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18.トリップしてらっしゃる
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「そのまま見上げたまま、じっとしていてもらえるかな」
「分かった」
え?
ハールーンが俺の両肩に手を置き、膝を曲げる。
どうしたと思う間もなく、彼女の顔がどんどん迫ってきて――。
「ハールーン、ちょ」
「ん……んん」
口の中にぬるりと柔らかい、いや、暖かいというより熱い。
熱が彼女の舌から伝わり、喉を伝ったところで熱が消える。
こ、これは。疲労が薄れ、みるみるうちに頭がスッキリとしてきた。
「いつまで抱き合っているのよおお。うらやまけしからんわああ」
ベルベットの叫び声にハッとなり、ハールーンから唇を離す。
「どうだい? 魔力と戦士の使う精神力は似たようなものなんだ。幸い僕の魔力は十全だ。だが、肝心の使いどころがない」
「これは? どんな術なんだ?」
「君が感じたままだよ。トランスファーは僕の魔力を君の精神力に変え、転送する術だよ。君が技を使って疲弊した時に使う」
「ええと、トランスファー? は密着していないと使えないのかな?」
「ううん。今ので『繋いだ』。そうだね。十メートルほどなら離れていても問題ないかな。ただし、効果は薄くなる」
「となれば、さっきみたいにする方が?」
「したいのかい?」
「え、いやまあ……」
「あはははは。面白い反応をするね。手を繋げば十分さ。残念だったかい?」
「いや、使い分けできるか。手を繋ぐ、でいいなら戦闘中でも手段の一つとして考慮できる」
「そうだね。緊急ならば離れて、短時間で回復したいなら手を繋ぐ」
お、おいおい。真剣にハールーンと会話していたらベルベットが俺のポーチに手を突っ込み、ナイフを奪い取った。
敵の気配はしないが、彼女には何か「見えた」のか?
いや違った。
黒豹を解体してくれるらしい。ナイフを振り上げ、グサアアっと黒豹の胴体に突き刺している。
おいおい、その解体方法だと毛皮が無駄に傷付くぞ。
「見せつけやがってええ。このこのおお!」
「ベルベット。俺がやるよ」
「1000年もアンデッドどもと過ごして、ようやく会話できる人がいたってのに、これかよ、これなのかよおお。ちくしょおお。うらやましくなんてないんだからああ」
「ベルベット?」
「嘘だよ。うらやましいわよおお。でも、私、リッチになっちゃったから、人間と恋愛なんてできないのかな。ウィレムは見た目だけならカッコいいとは思うけど、意地悪だし、ハールーンとイチャイチャしてるし。そうよ。外に出て、私もめくるめく」
ダメだこら。完全にトリップしてらっしゃる。
これ以上傷をつけられたらたまらないので、ズルズルと黒豹を引きずった。
すると彼女は地面をグサグサやり始める。
うん、やっぱり黒豹なんて見てなかったんだね。
そのうち元に戻るだろ。それまでに解体しちゃおうか。
「いやでも待って。私、当たり前のことに気がついちゃった」
まだ言ってるし……。
「そうよ。あの子は幼女。つまり、幼女なのよ。だから、幼女なの。して、ほら、別にちゅーしても抱っこされても、幼女と大人なんだから、ほら、問題ない、なんなら私が幼女にちゅーしても問題ない」
ブツブツと何やら呟き、変な笑い声をあげるベルベットはいないものとして、一心不乱に解体を続ける俺なのであった。
◇◇◇
「ほい、これがスカートで、上はノースリーブだけど、これでいいわよね。あと、これこれ、翅刃を入れる鞘。こんなもんでいいかしら」
「おおお。すごいぞ、ベルベット。初めて君を尊敬した」
「もっと褒めていいのよ。うふふふふ」
「おー。あと靴もいってみようか」
「そう? ハールーンちゃん、足見せて。おっけおっけ。ちょいちょいっとお」
本気ですげえ。
ベルベットはこの技術? 魔法だっけ? があればどの街でも生きていけるな。
剥いだばかりの毛皮をなめして乾燥させるだけじゃなくて、一瞬で服やら靴を創り出してしまうとは。驚きだよ。
「ベルベットは魔法スキル持ちなんだよな?」
「そうよ。うふふ」
「毛皮から服を作る魔法なんてものもあるんだな」
「これは生活魔法よ。私のスキル属性じゃないわ」
「へ? そうなの。生活魔法……なら聞いたことがある。確か妹が使ってた」
「生活魔法はいろんな属性の魔法をごっちゃにしたカテゴリーなの。コップに水を入れたり、洗濯をしたり、いろいろ便利よ」
「へええ。俺にも魔力がありゃあなあ」
一人旅をするにとても便利だよな、生活魔法って。
服まで自作できるわ、火を起こすのも一瞬だし、安全な飲み水まで得ることができる。
「ハールーン捜索のために私も頑張って生活魔法をコンプしたんだから」
「荷物を節約できるし、いいことずくめだな」
「でしょでしょー」
くねくねするベルベットが少し気持ち悪かったが、大人な俺は見て見ぬふりをした。
一方でハールーンはぼろぼろのローブをはらりと脱ぎ捨て、待てえ。
こっちはこっちで見ないようにして、二人から背を向けることにする。
「ウィレム。突然背を向けたり、君は稀に不可解な行動を取るね」
「……俺の常識とハールーンの間に溝があることが分かったよ」
いや、ハールーンよ。俺にとっては君の行動の方が不可解だよ。
何て言っても彼女は理解しないんだろうけど、ね。
生きてきた時間と時代が違い過ぎる。彼女は森の奥深くで世を捨て生活してきたというし。
俺は街中で多くの人が生活する中で暮らしていた。
「ようやく僕も理解したよ。こんな子供の裸を見て嬉しいものなのかい?」
「そう言う問題じゃないんだが……」
これはこういうものだと割り切ることにしよう。
生活習慣の違いなど、さしたる問題じゃあない。俺たちはコズミックフォージを突破する。
目的が一致していて、同じ方向を向いていれば大丈夫だろ。
たまに飛び跳ね、ぷるぷるしているスライムに向け頷き、首を回す。
ぼきぼきと音がしたけど、特に違和感はなかった。多少、疲れがあるのかもしれないけど、気になるほどじゃあない。
「それじゃあ、準備も整ったことだし。進もうか」
「どっちへ向かうんだい?」
「それなあ。あの広い道はどっちだろ」
「随分と離れているね。ベルベットと走ったからね」
「死者の大聖堂は東へ進むという道しるべがあったんだけど、魔獣の森は指針となるものがないんだよな」
エリアの端から端まではどれくらいの広さがあるんだろうか。
当てずっぽうであちこち探し回るより、端から順に踏破する方が却って早い。
問題は、どれくらいの広さがあるのか不明ってことだけど。
「最終的に全エリアをくまなく探すことになるかもしれない。なら、魔獣の森を隅から隅まで探索するつもりで行こうか」
「方角はどうする?」
「ええっとねえ。私、左利きだから右から行かない?」
ベルベットの意味の分からん主張に苦笑するも、特に行き先がない俺たちだったから右にずっと進んでみることにしたのだった。
「分かった」
え?
ハールーンが俺の両肩に手を置き、膝を曲げる。
どうしたと思う間もなく、彼女の顔がどんどん迫ってきて――。
「ハールーン、ちょ」
「ん……んん」
口の中にぬるりと柔らかい、いや、暖かいというより熱い。
熱が彼女の舌から伝わり、喉を伝ったところで熱が消える。
こ、これは。疲労が薄れ、みるみるうちに頭がスッキリとしてきた。
「いつまで抱き合っているのよおお。うらやまけしからんわああ」
ベルベットの叫び声にハッとなり、ハールーンから唇を離す。
「どうだい? 魔力と戦士の使う精神力は似たようなものなんだ。幸い僕の魔力は十全だ。だが、肝心の使いどころがない」
「これは? どんな術なんだ?」
「君が感じたままだよ。トランスファーは僕の魔力を君の精神力に変え、転送する術だよ。君が技を使って疲弊した時に使う」
「ええと、トランスファー? は密着していないと使えないのかな?」
「ううん。今ので『繋いだ』。そうだね。十メートルほどなら離れていても問題ないかな。ただし、効果は薄くなる」
「となれば、さっきみたいにする方が?」
「したいのかい?」
「え、いやまあ……」
「あはははは。面白い反応をするね。手を繋げば十分さ。残念だったかい?」
「いや、使い分けできるか。手を繋ぐ、でいいなら戦闘中でも手段の一つとして考慮できる」
「そうだね。緊急ならば離れて、短時間で回復したいなら手を繋ぐ」
お、おいおい。真剣にハールーンと会話していたらベルベットが俺のポーチに手を突っ込み、ナイフを奪い取った。
敵の気配はしないが、彼女には何か「見えた」のか?
いや違った。
黒豹を解体してくれるらしい。ナイフを振り上げ、グサアアっと黒豹の胴体に突き刺している。
おいおい、その解体方法だと毛皮が無駄に傷付くぞ。
「見せつけやがってええ。このこのおお!」
「ベルベット。俺がやるよ」
「1000年もアンデッドどもと過ごして、ようやく会話できる人がいたってのに、これかよ、これなのかよおお。ちくしょおお。うらやましくなんてないんだからああ」
「ベルベット?」
「嘘だよ。うらやましいわよおお。でも、私、リッチになっちゃったから、人間と恋愛なんてできないのかな。ウィレムは見た目だけならカッコいいとは思うけど、意地悪だし、ハールーンとイチャイチャしてるし。そうよ。外に出て、私もめくるめく」
ダメだこら。完全にトリップしてらっしゃる。
これ以上傷をつけられたらたまらないので、ズルズルと黒豹を引きずった。
すると彼女は地面をグサグサやり始める。
うん、やっぱり黒豹なんて見てなかったんだね。
そのうち元に戻るだろ。それまでに解体しちゃおうか。
「いやでも待って。私、当たり前のことに気がついちゃった」
まだ言ってるし……。
「そうよ。あの子は幼女。つまり、幼女なのよ。だから、幼女なの。して、ほら、別にちゅーしても抱っこされても、幼女と大人なんだから、ほら、問題ない、なんなら私が幼女にちゅーしても問題ない」
ブツブツと何やら呟き、変な笑い声をあげるベルベットはいないものとして、一心不乱に解体を続ける俺なのであった。
◇◇◇
「ほい、これがスカートで、上はノースリーブだけど、これでいいわよね。あと、これこれ、翅刃を入れる鞘。こんなもんでいいかしら」
「おおお。すごいぞ、ベルベット。初めて君を尊敬した」
「もっと褒めていいのよ。うふふふふ」
「おー。あと靴もいってみようか」
「そう? ハールーンちゃん、足見せて。おっけおっけ。ちょいちょいっとお」
本気ですげえ。
ベルベットはこの技術? 魔法だっけ? があればどの街でも生きていけるな。
剥いだばかりの毛皮をなめして乾燥させるだけじゃなくて、一瞬で服やら靴を創り出してしまうとは。驚きだよ。
「ベルベットは魔法スキル持ちなんだよな?」
「そうよ。うふふ」
「毛皮から服を作る魔法なんてものもあるんだな」
「これは生活魔法よ。私のスキル属性じゃないわ」
「へ? そうなの。生活魔法……なら聞いたことがある。確か妹が使ってた」
「生活魔法はいろんな属性の魔法をごっちゃにしたカテゴリーなの。コップに水を入れたり、洗濯をしたり、いろいろ便利よ」
「へええ。俺にも魔力がありゃあなあ」
一人旅をするにとても便利だよな、生活魔法って。
服まで自作できるわ、火を起こすのも一瞬だし、安全な飲み水まで得ることができる。
「ハールーン捜索のために私も頑張って生活魔法をコンプしたんだから」
「荷物を節約できるし、いいことずくめだな」
「でしょでしょー」
くねくねするベルベットが少し気持ち悪かったが、大人な俺は見て見ぬふりをした。
一方でハールーンはぼろぼろのローブをはらりと脱ぎ捨て、待てえ。
こっちはこっちで見ないようにして、二人から背を向けることにする。
「ウィレム。突然背を向けたり、君は稀に不可解な行動を取るね」
「……俺の常識とハールーンの間に溝があることが分かったよ」
いや、ハールーンよ。俺にとっては君の行動の方が不可解だよ。
何て言っても彼女は理解しないんだろうけど、ね。
生きてきた時間と時代が違い過ぎる。彼女は森の奥深くで世を捨て生活してきたというし。
俺は街中で多くの人が生活する中で暮らしていた。
「ようやく僕も理解したよ。こんな子供の裸を見て嬉しいものなのかい?」
「そう言う問題じゃないんだが……」
これはこういうものだと割り切ることにしよう。
生活習慣の違いなど、さしたる問題じゃあない。俺たちはコズミックフォージを突破する。
目的が一致していて、同じ方向を向いていれば大丈夫だろ。
たまに飛び跳ね、ぷるぷるしているスライムに向け頷き、首を回す。
ぼきぼきと音がしたけど、特に違和感はなかった。多少、疲れがあるのかもしれないけど、気になるほどじゃあない。
「それじゃあ、準備も整ったことだし。進もうか」
「どっちへ向かうんだい?」
「それなあ。あの広い道はどっちだろ」
「随分と離れているね。ベルベットと走ったからね」
「死者の大聖堂は東へ進むという道しるべがあったんだけど、魔獣の森は指針となるものがないんだよな」
エリアの端から端まではどれくらいの広さがあるんだろうか。
当てずっぽうであちこち探し回るより、端から順に踏破する方が却って早い。
問題は、どれくらいの広さがあるのか不明ってことだけど。
「最終的に全エリアをくまなく探すことになるかもしれない。なら、魔獣の森を隅から隅まで探索するつもりで行こうか」
「方角はどうする?」
「ええっとねえ。私、左利きだから右から行かない?」
ベルベットの意味の分からん主張に苦笑するも、特に行き先がない俺たちだったから右にずっと進んでみることにしたのだった。
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