愛らしく鳴く。
彼に聞いてもらったところで、彼が僕の言葉を理解するわけではない。だけど、声に出すことで自分の考えを整理することができる……かもしれない。
太陽が真上に近くなってきて、焦りだけが募ってくる。
こんな時こそ落ち着いて自分のペースを落とすべきなのだ。じれったいけど、病弱だった頃は次へ次へとやってしまったためにぶっ倒れてしまうことが何度もあった。
急いては事を仕損じるを身をもって体感しているのが僕である。
そんなわけで指を一本立て、カピーへ語りかけた。
「一つ。火起こしの手段を確立し、魚と野草を楽しむ。これが最善」
火起こしの手段は火打石方式か摩擦熱、あとは虫眼鏡方式あたりだろうか。
クラフトを上手く使えばいけるかもしれない。だけど、どれくらいの時間を要するかの見積をできないことが難点か。
「二つ。木の実みたいなそのまま食べられるものを探す」
これが最も現実的な手段かな。探しながら火起こしの手段も同時に見繕うのがよさそうだ。
僕はクラフト以外にも採集と釣りに特性を持つ。
採集なら既に行っているのだけど、クラフトみたいに手が光ることがなかった。使えるアイテムが見つかりやすくなるとかそういう特性かもしれない。
三つ目は、最初に戻る……イモムシはご勘弁願いたいところ。最悪、明日の夜までに何も成果がでなければ、今は考えることをしないでおこう。
◇◇◇
枯れ木や火種となる綿のような植物性の何かやら乾燥した落ち葉を拾って小屋に運びつつ、探索を続ける。
この島に転移したのが昨日の15時ごろだとするとようやく丸一日が経過したってところか。
この頃になって僕はようやく自分の体が健康体になっていることを確信していた。
水分補給だけで朝からずっと動きっぱなしにも関わらず、空腹以外に変調が無い。以前の自分なら想像がつかない体力だ。
埃ぽい空気を吸おうがぜんそくが発症することもないし、試しに軽く走ってみたのだけど胸が痛むこともなかった。
食べ物さえ見つかっていない現状だけど、健康体を意識すると無性に嬉しくなってくる。
ここでは何をするにも簡単にはいかない。だけど、自由に動け痛まぬ体がある。便利で何不自由ない暮らしよりも、不便であるが元気な方がよほどいい。
イモムシを食べる勇気はまだないけどね……。
お。落ち葉に紛れて緑色の果実があったぞ。
大きさはビワの実くらいかな。
「お、おお。当たりだ。クルミだって!」
黒曜石のナイフで緑の実を切ってみたら中から茶色い殻が出てきた。
この殻を割って中の種がクルミってことだな。
近くにいくつも転がっていたので緑の実の状態のままポケットに詰め込む。
この辺りは高木が多く、他にも何か果物がないかと少し進んで立ち止まり見上げて枝を確認する動作を繰り返し探索を続ける。
「こいつはスモモか。よし、今日のところはクルミとスモモがあればよいかな」
スモモを両手いっぱいに抱えて小屋へと戻った。
クルミはそのままだと食すことができない。堅い殻があるからね。
手頃な岩を用意してクルミの殻を割ろうと石を握った時に緑色に光った。
すると、オートでクルミの殻が割れていく。
いいね! 地味だけどとても便利だ。
クルミの殻を割ったことで感動している間にハプニングが起こる。
ヤカンに水を張って中にスモモを放り込んで後で洗おうと思っていたら、いつの間にやら起き上がったカピーが前脚でヤカンを倒してしまったんだ。
哀れスモモが水と一緒に外へ転がってしまった。
カピーはすんすんと鼻をつけパクっとスモモを食べている。
「お腹が空いていたのか?」
「もしゃもしゃ……」
カピーは癒し系の鳴き声を発することもなく、スモモを完食すると次のスモモを食べ始めた。
彼の食べる姿に癒されていたが、ハッとなり自分の分を二個だけ確保する。残りはカピーに食べてもらうことにしよう。
余談であるが、スモモはとても酸っぱかった。クルミは食べなれた味といったところ。
スモモとクルミだけとはいえ、拾い集めに行けばまだまだ量がある。これだけで栄養価は足りないが、食糧確保を急ぐ必要がなくなった。
「そんなわけで、蔓やら木の枝を集めてきました」
誰に向けて言ったわけでもないのだけど、様式美というやつだ。気にしないで欲しい。
かなり曖昧な記憶で正確な構造は分からないのだけど……クラフトの特性があればひょっとしたらと思って。
蔓と枝に手を当てイメージする。
よっし、緑色に光ったぞ。
枝が弓のようになり、矢がつがえられる。
矢は弓の中央部を貫通する形になっていて、蔦が巻き付けられていた。
お、おお。良い感じじゃないかな。
クラフトの特性で削った板とふわふわの乾燥した植物を置いて、そこに矢の先をあてがう。
「よいっしょっと」
弓を下へ押し込むとその力が蔦を伝って矢に回転の力を加える。
弓を上に戻し、再び押し込むを素早く繰り返した。
すると火種となるふわふわから煙があがり、あっという間に火が付く!
火が消えないように集めておいた枝をくべ焚火にできた。
「おお、うまくいったぞ。竈を作っておいた方がいいな」
といってもレンガとかはないし。いずれ岩を集めてきて竈もどきを作ることにしようか。
今日のところは火起こしができただけでも満足だ。
火を使った料理は明日への楽しみにとっておくとして、クルミとスモモを集めて夕飯にしようかな。
その日の晩――。
『すたーたす
クラフト 熟練度3
採集 熟練度5
釣り 熟練度0
今日の成果 島の書にたくさんのものを埋めた』
カピーが投影してくれた「すたーたす」を眺め、うんうんと頷く。
採集は意識しなくても発動する特性と捉えればよいみたいだ。クラフトは分かりやすいんだけどね。
『デイリーガチャを引きますか?』
「うん」
『どこどこどこどーん』
宝箱を開けてみると、中には100円ライターが入っていた……。
え、えええ。火起こしを頑張ったのに。
7
お気に入りに追加
536
あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

RD令嬢のまかないごはん
雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。
都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。
そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。
相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。
彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。
礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。
「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」
元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。
大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話7話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる