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45.技術革新 過去
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――ドイツ 藍人 過去
藍人は懸念していた出張を言い渡され、ドイツのベルリンまで来ていた。今回の出張はドイツのベルリンを起点にオーストリア連邦のオーストリア州のウィーンとチェコ州のプラハ、ポーランドのワルシャワまでの旅になる。
ベルリンから飛行機の定期便が出ているのはウィーンとワルシャワになるが、プラハには列車を使う必要がある。
今回の出張は長くなりそうだと藍人は心の中で毒づくのだった。
まだ北欧へ行かないだけましかと彼は思いなおし、現地の通訳と藍人は合流する。ベルリンには日本語学校があるので、以前に比べれば通訳を捜すのも格段に楽になったと会社の上司が言っていことを思い出しながら、藍人は通訳に挨拶をする。
藍人と通訳は、さっそくベルリンの得意先へと向かう。彼が最初に訪れたのは、前回ドイツに来た際に会った工場長の会社の本社だった。
藍人達を出迎えてくれたのは、藍人が以前会った工場長だった。
「お久しぶりです」
藍人の挨拶に工場長は笑顔で彼に応じる。
「久しぶり! 元気だったかい?」
「お陰様で順調ですよ」
「こっちも会社の業績がいいんだ。日本さまさまだよ」
工場長は日本のことを良いように言ってくれるが、藍人が政治に関わっているわけではないので、痒い思いをしてしまう。
「これから、ポーランドやオーストリア連邦にも行くつもりなんです」
「ポーランドか……」
「何かあったんですか?」
「いや、西プロイセンでポーランドの民族主義者って奴らが暴れていてね。大騒ぎにならなければいいんだが……」
「日本の新聞ではまだニュースになってませんので、初めて知りました。そんなことがあったんですか」
「細かい騒ぎならドイツだけじゃなく、いろんな地域で発生しているぜ。遠い日本の新聞にまで書かれるほどじゃあないんだろうけど」
「確かに、細かいことまでは伝わりませんものね。でもいずれはブラウン管テレビみたいなのが普及して、遠い外国のニュースも見れたりするかもしれませんよ」
「おお。ブラウン管テレビの記事は俺も新聞で見たぞ。東京万博で出展していたんだってな。電波だっけ? を受けて映像を出すとか」
「私も仕組みをそれほど分かっているわけじゃないんですけど……」
「お。電波で思い出した。日本とドイツの共同研究。気象観測だっけ? 本当に出来るなら便利になるよな」
「そうですよね! 私も新聞記事を読んでワクワクしました。技術の進歩ってすごいですよね!」
二人はどちらともなく、雑談が過ぎると気が付き、お互いにコホンと咳を一つ行いビジネスの本題を話始めたのだった。
――磯銀新聞
どうも! 日本、いや世界で一番軽いノリの磯銀新聞だぜ! 今回も執筆は編集の叶健太郎。え? 可愛い子はどうしたんだって? いや。居るとは言ったが、書くとは言ってないよな?
次回はその子に書いてもらえって? いや、文字だぞ。俺でも彼女でも変わらないだろ? わ、分かった。もしどうしても書いて欲しいって要望があれば書いてもらうから。な?
色んな所で暴動が起こり鎮圧されたって情報が入ってきているんだが、大きなところだとドイツの西プロイセンでポーランド系住民が西プロイセンの帰属を巡り騒ぎを起こした。これまで小さな騒ぎは起こっていたが、今回は警官隊が多数出動するほどの事件になったんだよ。
無事鎮圧されたんだが、更に大きな暴動に発展するかもしれない情勢だ。事態を重く見たポーランドとドイツ両政府は冷静な対応を求める声明を出した。
オーストリア連邦のスロベニア州イストリアではイタリア系住民の抗議活動が活発になり、警官が出動する騒ぎまで発展している。彼らはイタリア政府が裏で糸を引いていると噂だ。
無政府状態に近くなっているのがスペインだ。共産党勢力と独裁者を押す勢力で内戦まで発展しそうな状況にあるスペインは、社会不安から各地で暴動やデモが起きている。しかし治安を担う警察組織が上手く機能していないから、騒ぎが収まる気配がない。
話は逸れるが、フランスで政権交代が起こった。先日、フランス社会党から共産党が分離したんだけど、政権を取る為に再び合流し見事政権を獲得したんだぜ。新政権は福祉の充実、労働環境の改善を掲げフランス国内改革を推進するそうだ。
ただ、経済対策は有効的な案を出せてるとは言えない。しかし不況は底を打ったと言える状況で、ようやくフランスの景気は少しだけ上向きになって来ている。このまま回復してくれるといいんだがねえ。
ところ変わって中華民国情勢だが、こちらは小規模ながら軍事衝突が起きている。東トルキスタン共和国とチベットの間で数度ぶつかり合いが起きた。軍閥の私兵が国境付近で縄張り争いを行ったことがきっかけで、お互いに死者が出る騒ぎになった。
直ぐに両国の本軍が駆けつけ、収束したが再度起きないとも限らない。両国は小競り合いが起きた地域で、両国の領域の境界線上に金網を設置するそうだ。これには両国が工事に当たる。
和解の証なのか分からないが、両国で工事とかまた紛争に発展しないか心配だよなあ。
海外は物騒な話ばかりだが、ところ変わって国内の話題だ。ついに国産車が量産体制に入ったと発表があったぞ。外国の車に比べ、日本の道にあった小型車を翌月からいよいよ販売開始となるんだが……問題がある。もちろん予約は既に受け付けているけど、既に数か月待ちになってるんだよ!
ちくしょう。乗り遅れてしまったぜ! え? 買う金はあるのかって? いや、無いけどさ。
業務用の小型トラックも年内に販売予定になっている。こちらは工事関係企業から多数の発注が入っているそうだ。価格が落ち着いて来たら、農業関係者も欲しいと小型トラックを絶賛しているようだぜ。
あ、そうそう。冷蔵庫と洗濯機は試してみたか? 国産品も量産されてお店に並んでいるよな。輸入物は高いけど、国産品は安くなってきたからそろそろ買い時だぞ。
いやあ、冷蔵庫は凄いぞ。家で冷えたビールがいつでも飲める。これは凄いね。びっくりだよ。氷屋から氷を買わなくても、ずっと冷えてる。洗濯機もすごいぜ。ほっといたら洗ってくれる。洗ったら脱水層に放り込んであとは待ってるだけ。
素晴らしい。ぜひ試してみてくれ。
次は研究所の話だ。気象観測研究所では、レーダーによる気象観測の研究を行っている。山の上に観測所を建築し、絶賛実験中みたいだが、観測ができるようになれば毎朝ラジオで天気予報を流すってさ。今から楽しみだよなあ。
新エネルギー開発所では、日本の資源状況を顧みて火力発電以外の発電の仕組みを研究開発している。この開発に政府は補助金を増額したと発表があった。航空機やエンジンの開発は国が行っている施設と民間施設の両方があるけど、新エネルギー開発は今のところ国の施設のみになる。
いずれは民間でも研究所ができるかもしれないな。
俺が一番興味を持った研究所は、「宇宙開発研究機構」なんだよ! 凄い夢がないかこれ? 名前聞いただけでワクワクしてきたよ俺は。何を開発するんだろうな。宇宙に俺も行けるのかな?
おお。想像しただけで燃えてきたぞ!
藍人は懸念していた出張を言い渡され、ドイツのベルリンまで来ていた。今回の出張はドイツのベルリンを起点にオーストリア連邦のオーストリア州のウィーンとチェコ州のプラハ、ポーランドのワルシャワまでの旅になる。
ベルリンから飛行機の定期便が出ているのはウィーンとワルシャワになるが、プラハには列車を使う必要がある。
今回の出張は長くなりそうだと藍人は心の中で毒づくのだった。
まだ北欧へ行かないだけましかと彼は思いなおし、現地の通訳と藍人は合流する。ベルリンには日本語学校があるので、以前に比べれば通訳を捜すのも格段に楽になったと会社の上司が言っていことを思い出しながら、藍人は通訳に挨拶をする。
藍人と通訳は、さっそくベルリンの得意先へと向かう。彼が最初に訪れたのは、前回ドイツに来た際に会った工場長の会社の本社だった。
藍人達を出迎えてくれたのは、藍人が以前会った工場長だった。
「お久しぶりです」
藍人の挨拶に工場長は笑顔で彼に応じる。
「久しぶり! 元気だったかい?」
「お陰様で順調ですよ」
「こっちも会社の業績がいいんだ。日本さまさまだよ」
工場長は日本のことを良いように言ってくれるが、藍人が政治に関わっているわけではないので、痒い思いをしてしまう。
「これから、ポーランドやオーストリア連邦にも行くつもりなんです」
「ポーランドか……」
「何かあったんですか?」
「いや、西プロイセンでポーランドの民族主義者って奴らが暴れていてね。大騒ぎにならなければいいんだが……」
「日本の新聞ではまだニュースになってませんので、初めて知りました。そんなことがあったんですか」
「細かい騒ぎならドイツだけじゃなく、いろんな地域で発生しているぜ。遠い日本の新聞にまで書かれるほどじゃあないんだろうけど」
「確かに、細かいことまでは伝わりませんものね。でもいずれはブラウン管テレビみたいなのが普及して、遠い外国のニュースも見れたりするかもしれませんよ」
「おお。ブラウン管テレビの記事は俺も新聞で見たぞ。東京万博で出展していたんだってな。電波だっけ? を受けて映像を出すとか」
「私も仕組みをそれほど分かっているわけじゃないんですけど……」
「お。電波で思い出した。日本とドイツの共同研究。気象観測だっけ? 本当に出来るなら便利になるよな」
「そうですよね! 私も新聞記事を読んでワクワクしました。技術の進歩ってすごいですよね!」
二人はどちらともなく、雑談が過ぎると気が付き、お互いにコホンと咳を一つ行いビジネスの本題を話始めたのだった。
――磯銀新聞
どうも! 日本、いや世界で一番軽いノリの磯銀新聞だぜ! 今回も執筆は編集の叶健太郎。え? 可愛い子はどうしたんだって? いや。居るとは言ったが、書くとは言ってないよな?
次回はその子に書いてもらえって? いや、文字だぞ。俺でも彼女でも変わらないだろ? わ、分かった。もしどうしても書いて欲しいって要望があれば書いてもらうから。な?
色んな所で暴動が起こり鎮圧されたって情報が入ってきているんだが、大きなところだとドイツの西プロイセンでポーランド系住民が西プロイセンの帰属を巡り騒ぎを起こした。これまで小さな騒ぎは起こっていたが、今回は警官隊が多数出動するほどの事件になったんだよ。
無事鎮圧されたんだが、更に大きな暴動に発展するかもしれない情勢だ。事態を重く見たポーランドとドイツ両政府は冷静な対応を求める声明を出した。
オーストリア連邦のスロベニア州イストリアではイタリア系住民の抗議活動が活発になり、警官が出動する騒ぎまで発展している。彼らはイタリア政府が裏で糸を引いていると噂だ。
無政府状態に近くなっているのがスペインだ。共産党勢力と独裁者を押す勢力で内戦まで発展しそうな状況にあるスペインは、社会不安から各地で暴動やデモが起きている。しかし治安を担う警察組織が上手く機能していないから、騒ぎが収まる気配がない。
話は逸れるが、フランスで政権交代が起こった。先日、フランス社会党から共産党が分離したんだけど、政権を取る為に再び合流し見事政権を獲得したんだぜ。新政権は福祉の充実、労働環境の改善を掲げフランス国内改革を推進するそうだ。
ただ、経済対策は有効的な案を出せてるとは言えない。しかし不況は底を打ったと言える状況で、ようやくフランスの景気は少しだけ上向きになって来ている。このまま回復してくれるといいんだがねえ。
ところ変わって中華民国情勢だが、こちらは小規模ながら軍事衝突が起きている。東トルキスタン共和国とチベットの間で数度ぶつかり合いが起きた。軍閥の私兵が国境付近で縄張り争いを行ったことがきっかけで、お互いに死者が出る騒ぎになった。
直ぐに両国の本軍が駆けつけ、収束したが再度起きないとも限らない。両国は小競り合いが起きた地域で、両国の領域の境界線上に金網を設置するそうだ。これには両国が工事に当たる。
和解の証なのか分からないが、両国で工事とかまた紛争に発展しないか心配だよなあ。
海外は物騒な話ばかりだが、ところ変わって国内の話題だ。ついに国産車が量産体制に入ったと発表があったぞ。外国の車に比べ、日本の道にあった小型車を翌月からいよいよ販売開始となるんだが……問題がある。もちろん予約は既に受け付けているけど、既に数か月待ちになってるんだよ!
ちくしょう。乗り遅れてしまったぜ! え? 買う金はあるのかって? いや、無いけどさ。
業務用の小型トラックも年内に販売予定になっている。こちらは工事関係企業から多数の発注が入っているそうだ。価格が落ち着いて来たら、農業関係者も欲しいと小型トラックを絶賛しているようだぜ。
あ、そうそう。冷蔵庫と洗濯機は試してみたか? 国産品も量産されてお店に並んでいるよな。輸入物は高いけど、国産品は安くなってきたからそろそろ買い時だぞ。
いやあ、冷蔵庫は凄いぞ。家で冷えたビールがいつでも飲める。これは凄いね。びっくりだよ。氷屋から氷を買わなくても、ずっと冷えてる。洗濯機もすごいぜ。ほっといたら洗ってくれる。洗ったら脱水層に放り込んであとは待ってるだけ。
素晴らしい。ぜひ試してみてくれ。
次は研究所の話だ。気象観測研究所では、レーダーによる気象観測の研究を行っている。山の上に観測所を建築し、絶賛実験中みたいだが、観測ができるようになれば毎朝ラジオで天気予報を流すってさ。今から楽しみだよなあ。
新エネルギー開発所では、日本の資源状況を顧みて火力発電以外の発電の仕組みを研究開発している。この開発に政府は補助金を増額したと発表があった。航空機やエンジンの開発は国が行っている施設と民間施設の両方があるけど、新エネルギー開発は今のところ国の施設のみになる。
いずれは民間でも研究所ができるかもしれないな。
俺が一番興味を持った研究所は、「宇宙開発研究機構」なんだよ! 凄い夢がないかこれ? 名前聞いただけでワクワクしてきたよ俺は。何を開発するんだろうな。宇宙に俺も行けるのかな?
おお。想像しただけで燃えてきたぞ!
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