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第24話:二人でいない日~すみれの場合~(前編)

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時間は戻って連休の初日。
すみれは圭太の家族たちとともに実家へと戻っていった。
今回は曾祖父の三回忌の法事ということで、親戚である圭太の家族の車に乗せてもらった形だ。
道中はサービスエリアやパーキングエリアに立ち寄りながらのんびりと進む。
そして夕方前にようやく目的地に到着した。
そこは海沿いにある小さな街だった。
街の中心部には大きなホテルがある以外は特に目立った建物はない。
周りを見渡す限りだと繁華街と呼べるような場所もなさそうだ。

「お帰り、元気だった?」家に着くなり母に声を掛けられる。
「ただいま、元気でやっているから大丈夫だよ」
圭太の母・美恵子は小柄だが、とてもパワフルな人である。
見た目はとても若く見えるのだが、年齢は今年45歳になるはずだ。
父はそんな母よりも少し背が高いくらいで細身だ。
「あ~圭ちゃんだ!久しぶり!」
「伯父さん、お久しぶりです」圭太は伯父であるすみれの父に挨拶する。
しかしその途端伯父から小声で
「で、すみれに悪い虫はついてないよな?」と耳打ちされる。
「えぇ・・・まぁ」圭太は言葉を濁す。
(言えない・・・あなたのお嬢さんはその『悪い虫』だったものを
自分の手で無力化しているなんて・・・)
そう思いながらも苦笑いを浮かべていると、「まあいい、お前を信じよう」
といって許してくれた。
同じ頃、バイト先でユキヤが大きなくしゃみをしていたとかしないとか。

その後、圭太一家は1回の客間に、すみれは元自分の部屋へと通される。
母曰く「法事は明日だからね、今日はゆっくり休んでなさい」とのことだった。
久々に入った実家の自室は以前自分が住んでいた頃とほとんど変わっていない。
ベッドはシングルサイズのままだし、机の上にはお気に入りの本棚が置いてある。
クローゼットの中はさすがにもう何も入っていないが。
「ふぅー」すみれは大きく息を吐きだすと、ベッドに身を投げ出す。
ふかふかの布団が気持ちいい。そのまま目を瞑って大きく深呼吸するとなんだか懐かしい匂いがした。
「ああぁ・・・落ち着く」
思わず声が出てしまう。
この家は今の自分の部屋とはまた違った雰囲気があって好きだ。
しかしその一方で、ここに帰ってくるたびに自分が女であることを実感してしまう。

「なんか変な感じ」
そう呟いて寝返りを打つ。「ユキヤ、元気かな」
つい口に出てしまった。
あれからヤケになったのか、連休中ずっとバイトの予定を入れてしまったという。
(まぁあいつのことだから、バイトはそつなくやっているだろうけど)
そんなことを考えながら天井を見つめる。
そしてスマホを取り出してLINEを開いてみる。
ユキヤからのメッセージが来ていた。
『おいこら(゚Д゚#)ノ 連絡よこせ(#^ω^)ピキピキ』
それを見てクスッと笑ってしまうすみれ。
どうやら相当寂しかったようだ。
『さては寂しかったなw』とだけ返信する。『うっさい(* ́з')=3 バイト中だもん!』
バイト中なのかよ。
ツッコミを入れたくなったものの、今は仕事に集中して欲しいので
ここは我慢してあげることにした。

「すみれー!ご飯食べに行くわよー!」母が下から呼んでいる。
明日は朝から忙しい上に、圭太の家族も来て人数が多いので、外で食事をすることになっていた。
「分かったー、今すぐ行くから」
返事を返しつつ、着替えを始める。

食事を終えて家に帰ると、既に夜の9時を回っていた。
その間スマホを見ていなかったので、ユキヤはさぞかしメッセでお怒りだろうと思ったが、
あれ以降メッセージは入っていなかった。
(あれ?出かけてたのかな?)

とりあえず『大丈夫?寂しくない』と送ってみる。
しばらくして『大丈夫だよ』とだけ返ってきた。何とも素っ気無い反応である。
もう少し何かあってもいいんじゃないかと思いつつも、それ以上は追求しなかった。
きっと疲れているのだろう。
自分も今日はゆっくり寝たい気分だった。
「はあ~、やっぱりここが落ち着くわね」
すみれは自室のベッドに横になる。枕元に置いてある
くまのぬいぐるみを抱き寄せて顔をうずめる。
「はふぅ・・・」
癒される。
(懐かしいなぁ・・・この感じ)

ユキヤとの事を思い出す。
付き合い始めた頃は、まだお互いぎこちなかった。
それが今ではすっかり慣れたもので、こうして抱きかかえていても安心感しかない。
すみれはスマホを手に取る。
「えへへ、可愛いなぁ」
画像フォルダには、今まで撮りためたユキヤの写真がたくさん入っている。
二人で旅行に行ったときの写真。
遊園地に行って撮った写真。
動物園で動物を見たときのユキヤの顔。
他にもたくさんの思い出がある。
(最近は他人に見せられない写真も増えちゃったけどね・・・)
思わず顔が緩んでしまう。
「ユキちゃんのばーか♡」
そう言いながらユキヤの写真を眺める。
そうしてしばらく布団の中でもぞもぞしていたが、
疲れが出たのかいつの間にか眠ってしまった。

翌朝。
親族集まっての法事という事で、皆朝から忙しい。
朝から檀家の大きなお寺で準備が始まっていた。
すみれは主に母たちの手伝いに回り、
圭太は集まった親戚に子供たちの面倒を見ていた。
「あら、圭ちゃん偉いわねぇ」
おばさんが圭太の頭を撫でる。
「もう子供じゃないんだからやめてよ」
「いやだわ、私から見たらまだまだ子供なのに」
「おにーちゃん、おしっこしたい」「わぁ、ちょっと待って!」
圭太は慌ててトイレに連れていく。
圭太以外の子供が皆小学生以下のため、自然と面倒を見る側に回ってしまう。

そんな風に圭太が奔走してる中、すみれは母たちに混ざって、本堂の座布団を運んでいた。
「はい!そこのおばちゃん達邪魔だからどいて!!」
「ごめんなさいねぇ」
すみれはテキパキと座布団を運びつつ、チラリと圭太を見る。
その視線に気付いた圭太は、小さく手を振ってくる。
すみれはそれに答えるように笑顔を向ける。
「はいはーい、どいてくださいねー」
すみれは手早く指示された場所に座布団を敷いて行く。
「あ、すみれちゃんありがとう。助かるわ」
住職の妻である伯母さんに声をかけられる。
すみれは会釈しつつ「いえいえ~」と返す。

「ほんと、あなたがいてくれて良かったわ。
こんな田舎だと若い人が少ないのよね。
うちの旦那なんて見てるだけで手伝いもしないんだから!」伯母さんが愚痴る。
「まあまあ、いいじゃありませんか。
おかげで私たち年寄りは楽が出来ますし」
別の伯母さんがフォローする。
「そうだとしても、せめて息子くらいは手伝って欲しいものだわ。
全く、何のためにいるのやら」とため息を吐いた。「ははは、そうですねぇ。」
すみれはフォローしつつ、
(こういう様子って田舎ならではだよなぁ・・・)と思った。
都会ではまず見られない光景だろう。

****

「ふう・・・」
法要もようやくひと段落着いて休憩に入る。
すると他の親族の人が話しかけてきた。
「すみれちゃんて彼氏いるの?」
そう聞いてきたのは、親戚のお嫁さんの博美さんだった。
去年結婚したばかりなのですみれとは年齢が近い。「えっと、今はいませんけど・・・」
すみれは少し困った表情で返答した。
(うっかりしたこと言って、父さんに伝わったらまずいし)
「そうなんだ?すみれちゃん可愛いから絶対モテると思うんだけどなぁ」
「そ、そんなことないですよ。普通です」
「またまた謙遜してぇ」
博美さんが肘でツンと突いてくる。
「あはは、本当だってば」
すみれは苦笑いした。
(なんか気を遣わせちゃって悪いなぁ)
すみれは申し訳なく思いつつも、愛想よく対応していた。

その後、法要が済み、親族たちは料亭へと移動する。
親族が集まるとどうしても宴会になってしまうのも田舎ならではだろう。
「さすがに疲れたなぁ」
すみれは親戚に捕まる前にと、足早に部屋を出てトイレへと向かう。
「ふぅ、スッキリした」
用を済ませ、手を洗っていると、後ろから声をかけられた。
「あれ?すみれ姉さん」
圭太がこちらへ駆け寄ってきた。
「あら圭太くん、今日はお疲れ様。」
すみれは笑顔で挨拶をした。
「すみれ姉さんもね」
圭太がニッコリ笑う。縁側で風に当たっていたようだ。
お互い未成年なので、大人の宴会にはどうにも入っていけない。
「もうちょっとで終わるから、頑張ろうね」
「うん、わかったよ。俺ももう少ししたら戻るから」
「ほーい」

その後、宴もたけなわとなり、皆それぞれの家に帰っていった。
さらに翌日、圭太たち家族は一足先に帰ることになった。
「もう帰っちゃうの?」
「うん、モモちゃんをいつまでもひとりで留守番させとくわけにもいかないし」
モモちゃんとは、圭太の家の飼い猫である。
「それより姉さんは俺たちと一緒でなくていいの?」
「私はもう少しのんびりしてから電車で帰るよ。明日の切符も予約しちゃったし」
すみれは圭太たちの帰省に合わせて一緒に帰ってきたのだが、
すみれだけ1日遅れて帰宅することになったのだ。
「じゃあ、また連絡するね」
「うん、分かった。」
そうして圭太たちは先に帰っていった。

その日の午後、すみれは出かけて行った。
向かった先は昔よく行ってた商店街だ。
ここも過疎化が進んでシャッター街となっている。
それでも昔からある馴染みのお店もあり、 すみれはよくこの辺りを散歩している。
(昔よくみんなとここでアイス食べてたなぁ・・・)
すみれは昔の思い出に浸っていた。
すると後ろから声をかけられる。
「おまたせ!すみれ。」「あ、くるみちゃん久しぶり!」
彼女は柊木くるみ(ひいらぎ くるみ)という女の子だ。
すみれと同学年で中学の頃から仲が良く、今は地元の短大に通っている。
すみれよりも背が高く、凛とした印象があった。
「すみれ、元気だった?相変わらず可愛いねぇ」
「ありがとう。くるみちゃんもきれいだよね」
「やめてよ、褒めても何も出ないわよ」
「えへへ」
2人は照れ笑いしながら歩き出した。

「ところで、今日の予定だけど、どうしようか?」
「そうだなぁ、久しぶりにカラオケでも行こうかな」
「おっけ~、じゃあ決まりね。」
こうして2人で遊ぶことになった。
その後、2時間ほど歌い、近くのファミレスで食事をする。
「すみれはさ、今好きな人とかいるの?」
「うーん・・・まぁね」すみれは少し顔を赤らめた。
「へぇ、どんな人?教えなさいよ」
「ちょっと恥ずかしいなぁ」
「別に良いじゃない。私とすみれの仲なんだしさ」
「・・・すっごいバカなんだけどね、でも放っておけないというか・・・」
照れ臭いのでつい、ユキヤが聞いたら怒るような紹介の仕方をしてしまう。
「もう少しいい紹介の仕方しなさいよ」
「じゃあ・・・バカだけどかわいい。」すみれはこれだけ言うと真っ赤になる。
「それだけ!?もっとないの?」
「もう!これで十分だよぉ」
「ふぅ~ん、なんか怪しいけど、まあいっか。すみれなんか楽しそうだし」
「そ、そうかな?」
「うん。顔がニヤけてるもん」
「うっ」すみれは恥ずかしさのあまりうつむいてしまう。
「そ、そういうくるみちゃんはどうなの?私よりもずっとモテそうなのに・・・」
くるみはそれを聞いた途端、スッと笑顔が消えて深刻な顔をする。

「嶋君・・・」「え?」「嶋蒼汰・・・彼と付き合ってる」「えええ?!」
すみれが驚くのも無理はない。嶋蒼汰はすみれの幼馴染だからだ。
すみれは小さいころから彼をよく知っている。
彼は今、父親の会社を継ぐために、専門学校に通ってると聞く。
「嶋君と・・・くるみちゃんが・・・」
「黙っていてゴメンね。私から告白したんだ。」
「いつの間にそんなことに・・・全然知らなかった」
「だって言ってなかったもの。・・・それに私の初めても・・・」「え?何か言った?」
「なんでもないわよ」
「えっと、それで、くるみちゃんは幸せ?」
「ええ、もちろんよ。私はあの人の事が好き。心の底から愛してるの。
お互い卒業したら、一緒になろうって決めてる。」
「おお、すごいね。そこまで考えてるなんて」
「だからこそ、あなたになかなか言えなかったの・・・
3人で良くつるんでいたのに・・・私たちだけ、こんなことに」
胡桃のカップを持つ手が震える。
「そんなこと気にしなくていいのに!」「ごめんなさい。でも・・・」
「もう謝らないでよ。確かに驚いたけど、でも私はくるみちゃんを応援したいと思ってる」
「ありがとう・・・」
「もぉ、私たちは友達じゃん!」「すみれ・・・」

そのあと、二人はお互いを励ましあって解散した。

****
「私、嫌な人間なのかな・・・」実家のベッドに寝そべって、すみれはこんな独り言を言う。
確かにくるみは昔からの友人で彼女には幸せになってほしい。
しかしすみれ自身は自分だけが二人から置いて行かれたような寂しさを感じていた。
嫉妬などとはまた違う複雑な感情がすみれの中で湧いていた。
「ああ、もう!ダメだぁ!考えちゃいけないことを考えている気がする!!」
すみれは布団をかぶり無理に眠ろうとしたがうまく眠れない。

(こんな時・・・あいつがいてくれたら・・・)
そう思うと同時に、なぜかユキヤの顔が思い浮かんだ。
すぐに電話をしようかとも思ったが、
このもやもやした複雑な感情を上手く言葉にできる自信がなかった。
そもそも何を話すのかすらわからない。
(・・・何してるんだろ私)すみれは無意識に寒い日にやるような、
両手を足の間に挟むような恰好をしていた。そのままうとうとしかけたとき、
携帯が鳴った。着信を見るとユキヤだった。

「もしもーし?ユキちゃん?」
「ああ、今大丈夫か」
「うん、平気だよ?」
「なんでもない・・・」
「で、何か用があったんじゃないの?」
「いや別に・・・」
「え~そうなの?寂しくなって電話してきたのかと思ったよw」
「ちげぇよ!」「じゃあなんで?」
「それは・・・」
「ねぇ教えてよ、ユキちゃん」
「・・・・・・」ユキヤはなぜか黙ってしまう。
「ユキちゃーん」
「・・・・・・」
「あれ?聞こえてるよね?」
「う・・・」
「ほら、言ってごらんよ」
「・・・」
「言わないと切るよー」「言うから切らないでくれ」
「ふふっ、素直だね」
「うるさい」
「それで理由は何なの?」
「それはだな・・・」
「うん」
「もう少し・・・お前の声が聞きたかった・・・」
「う・・・そこでマジになられると・・・」「悪い・・・」
「まあいいか、ユキちゃん可愛いし」「可愛くなんか・・・」
「ふふふ」「笑うなよ」「はいはい」
「・・・」「ねえ、明日帰るんだけどさ」

二人の他愛のない会話が続く。内容はほとんど頭に入らなかったけど、嬉しかった。
すみれは明日帰ることをユキヤに告げると、通話を終わらせた。
「ふう・・・」すみれはため息をつくと、再び眠りにつこうとした。
とても嬉しかったけど、同時にとても寂しくなった。
ユキヤは今頃何をしているのだろう。
そう考えると少し涙が出そうになった。胸が熱い。

気が付くと自分の下着の中に手を入れている。
そして自分の指を舐めるように舌を這わせる。
自分で自分を慰める行為なんて今まで一度もやったことはなかったのに、
 今は不思議とそれが悪いことだとは思わなかった。
むしろユキヤを想いながら自慰行為をする自分がいることに驚いた。
すみれの秘所はすでに濡れそぼっていた。

左手の中指を唾液で十分に濡らすと、
その中指をゆっくりとすみれは自分の中へと挿入した。
最初は中々入らなかったが何度か出し入れを繰り返すうちに
少しずつ奥へ入っていき、やがて根元まで入った。
「はぁはぁはぁ・・・」
荒い呼吸をしながら今度は人差し指も一緒に入れる。
二本の指を出し入れするとすみれの口から自然と声が出る。
「あん・・・ああっ・・・はぁはぁ・・・」
いつの間にかすみれは夢中で自分の膣内をかき回していた。
下には両親がいるので、ひたすら声を押し殺す。
それでも漏れてしまう喘ぎ声が、さらにすみれの興奮を煽った。
「んっ・・・はっ・・・はっ・・・」
すみれは右手でクリトリスを刺激し始めた。
「ああっ・・・だめっ・・・イクッ・・!」
すみれは絶頂に達してしまった。
「ユキちゃん・・・」
すみれはユキヤの名前をつぶやいた。
自分の心の奥底で一番求めていた存在・・・。

そしてそのまま眠りについた。
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