34 / 77
第30話:旅行編その1~月夜のお散歩~
しおりを挟む
旅行当日。
すみれとユキヤは駅で待ち合わせていた。今日から3泊4日の温泉旅行である。
2人は電車に乗り込むと目的の温泉地へと向かう。
その道中―――
「はい、じゃあこれ」
すみれは電車の中でユキヤの首に何かを掛ける。
それは細いレザーチョーカーだった。
シンプルなデザインで短いシルバーチェーンが付いている。「え……これは?」
「バイト代余ったからプレゼントよ。やっぱ似合うね。」そう言うと満足げに微笑んだ。
「そっか……ありがと」ユキヤも嬉しそうだ。でもちょっと照れ臭い。
「気に入ってくれてよかった。」というとすみれは弁当を買いに席を離れた。
思わぬプレゼントにちょっと機嫌が良くなるユキヤだったが、
窓ガラスに映った自分を見て、妙な疑惑が湧いてきた・・・
(これ・・・首輪に見立てられてる?)
アクセサリーとしては違和感のないデザインだが、一度そう思ってしまうと、
そうとしか見えなくなってくる。
そんなことを思いつつ弁当を買って戻ってきたすみれを見ると、
彼女はいつものように弁当を食べている。
「ええとさ、これ・・・」「何?どうしたの?」
「いや、なんでもない」
ちょっと言い辛かったのでそのまま黙って食べ始めた。
(いや、これは純粋なプレゼントなんだ!そうに違いない!)
ユキヤは必死に自分に言い聞かせるのであった。
***
電車を降りてバスに乗ること15分。2人は目的地へと到着した。
そこは山の中にある小さなホテルだ。周りには自然しかない。
2人はチェックインを済ませると部屋へと向かった。
部屋に荷物を置くと、ユキヤは入念に日焼け止めを塗り始める。
体質的に強い日差しに当たるとすぐに肌が赤く腫れてしまうため、必須の作業だった。
「毎度大変だね、君も。」
その様子を見ていたすみれが声をかける。
「うん。昔からこうだから慣れっこだよ。特に山なんか日差しが強いし・・・」
「ふーん、そうなんだ。」(なんか私よりも肌に気を使ってる・・・)
すみれは心の中でつぶやく。別に嫉妬とかそういうわけではない。
ただちょっとだけ面白くなかっただけだ。
そんなことを考えながらユキヤの方を見つめていると、彼はこちらを向いて言った。
「どうかした?」
「ううん。何でもないわ。」そう言って目をそらした。
「ねえユキヤ。せっかくだし散歩に行きましょうよ!」
すみれは強引にユキヤの手を取ると引っ張っていった。
***
ホテルの周囲には森が広がっていた。このあたりは山が多いのだ。
「すごいなぁ……。こんなに緑に囲まれたのは初めてかも……」
「ここらへんは田舎だからねぇ。」
「こういう場所も悪くないかもね。空気も澄んでるし。」
「そう?まあ都会と違って人も少ないし、ゆっくりできるよね。」
「確かにそうだね。」
ユキヤは深呼吸して新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込んだ。すると遠くから子供の笑い声が聞こえてくる。
「ほら見て!カブトムシ!!」
「すげぇ!俺捕まえるよ!」
見ると小学生くらいの男の子たちが虫取り網を持って走り回っているのが見える。
「懐かしいなぁ……僕もよくやったよ。」
ユキヤは昔を思い出して感慨深くなった。そんな中ふと振り返るとすみれの姿がない。
(あいつどこ行った?!)
「ねぇねぇ!でっかいカエルがいたよ!」
「すげぇ!姉ちゃんが捕まえたのか?!」すみれはいつの間にか少年たちに交じっていた。
すみれは子供たちに人気らしく、次々と質問を投げかけられている。
「何やってんだあいつは・・・」
ユキヤは呆れたように呟いた。
しばらくするとすみれが駆け寄ってくる。
「ごめんなさい!つい夢中になっちゃった!」彼女は申し訳なさそうに謝ってきた。
「カエルを持ってくるな!」ユキヤは思わず突っ込む。
「だって珍しいじゃない。子供の頃以来見たこと無かったし。」
「まあいいけどさ。それより早く行こうぜ。」「えっ?行くってどこに?」
「そりゃ決まってんじゃん。せっかくここまで来たんだし。」
「ああ、なるほど。」すみれは納得したようだった。
***
「あっつぅ~」
「もうすぐ着くと思うんだけど・・・」
ユキヤ達は今、目的地である渓流へと向かっているところだ。
だがその道程はかなり険しいものだった。
というのも、山道を歩いていくうちにだんだんと道幅が狭くなり、
ついには獣道のような細道になってしまったからだ。
「こんなところに本当にあるのかな……」
「どうだろうね……。でも地図だとこのあたりだと思うんだよ……」
二人は不安を感じながらも前へ進んでいく。そしてようやく開けた場所に出た。
そこには大きな滝があった。
「おおー!!すごいぞユキヤ!見ろよこの滝!写真撮ろうよ!」
すみれは興奮気味に言った。
「そうだね。せっかくだし記念撮影しよう。」
ユキヤはスマホを取り出した。
「はいチーズ」パシャリとシャッター音が響く。
「後で送っとくね。」
「ありがと!」
滝には西日が差し込み、
水面がキラキラと輝いていた。
ユキヤたちはしばらくの間、景色を楽しんだ。
「そろそろ帰らないと暗くなってきちゃうわ。」
すみれはそう言って立ち上がった。
「そうだね。今日は楽しかったよ。また来たいね。」
「うん。じゃあ行きましょう。」
二人はホテルに戻っていった。
****
夜。
ホテルの近くの雑木林を二人は浴衣姿で歩いていた。
ただその様子は異様と言っていいだろう。
ユキヤの首には首輪がされ、なおかつその鎖をすみれが握っているからだ。
「夜の散歩もいいものよね」
「・・・落ち着かないよ俺は・・・」ユキヤは決まり悪そうにモジモジしてた。
「大丈夫、虫よけスプレーちゃんとしてきたし。」
すみれは平然と言った。
「そういう問題じゃなくてさぁ……普通こういうのって男がリードするもんなんじゃないの?」
「あら?私はユキちゃんを犬扱いしているつもりはないけれど?」
「ぐぬっ……」
ユキヤは言い返せなくなってしまった。
彼が必要以上にモジモジしてるのは、下着を付けていないのもあった。
つまり彼は今浴衣と首輪しか身に着けていないという事だ。
「なんで下着まで・・・」「和服の時は下着を付けないもんでしょ?」「それはそうなんだけどさ・・・」
ユキヤは恥ずかしがっていた。
すみれも内心ドキドキしていたのだが、なんとか表に出さないようにした。
(ユキちゃん可愛い!)
すみれはそんなことを考えていた。
「ほら、早く歩く!」
すみれに引っ張られながら、ユキヤはトボトボとついていった。
しばらくすると、道が二股に分かれていた。
「どっちに行くの?」ユキヤは聞いた。
「右でしょ?地図にも書いてあったし。」
「あ、はい……」
二人は歩き出した。
(まさか四つん這いになれとは言わないよな?)
ユキヤは不安になった。
「ねえ、ユキちゃん」すみれは後ろから声をかけた。
「何?」ユキヤは恐るおそる振り向いた。
すみれはニヤッとした笑みを浮かべて言った。
「ワンって鳴いてみてくれない?私ユキちゃんのこと飼いたくなってきたかも。」
「えぇ!?」ユキヤは驚いた。
「冗談だってば。でもたまにはこうやって散歩したいの。」
「う~んまあいいけど……。」ユキヤはしぶしぶ承諾した。
「ありがとうユキちゃん!じゃあ行こっか!」
すみれは嬉しそうにスキップして進んだ。
「ちょっと!鎖引っ張るな!」
ユキヤはその横をついて行った。
すみれはニコニコしながらユキヤに話しかけた。
「ユキちゃんの好きな動物は何?猫?それとも犬かな?」
「別に何でもいいよ。飼ったことないし。」
「そうなんだ。じゃあ私がユキちゃんを飼っても問題ないわね。」
「ああもうそれでいいよ・・・」
こんな感じで他愛もない話をしながら、二人は散歩を続けた。
しばらく歩いてちょっとした広場になってる場所に出た。
ベンチが置いてあるが誰も座っていない。
二人は並んで腰かけた。
「ふぅ疲れた。結構歩いたし。」
「山だけあって坂道が多いしね」
「足痛くなってない?」
「うん、大丈夫。ユキちゃんこそ大丈夫?」
「俺も平気だよ。」
「良かった。じゃあちょっと脱いで見せて」
「え・・・」「だってどうせ浴衣しか着てないし」「いや、おかしいだろ!」
ユキヤが反論を試みるも、首輪の鎖をグッと引っ張られる。
「ぐ・・・げほっ!」息苦しさに咳き込むユキヤ。
「ほら、早く脱ぎなさい。」「はい・・・わかりました。」
渋々浴衣を脱いでいくユキヤ。
その様子をすみれはじっと見つめている。
やがてユキヤの身体は一糸纏わぬ姿となった。
「これでいい?」
ユキヤは恥ずかしさに耐えかねていた。
大きくなってるよ」
すみれはユキヤの股間を指差して言った。
「ち、違う!これは生理現象で!」
慌てて否定するユキヤだったが、すみれはクスっと笑って言った。
「下着なしで歩いてて興奮しちゃった?」
すみれはユキヤの頭を撫でると、鎖を引っ張って顔を引き寄せた。
「ねえユキちゃん。ここでちょっとだけお散歩してみる?」
「え!?・・・まさか?!」
ユキヤは青ざめた。
「そのまさかだよ。本当の犬みたいに」
すみれはニコッとして言った。
「そんなの無理に決まってるだろ!絶対嫌だから!!」
「じゃあ、近所の公園の方がいいかな~」すみれがニヤッとすると、ユキヤは観念したように言った。
「わかったから!やる!やります!」
「はいよくできました♪」すみれは満足そうに微笑むと、立ち上がって鎖を引っ張る。
ユキヤは四つん這いになった・・・。「う、ううう・・・」これ以上ない屈辱だった。
「ユキちゃんは今は犬なんだよね。ワンって言ってみて」
「わん・・・」ユキヤは悔しさを噛み締めながら言う。
「じゃあ次はご主人様のいう事聞かないとダメでしょ?『ちんちん』してみせて」
「はい・・・」ユキヤは手首を犬のように丸めて上半身をあげて見せる。
言われるままに行動するしかなかった。
「『はい』じゃなくて『わん』でしょ」
すみれは少し不機嫌になる。
「わ、わん・・・」ユキヤは泣きそうな顔で答える。
二人はゆっくりと広場を回った。すみれは鎖を持って、時々ユキヤの首輪をグイっと引っ張る。
広場はアスファルトになっており、四つん這いでも手足は痛くならない。
全裸に首輪だけで四つん這いで這い回る男とそれを鎖で引っ張る女性・・・
この異様な光景を月あかりだけが静かに照らしていた。
「よし、もういいよユキちゃん。ちゃんと出来たね」
すみれは笑顔でユキヤを褒めた。
「う、うん・・・」ユキヤは涙目で答えた。屈辱と恥ずかしさで死にそうだ。
再び広場のベンチに戻るとすみれは腰を下ろした。
そしてゆっくりと自分の浴衣の前をはだけた。
そこに下着はなかった・・・。
「ど・・・どうして」「だって、和服の時って下着を付けないものでしょう?」
すみれは妖艶な笑みを浮かべる。
「それに、こうするとユキちゃんも興奮してくれると思って・・・」
そう言いつつ、すみれは胸を寄せて谷間を作った。
「ほら、見てユキちゃん。こんなに大きいんだよ私・・・」
月光に照らされた白い肌が美しかった。
「す、すみれ・・・」
ユキヤはゴクリとのどを鳴らした。
「ねえ、触りたい?」
すみれはユキヤの手を取って自らの胸に持っていく。
「あっ・・・」ユキヤは思わず声を出した。
柔らかく温かい感触が手に伝わる。
「ふふっ、ユキちゃん可愛い」
(こうやってすみれの胸を手で触るの、どれぐらいぶりだろうか)
「どうしたの?ユキちゃん。私のおっぱい好きなの?」
すみれはいたずらっぽく笑う。
「え、まあ、好きだけど・・・」
ユキヤは少し気まずそうに目を逸らす。
「やっぱりユキちゃんはエッチだなぁ。男の人ってみんなそうなのかな?
でも、私はそんなユキちゃんが大好きだよ」
すみれはユキヤを優しく抱きしめる。
「すみれ・・・」ユキヤは顔を赤らめる。
「だから今日はいっぱい気持ちよくしてあげるね」
すみれは耳元でささやいた。
「えっ、それはどういう意味――」
ユキヤの言葉は途中で遮られた。
すみれが唇を重ねてきたのだ。舌が侵入してくる。
「んっ・・・」
すみれの唾液が流れ込んでくる。
その味はとても甘く感じた。
すみれはその状態で、今度は自分の浴衣の下の部分もはだけて見せる。
やはりそこには下着が存在せず、秘部があらわになった。そこはもう十分に潤っていた。
「ぷはっ・・・」
二人の口が離れると銀色の糸を引いた。
「ねぇ、ユキちゃん・・・お願いがあるの」
すみれは上目づかいでユキヤを見つめる。
「な、何だい?」
ユキヤはドギマギする。
「こっちも口でお願い・・・」
すみれは自分の指を舐めて濡らすと、自分の割れ目に挿入した。
「ああ・・・」
すみれが甘い吐息を漏らす。
「わ、わかったよ」
ユキヤはすみれの前にしゃがみこむ。
そしてすみれの股間に顔を埋めた。
「あふぅ・・んん」
すみれの声が漏れる。
「ちゅぱ、じゅるるるるるるるるるるる」
ユキヤは夢中ですみれの性器を吸い上げた。
べちゃべちゃと舐める音だけが静かな広場に響く。
「ああ・・・ユキちゃん、ンン、いい子・・だね」
すみれは喘ぎながらユキヤの頭を撫でる。
「はぁ、はぁ、すみれぇ」
ユキヤはすみれの顔を見る。
「ほらユキちゃん、しっかりご奉仕して」
「むぐう!」
ユキヤの口からはヨダレが垂れる。
「はぁ・・・はぁ・・・いけないワンちゃんだね君は」
すみれはユキヤの髪を掴んで引き離すと、浴衣を脱ぎ捨て
全裸になるとベンチにうつ伏せになった。
「いいよ・・・今日のキミは犬だから、犬みたいに後ろから・・・して見せて・・・」
すみれは四つん這いになってお尻を突き出す。
「はぁ、はぁ・・・」
ユキヤは荒い呼吸を繰り返す。
「さあ早く・・・」
ユキヤはすみれのお尻に顔を埋める。
そのまま舌を伸ばす。
「ひゃあんっ!!」
すみれはビクンっと体を震わせた。
「れろ、ぺろ」
ユキヤはすみれのヒップにキスをする。
「あっ、そこ、気持ち良い」
「はぁ・・・はぁ・・・」
ユキヤは興奮を抑えきれずにいた。
「もうこんなに濡れてる・・・」
「だって・・・ユキちゃんが上手なんだもん」
すみれは恥ずかしそうな顔をする。
ユキヤはすみれの割れ目に指を入れると、中をかき混ぜる。
「ああ・・・すごい・・・ユキちゃんの指が入ってくる」
すみれは切なげに声を上げる。それを見たユキヤはさらに調子に乗って強く動かす。
「ああ、あぁぁっ!」
しかしそこで首輪の鎖がグッと引っ張られる。
「げふっ!」「調子に乗らないの・・・!」「ごめんなさい」怒られた。
主導権を譲る気はないらしい。
すみれは気を取り直して「そろそろ・・・中に・・・挿れて・・・」
その言葉を聞いてユキヤがペニスをゆっくりと挿入してくる。
「んんっ」
ユキヤは腰を動かす。こんな風にすみれを抱くのは本当にいつぶりだろうか。
パンッ、パァンと肌同士がぶつかり合う音が響く。
「はぁ・・・はぁ・・・すみれ、すみれぇ」
「ユキちゃん、ユキちゃんっ」
月夜の照らす山の中で二人、お互いの声しか聞こえない。
こんなところ誰かに見られたら生きていけない。
でも、それでも今は離れたくない・・・。
二人の行為はどんどん激しくなっていく。「すみれ、俺、もぅ」
「私も、イキそう」
「一緒に、いっしょにぃ!」
「うん、イク、イッちゃう!」
「すみれ、好きだ!愛してる!」
「ユキちゃん、ユキちゃんっ、ユキちゃん好き、大好きっ」
二人はお互いの名前を呼びながら愛を確かめ合った。
そして二人は同時に果てた。
「はあ・・・はぁ・・・」すみれが振り返ると
ユキヤはまだ覆いかぶさったままだった。
「どうしたの?」
すみれの言葉を聞いたユキヤはハッとした表情を浮かべると、
慌ててすみれから離れた。
「いや、なんでもない」
そう言ってユキヤは立ち上がった。
「外の方が興奮したとか?」すみれは意地悪そうな笑みをうかべる。
「そんなんじゃねぇよ・・・」
ユキヤは少しだけ頬を赤らめると、浴衣を着直し
「ほら、帰って温泉は入りなおさないと」
と言ってふらつく足で歩き出した。
それぐらい二人の身体は汗と泥で汚れていた。
「ちょっと待ってよー」
すみれも後を追うように歩いて行った。
こうして旅行の夜は更けていった。
***
翌朝。
二人は朝食の席で、今日の観光地巡りについて話していた。
「今日はどうしようか?」
「こことか、ホテルからバス出てるみたいだね。」
すみれはスマホで検索した観光スポットの情報を見せる。
「あ、これなら歩いて行ける距離だし行ってみようよ」
「うん、こことここか、じゃあ準備して出かける用意をしよう」
そう言って、2人は部屋に戻った。
一通り支度を終えた後に、ユキヤは昨日貰ったレザーチョーカーを付ける。
「あ、それ付けてくれるんだ。」「お前がくれた奴だし」ユキヤは照れたように言う。
「似合ってるよ」
すみれはユキヤの首元を撫でる。
「うっせー」
ユキヤは照れ隠しでぶっきらぼうに答える。
貰った時は『首輪に見立てている?』という懸念があったが、
それは単なる思い過ごしだ・・・と、ユキヤは思うことにした。
(だって、昨夜本格的な首輪付けられたし・・・)
ユキヤはすみれの方を見る。彼女はニコニコしながらユキヤを見つめていた。
「ユキちゃん可愛い~」
すみれは嬉しそうにユキヤに抱きついた。
「ちょ、やめい!歩きにくいってば!」
「えへへ~♪」
***
二人が玄関ロビーまで行くと、二人の人物がチェックインするところだった。
圭太と沙由美の二人だった・・・。「姉さん?あれ?」圭太はすみれを見つける。
「あら、すみれちゃん!おはよう!あなたもここに泊まってるの?」沙由美も挨拶をする。
「またどうしてここに・・・?」
「毎年恒例の部の合宿よ。いつも使ってる宿で食中毒が起きて、ここを紹介されたの。」
沙由美はさらっと説明する。
ユキヤは圭太をひっつかまえて耳打ちした。
「てかなんでお前ら二人だけなんだよ?ほかの部員はどうした?」
「みんなそれぞれ都合がつかなくて・・・」
「・・・爛れてるなぁ」「一応部屋は別々です!」
圭太は必死になって弁明する。
「・・・そっか。まあいいけどさ。」
(いやこれ絶対何かあるやつでしょ?!)
ユキヤは頭を抱えたくなった。
「おや、君たちもここに泊まってたんですか?」
今度は男性の声が聞こえた。
振り向くとそこにはスーツ姿の男性が立っていた。
・・・こちらは蘇芳たちだった。
「うげぇ」ユキヤが露骨に嫌そうな顔をする。
「蘇芳教授じゃないですか!」
すみれは驚いた表情で蘇芳を見た。
「ご無沙汰していますね、白石くん」
「だからどうしてここに・・・?」
ユキヤが苦々しく聞いてみた。
「研究発表会の会場がこの近くになったっスよ。」
浅葱が変わって答える。「本当に奇遇ですねぇ」
(絶対に嘘だ・・・俺らを観察するために、わざとこのホテルを選んだと思う)
ユキヤは内心毒づいた。
「そういえば、あの時のお礼をまだ言ってなかったですね。
改めてありがとうございます。おかげで助かりました。」
バイトの時のお礼を改めてされる。
「あ、ああ、うん」
ユキヤは歯切れ悪く返事をした。
そして浅葱に耳打ちする。「俺らの部屋に盗聴器とか仕掛けたら承知しませんからね!」
「そんなことはしないっスよ!君らは様子見るだけで行動が把握できるっスから」
浅葱も小声で返す。
「その様子だと昨夜は随分お楽しみのようだったようっスが」と浅葱がニヤニヤしながら続けた。
「・・・・・!」ユキヤにとってはこちらも頭を抱える案件だった。
「ユキちゃん、何こそこそ話してるのかなぁ?私にも教えてくれないかな?」
「え、いや、その」
ユキヤは動揺した。
「まさかとは思うけど、変なこと考えてないよね?」
すみれはジト目でユキヤを見つめる。
「そ、それは・・・」
「ふぅん。まあいいわ。そろそろバスの時間だから、早く行こうよ」
「う、うん」
ユキヤはホッとしたような、ちょっと残念な気持ちになった。
「じゃあまたあとで!」
二人は皆に軽く挨拶をするとホテルを出た。
そしてバス停まで向かう途中、
「・・・いやな予感しかしない」と波乱を予感するユキヤであった。
すみれとユキヤは駅で待ち合わせていた。今日から3泊4日の温泉旅行である。
2人は電車に乗り込むと目的の温泉地へと向かう。
その道中―――
「はい、じゃあこれ」
すみれは電車の中でユキヤの首に何かを掛ける。
それは細いレザーチョーカーだった。
シンプルなデザインで短いシルバーチェーンが付いている。「え……これは?」
「バイト代余ったからプレゼントよ。やっぱ似合うね。」そう言うと満足げに微笑んだ。
「そっか……ありがと」ユキヤも嬉しそうだ。でもちょっと照れ臭い。
「気に入ってくれてよかった。」というとすみれは弁当を買いに席を離れた。
思わぬプレゼントにちょっと機嫌が良くなるユキヤだったが、
窓ガラスに映った自分を見て、妙な疑惑が湧いてきた・・・
(これ・・・首輪に見立てられてる?)
アクセサリーとしては違和感のないデザインだが、一度そう思ってしまうと、
そうとしか見えなくなってくる。
そんなことを思いつつ弁当を買って戻ってきたすみれを見ると、
彼女はいつものように弁当を食べている。
「ええとさ、これ・・・」「何?どうしたの?」
「いや、なんでもない」
ちょっと言い辛かったのでそのまま黙って食べ始めた。
(いや、これは純粋なプレゼントなんだ!そうに違いない!)
ユキヤは必死に自分に言い聞かせるのであった。
***
電車を降りてバスに乗ること15分。2人は目的地へと到着した。
そこは山の中にある小さなホテルだ。周りには自然しかない。
2人はチェックインを済ませると部屋へと向かった。
部屋に荷物を置くと、ユキヤは入念に日焼け止めを塗り始める。
体質的に強い日差しに当たるとすぐに肌が赤く腫れてしまうため、必須の作業だった。
「毎度大変だね、君も。」
その様子を見ていたすみれが声をかける。
「うん。昔からこうだから慣れっこだよ。特に山なんか日差しが強いし・・・」
「ふーん、そうなんだ。」(なんか私よりも肌に気を使ってる・・・)
すみれは心の中でつぶやく。別に嫉妬とかそういうわけではない。
ただちょっとだけ面白くなかっただけだ。
そんなことを考えながらユキヤの方を見つめていると、彼はこちらを向いて言った。
「どうかした?」
「ううん。何でもないわ。」そう言って目をそらした。
「ねえユキヤ。せっかくだし散歩に行きましょうよ!」
すみれは強引にユキヤの手を取ると引っ張っていった。
***
ホテルの周囲には森が広がっていた。このあたりは山が多いのだ。
「すごいなぁ……。こんなに緑に囲まれたのは初めてかも……」
「ここらへんは田舎だからねぇ。」
「こういう場所も悪くないかもね。空気も澄んでるし。」
「そう?まあ都会と違って人も少ないし、ゆっくりできるよね。」
「確かにそうだね。」
ユキヤは深呼吸して新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込んだ。すると遠くから子供の笑い声が聞こえてくる。
「ほら見て!カブトムシ!!」
「すげぇ!俺捕まえるよ!」
見ると小学生くらいの男の子たちが虫取り網を持って走り回っているのが見える。
「懐かしいなぁ……僕もよくやったよ。」
ユキヤは昔を思い出して感慨深くなった。そんな中ふと振り返るとすみれの姿がない。
(あいつどこ行った?!)
「ねぇねぇ!でっかいカエルがいたよ!」
「すげぇ!姉ちゃんが捕まえたのか?!」すみれはいつの間にか少年たちに交じっていた。
すみれは子供たちに人気らしく、次々と質問を投げかけられている。
「何やってんだあいつは・・・」
ユキヤは呆れたように呟いた。
しばらくするとすみれが駆け寄ってくる。
「ごめんなさい!つい夢中になっちゃった!」彼女は申し訳なさそうに謝ってきた。
「カエルを持ってくるな!」ユキヤは思わず突っ込む。
「だって珍しいじゃない。子供の頃以来見たこと無かったし。」
「まあいいけどさ。それより早く行こうぜ。」「えっ?行くってどこに?」
「そりゃ決まってんじゃん。せっかくここまで来たんだし。」
「ああ、なるほど。」すみれは納得したようだった。
***
「あっつぅ~」
「もうすぐ着くと思うんだけど・・・」
ユキヤ達は今、目的地である渓流へと向かっているところだ。
だがその道程はかなり険しいものだった。
というのも、山道を歩いていくうちにだんだんと道幅が狭くなり、
ついには獣道のような細道になってしまったからだ。
「こんなところに本当にあるのかな……」
「どうだろうね……。でも地図だとこのあたりだと思うんだよ……」
二人は不安を感じながらも前へ進んでいく。そしてようやく開けた場所に出た。
そこには大きな滝があった。
「おおー!!すごいぞユキヤ!見ろよこの滝!写真撮ろうよ!」
すみれは興奮気味に言った。
「そうだね。せっかくだし記念撮影しよう。」
ユキヤはスマホを取り出した。
「はいチーズ」パシャリとシャッター音が響く。
「後で送っとくね。」
「ありがと!」
滝には西日が差し込み、
水面がキラキラと輝いていた。
ユキヤたちはしばらくの間、景色を楽しんだ。
「そろそろ帰らないと暗くなってきちゃうわ。」
すみれはそう言って立ち上がった。
「そうだね。今日は楽しかったよ。また来たいね。」
「うん。じゃあ行きましょう。」
二人はホテルに戻っていった。
****
夜。
ホテルの近くの雑木林を二人は浴衣姿で歩いていた。
ただその様子は異様と言っていいだろう。
ユキヤの首には首輪がされ、なおかつその鎖をすみれが握っているからだ。
「夜の散歩もいいものよね」
「・・・落ち着かないよ俺は・・・」ユキヤは決まり悪そうにモジモジしてた。
「大丈夫、虫よけスプレーちゃんとしてきたし。」
すみれは平然と言った。
「そういう問題じゃなくてさぁ……普通こういうのって男がリードするもんなんじゃないの?」
「あら?私はユキちゃんを犬扱いしているつもりはないけれど?」
「ぐぬっ……」
ユキヤは言い返せなくなってしまった。
彼が必要以上にモジモジしてるのは、下着を付けていないのもあった。
つまり彼は今浴衣と首輪しか身に着けていないという事だ。
「なんで下着まで・・・」「和服の時は下着を付けないもんでしょ?」「それはそうなんだけどさ・・・」
ユキヤは恥ずかしがっていた。
すみれも内心ドキドキしていたのだが、なんとか表に出さないようにした。
(ユキちゃん可愛い!)
すみれはそんなことを考えていた。
「ほら、早く歩く!」
すみれに引っ張られながら、ユキヤはトボトボとついていった。
しばらくすると、道が二股に分かれていた。
「どっちに行くの?」ユキヤは聞いた。
「右でしょ?地図にも書いてあったし。」
「あ、はい……」
二人は歩き出した。
(まさか四つん這いになれとは言わないよな?)
ユキヤは不安になった。
「ねえ、ユキちゃん」すみれは後ろから声をかけた。
「何?」ユキヤは恐るおそる振り向いた。
すみれはニヤッとした笑みを浮かべて言った。
「ワンって鳴いてみてくれない?私ユキちゃんのこと飼いたくなってきたかも。」
「えぇ!?」ユキヤは驚いた。
「冗談だってば。でもたまにはこうやって散歩したいの。」
「う~んまあいいけど……。」ユキヤはしぶしぶ承諾した。
「ありがとうユキちゃん!じゃあ行こっか!」
すみれは嬉しそうにスキップして進んだ。
「ちょっと!鎖引っ張るな!」
ユキヤはその横をついて行った。
すみれはニコニコしながらユキヤに話しかけた。
「ユキちゃんの好きな動物は何?猫?それとも犬かな?」
「別に何でもいいよ。飼ったことないし。」
「そうなんだ。じゃあ私がユキちゃんを飼っても問題ないわね。」
「ああもうそれでいいよ・・・」
こんな感じで他愛もない話をしながら、二人は散歩を続けた。
しばらく歩いてちょっとした広場になってる場所に出た。
ベンチが置いてあるが誰も座っていない。
二人は並んで腰かけた。
「ふぅ疲れた。結構歩いたし。」
「山だけあって坂道が多いしね」
「足痛くなってない?」
「うん、大丈夫。ユキちゃんこそ大丈夫?」
「俺も平気だよ。」
「良かった。じゃあちょっと脱いで見せて」
「え・・・」「だってどうせ浴衣しか着てないし」「いや、おかしいだろ!」
ユキヤが反論を試みるも、首輪の鎖をグッと引っ張られる。
「ぐ・・・げほっ!」息苦しさに咳き込むユキヤ。
「ほら、早く脱ぎなさい。」「はい・・・わかりました。」
渋々浴衣を脱いでいくユキヤ。
その様子をすみれはじっと見つめている。
やがてユキヤの身体は一糸纏わぬ姿となった。
「これでいい?」
ユキヤは恥ずかしさに耐えかねていた。
大きくなってるよ」
すみれはユキヤの股間を指差して言った。
「ち、違う!これは生理現象で!」
慌てて否定するユキヤだったが、すみれはクスっと笑って言った。
「下着なしで歩いてて興奮しちゃった?」
すみれはユキヤの頭を撫でると、鎖を引っ張って顔を引き寄せた。
「ねえユキちゃん。ここでちょっとだけお散歩してみる?」
「え!?・・・まさか?!」
ユキヤは青ざめた。
「そのまさかだよ。本当の犬みたいに」
すみれはニコッとして言った。
「そんなの無理に決まってるだろ!絶対嫌だから!!」
「じゃあ、近所の公園の方がいいかな~」すみれがニヤッとすると、ユキヤは観念したように言った。
「わかったから!やる!やります!」
「はいよくできました♪」すみれは満足そうに微笑むと、立ち上がって鎖を引っ張る。
ユキヤは四つん這いになった・・・。「う、ううう・・・」これ以上ない屈辱だった。
「ユキちゃんは今は犬なんだよね。ワンって言ってみて」
「わん・・・」ユキヤは悔しさを噛み締めながら言う。
「じゃあ次はご主人様のいう事聞かないとダメでしょ?『ちんちん』してみせて」
「はい・・・」ユキヤは手首を犬のように丸めて上半身をあげて見せる。
言われるままに行動するしかなかった。
「『はい』じゃなくて『わん』でしょ」
すみれは少し不機嫌になる。
「わ、わん・・・」ユキヤは泣きそうな顔で答える。
二人はゆっくりと広場を回った。すみれは鎖を持って、時々ユキヤの首輪をグイっと引っ張る。
広場はアスファルトになっており、四つん這いでも手足は痛くならない。
全裸に首輪だけで四つん這いで這い回る男とそれを鎖で引っ張る女性・・・
この異様な光景を月あかりだけが静かに照らしていた。
「よし、もういいよユキちゃん。ちゃんと出来たね」
すみれは笑顔でユキヤを褒めた。
「う、うん・・・」ユキヤは涙目で答えた。屈辱と恥ずかしさで死にそうだ。
再び広場のベンチに戻るとすみれは腰を下ろした。
そしてゆっくりと自分の浴衣の前をはだけた。
そこに下着はなかった・・・。
「ど・・・どうして」「だって、和服の時って下着を付けないものでしょう?」
すみれは妖艶な笑みを浮かべる。
「それに、こうするとユキちゃんも興奮してくれると思って・・・」
そう言いつつ、すみれは胸を寄せて谷間を作った。
「ほら、見てユキちゃん。こんなに大きいんだよ私・・・」
月光に照らされた白い肌が美しかった。
「す、すみれ・・・」
ユキヤはゴクリとのどを鳴らした。
「ねえ、触りたい?」
すみれはユキヤの手を取って自らの胸に持っていく。
「あっ・・・」ユキヤは思わず声を出した。
柔らかく温かい感触が手に伝わる。
「ふふっ、ユキちゃん可愛い」
(こうやってすみれの胸を手で触るの、どれぐらいぶりだろうか)
「どうしたの?ユキちゃん。私のおっぱい好きなの?」
すみれはいたずらっぽく笑う。
「え、まあ、好きだけど・・・」
ユキヤは少し気まずそうに目を逸らす。
「やっぱりユキちゃんはエッチだなぁ。男の人ってみんなそうなのかな?
でも、私はそんなユキちゃんが大好きだよ」
すみれはユキヤを優しく抱きしめる。
「すみれ・・・」ユキヤは顔を赤らめる。
「だから今日はいっぱい気持ちよくしてあげるね」
すみれは耳元でささやいた。
「えっ、それはどういう意味――」
ユキヤの言葉は途中で遮られた。
すみれが唇を重ねてきたのだ。舌が侵入してくる。
「んっ・・・」
すみれの唾液が流れ込んでくる。
その味はとても甘く感じた。
すみれはその状態で、今度は自分の浴衣の下の部分もはだけて見せる。
やはりそこには下着が存在せず、秘部があらわになった。そこはもう十分に潤っていた。
「ぷはっ・・・」
二人の口が離れると銀色の糸を引いた。
「ねぇ、ユキちゃん・・・お願いがあるの」
すみれは上目づかいでユキヤを見つめる。
「な、何だい?」
ユキヤはドギマギする。
「こっちも口でお願い・・・」
すみれは自分の指を舐めて濡らすと、自分の割れ目に挿入した。
「ああ・・・」
すみれが甘い吐息を漏らす。
「わ、わかったよ」
ユキヤはすみれの前にしゃがみこむ。
そしてすみれの股間に顔を埋めた。
「あふぅ・・んん」
すみれの声が漏れる。
「ちゅぱ、じゅるるるるるるるるるるる」
ユキヤは夢中ですみれの性器を吸い上げた。
べちゃべちゃと舐める音だけが静かな広場に響く。
「ああ・・・ユキちゃん、ンン、いい子・・だね」
すみれは喘ぎながらユキヤの頭を撫でる。
「はぁ、はぁ、すみれぇ」
ユキヤはすみれの顔を見る。
「ほらユキちゃん、しっかりご奉仕して」
「むぐう!」
ユキヤの口からはヨダレが垂れる。
「はぁ・・・はぁ・・・いけないワンちゃんだね君は」
すみれはユキヤの髪を掴んで引き離すと、浴衣を脱ぎ捨て
全裸になるとベンチにうつ伏せになった。
「いいよ・・・今日のキミは犬だから、犬みたいに後ろから・・・して見せて・・・」
すみれは四つん這いになってお尻を突き出す。
「はぁ、はぁ・・・」
ユキヤは荒い呼吸を繰り返す。
「さあ早く・・・」
ユキヤはすみれのお尻に顔を埋める。
そのまま舌を伸ばす。
「ひゃあんっ!!」
すみれはビクンっと体を震わせた。
「れろ、ぺろ」
ユキヤはすみれのヒップにキスをする。
「あっ、そこ、気持ち良い」
「はぁ・・・はぁ・・・」
ユキヤは興奮を抑えきれずにいた。
「もうこんなに濡れてる・・・」
「だって・・・ユキちゃんが上手なんだもん」
すみれは恥ずかしそうな顔をする。
ユキヤはすみれの割れ目に指を入れると、中をかき混ぜる。
「ああ・・・すごい・・・ユキちゃんの指が入ってくる」
すみれは切なげに声を上げる。それを見たユキヤはさらに調子に乗って強く動かす。
「ああ、あぁぁっ!」
しかしそこで首輪の鎖がグッと引っ張られる。
「げふっ!」「調子に乗らないの・・・!」「ごめんなさい」怒られた。
主導権を譲る気はないらしい。
すみれは気を取り直して「そろそろ・・・中に・・・挿れて・・・」
その言葉を聞いてユキヤがペニスをゆっくりと挿入してくる。
「んんっ」
ユキヤは腰を動かす。こんな風にすみれを抱くのは本当にいつぶりだろうか。
パンッ、パァンと肌同士がぶつかり合う音が響く。
「はぁ・・・はぁ・・・すみれ、すみれぇ」
「ユキちゃん、ユキちゃんっ」
月夜の照らす山の中で二人、お互いの声しか聞こえない。
こんなところ誰かに見られたら生きていけない。
でも、それでも今は離れたくない・・・。
二人の行為はどんどん激しくなっていく。「すみれ、俺、もぅ」
「私も、イキそう」
「一緒に、いっしょにぃ!」
「うん、イク、イッちゃう!」
「すみれ、好きだ!愛してる!」
「ユキちゃん、ユキちゃんっ、ユキちゃん好き、大好きっ」
二人はお互いの名前を呼びながら愛を確かめ合った。
そして二人は同時に果てた。
「はあ・・・はぁ・・・」すみれが振り返ると
ユキヤはまだ覆いかぶさったままだった。
「どうしたの?」
すみれの言葉を聞いたユキヤはハッとした表情を浮かべると、
慌ててすみれから離れた。
「いや、なんでもない」
そう言ってユキヤは立ち上がった。
「外の方が興奮したとか?」すみれは意地悪そうな笑みをうかべる。
「そんなんじゃねぇよ・・・」
ユキヤは少しだけ頬を赤らめると、浴衣を着直し
「ほら、帰って温泉は入りなおさないと」
と言ってふらつく足で歩き出した。
それぐらい二人の身体は汗と泥で汚れていた。
「ちょっと待ってよー」
すみれも後を追うように歩いて行った。
こうして旅行の夜は更けていった。
***
翌朝。
二人は朝食の席で、今日の観光地巡りについて話していた。
「今日はどうしようか?」
「こことか、ホテルからバス出てるみたいだね。」
すみれはスマホで検索した観光スポットの情報を見せる。
「あ、これなら歩いて行ける距離だし行ってみようよ」
「うん、こことここか、じゃあ準備して出かける用意をしよう」
そう言って、2人は部屋に戻った。
一通り支度を終えた後に、ユキヤは昨日貰ったレザーチョーカーを付ける。
「あ、それ付けてくれるんだ。」「お前がくれた奴だし」ユキヤは照れたように言う。
「似合ってるよ」
すみれはユキヤの首元を撫でる。
「うっせー」
ユキヤは照れ隠しでぶっきらぼうに答える。
貰った時は『首輪に見立てている?』という懸念があったが、
それは単なる思い過ごしだ・・・と、ユキヤは思うことにした。
(だって、昨夜本格的な首輪付けられたし・・・)
ユキヤはすみれの方を見る。彼女はニコニコしながらユキヤを見つめていた。
「ユキちゃん可愛い~」
すみれは嬉しそうにユキヤに抱きついた。
「ちょ、やめい!歩きにくいってば!」
「えへへ~♪」
***
二人が玄関ロビーまで行くと、二人の人物がチェックインするところだった。
圭太と沙由美の二人だった・・・。「姉さん?あれ?」圭太はすみれを見つける。
「あら、すみれちゃん!おはよう!あなたもここに泊まってるの?」沙由美も挨拶をする。
「またどうしてここに・・・?」
「毎年恒例の部の合宿よ。いつも使ってる宿で食中毒が起きて、ここを紹介されたの。」
沙由美はさらっと説明する。
ユキヤは圭太をひっつかまえて耳打ちした。
「てかなんでお前ら二人だけなんだよ?ほかの部員はどうした?」
「みんなそれぞれ都合がつかなくて・・・」
「・・・爛れてるなぁ」「一応部屋は別々です!」
圭太は必死になって弁明する。
「・・・そっか。まあいいけどさ。」
(いやこれ絶対何かあるやつでしょ?!)
ユキヤは頭を抱えたくなった。
「おや、君たちもここに泊まってたんですか?」
今度は男性の声が聞こえた。
振り向くとそこにはスーツ姿の男性が立っていた。
・・・こちらは蘇芳たちだった。
「うげぇ」ユキヤが露骨に嫌そうな顔をする。
「蘇芳教授じゃないですか!」
すみれは驚いた表情で蘇芳を見た。
「ご無沙汰していますね、白石くん」
「だからどうしてここに・・・?」
ユキヤが苦々しく聞いてみた。
「研究発表会の会場がこの近くになったっスよ。」
浅葱が変わって答える。「本当に奇遇ですねぇ」
(絶対に嘘だ・・・俺らを観察するために、わざとこのホテルを選んだと思う)
ユキヤは内心毒づいた。
「そういえば、あの時のお礼をまだ言ってなかったですね。
改めてありがとうございます。おかげで助かりました。」
バイトの時のお礼を改めてされる。
「あ、ああ、うん」
ユキヤは歯切れ悪く返事をした。
そして浅葱に耳打ちする。「俺らの部屋に盗聴器とか仕掛けたら承知しませんからね!」
「そんなことはしないっスよ!君らは様子見るだけで行動が把握できるっスから」
浅葱も小声で返す。
「その様子だと昨夜は随分お楽しみのようだったようっスが」と浅葱がニヤニヤしながら続けた。
「・・・・・!」ユキヤにとってはこちらも頭を抱える案件だった。
「ユキちゃん、何こそこそ話してるのかなぁ?私にも教えてくれないかな?」
「え、いや、その」
ユキヤは動揺した。
「まさかとは思うけど、変なこと考えてないよね?」
すみれはジト目でユキヤを見つめる。
「そ、それは・・・」
「ふぅん。まあいいわ。そろそろバスの時間だから、早く行こうよ」
「う、うん」
ユキヤはホッとしたような、ちょっと残念な気持ちになった。
「じゃあまたあとで!」
二人は皆に軽く挨拶をするとホテルを出た。
そしてバス停まで向かう途中、
「・・・いやな予感しかしない」と波乱を予感するユキヤであった。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる