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第45話:children's day(前編)
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<前回までのあらすじ>
主人公白石圭太は美人保険医が顧問の『服飾文化研究会』に
強引に入れられる。
しかしそこは服飾研究とは名ばかりのコスプレHを楽しむ場所であった。
そこで圭太は言われるがままに女装して、顧問の沙由美と先輩部員たちに
オモチャにされる日々を送っている中、
異常ながらも賑やかな毎日を過ごす。
(あらすじここまで)
(う~ん、やっぱり圭ちゃんに効きそうなのは羞恥系なんだろうけど・・・
大体の事は今までやってきちゃったからなぁ・・・)
沙由美は圭太への事を色々と思案していた。
圭太の恥ずかしい姿は大抵見た事があるし、もうこれ以上何かするというのも考えにくい。
かといってただ普通にするだけではつまらないし面白くない。
どうしたものか・・・。
(うーん、そうだっ!こういう時は・・・ ちょっとだけ趣向を変えてみようかな♪)
沙由美は思いつきを実行するため、 早速準備に取り掛かるのだった―――。
「もしもし、翠ちゃん?あのね・・・」
------
数週間後。
圭太は沙由美からお使いを頼まれ、翠の家に向かっていた。
お使いの内容は例によってできた衣装を取りに行くことだ。
最近登校する日も増えた翠だったが、まだまだ来ない日も多い。
なのでこうして時々家に衣装を受け取りに行ったりするのだ。
「こんにちわー」
「いらっしゃい・・・」
マンションに着くと翠が出迎えくれた。
相変わらず表情の変化は少ないがどこか嬉しそうな雰囲気だ。
最近は少し慣れてきたのか、言葉数も増えてきている気がする。
「出来た衣装・・・は・・・こっちに・・・ありますから」
翠の部屋に入るとそこには完成した服が何着もあった。
どれもこれも可愛らしくて女の子らしいものばかりである。
しかもサイズは全部ぴったりなのだからすごいものだ。
一体どうやってサイズを調べたのだろうか。
(これを着させられるのが俺でさえなければ完璧なのに・・・)
圭太は心の中で嘆くものの仕方がない。
翠の作る服のクオリティの高さは折り紙付きだ。
(それにしても、翠さん今日はいつもより機嫌よさげというか、なんか楽しげだよなぁ。)
まあ、いい事だし気にしない。圭太が預かった衣装を紙袋に詰めていると、
翠が声をかけてきた。
「新しいの・・・試着・・・お願いします。」
「えっと、それじゃあ着替えてきますんで少々お待ちください!」
圭太は急いで部屋を出てトイレで服を着替える。
渡されたのは白いブラウスに、チェックのミニスカート、
そしてフリルの付いた白い靴下だった。
(翠さんにしては普通なデザインだけど・・・新作なのか)
不思議に思ったもののとりあえず言われた通り履いてみることにする。
「着替えてみましたけど・・・」
圭太が戻ると、翠は部屋の隅で何かごそごそとしていた。
何やら大きな箱のようなものを持っているようだ。
「その・・・これを着てみて下さい・・・」
圭太は翠に手渡されたものを見て驚く。それはなんと水色のスモックであった。
「翠さん、これはいったい・・・」
圭太が困惑していると、翠はスッと手を伸ばしてきて、圭太にスモックを着せてしまった。
すると翠は満足したようにうんとひとつうなずく。
「可愛いです・・・とても・・」そう言いながら圭太のロングヘアのウィッグを
おさげに編んでくれた。「これで・・・完璧ですね。」
圭太には訳が分からなかったが、どうせまた沙由美先生に何か吹き込まれたんだろう。
そうして姿見の前に立たせられると、そこには園児服の自分がいた・・・
流石に小柄とはいえ高校生なので、園児としてはオーバーサイズ感が半端ない。
しかしその妙な違和感が別の魅力を引き出しているようにも見えた。
さらに、髪も翠の手で綺麗に整えられていたこともあり、
圭太は恥ずかしさと気まずさを感じつつも、思わずドキッとしてしまってた。
しかしそんな自分の反応が嫌で、圭太はすぐに目をそらしてしまう。
「とっても・・・可愛いです。まるで・・・本物の幼稚園の女の子みたい・・・」
そう言うと翠は再び満足そうにうなずき、そのまま後ろから抱きしめてきた。
背中に当たる柔らかい感覚のせいで、ドキドキが止まらない。
「ちょっ!?翠さん!だめですよ!!」
焦った様子で身をよじる圭太。
「どうして・・・?こんなに可愛いのに・・・ほら・・・」
そう言って頬擦りをしてくる翠に圭太の顔は真っ赤に染まってしまう。
「あと・・・着替え終わったら・・・これをわたす・・・ようにと」
そういって翠に渡されたものは・・・かわいい猫模様の子供用ショーツだった・・・。
圭太は一瞬呆気に取られてしまうがすぐに顔を赤くする。
「なっ・・・!!こここ・・・これ・・・!」「はいたら・・・かわいいと思います」
翠のいたずらっぽい表情が憎らしい。
「沙由美先生から・・・ です」
沙由美の名前が出た途端圭太の態度が変わる。
(やっぱりあの人の入れ知恵かよ・・)
「ふぅ・・・まぁ分かりましたよ・・・」しぶしぶと言った感じで答える。
翠が楽しげな笑みを浮かべてこちらを見ていた。
沙由美の思惑通りになったような気がするのが非常に不本意である。
それにしても、この衣装とスモック、そして子供用の下着まで
わざわざ用意したというのだから沙由美は本気だ。
(ほんっと・・・変態だよな・・・沙由美先生・・・でも・・・
俺もちょっと興味あるかも・・・なんてな。そんなわけないか・・・)
「じゃあ・・・早速着ちゃいますね。」
「はい・・・お願いします・・・」翠が嬉々とした声で答えた。
圭太は再びトイレに入ると、下着を変え始めた。
(しかし沙由美先生、どんな顔でこれ買ったんだ?)
そんなことを考えながら、パンツを穿く。
いくら一番大きいLLサイズとはいえ子供用なので、圭太が履くとパンパンになった。
そのせいで圭太の大事な部分が若干強調される形になってしまう。
圭太はそのことに気付くと慌てて隠した。
「うわ・・・やば・・・」
圭太は恥ずかしさでいっぱいになる。
しかし、もうここまで来た以上引き返すことはできない。
(ああ・・・僕の中で『尊厳』の2文字が破壊されていく・・・)
これまでかなり恥ずかしい目にあわされてきた圭太だったが、
あれだけの目にあっているのに、まだ自分はここまで恥じることができたのかと、
少しだけ感心した。
「よし・・・」覚悟を決めると、圭太は洗面台の鏡の前に立ってみる。
そこにはやはりオーバーサイズな幼稚園児が映っていた。
しかも猫さんマーク付きのお子様ショーツを履いて。
圭太は自分の姿を見ると、あまりの羞恥心に頭がクラリとした。
しかし、ここで倒れていては話が進まない。圭太は意を決して部室へと戻ることにした。
部室の扉を開けると、中から翠の声が聞こえてきた。
「本当に・・・可愛いです・・・」
圭太は恐る恐る部室内に足を踏み入れると、「ただいま戻りました・・・」と言ってみた。
すると翠が驚いた様子でこちらを振り向いた。
翠の目には驚きと共に喜びの色が見える。
「あっ・・・おかえりなさい・・・」
翠の頬が少し紅潮している。
翠の視線が圭太の顔から徐々に下に下がっていく。
「ふふっ・・・似合ってますよ・・・」
翠が微笑みかける。そして黄色い帽子をかぶせてくれた。
その笑顔に思わずドキッとする圭太。
圭太は改めて自分の格好を見る。スモックに園児帽。
圭太の羞恥心が限界に達した。
「ぐはぁ・・・!!」圭太はその場に崩れ落ちると両手で顔を覆って悶絶した。
「あ・・・大丈夫ですか?」翠が心配そうに駆け寄ってくる。
だが圭太はそれどころではない。
「あぅ・・・」
恥ずかしさと屈辱で、圭太は今にも泣き出しそうだ。
自分の中にある「尊厳」が粉砕されたことを実感してしまったのだ。
「あう・・・うううううう~・・・・・・!!!!」
圭太は声にならない叫びを上げる。
そんな圭太の頭を翠が撫でてくれた。翠の温かい手を感じて、
圭太の心は次第に落ち着いていった。
しばらく翠の手の温もりに浸っていると、ようやく圭太も落ち着きを取り戻した。
翠に手を引かれながら立ち上がると、圭太は翠に聞いてみた。
「あの・・・これでいいんですか?」
「はい・・・よくできました。」
翠は優しく微笑むと、スマホを取り出すと圭太の姿をカメラに収めた。
「え?ちょ・・・」
「記念・・・撮影・・・です。」
翠は少し照れくさそうな表情で言った。
「こ、こんなの撮らないで下さいよ・・・」
圭太は力なく言った。「いえ・・・絶対撮りたい・・・」
翠は断固として譲らなかった。
「うう・・・」
結局、翠に押し切られる形で撮影は行われた。
(多分だけど沙由美先生にも頼まれてるんだろうな)
圭太は思った。
沙由美が翠に頼んで、翠がそれを引き受けている。
この構図が容易に想像できた。
「はい、チーズ・・・」
カシャッという音とともにフラッシュが光った。
撮影された写真を確認すると、圭太は自分のあまりの姿形に、
乾いた笑いが出た。
今回はいつもの女装とは明らかに違うのだ。
これはコスプレなのだ。しかも幼児プレイ用だ。
どう考えても今の圭太にはミスマッチだった。
「うわぁ・・・」
思わず圭太は苦笑するしかなかった。
「可愛いですよ・・・」
翠が満面の笑顔で言った。
「は、はい・・・ありがとうございます」
圭太は少し複雑な気持ちで礼を言う。「可愛いです・・・」
翠は再びそう言うと圭太に抱き着いた。
「ひゃっ!?」
突然の出来事に圭太は驚く。
だが翠はその姿勢のまま動かない。
翠の柔らかい胸の感触が直に伝わる。
(なんだろうこの違和感は・・・?)
圭太は翠に抱き着かれたときの身体の感触がいつもと違う感じがするのに気が付いた。
(まさか・・・下着を付けてない?!)
圭太は慌てて確認するが、やはり付けていない。
圭太は顔から火が出そうになった。
「あ、あの、翠さん?」
「ん・・・何で・・・しょう?」
「その・・・当たってるんですけど・・・」
「何が・・・です?」
「だからその・・・」
「はっきり・・・言ってください。」
「その・・・おっぱ・・・じゃなくて!」
「おっぱい・・・?」
「ああもう!!言わせないで下さい!!」
「ふふ・・・可愛い・・・」
翠はそう言うと圭太を抱きしめる腕に力を入れる。
翠の豊乳がさらに強く押し付けられる。
「あう・・・」
圭太の顔が真っ赤に染まる。
「あ、あの・・・どうして・・・」
「今日は・・・甘えていい日・・・ですから。」
「ええ?」
「沙由美先生が・・・仰っていました・・・」
「ええと・・・?!」
(あの人はまた勝手にそんなことを!)
圭太は頭を抱えたくなった。「で、でも僕男だし・・・」
「今は女の子・・・です。」
翠はきっぱりと言った。
「そ、それはそうなんだけど・・・」「それに・・・あなただし・・・」
「うう・・・」翠が長い前髪の隙間から真剣なまなざしを向ける。
「駄目・・・ですか・・・?」
翠は上目遣いで圭太を見る。
「うう・・・」
圭太には断れなかった。「わかりましたよ・・・」
圭太は観念したように言った。
「やった・・・」
翠は嬉しさを隠しきれない様子で呟くと、圭太にキスをした。「ちゅぷ・・・」
唇が重なり合う音がした。
圭太は一瞬驚いたが、すぐに目を閉じて受け入れた。
舌を絡ませる濃厚なものでなく、軽く触れ合わせるだけの優しいものだった。
(翠さんの唇・・・柔らかくて温かい・・・)
しばらくすると翠は口を離した。
お互いの口から糸を引く唾液を見て、圭太は恥ずかしくなり顔を背けた。
「圭ちゃん・・・」
翠は潤んだ瞳で圭太を見つめる。
圭太はドキドキしながら次の言葉を待った。
「ふふ、いいこいいこ」
翠はそう言うと圭太の頭を優しく撫で始めた。
「あ、あの・・・翠さん?」
「圭ちゃん可愛いからつい・・・ごめんなさい・・・嫌だった?」
「い、いえ別に・・・」
圭太は戸惑いながらも答える。
(完全にこの格好のせいだな・・・)
圭太は自分の姿にため息を吐いた。
「・・・それに今は・・・幼稚園児・・です」
(こんな姿でも翠さんが喜んでくれるならいっか)
圭太の女装姿を翠が褒めてくれたことで圭太の気持ちはかなり楽になっていた。
「私の方が・・・おねぇさんで・・・すよ?」
翠はそう言うと再び圭太を抱きしめ、胸を押し付けた。
「だから・・・おねえさん言うこと・・・聞いてね」
翠は耳元で囁く。
「はい・・・」
圭太は諦めたように返事をする。
(確かに翠さんは1学年上だけど・・・)
翠としてはプレイ的な意味合いが高そうだ。
つづく
主人公白石圭太は美人保険医が顧問の『服飾文化研究会』に
強引に入れられる。
しかしそこは服飾研究とは名ばかりのコスプレHを楽しむ場所であった。
そこで圭太は言われるがままに女装して、顧問の沙由美と先輩部員たちに
オモチャにされる日々を送っている中、
異常ながらも賑やかな毎日を過ごす。
(あらすじここまで)
(う~ん、やっぱり圭ちゃんに効きそうなのは羞恥系なんだろうけど・・・
大体の事は今までやってきちゃったからなぁ・・・)
沙由美は圭太への事を色々と思案していた。
圭太の恥ずかしい姿は大抵見た事があるし、もうこれ以上何かするというのも考えにくい。
かといってただ普通にするだけではつまらないし面白くない。
どうしたものか・・・。
(うーん、そうだっ!こういう時は・・・ ちょっとだけ趣向を変えてみようかな♪)
沙由美は思いつきを実行するため、 早速準備に取り掛かるのだった―――。
「もしもし、翠ちゃん?あのね・・・」
------
数週間後。
圭太は沙由美からお使いを頼まれ、翠の家に向かっていた。
お使いの内容は例によってできた衣装を取りに行くことだ。
最近登校する日も増えた翠だったが、まだまだ来ない日も多い。
なのでこうして時々家に衣装を受け取りに行ったりするのだ。
「こんにちわー」
「いらっしゃい・・・」
マンションに着くと翠が出迎えくれた。
相変わらず表情の変化は少ないがどこか嬉しそうな雰囲気だ。
最近は少し慣れてきたのか、言葉数も増えてきている気がする。
「出来た衣装・・・は・・・こっちに・・・ありますから」
翠の部屋に入るとそこには完成した服が何着もあった。
どれもこれも可愛らしくて女の子らしいものばかりである。
しかもサイズは全部ぴったりなのだからすごいものだ。
一体どうやってサイズを調べたのだろうか。
(これを着させられるのが俺でさえなければ完璧なのに・・・)
圭太は心の中で嘆くものの仕方がない。
翠の作る服のクオリティの高さは折り紙付きだ。
(それにしても、翠さん今日はいつもより機嫌よさげというか、なんか楽しげだよなぁ。)
まあ、いい事だし気にしない。圭太が預かった衣装を紙袋に詰めていると、
翠が声をかけてきた。
「新しいの・・・試着・・・お願いします。」
「えっと、それじゃあ着替えてきますんで少々お待ちください!」
圭太は急いで部屋を出てトイレで服を着替える。
渡されたのは白いブラウスに、チェックのミニスカート、
そしてフリルの付いた白い靴下だった。
(翠さんにしては普通なデザインだけど・・・新作なのか)
不思議に思ったもののとりあえず言われた通り履いてみることにする。
「着替えてみましたけど・・・」
圭太が戻ると、翠は部屋の隅で何かごそごそとしていた。
何やら大きな箱のようなものを持っているようだ。
「その・・・これを着てみて下さい・・・」
圭太は翠に手渡されたものを見て驚く。それはなんと水色のスモックであった。
「翠さん、これはいったい・・・」
圭太が困惑していると、翠はスッと手を伸ばしてきて、圭太にスモックを着せてしまった。
すると翠は満足したようにうんとひとつうなずく。
「可愛いです・・・とても・・」そう言いながら圭太のロングヘアのウィッグを
おさげに編んでくれた。「これで・・・完璧ですね。」
圭太には訳が分からなかったが、どうせまた沙由美先生に何か吹き込まれたんだろう。
そうして姿見の前に立たせられると、そこには園児服の自分がいた・・・
流石に小柄とはいえ高校生なので、園児としてはオーバーサイズ感が半端ない。
しかしその妙な違和感が別の魅力を引き出しているようにも見えた。
さらに、髪も翠の手で綺麗に整えられていたこともあり、
圭太は恥ずかしさと気まずさを感じつつも、思わずドキッとしてしまってた。
しかしそんな自分の反応が嫌で、圭太はすぐに目をそらしてしまう。
「とっても・・・可愛いです。まるで・・・本物の幼稚園の女の子みたい・・・」
そう言うと翠は再び満足そうにうなずき、そのまま後ろから抱きしめてきた。
背中に当たる柔らかい感覚のせいで、ドキドキが止まらない。
「ちょっ!?翠さん!だめですよ!!」
焦った様子で身をよじる圭太。
「どうして・・・?こんなに可愛いのに・・・ほら・・・」
そう言って頬擦りをしてくる翠に圭太の顔は真っ赤に染まってしまう。
「あと・・・着替え終わったら・・・これをわたす・・・ようにと」
そういって翠に渡されたものは・・・かわいい猫模様の子供用ショーツだった・・・。
圭太は一瞬呆気に取られてしまうがすぐに顔を赤くする。
「なっ・・・!!こここ・・・これ・・・!」「はいたら・・・かわいいと思います」
翠のいたずらっぽい表情が憎らしい。
「沙由美先生から・・・ です」
沙由美の名前が出た途端圭太の態度が変わる。
(やっぱりあの人の入れ知恵かよ・・)
「ふぅ・・・まぁ分かりましたよ・・・」しぶしぶと言った感じで答える。
翠が楽しげな笑みを浮かべてこちらを見ていた。
沙由美の思惑通りになったような気がするのが非常に不本意である。
それにしても、この衣装とスモック、そして子供用の下着まで
わざわざ用意したというのだから沙由美は本気だ。
(ほんっと・・・変態だよな・・・沙由美先生・・・でも・・・
俺もちょっと興味あるかも・・・なんてな。そんなわけないか・・・)
「じゃあ・・・早速着ちゃいますね。」
「はい・・・お願いします・・・」翠が嬉々とした声で答えた。
圭太は再びトイレに入ると、下着を変え始めた。
(しかし沙由美先生、どんな顔でこれ買ったんだ?)
そんなことを考えながら、パンツを穿く。
いくら一番大きいLLサイズとはいえ子供用なので、圭太が履くとパンパンになった。
そのせいで圭太の大事な部分が若干強調される形になってしまう。
圭太はそのことに気付くと慌てて隠した。
「うわ・・・やば・・・」
圭太は恥ずかしさでいっぱいになる。
しかし、もうここまで来た以上引き返すことはできない。
(ああ・・・僕の中で『尊厳』の2文字が破壊されていく・・・)
これまでかなり恥ずかしい目にあわされてきた圭太だったが、
あれだけの目にあっているのに、まだ自分はここまで恥じることができたのかと、
少しだけ感心した。
「よし・・・」覚悟を決めると、圭太は洗面台の鏡の前に立ってみる。
そこにはやはりオーバーサイズな幼稚園児が映っていた。
しかも猫さんマーク付きのお子様ショーツを履いて。
圭太は自分の姿を見ると、あまりの羞恥心に頭がクラリとした。
しかし、ここで倒れていては話が進まない。圭太は意を決して部室へと戻ることにした。
部室の扉を開けると、中から翠の声が聞こえてきた。
「本当に・・・可愛いです・・・」
圭太は恐る恐る部室内に足を踏み入れると、「ただいま戻りました・・・」と言ってみた。
すると翠が驚いた様子でこちらを振り向いた。
翠の目には驚きと共に喜びの色が見える。
「あっ・・・おかえりなさい・・・」
翠の頬が少し紅潮している。
翠の視線が圭太の顔から徐々に下に下がっていく。
「ふふっ・・・似合ってますよ・・・」
翠が微笑みかける。そして黄色い帽子をかぶせてくれた。
その笑顔に思わずドキッとする圭太。
圭太は改めて自分の格好を見る。スモックに園児帽。
圭太の羞恥心が限界に達した。
「ぐはぁ・・・!!」圭太はその場に崩れ落ちると両手で顔を覆って悶絶した。
「あ・・・大丈夫ですか?」翠が心配そうに駆け寄ってくる。
だが圭太はそれどころではない。
「あぅ・・・」
恥ずかしさと屈辱で、圭太は今にも泣き出しそうだ。
自分の中にある「尊厳」が粉砕されたことを実感してしまったのだ。
「あう・・・うううううう~・・・・・・!!!!」
圭太は声にならない叫びを上げる。
そんな圭太の頭を翠が撫でてくれた。翠の温かい手を感じて、
圭太の心は次第に落ち着いていった。
しばらく翠の手の温もりに浸っていると、ようやく圭太も落ち着きを取り戻した。
翠に手を引かれながら立ち上がると、圭太は翠に聞いてみた。
「あの・・・これでいいんですか?」
「はい・・・よくできました。」
翠は優しく微笑むと、スマホを取り出すと圭太の姿をカメラに収めた。
「え?ちょ・・・」
「記念・・・撮影・・・です。」
翠は少し照れくさそうな表情で言った。
「こ、こんなの撮らないで下さいよ・・・」
圭太は力なく言った。「いえ・・・絶対撮りたい・・・」
翠は断固として譲らなかった。
「うう・・・」
結局、翠に押し切られる形で撮影は行われた。
(多分だけど沙由美先生にも頼まれてるんだろうな)
圭太は思った。
沙由美が翠に頼んで、翠がそれを引き受けている。
この構図が容易に想像できた。
「はい、チーズ・・・」
カシャッという音とともにフラッシュが光った。
撮影された写真を確認すると、圭太は自分のあまりの姿形に、
乾いた笑いが出た。
今回はいつもの女装とは明らかに違うのだ。
これはコスプレなのだ。しかも幼児プレイ用だ。
どう考えても今の圭太にはミスマッチだった。
「うわぁ・・・」
思わず圭太は苦笑するしかなかった。
「可愛いですよ・・・」
翠が満面の笑顔で言った。
「は、はい・・・ありがとうございます」
圭太は少し複雑な気持ちで礼を言う。「可愛いです・・・」
翠は再びそう言うと圭太に抱き着いた。
「ひゃっ!?」
突然の出来事に圭太は驚く。
だが翠はその姿勢のまま動かない。
翠の柔らかい胸の感触が直に伝わる。
(なんだろうこの違和感は・・・?)
圭太は翠に抱き着かれたときの身体の感触がいつもと違う感じがするのに気が付いた。
(まさか・・・下着を付けてない?!)
圭太は慌てて確認するが、やはり付けていない。
圭太は顔から火が出そうになった。
「あ、あの、翠さん?」
「ん・・・何で・・・しょう?」
「その・・・当たってるんですけど・・・」
「何が・・・です?」
「だからその・・・」
「はっきり・・・言ってください。」
「その・・・おっぱ・・・じゃなくて!」
「おっぱい・・・?」
「ああもう!!言わせないで下さい!!」
「ふふ・・・可愛い・・・」
翠はそう言うと圭太を抱きしめる腕に力を入れる。
翠の豊乳がさらに強く押し付けられる。
「あう・・・」
圭太の顔が真っ赤に染まる。
「あ、あの・・・どうして・・・」
「今日は・・・甘えていい日・・・ですから。」
「ええ?」
「沙由美先生が・・・仰っていました・・・」
「ええと・・・?!」
(あの人はまた勝手にそんなことを!)
圭太は頭を抱えたくなった。「で、でも僕男だし・・・」
「今は女の子・・・です。」
翠はきっぱりと言った。
「そ、それはそうなんだけど・・・」「それに・・・あなただし・・・」
「うう・・・」翠が長い前髪の隙間から真剣なまなざしを向ける。
「駄目・・・ですか・・・?」
翠は上目遣いで圭太を見る。
「うう・・・」
圭太には断れなかった。「わかりましたよ・・・」
圭太は観念したように言った。
「やった・・・」
翠は嬉しさを隠しきれない様子で呟くと、圭太にキスをした。「ちゅぷ・・・」
唇が重なり合う音がした。
圭太は一瞬驚いたが、すぐに目を閉じて受け入れた。
舌を絡ませる濃厚なものでなく、軽く触れ合わせるだけの優しいものだった。
(翠さんの唇・・・柔らかくて温かい・・・)
しばらくすると翠は口を離した。
お互いの口から糸を引く唾液を見て、圭太は恥ずかしくなり顔を背けた。
「圭ちゃん・・・」
翠は潤んだ瞳で圭太を見つめる。
圭太はドキドキしながら次の言葉を待った。
「ふふ、いいこいいこ」
翠はそう言うと圭太の頭を優しく撫で始めた。
「あ、あの・・・翠さん?」
「圭ちゃん可愛いからつい・・・ごめんなさい・・・嫌だった?」
「い、いえ別に・・・」
圭太は戸惑いながらも答える。
(完全にこの格好のせいだな・・・)
圭太は自分の姿にため息を吐いた。
「・・・それに今は・・・幼稚園児・・です」
(こんな姿でも翠さんが喜んでくれるならいっか)
圭太の女装姿を翠が褒めてくれたことで圭太の気持ちはかなり楽になっていた。
「私の方が・・・おねぇさんで・・・すよ?」
翠はそう言うと再び圭太を抱きしめ、胸を押し付けた。
「だから・・・おねえさん言うこと・・・聞いてね」
翠は耳元で囁く。
「はい・・・」
圭太は諦めたように返事をする。
(確かに翠さんは1学年上だけど・・・)
翠としてはプレイ的な意味合いが高そうだ。
つづく
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