63 / 96
第62話:ホストクラブに行ってみましたわ(その7)(完結)
しおりを挟む
数日後の夜、姉妹と黒川は『CatStar』を訪れていた。
「ぎゃっははははは!・・・待ってください、
ひひひ、く、苦しい・・・」
そこではバーカウンターで彼女たちの接客をしながら、
『sweetmoment』での出来事を聞かされた砂原が
一人で爆笑していた。
「そこまでおかしいですか?」
カウンター席で結衣が若干引き気味になる。
「おかしいです!だって・・・ふふ、貴女方に手を出すなんて、
ぷくく・・・そのホストがあまりにアホというか・・・」
砂原はまだ苦しそうだ。
「・・・こっちは笑い事じゃありませんでしたよ」
黒川が呆れて返す。
「いやぁ、でも見たかったですよ。黒川さんの女装!」
砂原はニヤリとしつつ目を輝かせる。
「そんな目をされても・・・」
黒川は思わず渋い顔をする。
「ふふ、とっても可愛かったですのよ」
「友麻様まで・・・」
黒川は恥ずかしそうに俯く。
「で、そのアホホストはどうなったんです?」
「まぁ、あれでも店ではナンバー1らしいですから、
クビにはならないでしょうが、こってり絞られたでしょうね。」
「店長さんかなりお冠でしたので、
最悪何らかの処分が下ったかもしれませんわ」
「あーあ・・・そりゃ可哀想に」
姉妹たちの予測に砂原は同情する。
「ま、仕方ありませんわね。
理由はどうあれ、客に手を上げようとしたのは
接客する者として最悪の行為ですから」
結衣はぴしゃりと言い放つ。
(でも結衣様たちが挑発しなければ・・・)
という言葉が黒川は喉まで出かかったが、口にはしなかった。
「でも処分ってどんなのでしょうかね?」
黒川は代わりにこの疑問を口にした。
「・・・まぁ良くて減給か謹慎、最悪別の店に強制出向か・・・」
砂原が記憶をたどるように言う。
「あら、砂原さんは詳しいのですね」
結衣が意外そうに言う。
「ええ、まぁ・・・これでも元ホストですから」
砂原は苦笑いする。
そんな時、店を訪れた人物がいた。
「いらっしゃいませ。でもうち会員制なのですが・・・」
受付スタッフがその人物に尋ねる。
「ここのオーナーに名刺を貰ってるけど?」
その人物は名刺を受付に見せる。
「え・・・?」
受付スタッフが困惑していると、結衣が店の中から声をかける。
「構いませんわ、お通しなさい」
「あ、はいオーナー!」
受付スタッフは慌てて名刺を持って店の中へと案内する。
その人物の正体は御園紫苑であった。
(どういう店なんだよ?ここ・・・)
案内されながら紫苑はスタッフの格好や
店内に飾られている手錠や鞭を見ながら
訝しげな顔をする。
「ようこそ!『CatStar』へ!」
砂原が始業スマイルで挨拶する。
(なんでこの店員、上半身裸なんだよ・・・?)
ますます困惑する紫苑に結衣が挨拶する。
「良くいらっしゃいましたわね。」
「本当にオーナーだったんだな・・・」
「あら、人気ホスト様がこんなところで
油を売ってよろしいのですか?」
結衣が妖艶な笑みを浮かべながら、紫苑に話しかける。
「・・・あんたらのせいでしばらく謹慎だよ」
紫苑はぶっきらぼうに答える。
「ふふ、それは大変ですこと」
結衣は妖しく微笑む。
「店長に『今日なら店にいるから謝ってこい』って言われてさ。」
紫苑は水割りを口にしながら、さも面白く無さげに言い放った。
「ふふ、あちらの店長さんにわざわざ営業用の名刺を
お渡しして私たちの居る日を教えた甲斐がありましたわ。」
そう言って結衣はまた笑顔を見せた。
「ちっ、君たちは本当に性格悪いな」
紫苑は舌打ちをする。
「あら、お褒めに預かり光栄ですわ」
結衣は余裕の表情で微笑む。
「ああ、あなたが例の無謀にもこのお二人に取り入ろうとして
その結果散々おちょくられて処分喰らったアホなホスト・・・」
「砂原さん!ハッキリ言わない!!」
砂原の歯に衣着せぬ物言いに黒川が思わず叫ぶ。
「まったく・・・揃いも揃ってコケにしやがって!
・・・まぁ、そういう事だ」
紫苑は不機嫌そうに答える。
「ふふ、お気の毒ですこと」
そう言って結衣が楽しそうに微笑んだ。
「でもここに単身で乗り込んでくるなんて、
貴方もなかなかにいい度胸してますのよ」
友麻もあとに続く。
「・・・タフじゃないとやってられない業界でね。」
「ふふ、伊達にナンバー1になってはいないという事ですわね」
「あんたらだってそうだろ?」
2人の言葉に紫苑も負けていない。
彼らのやり取りを見て黒川は内心ハラハラしていた。
(あぁ・・・3人とも怖いなぁ・・・)
やはり彼一人がこの殺伐とした空気をピリピリと感じてしまう。
しかしそんな様子にも構わず紫苑は続ける。
「まぁ、まず手を上げようとしたのは・・・悪かった」
紫苑は姉妹に向かって頭を下げた。
「その様子だとあの後店長から
相当こっぴどく怒られましたのね」
そんな紫苑を見て友麻が意地の悪い笑みを浮かべる。
「ああ、『あのお二人を敵に回すと大変なことになる』
とか散々怒鳴られたよ。あんなに怒った店長初めて見たかも」
紫苑は苦笑いする。
「ふふ、それは大変でしたのね」
結衣はこれまた怪しげな笑みで答える。
「・・・でもまぁ、あんたらのお陰で俺も色々勉強になったよ。
だからその礼も兼ねて来たってわけだ」
「ふふ、今度からカモにする客は選んだ方がいいですわね」
結衣はそう言って微笑む。
「ま、このお二人は特別だからね。
見た目はこんなに可愛らしいけど
本当はとてもおっかないから」
砂原がニヤニヤしながら言った。
「・・・余計な事言わないでいいですから」
黒川がジト目で砂原を注意する。
「貴方のそのすぐに軽口を叩く癖は
いずれなんとかしないといけませんわね」
結衣も呆れたように砂原を見る。
「へへ、気を付けます」
砂原はバツが悪そうに笑い返した。
「そう言えば今日はあの子は一緒じゃないのか?」
「あの子・・・?」
紫苑の言葉に結衣たちが不思議そうな顔をする。
「ほら、この前一緒に来てた背の高い子だよ」
(!?)
紫苑の言葉に黒川が思わず顔を上げる。
「あぁ・・・『彼女』なら今ここにはいませんわ」
「そうか」
紫苑は少し残念そうな表情になる。
「ふふ、ひょっとして気になるんですか?」
結衣は意地悪そうに微笑む。
「いや、別にそういうわけじゃないが・・・」
紫苑は少し照れた様子で答える。
「あら?ではなぜ彼女の事を気になさるの?」
「それは・・・その・・・なんだ、
あの子が止めなかったら、僕はそのまま君たちに手を上げて
確実にクビになっていただろうからね・・・」
そう言う紫苑は少し顔を赤らめている。
「あらあら、そういう事ですの」
友麻が笑うのを堪えながら言った。
(ええと待って?それってどういう・・・?!)
黒川は嫌な予感に顔から血の気が引き、額に冷や汗を流す。
「だからあの子にもお礼がしたくてさ・・・。」
「そういう事でしたか、良いですわ、伝えておきますわね。」
結衣が微笑みながら頷く。
「ああ、頼むよ」
紫苑は照れ臭さそうな表情を浮かべる。
(勘弁してくれ・・・!)
黒川は真っ青になり、目を逸らす。
紫苑の言う『あの子』が女装した自分であることには
気付かれていないようだが、全身に悪寒が走る。
「怖かったはずなのに、君らのために必死に僕を止めて」
(・・・そうだっけ?)
そんな黒川の気持ちを露知らず、結衣たちは談笑を続ける。
「とにかくあの子に会ったら、
また店に来るように言っておいてよ。
お礼を込めてサービスするからって」
(誰が行くか!!)
黒川は心の中で叫んだ。
「ふふ、分かりましたわ」
結衣が妖艶に微笑む。
友麻の方は口を押えて笑い出すのを必死にこらえているようだ。
「ふ、それじゃ俺は帰るから」
紫苑はそう言うと『CatStar』を後にした。
「ぷっ・・・・あはははは!」
紫苑が去ったのを見計らって、友麻が笑いだす。
「友麻、人前でそんな笑い方をしたらはしたないですわよ」
結衣はそう言いながらも口元が緩んでいる。
「ふふ、だって・・・ぷぷっ!」
友麻はまだ笑い続けている。
「まったく・・・」
黒川はそんな2人を見ながらため息を吐く。
「ふふふ、あれは『文月ちゃん』に
すっかり惚れてしまってる目でしたのよ」
「はぁっ?!」
黒川は素っ頓狂な声を上げる。
「ふふ、砂原さんも気付いてましたわよね?」
「ええ、まぁ・・・ホストにあるまじき事態ですが」
砂原が苦笑いしながら答える。
「・・・え?・・・えぇ?!?!」
黒川はさらに驚きの声を上げた。
「じょ、冗談じゃありませんよ!!」
黒川は慌てて抗議する。
「あーあ、黒川くんも災難だね」
砂原が更にニヤニヤしながら言う。
「うるさいですよ!」
黒川は赤面しながら怒鳴る。
「ふふ、大丈夫ですわ、
私たちもあの店にもあの人にも興味はありませんもの」
「全くですわね」
結衣と友麻が黒川をなだめるように言う。
「本当に勘弁して下さいよ・・・」
黒川は悲しげなため息を漏らした。
「でもあのホストに真相をバラして
更なる絶望の淵に叩き込むのもまた一興かもしれませんね」
友麻がまた危険なことを言いだす。
「あらあら、そんな事をしたら今度はこの子が殺されますわよ」
結衣がそういって黒川を見ながら意地悪な笑みを浮かべる。
「・・・・」
黒川が世にも恨めし気な顔で姉妹を見つめる。
「もう、冗談ですってば」友麻も邪気に笑う。
(でもいつか本当にそんな命令されたらどうしよう・・・)
そんな二人の様子に黒川は一人背筋を寒くさせた。
おわり
「ぎゃっははははは!・・・待ってください、
ひひひ、く、苦しい・・・」
そこではバーカウンターで彼女たちの接客をしながら、
『sweetmoment』での出来事を聞かされた砂原が
一人で爆笑していた。
「そこまでおかしいですか?」
カウンター席で結衣が若干引き気味になる。
「おかしいです!だって・・・ふふ、貴女方に手を出すなんて、
ぷくく・・・そのホストがあまりにアホというか・・・」
砂原はまだ苦しそうだ。
「・・・こっちは笑い事じゃありませんでしたよ」
黒川が呆れて返す。
「いやぁ、でも見たかったですよ。黒川さんの女装!」
砂原はニヤリとしつつ目を輝かせる。
「そんな目をされても・・・」
黒川は思わず渋い顔をする。
「ふふ、とっても可愛かったですのよ」
「友麻様まで・・・」
黒川は恥ずかしそうに俯く。
「で、そのアホホストはどうなったんです?」
「まぁ、あれでも店ではナンバー1らしいですから、
クビにはならないでしょうが、こってり絞られたでしょうね。」
「店長さんかなりお冠でしたので、
最悪何らかの処分が下ったかもしれませんわ」
「あーあ・・・そりゃ可哀想に」
姉妹たちの予測に砂原は同情する。
「ま、仕方ありませんわね。
理由はどうあれ、客に手を上げようとしたのは
接客する者として最悪の行為ですから」
結衣はぴしゃりと言い放つ。
(でも結衣様たちが挑発しなければ・・・)
という言葉が黒川は喉まで出かかったが、口にはしなかった。
「でも処分ってどんなのでしょうかね?」
黒川は代わりにこの疑問を口にした。
「・・・まぁ良くて減給か謹慎、最悪別の店に強制出向か・・・」
砂原が記憶をたどるように言う。
「あら、砂原さんは詳しいのですね」
結衣が意外そうに言う。
「ええ、まぁ・・・これでも元ホストですから」
砂原は苦笑いする。
そんな時、店を訪れた人物がいた。
「いらっしゃいませ。でもうち会員制なのですが・・・」
受付スタッフがその人物に尋ねる。
「ここのオーナーに名刺を貰ってるけど?」
その人物は名刺を受付に見せる。
「え・・・?」
受付スタッフが困惑していると、結衣が店の中から声をかける。
「構いませんわ、お通しなさい」
「あ、はいオーナー!」
受付スタッフは慌てて名刺を持って店の中へと案内する。
その人物の正体は御園紫苑であった。
(どういう店なんだよ?ここ・・・)
案内されながら紫苑はスタッフの格好や
店内に飾られている手錠や鞭を見ながら
訝しげな顔をする。
「ようこそ!『CatStar』へ!」
砂原が始業スマイルで挨拶する。
(なんでこの店員、上半身裸なんだよ・・・?)
ますます困惑する紫苑に結衣が挨拶する。
「良くいらっしゃいましたわね。」
「本当にオーナーだったんだな・・・」
「あら、人気ホスト様がこんなところで
油を売ってよろしいのですか?」
結衣が妖艶な笑みを浮かべながら、紫苑に話しかける。
「・・・あんたらのせいでしばらく謹慎だよ」
紫苑はぶっきらぼうに答える。
「ふふ、それは大変ですこと」
結衣は妖しく微笑む。
「店長に『今日なら店にいるから謝ってこい』って言われてさ。」
紫苑は水割りを口にしながら、さも面白く無さげに言い放った。
「ふふ、あちらの店長さんにわざわざ営業用の名刺を
お渡しして私たちの居る日を教えた甲斐がありましたわ。」
そう言って結衣はまた笑顔を見せた。
「ちっ、君たちは本当に性格悪いな」
紫苑は舌打ちをする。
「あら、お褒めに預かり光栄ですわ」
結衣は余裕の表情で微笑む。
「ああ、あなたが例の無謀にもこのお二人に取り入ろうとして
その結果散々おちょくられて処分喰らったアホなホスト・・・」
「砂原さん!ハッキリ言わない!!」
砂原の歯に衣着せぬ物言いに黒川が思わず叫ぶ。
「まったく・・・揃いも揃ってコケにしやがって!
・・・まぁ、そういう事だ」
紫苑は不機嫌そうに答える。
「ふふ、お気の毒ですこと」
そう言って結衣が楽しそうに微笑んだ。
「でもここに単身で乗り込んでくるなんて、
貴方もなかなかにいい度胸してますのよ」
友麻もあとに続く。
「・・・タフじゃないとやってられない業界でね。」
「ふふ、伊達にナンバー1になってはいないという事ですわね」
「あんたらだってそうだろ?」
2人の言葉に紫苑も負けていない。
彼らのやり取りを見て黒川は内心ハラハラしていた。
(あぁ・・・3人とも怖いなぁ・・・)
やはり彼一人がこの殺伐とした空気をピリピリと感じてしまう。
しかしそんな様子にも構わず紫苑は続ける。
「まぁ、まず手を上げようとしたのは・・・悪かった」
紫苑は姉妹に向かって頭を下げた。
「その様子だとあの後店長から
相当こっぴどく怒られましたのね」
そんな紫苑を見て友麻が意地の悪い笑みを浮かべる。
「ああ、『あのお二人を敵に回すと大変なことになる』
とか散々怒鳴られたよ。あんなに怒った店長初めて見たかも」
紫苑は苦笑いする。
「ふふ、それは大変でしたのね」
結衣はこれまた怪しげな笑みで答える。
「・・・でもまぁ、あんたらのお陰で俺も色々勉強になったよ。
だからその礼も兼ねて来たってわけだ」
「ふふ、今度からカモにする客は選んだ方がいいですわね」
結衣はそう言って微笑む。
「ま、このお二人は特別だからね。
見た目はこんなに可愛らしいけど
本当はとてもおっかないから」
砂原がニヤニヤしながら言った。
「・・・余計な事言わないでいいですから」
黒川がジト目で砂原を注意する。
「貴方のそのすぐに軽口を叩く癖は
いずれなんとかしないといけませんわね」
結衣も呆れたように砂原を見る。
「へへ、気を付けます」
砂原はバツが悪そうに笑い返した。
「そう言えば今日はあの子は一緒じゃないのか?」
「あの子・・・?」
紫苑の言葉に結衣たちが不思議そうな顔をする。
「ほら、この前一緒に来てた背の高い子だよ」
(!?)
紫苑の言葉に黒川が思わず顔を上げる。
「あぁ・・・『彼女』なら今ここにはいませんわ」
「そうか」
紫苑は少し残念そうな表情になる。
「ふふ、ひょっとして気になるんですか?」
結衣は意地悪そうに微笑む。
「いや、別にそういうわけじゃないが・・・」
紫苑は少し照れた様子で答える。
「あら?ではなぜ彼女の事を気になさるの?」
「それは・・・その・・・なんだ、
あの子が止めなかったら、僕はそのまま君たちに手を上げて
確実にクビになっていただろうからね・・・」
そう言う紫苑は少し顔を赤らめている。
「あらあら、そういう事ですの」
友麻が笑うのを堪えながら言った。
(ええと待って?それってどういう・・・?!)
黒川は嫌な予感に顔から血の気が引き、額に冷や汗を流す。
「だからあの子にもお礼がしたくてさ・・・。」
「そういう事でしたか、良いですわ、伝えておきますわね。」
結衣が微笑みながら頷く。
「ああ、頼むよ」
紫苑は照れ臭さそうな表情を浮かべる。
(勘弁してくれ・・・!)
黒川は真っ青になり、目を逸らす。
紫苑の言う『あの子』が女装した自分であることには
気付かれていないようだが、全身に悪寒が走る。
「怖かったはずなのに、君らのために必死に僕を止めて」
(・・・そうだっけ?)
そんな黒川の気持ちを露知らず、結衣たちは談笑を続ける。
「とにかくあの子に会ったら、
また店に来るように言っておいてよ。
お礼を込めてサービスするからって」
(誰が行くか!!)
黒川は心の中で叫んだ。
「ふふ、分かりましたわ」
結衣が妖艶に微笑む。
友麻の方は口を押えて笑い出すのを必死にこらえているようだ。
「ふ、それじゃ俺は帰るから」
紫苑はそう言うと『CatStar』を後にした。
「ぷっ・・・・あはははは!」
紫苑が去ったのを見計らって、友麻が笑いだす。
「友麻、人前でそんな笑い方をしたらはしたないですわよ」
結衣はそう言いながらも口元が緩んでいる。
「ふふ、だって・・・ぷぷっ!」
友麻はまだ笑い続けている。
「まったく・・・」
黒川はそんな2人を見ながらため息を吐く。
「ふふふ、あれは『文月ちゃん』に
すっかり惚れてしまってる目でしたのよ」
「はぁっ?!」
黒川は素っ頓狂な声を上げる。
「ふふ、砂原さんも気付いてましたわよね?」
「ええ、まぁ・・・ホストにあるまじき事態ですが」
砂原が苦笑いしながら答える。
「・・・え?・・・えぇ?!?!」
黒川はさらに驚きの声を上げた。
「じょ、冗談じゃありませんよ!!」
黒川は慌てて抗議する。
「あーあ、黒川くんも災難だね」
砂原が更にニヤニヤしながら言う。
「うるさいですよ!」
黒川は赤面しながら怒鳴る。
「ふふ、大丈夫ですわ、
私たちもあの店にもあの人にも興味はありませんもの」
「全くですわね」
結衣と友麻が黒川をなだめるように言う。
「本当に勘弁して下さいよ・・・」
黒川は悲しげなため息を漏らした。
「でもあのホストに真相をバラして
更なる絶望の淵に叩き込むのもまた一興かもしれませんね」
友麻がまた危険なことを言いだす。
「あらあら、そんな事をしたら今度はこの子が殺されますわよ」
結衣がそういって黒川を見ながら意地悪な笑みを浮かべる。
「・・・・」
黒川が世にも恨めし気な顔で姉妹を見つめる。
「もう、冗談ですってば」友麻も邪気に笑う。
(でもいつか本当にそんな命令されたらどうしよう・・・)
そんな二人の様子に黒川は一人背筋を寒くさせた。
おわり
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる