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第23話:友麻様はみんなのために頑張りたい!(その1)
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ある日の大学の昼下がり。
友麻は珍しく一人で構内を歩いていた。
いつもなら姉である結衣と一緒にいることの多い彼女だが、
今日は結衣が風邪で休んでいるため、珍しく一人であった。
(私も休みたかったのですが、お姉さまったら
『あなたはちゃんと講義受けなさい』なんて・・・)
どうやら結衣がさぼることを許してくれなかったようだ。
(でもその割にはちゃっかりと文月は付き添わせてるのですから、
お姉さまもなかなかですのよね・・・)と調教中でもないのに
黒川を従属名の『文月』で呼んでしまう。
・・・しかし友麻はこういっているが、
黒川が病床の結衣に付き添っているのは、
単に今日彼には講義がなかっただけであった。
友麻は結衣を甲斐甲斐しく看病する黒川の様子を想像して、
思わずふふふと笑ってしまう。
(きっと可愛くてほほえましい光景でしょうね・・・)
以前から友麻は恋愛に関しては、
かなりロマンチストなところがあった。
自分の周りにそういった事があると、ついつい観察してしまう。
特に一番身近な存在である姉の事となれば尚更だった。
(もっとも、お姉様にも文月にも、ちっとも自覚がないのですが・・・)
そんなわけで、友麻は一人の時間を満喫していたが、
話し相手がいないので、だんだん退屈になってくる。
(こんな日に限って、すみれちゃんたちもいないなんて・・・)
彼らは学年が違うので、大学に来るタイミングが違う事がよくあった。
つまり今回は友麻だけ大学に来ているという状況だ。
「はぁ・・・」
思わずため息が出てしまう。
友麻は一人だとどうも調子が出ないのだ。
(なんか、今日は一人でいるのも退屈ですわね・・・)
そんな事を思いながら構内を歩いていると、
前方に見知った顔があった。
(あれは・・・東雲さん?)
その人物は、友麻たちと同じ1年の東雲香であった。
ゼミで何度か顔を合わせていたので、友麻も名前は知っていた。
彼女は、一人ぽつんとベンチに座って本を読んでいた。
(東雲さん、誰かと待ち合わせなのでしょうか?)
そう思って友麻は香に声をかけようとするが・・・
「ごきげんよう、東雲さん」
「ひゃう!?」
いきなり背後から声をかけられて驚いたのか、
香は変な声を上げてしまう。
その声で友麻もびっくりして、少し後ずさる。
そんな友麻に気づいた香は慌てて振り返る。
「あ、あの……ごめんなさい!驚かせるつもりはなくて……」
友麻は香の慌てぶりに思わず笑ってしまい、彼女に近寄る。
(ふふっ、東雲さんって面白い人ですわね)
そして友麻は香に声をかける。
「いえ、大丈夫ですわ。こちらこそ
いきなり声をかけてしまってすみません」
すると香は少しホッとした表情になる。
そして不思議そうな顔で聞いてきた。
「貴女は・・・確か松葉・・・さんの・・・」
香が友麻の顔を見て名前を言おうとするが、困った顔になる。
どうやら結衣と友麻のどちらか分からないと言った感じだ。
「友麻ですのよ」
友麻が笑顔で助け舟を出した。
「あ、ああ、ごめんなさい。友麻さんの方だったんですね。」
「いえ、いつもの事ですので気になさらないで下さいませ」
友麻は笑顔で答える。
よほど見慣れていないと、松葉姉妹の二人を
すぐに見分けるのは難しい。
それは彼女自身もよく理解していた。
「それで東雲さんはここで何をされてるんですの?」
友麻が香に質問する。すると、香は持っていた本を見せてくる。
「私、読書が好きでよくここで本を読んでるんですよ」
そう言って彼女は少し恥ずかしそうに笑った。
「友麻さんは・・・今日はお一人なんですか?」
香は友麻に質問する。
「ええ、お姉さまがお休みなので、今日は私一人ですの」
「そうなんですか・・・」
(東雲さんは誰かを待っている雰囲気ですわね・・・)
友麻は香の様子を見てそう思った。
だが、あまり深く詮索するのはよくないと思い、
それ以上聞くことはしなかった。すると香が口を開く。
「あ、あの・・・もし良かったらなんですけど、
一緒にお昼食べませんか?」
「え?」
彼女からの意外な申し出に、友麻は少し驚いた。
(あら?これは予想外でしたわ)
まさか彼女の方から誘ってくるとは思わなかったので
「でも大丈夫ですか?
誰かをお待ちになってるみたいでしたけど?」
と聞いてみた。すると彼女は少し困った顔になる。
「いえ、大丈夫です。今日はもう来ないみたいですから」
と笑顔で答えた。
(来るかどうかも分からない人を待っていた?)
友麻は不思議に思ったが、特に深く追求はしなかった。
(まあ、東雲さんも色々あるのでしょう)
「ではお言葉に甘えてご一緒させて頂きますわ」
そう言うと香は嬉しそうに笑った。
そして二人は近くのカフェテリアへと向かった。
******
「それで東雲さんはど誰を待っていましたの?」
友麻は注文した紅茶を飲みながら質問する。
「え・・・?」
「いえ、もし私も知っている方でしたら、
この後、大学でお見掛けすることがあったら、
あなたが探してるとお知らせできるかなと・・・」
先程は深入りしない方がいいと思いつつも、
香が待っているという人物がちょっと気になっていた。
(・・・これは、決して好奇心などではなく、
あくまで親切ですのよ!)
と友麻は自分で自分に言い訳していた。
そんな彼女を見て、香はクスッと笑った。
「やっぱり気になりますよね・・・」
香は少し困った表情をしている。
それを見て少し罪悪感を感じたが、
やはり好奇心の方が強かった。
だから友麻は正直に言う。
「ごめんなさい、でも気になる事は気になってしまいますのよ」
そんな友麻のすまなそうな様子に香はクスクスと笑いだした。
「そんなに謝らなくていいですよ。別に悪い事じゃないんだし」
と笑顔で言ってくれた。
「・・・なんか松葉さんたちって、私達とは住む世界が違う・・・
と思ってたんですけど、なんだか話しやすい人で、
少し安心しました。」
友麻は香の話を聞いて、少し驚く。
(私達ってそんな近寄り難い存在でしたかしら?)
「私なんかで良ければいつでもお話し相手になりますわよ」
と笑顔で返す。すると彼女も嬉しそうに笑った。
「あの、内緒ですよ・・・私があそこで待っていたのは・・・」
香は恥ずかしそうに話し始めた。
「実は、2年の黒川先輩なんです・・・」
「えぇっ?!」
友麻は驚きの声を上げた。
「そ・・・そんなに驚かなくても。」
「ご、ごめんなさい。あまりに意外だったもので」
(まさか・・・待っていたのがあの子だなんて)
友麻は、香が待っていた人物が黒川だと知って驚いていた。
「東雲さんは黒川先輩とお知り合いなんですの?」
と聞いてみる。すると彼女は少し恥ずかしそうに答える。
「あ・・・いえ、あちらは私の事なんて知らないと思います」
「では、どうして黒川先輩を?」
すると香は顔を赤くしながら話し始める。
「実は・・・私、黒川先輩の事が好きで・・・」
(まあ!)
友麻は思わず声を上げそうになるがぐっと堪える。
そして続きを促すように相槌を打つ。すると彼女はさらに続ける。
「でも、私は地味だし、特に取り柄もないしで・・・。
声をかける勇気も出なくて、せめて姿だけでも見れればって」
(なるほど・・・そういう事でしたのね)
友麻は心の中で納得した。
そしてそれと同時に彼女のいじらしさに少々心打たれた。
「最初は素敵だけど、冷たくて怖そうって思ってたんですけど、
最近・・・なんか雰囲気が変わったというか・・・」
香は顔を赤らめながら話す。
「・・・・」
しかし友麻には、黒川の様子が変わった原因がよく分かっていた。
(それは私たちが、あの子を調教してしまったからですの・・・)
友麻は心の中で呟いた。
まさか香が好意を寄せている黒川を、
自分たちがペットとして散々調教した挙句、
今では、姉妹に踏みつけられるだけで泣いて喜ぶ、
どこに出しても恥ずかしい立派な変態に目覚めさせてしまった・・・。
なんてことを話すことは出来ない。
「黒川先輩って、なんだか近寄り難い雰囲気でしたけど、
最近雰囲気が柔らかくなってて。それで気になってたんです」
香は嬉しそうに話す。
(・・・これはもう完全に惚れ込んでますわね)
友麻は心の中で呟く。「そ、そうなんですのね」
普段の黒川がその整った容姿から、
後輩女子にかなりモテていることは姉妹たちも知っていた。
でもそれは単なる憧れであり、実際に恋愛をする対象ではない。
言ってみればアイドルに騒ぐようなものが殆どだった。
しかし今、こうして目の前に
本当に恋をしてしまった子が現れてしまった・・・。
(これは・・・どうするべきなのでしょうか?)
友麻は考える。香の気持ちを知りながら、
黒川に会わせてあげるべきか・・・。
それともこのまま黙っておくべきか・・・。
「あの・・・松葉さん?」
黒川の事を考えていたら、
いつの間にか考え込んでしまっていたようだ。
「あら、ごめんなさい」
友麻は慌てて取り繕う。すると香が心配そうな顔で聞いてくる。
「何か悩み事ですか?私でよければ相談に乗りますよ?」
そんな優しい香の様子を見て、友麻はますます悩む。
(でも・・・申し訳ありませんが、
その想いが通じる事はありませんのよ)
今の黒川はすっかり姉妹に心酔してしまっている。
恐らくほかの女性など眼中にないだろう。
だが、それを香に告げるのはあまりに酷だ。
告白する勇気すら出ずに、
そっと遠くから見つめるだけの淡い恋心を持つ彼女・・・
でもその恋は叶わぬもの・・・
なぜなら、彼は変態さんだから・・・。
「いえ、大丈夫ですわ。それよりも
そろそろ午後の講義が始まりますのよ」
友麻はそう言って誤魔化すことにした。
(って、おバカなポエム綴ってる場合ではありませんのよ)
心の中で呟きながら香と共に学食を後にした。
つづく
友麻は珍しく一人で構内を歩いていた。
いつもなら姉である結衣と一緒にいることの多い彼女だが、
今日は結衣が風邪で休んでいるため、珍しく一人であった。
(私も休みたかったのですが、お姉さまったら
『あなたはちゃんと講義受けなさい』なんて・・・)
どうやら結衣がさぼることを許してくれなかったようだ。
(でもその割にはちゃっかりと文月は付き添わせてるのですから、
お姉さまもなかなかですのよね・・・)と調教中でもないのに
黒川を従属名の『文月』で呼んでしまう。
・・・しかし友麻はこういっているが、
黒川が病床の結衣に付き添っているのは、
単に今日彼には講義がなかっただけであった。
友麻は結衣を甲斐甲斐しく看病する黒川の様子を想像して、
思わずふふふと笑ってしまう。
(きっと可愛くてほほえましい光景でしょうね・・・)
以前から友麻は恋愛に関しては、
かなりロマンチストなところがあった。
自分の周りにそういった事があると、ついつい観察してしまう。
特に一番身近な存在である姉の事となれば尚更だった。
(もっとも、お姉様にも文月にも、ちっとも自覚がないのですが・・・)
そんなわけで、友麻は一人の時間を満喫していたが、
話し相手がいないので、だんだん退屈になってくる。
(こんな日に限って、すみれちゃんたちもいないなんて・・・)
彼らは学年が違うので、大学に来るタイミングが違う事がよくあった。
つまり今回は友麻だけ大学に来ているという状況だ。
「はぁ・・・」
思わずため息が出てしまう。
友麻は一人だとどうも調子が出ないのだ。
(なんか、今日は一人でいるのも退屈ですわね・・・)
そんな事を思いながら構内を歩いていると、
前方に見知った顔があった。
(あれは・・・東雲さん?)
その人物は、友麻たちと同じ1年の東雲香であった。
ゼミで何度か顔を合わせていたので、友麻も名前は知っていた。
彼女は、一人ぽつんとベンチに座って本を読んでいた。
(東雲さん、誰かと待ち合わせなのでしょうか?)
そう思って友麻は香に声をかけようとするが・・・
「ごきげんよう、東雲さん」
「ひゃう!?」
いきなり背後から声をかけられて驚いたのか、
香は変な声を上げてしまう。
その声で友麻もびっくりして、少し後ずさる。
そんな友麻に気づいた香は慌てて振り返る。
「あ、あの……ごめんなさい!驚かせるつもりはなくて……」
友麻は香の慌てぶりに思わず笑ってしまい、彼女に近寄る。
(ふふっ、東雲さんって面白い人ですわね)
そして友麻は香に声をかける。
「いえ、大丈夫ですわ。こちらこそ
いきなり声をかけてしまってすみません」
すると香は少しホッとした表情になる。
そして不思議そうな顔で聞いてきた。
「貴女は・・・確か松葉・・・さんの・・・」
香が友麻の顔を見て名前を言おうとするが、困った顔になる。
どうやら結衣と友麻のどちらか分からないと言った感じだ。
「友麻ですのよ」
友麻が笑顔で助け舟を出した。
「あ、ああ、ごめんなさい。友麻さんの方だったんですね。」
「いえ、いつもの事ですので気になさらないで下さいませ」
友麻は笑顔で答える。
よほど見慣れていないと、松葉姉妹の二人を
すぐに見分けるのは難しい。
それは彼女自身もよく理解していた。
「それで東雲さんはここで何をされてるんですの?」
友麻が香に質問する。すると、香は持っていた本を見せてくる。
「私、読書が好きでよくここで本を読んでるんですよ」
そう言って彼女は少し恥ずかしそうに笑った。
「友麻さんは・・・今日はお一人なんですか?」
香は友麻に質問する。
「ええ、お姉さまがお休みなので、今日は私一人ですの」
「そうなんですか・・・」
(東雲さんは誰かを待っている雰囲気ですわね・・・)
友麻は香の様子を見てそう思った。
だが、あまり深く詮索するのはよくないと思い、
それ以上聞くことはしなかった。すると香が口を開く。
「あ、あの・・・もし良かったらなんですけど、
一緒にお昼食べませんか?」
「え?」
彼女からの意外な申し出に、友麻は少し驚いた。
(あら?これは予想外でしたわ)
まさか彼女の方から誘ってくるとは思わなかったので
「でも大丈夫ですか?
誰かをお待ちになってるみたいでしたけど?」
と聞いてみた。すると彼女は少し困った顔になる。
「いえ、大丈夫です。今日はもう来ないみたいですから」
と笑顔で答えた。
(来るかどうかも分からない人を待っていた?)
友麻は不思議に思ったが、特に深く追求はしなかった。
(まあ、東雲さんも色々あるのでしょう)
「ではお言葉に甘えてご一緒させて頂きますわ」
そう言うと香は嬉しそうに笑った。
そして二人は近くのカフェテリアへと向かった。
******
「それで東雲さんはど誰を待っていましたの?」
友麻は注文した紅茶を飲みながら質問する。
「え・・・?」
「いえ、もし私も知っている方でしたら、
この後、大学でお見掛けすることがあったら、
あなたが探してるとお知らせできるかなと・・・」
先程は深入りしない方がいいと思いつつも、
香が待っているという人物がちょっと気になっていた。
(・・・これは、決して好奇心などではなく、
あくまで親切ですのよ!)
と友麻は自分で自分に言い訳していた。
そんな彼女を見て、香はクスッと笑った。
「やっぱり気になりますよね・・・」
香は少し困った表情をしている。
それを見て少し罪悪感を感じたが、
やはり好奇心の方が強かった。
だから友麻は正直に言う。
「ごめんなさい、でも気になる事は気になってしまいますのよ」
そんな友麻のすまなそうな様子に香はクスクスと笑いだした。
「そんなに謝らなくていいですよ。別に悪い事じゃないんだし」
と笑顔で言ってくれた。
「・・・なんか松葉さんたちって、私達とは住む世界が違う・・・
と思ってたんですけど、なんだか話しやすい人で、
少し安心しました。」
友麻は香の話を聞いて、少し驚く。
(私達ってそんな近寄り難い存在でしたかしら?)
「私なんかで良ければいつでもお話し相手になりますわよ」
と笑顔で返す。すると彼女も嬉しそうに笑った。
「あの、内緒ですよ・・・私があそこで待っていたのは・・・」
香は恥ずかしそうに話し始めた。
「実は、2年の黒川先輩なんです・・・」
「えぇっ?!」
友麻は驚きの声を上げた。
「そ・・・そんなに驚かなくても。」
「ご、ごめんなさい。あまりに意外だったもので」
(まさか・・・待っていたのがあの子だなんて)
友麻は、香が待っていた人物が黒川だと知って驚いていた。
「東雲さんは黒川先輩とお知り合いなんですの?」
と聞いてみる。すると彼女は少し恥ずかしそうに答える。
「あ・・・いえ、あちらは私の事なんて知らないと思います」
「では、どうして黒川先輩を?」
すると香は顔を赤くしながら話し始める。
「実は・・・私、黒川先輩の事が好きで・・・」
(まあ!)
友麻は思わず声を上げそうになるがぐっと堪える。
そして続きを促すように相槌を打つ。すると彼女はさらに続ける。
「でも、私は地味だし、特に取り柄もないしで・・・。
声をかける勇気も出なくて、せめて姿だけでも見れればって」
(なるほど・・・そういう事でしたのね)
友麻は心の中で納得した。
そしてそれと同時に彼女のいじらしさに少々心打たれた。
「最初は素敵だけど、冷たくて怖そうって思ってたんですけど、
最近・・・なんか雰囲気が変わったというか・・・」
香は顔を赤らめながら話す。
「・・・・」
しかし友麻には、黒川の様子が変わった原因がよく分かっていた。
(それは私たちが、あの子を調教してしまったからですの・・・)
友麻は心の中で呟いた。
まさか香が好意を寄せている黒川を、
自分たちがペットとして散々調教した挙句、
今では、姉妹に踏みつけられるだけで泣いて喜ぶ、
どこに出しても恥ずかしい立派な変態に目覚めさせてしまった・・・。
なんてことを話すことは出来ない。
「黒川先輩って、なんだか近寄り難い雰囲気でしたけど、
最近雰囲気が柔らかくなってて。それで気になってたんです」
香は嬉しそうに話す。
(・・・これはもう完全に惚れ込んでますわね)
友麻は心の中で呟く。「そ、そうなんですのね」
普段の黒川がその整った容姿から、
後輩女子にかなりモテていることは姉妹たちも知っていた。
でもそれは単なる憧れであり、実際に恋愛をする対象ではない。
言ってみればアイドルに騒ぐようなものが殆どだった。
しかし今、こうして目の前に
本当に恋をしてしまった子が現れてしまった・・・。
(これは・・・どうするべきなのでしょうか?)
友麻は考える。香の気持ちを知りながら、
黒川に会わせてあげるべきか・・・。
それともこのまま黙っておくべきか・・・。
「あの・・・松葉さん?」
黒川の事を考えていたら、
いつの間にか考え込んでしまっていたようだ。
「あら、ごめんなさい」
友麻は慌てて取り繕う。すると香が心配そうな顔で聞いてくる。
「何か悩み事ですか?私でよければ相談に乗りますよ?」
そんな優しい香の様子を見て、友麻はますます悩む。
(でも・・・申し訳ありませんが、
その想いが通じる事はありませんのよ)
今の黒川はすっかり姉妹に心酔してしまっている。
恐らくほかの女性など眼中にないだろう。
だが、それを香に告げるのはあまりに酷だ。
告白する勇気すら出ずに、
そっと遠くから見つめるだけの淡い恋心を持つ彼女・・・
でもその恋は叶わぬもの・・・
なぜなら、彼は変態さんだから・・・。
「いえ、大丈夫ですわ。それよりも
そろそろ午後の講義が始まりますのよ」
友麻はそう言って誤魔化すことにした。
(って、おバカなポエム綴ってる場合ではありませんのよ)
心の中で呟きながら香と共に学食を後にした。
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