服飾文化研究部にようこそ!~僕が女装させられて、先輩たちのオモチャにされるにされる日々~

桃ノ木ネネコ

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第36話:即売会に行ってみた(その1)

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<前回までのあらすじ>
主人公白石圭太は美人保険医が顧問の『服飾文化研究会』に
強引に入れられる。
しかしそこは服飾研究とは名ばかりのコスプレHを楽しむ場所であった。
そこで圭太は言われるがままに女装して、顧問の沙由美と先輩部員たちに
オモチャにされる日々を送っている中、
同級生・園田瑠璃への初恋と失恋をダブルで喰らうが
異常ながらも賑やかな毎日を過ごす。
(あらすじここまで)

「う~ん・・・困りましたねぇ・・・」
部室で藍川真由里がスマホを見てため息を吐く。
「あら、真由里ちゃん何かお悩み?」と沙由美が聞く。
「あぁいえ別に大したことじゃないんですけどね。ただちょっと」
「何?もったいぶってないで教えなさいよぉ!」
部長の翠星寺葵が身を乗り出して聞いてくる。
「えぇっとですね。実は今度一緒に即売会に行く予定だった
売り子に急用ができてしまって・・・」真由里が申し訳なさそうに言う。
「売り子?」「ああ、即売会で本を売ってくれる人の事です。」
沙由美の言葉に真由里が答える。
「へーそんな人がいるのね」
「うちのサークルみたいにメンバー全員がレイヤーの場合は、誰かしら
撮影ブースに行ったりするんで、ずっとスペースにいて本を売ってくれる人が必要なんですよ」
「へえー・・・そうなんだ」
専門用語を解説なしに織り交ぜてくる真由里に、沙由美はちょっと面食らう。
「それでその人が来れなくなったっていうわけなのね」
「はい・・・。せっかく久々の即売会だったんだけどなぁ」
真由里が残念そうに呟いた。
「まあまあ、そういうこともあるわよね」
沙由美が慰めるように言った。
「今からでもだれか捕まえられればいいですがねぇ・・・」
真由里が困ったように言う。
「再来週1日暇な人がいてくれればいいのよね?」と葵が聞く。
「はい・・・できれば女の子がいいかなと。」
「男だと駄目なんですか?」
「ダメというわけではないんですが・・・うちの読者さんて大体女の子なんで・・・
あと売り子に用意したコスプレ衣装も女性のものですし・・・」
「ふむぅ・・・」
沙由美が顎に手を当て考える仕草をする。
「あっそうだ!それならちょうどぴったりの子がいるわ!!」
沙由美はポンッと手を叩くと真由里に向かって嬉々として言い放った。
「えっ!?誰です!?」真由里が驚いて聞き返す。
沙由美はにっこり笑いながらある人物を指さす。
「あなたよ!!圭ちゃん!!!」
沙由美が満面の笑みを浮かべた。
「な、なんで僕なんですか?!」圭太が驚きの声を上げる。
「だってどーせ暇なんでしょ?」
「そ、それは確かにそうかもしれませんけど・・・。で、でも僕は男ですよ。
それにコミケの売り子なんてしたことないし・・・」
圭太は俯困惑して反論する。
「いえ、あんな歴戦の猛者が集うような場所じゃなくて、
知り合いのサークルが主宰する小規模なものですので・・・」
と真由里が反論する。「歴戦の猛者って・・・」
「会場も広めの市民会館ですから、コスプレも売る本の内容も
過激なものは禁止なおとなしめのイベントですよ。」
と真由里がさらに続ける。
「お客さんの層はどんな感じなのかしら?」
沙由美が興味深げに尋ねる。
「どちらかと言うとお姉さま系が多いですね。
男性向けより女性向けの作品の方が多いので。
男性のお客さんもいるにはいますがそこまで多くはないですね。」
「なるほど・・・」
「・・・まぁ即売会の規模としては、圭太様が売り子でも
おそらく問題はないでしょうね。」
真由里は少し考え込むと、圭太を見つめながら言った。
「どうしようかしら~圭ちゃん♪」
沙由美は楽しげに圭太に問いかける。
「そんなこと言われても・・・」圭太はちょっと言葉を濁す。
「もちろん、圭太様に無理強いするつもりは全くありませんので、
嫌であれば断っていただいて構いませんけど・・・」
真由里は申し訳なさそうな表情で言う。
「僕なんかが行ってもいいんでしょうか・・・」
圭太は不安そうに真由里に尋ねた。
「大丈夫だと思います。サークルの子たちも会いたがってたし、
むしろ圭太様なら大歓迎されると思います。」
「あはは・・・」圭太は苦笑いした。
「あ、そうだ!圭太様は『SKY ARROW WARS』ご存じでしたっけ?」
「はい。今男性にも女性にも人気のソシャゲですよね。」と圭太が答える。
「良かった、今回はそのジャンルオンリーなので。」
「へぇー。」
「じゃんる・・・おんりー??」
「あ、そのゲーム関連のモノしか扱わないってことです。」
既についていけなくなってきている沙由美たちに真由里が説明する。
「ちなみに私の推しは主人公のコウガくんです。」真由里は目を輝かせて言う。
「ああ、あの主人公かっこいいですもんねぇ。わかります。」
「はい!もうほんっとにイケメンで強くて優しく・・・ととと、私の事はともかく、
当日圭太様に着ていただくのは、『時のプリシラ』になりますが・・・」
「あ、あの『命を持った人形』ですか?」
「そうそう。」
「でもいいんですか?あんな人気キャラを・・・」
「ええ、全然OKです。というより、圭太様なら絶対似合うと思うんですよ!」
「そ、そういうものなんでしょうか?」
「はい!きっとみんな喜びますよ。」
真由里は自信満々に言い切った。

盛り上がる圭太たちとは裏腹に、沙由美たちは完全について来れない。
「これが・・・ジェネレーションギャップってやつ?」
「私もあんまり知らないんだけど・・・」
「ふぅむ・・・」
3人は首を傾げるばかりだった。

「当日はよろしくお願いしますね。」
「は、はい。こちらこそ。」
こうして、圭太の即売会参加は決まってしまった。
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