65 / 80
第64話:日帰り旅行で行こう(その3)
しおりを挟む
翌朝
「電車間に合ってよかったねぇ」
始発で出た二人は電車の中で朝食用のおにぎりを頬張っていた。
「ああ、そうだな」
ユキヤがそう返す。
「・・・ねぇ、なんか怒ってない?」
すみれが不安げに尋ねる。
「べつに・・・」
そう言いながら手にしたおにぎりを平らげる。
ユキヤが妙に不愛想なのは、寝不足のためだった。
(結局上手く眠れなかったし・・・)
「あれ?ひょっとしてまだ眠い?」
すみれが心配そうに尋ねる。
「いや・・・大丈夫・・・」
彼はそう答えるものの、どこか眠そうにしていた。
「暫く乗り換えないし、少し寝ててもいいよ?」
「そうさせてもらうわ・・・」
そう言い終わるとユキヤは腕を組み瞼を閉じた。
余程眠たかったのだろう、すぐに寝息が聞こえ始めた。
そんなユキヤの寝顔を見ながら
(可愛い寝顔してるな・・・)
そう思いながらすみれは彼の頭を撫でる。
その感触に反応したのか、ユキヤが小さく呻いた。
その反応すら愛おしく思えてしまう。
(ふふっ、ユキちゃんったらもう寝ちゃったんだ)
すみれはそっとスマホでその様子をカメラに収める。
(いつものエッチな顔も可愛いけど、こういうのもいいよね)
すみれはスマホをしまうと、彼の頭をそっと自分の肩に寄せた。
(・・・なんか私も眠くなってきちゃったな・・・)
そう思った時には既に遅く、すみれもまた眠りに落ちていった。
「ん・・・」
ユキヤが目を覚ますと、そこは目的の駅に着く直前であった。
「・・・あれ?おい、起きろ!!もうすぐ着くぞ!!」
彼はすみれの肩を揺すって彼女を起こす。
「・・・んーもう着くのぉ?」
「そうだよ!ほら、さっさと降りる支度しろ!」
「はーい」
寝ぼけ眼をこすりながらすみれが答える。
「ほら、目ぇ覚ませ!」
ユキヤはそんな彼女の頭をくしゃくしゃ撫で回し、
降車の準備を始めた。
駅からの直通バスで二人は海水浴場に向かう。
「ふぅ、危なかったね」
「・・・まさか二人してガッツリ落ちてるなんてな」
二人は呆れ顔でお互いを見る。
「ほんと、不覚だわ・・・」
「まぁ、良かったじゃないか、間に合って」
「そだねー」
そしてお互いに
((ホントに俺(私)がいないと駄目なんだから・・・))
と同じことを考えていた。
バスを降りると二人は予約した海の家へと向かう。
まだ午前中なせいか海辺には人は少ない。
「海の家の休憩スペースに荷物置いたら着替えてこようね」
「ああ、そうだな」
二人はそう言うと砂浜を歩く。
「・・・まだ午前中なのにあっついね」
「そうだなぁ・・・」
初夏とは言え日差しが強いため暑い。
普通に歩いているだけで額に汗がにじむ。
「あ、あのお店だよ」
すみれが指さす方向には
手描きで『海の家 銀ちゃん』と書かれた看板のある建物があった。
二人はその店に入るとカウンターへと向かった。
「いらっしゃいませー」
店員の女性が元気よく挨拶する。
「予約していた白石です」
ユキヤがそう言うと、女性は名簿を確認した。
「はい、確認しました。ではこちらに名前を書いてください」
「はい」
二人はそれぞれ名前を書くと、料金を支払う。
そして更衣室へと向かおうとすると
「いらっしゃい!ゆっくりしていってね!!」
何とも威勢のいい声が店内に響く。
振り返るとエプロン姿の日焼けした大きな男性が立っていた。
付けているエプロンには店名が入っている。
どうやらこの店のオーナーのようだ。
「貴重品はロッカーとは別に預り所があるからそっちを利用してね」
オーナーと思しき男はにっこりと笑いそう言った。
「は、はい・・・どうも」
ユキヤが若干引き気味に礼を言った。
「君たち恋人同士かい?いいねぇ、若いってのは!」
オーナーはそう言うと豪快に笑った。
(あれ?結構お喋りな人・・・?)
「・・・こら、オーナー!お客さん困ってますよ」
2人が困惑していると先程の女性店員がたしなめる。
「はっはっは、まぁ楽しみなさい」
そう言って男は調理場に戻っていった。
「ごめんなさいねぇ、あの人見た目はあんなだけど
人当たりが良すぎるというか・・・話すのが好きなんですよ」
そう言って店員の女性は苦笑した。
「いえ、大丈夫ですよ」(この人は奥さんなのかな?)
ユキヤはそんなことを考えていた。
「・・・でも、いい人そうですよね?」
すみれも笑顔で返す。
「ふふ、ありがとうございます。お客様たちも
ごゆるりとおくつろぎくださいね」
そう言って女性店員も接客に戻っていった。
「なんか仲のよさそうな人たちだな」
「・・・夫婦ってああいうもんなのかもね」
そんなことを言いながらユキヤとすみれは更衣室へと向かう。
***
水着に着替え終わったユキヤは休憩スペースに戻っていたが、
すみれの方がいつまでたっても現れなかった。
(何やってるんだ・・・あいつは?まさか道に迷ったとか?)
しかし休憩スペースから更衣室までは5メートル程しかない。
(いやいや、いくらあいつでもそれは無いよな・・・)
そう思い直し、休憩スペースから何気なく外を見ると、
「?!」
更衣室の付近ですみれが複数の男性に絡まれてた。
「お、いいじゃん!ねえ、俺らと遊ぼうぜ!」
「だから、急いでるんですって!」
「そんなのほっといて俺らと楽しもうって!」
「もう!離してくださいよ!」
しつこく絡んでくる男たちに、すみれは必死に抵抗していた。
(あのバカ・・・何やって・・・!)
ユキヤは慌てて外へ向かう。
「あの、俺の連れに何か用ですか?」
ユキヤは素早くすみれと男たちの間に入る。
「ん?なんだよ兄ちゃんこの子の彼氏?」
・・・見るからにガラの悪い男がユキヤを一瞥した。
「はぁ・・・」
ユキヤはため息を吐く。
(まだこんないかにもな田舎のヤンキーが残ってたんだなぁ・・・)
あまりの懐かしさにユキヤは一周回って感心してしまう。
「そうだよ?だからナンパなら他を当たれってくれ」
気を取り直してユキヤはそう言い、男たちを睨み付けた。
「ひゅー、男前だねー兄ちゃん」
リーダー格の男が茶化すように笑い飛ばす。
(うわ、またベタな反応を・・・)
あまりのベタベタさに、
ユキヤがリアクションに困っていると・・・
「こら!!おまえら!何やってるんだ」
背後から突如ドスの利いた声が響き渡った。
2人が振り返るとそこには水着の上にパーカーを着て麦わら帽子に
首から双眼鏡に、手にはメガホンを持った女性が立っていた。
金髪のロングヘアと日に焼けた肌が特徴的だ。
(お、女の人だったのか・・・?!)
その迫力あるドスの利いた声の主を見て
ユキヤ達は意外そうな顔をした。
「あ・・・姐さん」
「お客さんに迷惑かけるなっていつも言ってんだろ!」
「す、すんません!!」
そう言うと男たちはそそくさと去っていった。
「どうも地元のバカどもが悪かったね!」
女性は帽子を脱ぐと頭を下げた。
(丁寧なんだか乱暴なんだか・・・)
乱暴な言葉使いとは裏腹にこちらには礼儀正しい
その女性の態度に2人は呆気にとられていた。
「ああいうのが出ないようにあたしらも見回ってるんだけど、
いかんせん数が多くてね。」
女性は困ったように言った。
「あ、ありがとうございます!監視員さんですか?」
すみれが気を取り直してお礼を言う。
「まぁね。でもこっちは仲間たちと
休みの時に自主的に回ってるんだけどね。」
女性は少し自嘲気味にそう言った。
「あの、あなたは?」
「ああ、そういえば自己紹介してなかったね。
あたしは緋名子。地元を愛してるいちボランティアだよ」
女性は緋名子と名乗った。
「緋名子さん、本当にありがとうございました」
すみれが改めて深々と頭を下げる。
「あたしの他にも何人か仲間が見回ってるから、
何かあったら気軽に声をかけてくれよな」
緋名子はそういうと、見回りに戻っていった。
「地元青年団みたいな人かな?」
すみれが緋名子を見送りながら言った。
「いや・・・あれはどっちかというと」
「何?」
「あれは・・・いやなんでもない」
ユキヤは喉まで出かかった言葉を飲み込む。
(あれは・・・地元の元ヤンなのでは?)
昔やんちゃしてたヤンキーが卒業してから急に地元愛に目覚めて
地域活動に精を出す・・・これもまた田舎あるあるな流れだ。
「何よ、気になるじゃない」
すみれがユキヤを問い詰める。
「・・・多分、地元愛に溢れた人だよ」
説明が面倒くさいのでそう言って誤魔化した。
「・・・ふーん?」
すみれは納得していない様子だったが
それ以上追及はしなかった。
「それにしても・・・」
騒ぎが収まったのでユキヤは改めてすみれの水着姿を見る。
チェック柄のセパレーツ水着がよく似合っていた。
昨日も見ているのだが太陽の下で見るとまた違う感じがする。
「その・・・水着似合ってるな」
ユキヤは照れ臭そうにつぶやく。
「本当?ありがとう」
すみれが嬉しそうに微笑む。
(しかし、胸デカいよなこいつ)
ユキヤはそんな事を考えながらすみれの胸に視線を注ぐ。
その視線に気づいたのかすみれが胸元を両腕で隠す。
「こら、どこ見てるの?」
「・・・別にいいだろ」
そう言いながらもユキヤの目は彼女の胸から離れなかった。
「もう、スケベ!」
すみれはユキヤの視線を見て困ったように笑う。
「悪かったな」
ユキヤは仏頂面で呟いた。
「・・・まぁいいや、それより泳ぎに行こうよ」
「そうすっか」
初っ端から色々とあり過ぎて少し毒気を抜かれ気味ではあったが
お互いにそう言うと二人は砂浜へと向かった。
つづく
「電車間に合ってよかったねぇ」
始発で出た二人は電車の中で朝食用のおにぎりを頬張っていた。
「ああ、そうだな」
ユキヤがそう返す。
「・・・ねぇ、なんか怒ってない?」
すみれが不安げに尋ねる。
「べつに・・・」
そう言いながら手にしたおにぎりを平らげる。
ユキヤが妙に不愛想なのは、寝不足のためだった。
(結局上手く眠れなかったし・・・)
「あれ?ひょっとしてまだ眠い?」
すみれが心配そうに尋ねる。
「いや・・・大丈夫・・・」
彼はそう答えるものの、どこか眠そうにしていた。
「暫く乗り換えないし、少し寝ててもいいよ?」
「そうさせてもらうわ・・・」
そう言い終わるとユキヤは腕を組み瞼を閉じた。
余程眠たかったのだろう、すぐに寝息が聞こえ始めた。
そんなユキヤの寝顔を見ながら
(可愛い寝顔してるな・・・)
そう思いながらすみれは彼の頭を撫でる。
その感触に反応したのか、ユキヤが小さく呻いた。
その反応すら愛おしく思えてしまう。
(ふふっ、ユキちゃんったらもう寝ちゃったんだ)
すみれはそっとスマホでその様子をカメラに収める。
(いつものエッチな顔も可愛いけど、こういうのもいいよね)
すみれはスマホをしまうと、彼の頭をそっと自分の肩に寄せた。
(・・・なんか私も眠くなってきちゃったな・・・)
そう思った時には既に遅く、すみれもまた眠りに落ちていった。
「ん・・・」
ユキヤが目を覚ますと、そこは目的の駅に着く直前であった。
「・・・あれ?おい、起きろ!!もうすぐ着くぞ!!」
彼はすみれの肩を揺すって彼女を起こす。
「・・・んーもう着くのぉ?」
「そうだよ!ほら、さっさと降りる支度しろ!」
「はーい」
寝ぼけ眼をこすりながらすみれが答える。
「ほら、目ぇ覚ませ!」
ユキヤはそんな彼女の頭をくしゃくしゃ撫で回し、
降車の準備を始めた。
駅からの直通バスで二人は海水浴場に向かう。
「ふぅ、危なかったね」
「・・・まさか二人してガッツリ落ちてるなんてな」
二人は呆れ顔でお互いを見る。
「ほんと、不覚だわ・・・」
「まぁ、良かったじゃないか、間に合って」
「そだねー」
そしてお互いに
((ホントに俺(私)がいないと駄目なんだから・・・))
と同じことを考えていた。
バスを降りると二人は予約した海の家へと向かう。
まだ午前中なせいか海辺には人は少ない。
「海の家の休憩スペースに荷物置いたら着替えてこようね」
「ああ、そうだな」
二人はそう言うと砂浜を歩く。
「・・・まだ午前中なのにあっついね」
「そうだなぁ・・・」
初夏とは言え日差しが強いため暑い。
普通に歩いているだけで額に汗がにじむ。
「あ、あのお店だよ」
すみれが指さす方向には
手描きで『海の家 銀ちゃん』と書かれた看板のある建物があった。
二人はその店に入るとカウンターへと向かった。
「いらっしゃいませー」
店員の女性が元気よく挨拶する。
「予約していた白石です」
ユキヤがそう言うと、女性は名簿を確認した。
「はい、確認しました。ではこちらに名前を書いてください」
「はい」
二人はそれぞれ名前を書くと、料金を支払う。
そして更衣室へと向かおうとすると
「いらっしゃい!ゆっくりしていってね!!」
何とも威勢のいい声が店内に響く。
振り返るとエプロン姿の日焼けした大きな男性が立っていた。
付けているエプロンには店名が入っている。
どうやらこの店のオーナーのようだ。
「貴重品はロッカーとは別に預り所があるからそっちを利用してね」
オーナーと思しき男はにっこりと笑いそう言った。
「は、はい・・・どうも」
ユキヤが若干引き気味に礼を言った。
「君たち恋人同士かい?いいねぇ、若いってのは!」
オーナーはそう言うと豪快に笑った。
(あれ?結構お喋りな人・・・?)
「・・・こら、オーナー!お客さん困ってますよ」
2人が困惑していると先程の女性店員がたしなめる。
「はっはっは、まぁ楽しみなさい」
そう言って男は調理場に戻っていった。
「ごめんなさいねぇ、あの人見た目はあんなだけど
人当たりが良すぎるというか・・・話すのが好きなんですよ」
そう言って店員の女性は苦笑した。
「いえ、大丈夫ですよ」(この人は奥さんなのかな?)
ユキヤはそんなことを考えていた。
「・・・でも、いい人そうですよね?」
すみれも笑顔で返す。
「ふふ、ありがとうございます。お客様たちも
ごゆるりとおくつろぎくださいね」
そう言って女性店員も接客に戻っていった。
「なんか仲のよさそうな人たちだな」
「・・・夫婦ってああいうもんなのかもね」
そんなことを言いながらユキヤとすみれは更衣室へと向かう。
***
水着に着替え終わったユキヤは休憩スペースに戻っていたが、
すみれの方がいつまでたっても現れなかった。
(何やってるんだ・・・あいつは?まさか道に迷ったとか?)
しかし休憩スペースから更衣室までは5メートル程しかない。
(いやいや、いくらあいつでもそれは無いよな・・・)
そう思い直し、休憩スペースから何気なく外を見ると、
「?!」
更衣室の付近ですみれが複数の男性に絡まれてた。
「お、いいじゃん!ねえ、俺らと遊ぼうぜ!」
「だから、急いでるんですって!」
「そんなのほっといて俺らと楽しもうって!」
「もう!離してくださいよ!」
しつこく絡んでくる男たちに、すみれは必死に抵抗していた。
(あのバカ・・・何やって・・・!)
ユキヤは慌てて外へ向かう。
「あの、俺の連れに何か用ですか?」
ユキヤは素早くすみれと男たちの間に入る。
「ん?なんだよ兄ちゃんこの子の彼氏?」
・・・見るからにガラの悪い男がユキヤを一瞥した。
「はぁ・・・」
ユキヤはため息を吐く。
(まだこんないかにもな田舎のヤンキーが残ってたんだなぁ・・・)
あまりの懐かしさにユキヤは一周回って感心してしまう。
「そうだよ?だからナンパなら他を当たれってくれ」
気を取り直してユキヤはそう言い、男たちを睨み付けた。
「ひゅー、男前だねー兄ちゃん」
リーダー格の男が茶化すように笑い飛ばす。
(うわ、またベタな反応を・・・)
あまりのベタベタさに、
ユキヤがリアクションに困っていると・・・
「こら!!おまえら!何やってるんだ」
背後から突如ドスの利いた声が響き渡った。
2人が振り返るとそこには水着の上にパーカーを着て麦わら帽子に
首から双眼鏡に、手にはメガホンを持った女性が立っていた。
金髪のロングヘアと日に焼けた肌が特徴的だ。
(お、女の人だったのか・・・?!)
その迫力あるドスの利いた声の主を見て
ユキヤ達は意外そうな顔をした。
「あ・・・姐さん」
「お客さんに迷惑かけるなっていつも言ってんだろ!」
「す、すんません!!」
そう言うと男たちはそそくさと去っていった。
「どうも地元のバカどもが悪かったね!」
女性は帽子を脱ぐと頭を下げた。
(丁寧なんだか乱暴なんだか・・・)
乱暴な言葉使いとは裏腹にこちらには礼儀正しい
その女性の態度に2人は呆気にとられていた。
「ああいうのが出ないようにあたしらも見回ってるんだけど、
いかんせん数が多くてね。」
女性は困ったように言った。
「あ、ありがとうございます!監視員さんですか?」
すみれが気を取り直してお礼を言う。
「まぁね。でもこっちは仲間たちと
休みの時に自主的に回ってるんだけどね。」
女性は少し自嘲気味にそう言った。
「あの、あなたは?」
「ああ、そういえば自己紹介してなかったね。
あたしは緋名子。地元を愛してるいちボランティアだよ」
女性は緋名子と名乗った。
「緋名子さん、本当にありがとうございました」
すみれが改めて深々と頭を下げる。
「あたしの他にも何人か仲間が見回ってるから、
何かあったら気軽に声をかけてくれよな」
緋名子はそういうと、見回りに戻っていった。
「地元青年団みたいな人かな?」
すみれが緋名子を見送りながら言った。
「いや・・・あれはどっちかというと」
「何?」
「あれは・・・いやなんでもない」
ユキヤは喉まで出かかった言葉を飲み込む。
(あれは・・・地元の元ヤンなのでは?)
昔やんちゃしてたヤンキーが卒業してから急に地元愛に目覚めて
地域活動に精を出す・・・これもまた田舎あるあるな流れだ。
「何よ、気になるじゃない」
すみれがユキヤを問い詰める。
「・・・多分、地元愛に溢れた人だよ」
説明が面倒くさいのでそう言って誤魔化した。
「・・・ふーん?」
すみれは納得していない様子だったが
それ以上追及はしなかった。
「それにしても・・・」
騒ぎが収まったのでユキヤは改めてすみれの水着姿を見る。
チェック柄のセパレーツ水着がよく似合っていた。
昨日も見ているのだが太陽の下で見るとまた違う感じがする。
「その・・・水着似合ってるな」
ユキヤは照れ臭そうにつぶやく。
「本当?ありがとう」
すみれが嬉しそうに微笑む。
(しかし、胸デカいよなこいつ)
ユキヤはそんな事を考えながらすみれの胸に視線を注ぐ。
その視線に気づいたのかすみれが胸元を両腕で隠す。
「こら、どこ見てるの?」
「・・・別にいいだろ」
そう言いながらもユキヤの目は彼女の胸から離れなかった。
「もう、スケベ!」
すみれはユキヤの視線を見て困ったように笑う。
「悪かったな」
ユキヤは仏頂面で呟いた。
「・・・まぁいいや、それより泳ぎに行こうよ」
「そうすっか」
初っ端から色々とあり過ぎて少し毒気を抜かれ気味ではあったが
お互いにそう言うと二人は砂浜へと向かった。
つづく
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる