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55.ついに
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「あなたも私もヨシタツの目的のために動いていたんでしょ? あなたはもう対価も得た。私はこれからヨシタツに願うつもりよ」
『確かに8割とはいえ、力を取り戻した。だが、まだヨシタツと再戦するには足らぬ』
「あなたも私も多少今より強くなったところでヨシタツには敵わないと思うわよ」
『そのようなことはない!』
「あははは。あなたらしい。私とあなたが協力すれば転移の術は使うことができる。きっとあなたの術式よりは私の方がまだマシよ」
『ぐぬぬ。対価は受け取った。ならば我も対価に応じねばならぬ。それが竜たる誇り。仕方あるまい。協力しよう』
「素直じゃないんだから」
ギギギギと音を出し、愉快そうに口が頬まで裂けるアリアドネに対し、駄竜は小さく炎を吐き悔し気に唸る。
「アリアドネ。俺に何を?」
「以前、言ったじゃない。いずれあなたのことを教えて欲しいって」
「特に隠すものもないんだけどな」
「ステータスを見せてくれないかしら?」
「そんな魔法があるんだよな。確か、ベルヴァが俺のアイテムボックスのスキルを閲覧していたような」
「似たような魔法よ。だけど、その魔法は自分よりレベルの低い者がステータスを開いている時にしか使えないわ」
「じゃあ、これ見る?」
ごそごそとポケットからギルドカードを取り出し、アリアドネに見せた。
彼女は興味なさそうに「仕舞っていいわ」と目で示す。
「ステータスを開いてもらえるかしら?」
「うん。見える状態にしたよ」
「じゃあ次に私に見せてもいいと願って」
「アリアドネに閲覧を許可する。これでいいかな?」
「見えたわ……な、何このデタラメな数字……」
ステータスとか久しぶりに見たな。
《レベル:999
名前:叶良辰
職業:無
固有スキル:アイテムボックス》
変わってない。まあ、カンストしているし、これ以上変わることはないわな。
カジカジ。
ええいうっとおしい。さっきから俺の脛を齧る駄竜の尻尾を掴み上げた。
『我にも見せろ』
「アリアドネに教えてもらえばいいじゃないか。それも面倒か。読み上げられるのは恥ずかしい。ファフサラス、ベルヴァに閲覧を許可する」
すると、駄竜がひっくり返り、ベルヴァがペタンと尻餅をつく。
ベルヴァの手を掴み、引っ張り上げると彼女はよろけて俺の胸に飛び込んできた。
「ヨ、ヨシタツ様。これはいくら何でも無茶苦茶です」
「頑張ったんだよ。レベルがこれ以上ないところまでさ」
「人間やドラゴニュートをはじめとした種族の限界値は50と言われています。ですので、冒険者ギルドカードは上限が50になっているんです」
「それは聞いたような……」
『ニンゲンの限界値は確かに低い。だが、古龍と呼ばれる強き竜で100に達するかどうかだ。十二将ともなると255まで至る者もいると聞く』
ええ。そう聞くとレベル上限が255ぽいんだけど、そうじゃなかったんだよなあ。
さっきまでしんみりしたムードだったベルヴァが完全に俺のステータスで意識をそっちに持っていかれていた。
彼女は口元を震わせながら、俺に問いかけてくる。
「ヨシタツ様。称号までお持ちなんですね。それも二つ」
「そういや、そんなものがあったな……。片方は結構役に立ったんだけど、もう一つはどんな効果を持っているのかもわからない」
「『無の境地』と『1億の男』ですね。無の境地はあらゆるバッドステータスを無効にするそうです。もう一つは恐慌耐性で、どんな時でも冷静でいられるそうですよ」
「へえ。確かにどんなモンスターを見ても恐怖で固まることはなかったな」
まさか称号の効果だったとは驚きだ。
最初に二つポンポンと獲得したから、もっと増えていくものだと思ってたけど、称号自体が超レアなものだったとは……。
どっちの称号も俺が生き抜く上で役に立っていたんだなあ。今更ながら、称号に感謝する俺であった。
「アリアドネ、見たいものは見れたかな?」
「とんでもないものを見てしまったわ……じゃあ、そろそろ始めましょうか」
「頼む」と頷くとアリアドネが駄竜の背中を蜘蛛の脚でツンツンする。
一方で駄竜は『しゃあないな』と億劫そうに宙へ浮かび上がり目を閉じた。
「私からファフサラスに送るわ。最期の扉はヨシタツに」
『仕方ない。我が元の大きさになれば我の尾で開くのだが』
ぶつくさ文句を言う駄竜のことなど構いもせず、アリアドネが両目を閉じ蜘蛛の脚で印を組む。
『お、おお。なるほどな。術式はともかく、これほど繊細な制御をするとは……やるではないかアリアドネ』
「魔法の扱いに関しては私の右に出る者はいないわ。他の十二将にいるのかもしれないけどね」
『これ以上のものがあるなどゾッとする。お主の域に我が到達できれば、十二将など束になっても。うぐうおおお』
「集中しなさいな。どんどん流すわよ」
どうやらアリアドネから魔力が流れてきたらしく、駄竜が情けなく唸り尻尾をプルプルと震わせた。
俺は何してればいんだろ?
手持ち無沙汰で待っていたら、駄竜の体が輝き始める。
光が弾けたかと思うと、ピンポン玉ほどの黒い球体になって俺の元へ降りて来た。
「それが扉よ。行き先はあなたが知っているわよね」
「行きたい場所を思い浮かべればいいのか?」
「そう。そして、あとは力こそパワーよ」
「思いっきりぶん殴れと……」
物理が必要と聞いていたが、まさかピンポン玉を全力で叩くことだったとは。
かつて住んでいた自室を頭の中で思い浮かべながら、腰を落とし、真っ直ぐ前へ拳を突き出す。
洗練されたこの動きは誰から教わったものでもない。唯々回数をこなし、動きやすいよう無駄がないよう修正していった努力の結晶である。
ドスン!
音より早く、拳がピンポン玉に到達、遅れてパアアアンと破裂音が響く。
ピンポン玉のような黒い球体は飛んでいかずその場に留まり――弾けた!
「成功よ。後は扉に飛び込みなさい」
「分かった。アリアドネ、ありがとうな」
「あはは。誰かと協力するって結構面白かったわよ」
アリアドネは俺の感謝の言葉にもいつもの調子だ。
おっと、もう一人、ちゃんと言っておかなきゃならない奴がいたな。
「ファフサラス。何も言わないままは俺がモヤッとするから言うぞ」
発言するも、ファフサラスは何も応えない。魔法の制御でいっぱいいっぱいなんだろうな。
だけど耳と尻尾がピクピクしているから、聞いてはいるだろ。
「正直、突然俺を別世界に拉致したことは言葉では言い表せないくらい怒りを覚えた。しかし、原因がお前とはいえ、お前がいなきゃ戻ることもかなわなかった。嘘をつくことだってできたのにお前はいつも正直であってくれた。翻訳とかな。今となってはいい思い出だ。ありがとう、ファフサラス」
『約束しよう。ヨシタツ。今後、別世界から新たな者を引っ張ることはせぬ。そのようなことをせずとも強くなれる路が見えたからな』
「全く、最後まで素直じゃないんだな。悪いと思ってんなら、そう言えばいいのに」
『うるさい。とっとと行け』
このやり取りも最後か。最後まで俺たちらしかった。な、ファフサラス?
「ヨシタツ様。ご達者で。どうかご壮健であられますように」
「ありがとう、ベルヴァさん」
「さ、最後にお願いできませんか……?」
目を瞑り踵を浮かせて顔を上に向けたベルヴァが何を求めているのか分からないほど野暮じゃない。
俺はそっと彼女の頬っぺたに唇をつけ、彼女の頭を撫でた。
「え……」という声が彼女から漏れたような気がしたけど、気のせいである。
「じゃあ、行くよ。みんな、世話になった。ありがとう!」
広がった闇の中へ進む。
あ、ハムちゃんたちを出してなかった。そう思うも、もう遅い。
俺の視界が一瞬にして切り替わる。
『確かに8割とはいえ、力を取り戻した。だが、まだヨシタツと再戦するには足らぬ』
「あなたも私も多少今より強くなったところでヨシタツには敵わないと思うわよ」
『そのようなことはない!』
「あははは。あなたらしい。私とあなたが協力すれば転移の術は使うことができる。きっとあなたの術式よりは私の方がまだマシよ」
『ぐぬぬ。対価は受け取った。ならば我も対価に応じねばならぬ。それが竜たる誇り。仕方あるまい。協力しよう』
「素直じゃないんだから」
ギギギギと音を出し、愉快そうに口が頬まで裂けるアリアドネに対し、駄竜は小さく炎を吐き悔し気に唸る。
「アリアドネ。俺に何を?」
「以前、言ったじゃない。いずれあなたのことを教えて欲しいって」
「特に隠すものもないんだけどな」
「ステータスを見せてくれないかしら?」
「そんな魔法があるんだよな。確か、ベルヴァが俺のアイテムボックスのスキルを閲覧していたような」
「似たような魔法よ。だけど、その魔法は自分よりレベルの低い者がステータスを開いている時にしか使えないわ」
「じゃあ、これ見る?」
ごそごそとポケットからギルドカードを取り出し、アリアドネに見せた。
彼女は興味なさそうに「仕舞っていいわ」と目で示す。
「ステータスを開いてもらえるかしら?」
「うん。見える状態にしたよ」
「じゃあ次に私に見せてもいいと願って」
「アリアドネに閲覧を許可する。これでいいかな?」
「見えたわ……な、何このデタラメな数字……」
ステータスとか久しぶりに見たな。
《レベル:999
名前:叶良辰
職業:無
固有スキル:アイテムボックス》
変わってない。まあ、カンストしているし、これ以上変わることはないわな。
カジカジ。
ええいうっとおしい。さっきから俺の脛を齧る駄竜の尻尾を掴み上げた。
『我にも見せろ』
「アリアドネに教えてもらえばいいじゃないか。それも面倒か。読み上げられるのは恥ずかしい。ファフサラス、ベルヴァに閲覧を許可する」
すると、駄竜がひっくり返り、ベルヴァがペタンと尻餅をつく。
ベルヴァの手を掴み、引っ張り上げると彼女はよろけて俺の胸に飛び込んできた。
「ヨ、ヨシタツ様。これはいくら何でも無茶苦茶です」
「頑張ったんだよ。レベルがこれ以上ないところまでさ」
「人間やドラゴニュートをはじめとした種族の限界値は50と言われています。ですので、冒険者ギルドカードは上限が50になっているんです」
「それは聞いたような……」
『ニンゲンの限界値は確かに低い。だが、古龍と呼ばれる強き竜で100に達するかどうかだ。十二将ともなると255まで至る者もいると聞く』
ええ。そう聞くとレベル上限が255ぽいんだけど、そうじゃなかったんだよなあ。
さっきまでしんみりしたムードだったベルヴァが完全に俺のステータスで意識をそっちに持っていかれていた。
彼女は口元を震わせながら、俺に問いかけてくる。
「ヨシタツ様。称号までお持ちなんですね。それも二つ」
「そういや、そんなものがあったな……。片方は結構役に立ったんだけど、もう一つはどんな効果を持っているのかもわからない」
「『無の境地』と『1億の男』ですね。無の境地はあらゆるバッドステータスを無効にするそうです。もう一つは恐慌耐性で、どんな時でも冷静でいられるそうですよ」
「へえ。確かにどんなモンスターを見ても恐怖で固まることはなかったな」
まさか称号の効果だったとは驚きだ。
最初に二つポンポンと獲得したから、もっと増えていくものだと思ってたけど、称号自体が超レアなものだったとは……。
どっちの称号も俺が生き抜く上で役に立っていたんだなあ。今更ながら、称号に感謝する俺であった。
「アリアドネ、見たいものは見れたかな?」
「とんでもないものを見てしまったわ……じゃあ、そろそろ始めましょうか」
「頼む」と頷くとアリアドネが駄竜の背中を蜘蛛の脚でツンツンする。
一方で駄竜は『しゃあないな』と億劫そうに宙へ浮かび上がり目を閉じた。
「私からファフサラスに送るわ。最期の扉はヨシタツに」
『仕方ない。我が元の大きさになれば我の尾で開くのだが』
ぶつくさ文句を言う駄竜のことなど構いもせず、アリアドネが両目を閉じ蜘蛛の脚で印を組む。
『お、おお。なるほどな。術式はともかく、これほど繊細な制御をするとは……やるではないかアリアドネ』
「魔法の扱いに関しては私の右に出る者はいないわ。他の十二将にいるのかもしれないけどね」
『これ以上のものがあるなどゾッとする。お主の域に我が到達できれば、十二将など束になっても。うぐうおおお』
「集中しなさいな。どんどん流すわよ」
どうやらアリアドネから魔力が流れてきたらしく、駄竜が情けなく唸り尻尾をプルプルと震わせた。
俺は何してればいんだろ?
手持ち無沙汰で待っていたら、駄竜の体が輝き始める。
光が弾けたかと思うと、ピンポン玉ほどの黒い球体になって俺の元へ降りて来た。
「それが扉よ。行き先はあなたが知っているわよね」
「行きたい場所を思い浮かべればいいのか?」
「そう。そして、あとは力こそパワーよ」
「思いっきりぶん殴れと……」
物理が必要と聞いていたが、まさかピンポン玉を全力で叩くことだったとは。
かつて住んでいた自室を頭の中で思い浮かべながら、腰を落とし、真っ直ぐ前へ拳を突き出す。
洗練されたこの動きは誰から教わったものでもない。唯々回数をこなし、動きやすいよう無駄がないよう修正していった努力の結晶である。
ドスン!
音より早く、拳がピンポン玉に到達、遅れてパアアアンと破裂音が響く。
ピンポン玉のような黒い球体は飛んでいかずその場に留まり――弾けた!
「成功よ。後は扉に飛び込みなさい」
「分かった。アリアドネ、ありがとうな」
「あはは。誰かと協力するって結構面白かったわよ」
アリアドネは俺の感謝の言葉にもいつもの調子だ。
おっと、もう一人、ちゃんと言っておかなきゃならない奴がいたな。
「ファフサラス。何も言わないままは俺がモヤッとするから言うぞ」
発言するも、ファフサラスは何も応えない。魔法の制御でいっぱいいっぱいなんだろうな。
だけど耳と尻尾がピクピクしているから、聞いてはいるだろ。
「正直、突然俺を別世界に拉致したことは言葉では言い表せないくらい怒りを覚えた。しかし、原因がお前とはいえ、お前がいなきゃ戻ることもかなわなかった。嘘をつくことだってできたのにお前はいつも正直であってくれた。翻訳とかな。今となってはいい思い出だ。ありがとう、ファフサラス」
『約束しよう。ヨシタツ。今後、別世界から新たな者を引っ張ることはせぬ。そのようなことをせずとも強くなれる路が見えたからな』
「全く、最後まで素直じゃないんだな。悪いと思ってんなら、そう言えばいいのに」
『うるさい。とっとと行け』
このやり取りも最後か。最後まで俺たちらしかった。な、ファフサラス?
「ヨシタツ様。ご達者で。どうかご壮健であられますように」
「ありがとう、ベルヴァさん」
「さ、最後にお願いできませんか……?」
目を瞑り踵を浮かせて顔を上に向けたベルヴァが何を求めているのか分からないほど野暮じゃない。
俺はそっと彼女の頬っぺたに唇をつけ、彼女の頭を撫でた。
「え……」という声が彼女から漏れたような気がしたけど、気のせいである。
「じゃあ、行くよ。みんな、世話になった。ありがとう!」
広がった闇の中へ進む。
あ、ハムちゃんたちを出してなかった。そう思うも、もう遅い。
俺の視界が一瞬にして切り替わる。
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