服飾文化研究部にようこそ!~僕が女装させられて、先輩たちのオモチャにされるにされる日々~

桃ノ木ネネコ

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第25話:愛玩する者される者(前編)

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<前回までのあらすじ>
主人公白石圭太は美人保険医が顧問の『服飾文化研究会』に強引に入れられる。
しかしそこは服飾研究とは名ばかりのコスプレHを楽しむ場所であった。
そこで祥太は言われるがままに女装して、顧問の沙由美と先輩部員たちに
オモチャにされる日々を送っている中、謎の女装男子youtuber・グレンと知り合う。
(あらすじここまで)

某日深夜。
円城紅蓮ことグレンは全裸でベッドに横たわりながらスマホをチェックしていた。
服を着ていないのはシャワーの後、服を着るのが面倒なためである。
(明日のスケジュールは、これでよしかな。)
スマホを操作して、明日の配信予定を確認する。
明日は深夜枠で生配信である。
視聴者参加型の企画もあり、その準備も万端だ。
あとは寝ればOKというところで、ふいにある人物の顔が思い浮かんだ。
(……あいつ、どうしてるかな?)

***
それから数日後の週末。圭太は翠と買い物に出ていた。
これは翠の衣装作成の材料の買い出しである。
少しづつ外出回数も増えている翠だが、一人での買い物はまだ怖いということで
付き添い兼荷物持ちをお願いされた次第だ。
(俺以外の男性と未だにまともに話せないからな翠さんは)
そう思うと、この役回りも仕方ないと思う圭太だった。

いつものように二人で歩いていると、前方から見知った顔が現れた。
それは先日出会ったグレンだった。
流石に今日は女装姿ではなく、
黒いスーツにカモフラージュと思われるメガネをかけている。
(見た目が派手だからあれでも目立つなぁ・・・)と思いながら見ていると、
しかも隣には見知らぬ女の子が2人いた。
グレンと同年代くらいだろうか? どこか素朴な雰囲気の少女達だ。
「さぁ、今どんな気分だい?」にこやかに話しかけるグレンに対し、
少女たちは「あの・・・これはちょっと・・・」妙におどおどして震えている。
「おいおいどうしたんだい?そんなに緊張しなくてもいいんだよ」
「いえ、別にそういうわけでは・・・」
「うーん困ったねぇ。ボクに言い出したのは君たちの方じゃないか」
グレンはそこまで言うとこちらに気付いたのか近寄ってきた。

「やぁ、久しぶりだねプリンセス。」
笑顔で挨拶してくるグレンに対して、圭太は軽く会釈する。
(誰がプリンセスだ・・・)と、ちょっと内心引っかかるものはあるが。
そして隣の少女達に視線を向ける。
2人ともグレンの知り合いなのか? そう思った圭太だったが、どうにも様子がおかしい。
まるでグレンのことを恐怖の対象として見ているような感じなのだ。
するとグレンはニヤリと笑い
「君たち、もう帰ってもいいよ」と声をかけた。
少女たちも「うん、そうする・・・」と言って帰っていく。
その瞬間、グレンが大声で「石田!村上!また明日学校でな!」と呼びかける。
少女たちはその声に恐怖の顔を浮かべ、そそくさと帰っていった。
「なんだよあの子たち」と圭太が尋ねると
「ああ、ボクの同級生だよ」とグレンは答えた。
(こいつ学校行ってたのか・・・)と圭太がちょっと失礼なことを考えてると、
「ただ、ちょっと違うのはあの子たち二人とも男性ってことかな?」
とちょっと冷ややかな笑顔で言う。それを聞いて圭太はゾッとした。
(じゃああの最後の名前呼びは・・・わざとだなきっと・・・)
こんなわずかな時間で彼の残酷性を垣間見ることになる。

もし彼女たちが男だとしたら・・・ いやまて、そもそもどうやって女装させたんだ・・・?
圭太は思わず疑問を口にする。
グレンは少し考えてから、こう言った。
「うーん・・・発端は校内1のイケメンを自負する奴と、
秀才を自慢する奴が、それぞれボクに物申そうと近づいてきたから
同時に何となく相手したらこんなことになってたよ。」
「なんとなくでなんでそうなるんだよ!」思わず声に出して突っ込む。
「ボクもそれが不思議でね」とグレンは平然としている。
圭太は頭が痛くなってきた・・・。
(相変わらず恐ろしい奴・・・)
そして彼は思い出したように、こう言った。
「ところで後ろのお姉さんをいつまでほったらかしにしてるの?」

「え?・・・あ・・あ・・・」
ずっと黙っていた翠は、グレンに突然声を掛けられて驚いたようだ。
「だ・・・大丈夫。慣れました・・・から・・・」
(だ・・・大丈夫じゃないような)
そんな翠の様子を見たグレンは
「初めまして!ボク円城紅蓮っていいます!
圭太先輩にはいっつもお世話になってまーす!」
・・・先ほどの冷たい笑顔とはまるで違う明るい表情で挨拶する。
「は、はい。はじめまして・・・」
翠もその変わり様に面食らっている様子だった。
「こちらこそよろしくお願いしまーす!ね、センパイ!」
頭がクラクラしてきた圭太だったが
(そうか・・・こいつまだ中学生だったんだな、そういえば)
と彼がまだ自分たちより年下であることを思い出していた。
「さて、センパイはこれからどうするの?」とグレンが聞く。
「用も済んだし飯食って帰るだけだよ・・・」
「ふーん、ボクも今日はオフだしお付き合いしようかな?」
「お前はオフの日に同級生を女装させて遊んでるのかよ・・・」
圭太が呆れた顔でつぶやくと、 グレンは一瞬きょとんとして、それから大きな声で笑った。
なんだコイツと思いながら、圭太たちは食堂へと向かった。


「・・・・・・・。」
「どうしたの?さっきからだまって?」
同じテーブルに着いた3人だったが、
その食事風景にグレンがドン引きする事態となった。
「・・・いや、お姉さんはそんなに食べて・・・
平気・・・なんですか?」
「大丈夫・・・です。・・・最近・・・控えてます。」

「そ、そうなんですね。」
「はい・・・。」
グレンはなぜか敬語になっている。
翠が食べるスピードはゆっくりだが、とにかく量が多い。
この小さな体のどこに入るのかと思うほど、
次から次に料理が消えていく。

その様子を見ていたグレンは圭太の方に目をやるが
こちらもこちらで激辛チャレンジなるものに挑戦していた。
見た目はただのカレーなのだが、
スプーンですくい上げた瞬間からもう刺激臭がする。
そのまま口に入れると、 舌が焼けるような痛みを感じるとともに、
強烈な香りが鼻を突き抜けていきそうだ。
しかし圭太はそれを気にせず口に運ぶと 次の一口をまた平気な顔で食べる。
「あの・・・それ、おいしいのかい?」
「え?何で?」とケロリとしてる。
「いやその・・・」
(なんというかキミは・・・すごいね。)
「不味かったら注文なんてしないだろ?」
そう言って再び激辛チャレンジを続ける圭太。
「でも、これくらい普通だと思うぞ?」
「・・・・・」
こんな二人を目の当たりにしては流石のグレンも黙りこくり、
青い顔でサラダを突っつく他なかった。
(どうやらこの二人とは一緒に食事をしてはいけないようだ・・・)

そんなわけで二人から壮絶なカウンターを食らったグレンだったが、
デザートのハーブティーで何とか回復し、また話し出した。
特に翠との衣装トークでは盛り上がっていた。
これは男性が苦手という翠のために
かなり気を使ったトークをしていたせいだ。
「へぇ、装飾品にレジンを使うと宝石のように見えるんですね。」
「はい・・・裏側を・・・銀色に塗れば・・・輝きが・・・増します」
(流石人気ユーチューバー、話を合わせるのが上手い・・・)
「じゃあこのスカートのフリルも自分で作ったりするの?」
「はい・・・結構時間・・・かかり・・・ましたけど・・・」
楽しそうに話す翠を見て、
(こうやって他人と話すことへの警戒が解ければいいけど)
とちょっとだけグレンに感謝していた。

そして帰り際。
「・・・センパイ、ボクたち友達になれたよね?」とグレンが言う。
「・・・ん、まぁそうだな。」
「色々と話も聞けて、楽しかったよ。」
「・・・君がそこまで悪い奴じゃないのは分かったよ。」
「・・・相変わらず口が減らないなぁ。じゃあこれはお近付きのしるしに・・・」

そういうと、グレンは翠の頬にキスをした。

「!!!!!」突然の事に固まる翠。
「お前!なんてことを・・・」思わず声を荒げる圭太。
「大丈夫、ボクは女の子の唇はやすやすと奪ったりしないよ!じゃあまた会おう!」
そう言うとグレンは帰っていった。
(その割には前に俺の唇はやすやすと奪っていったよな・・・)
と心の中でツッコむ圭太だったが、それより今は翠だ。
「翠さん!大丈夫ですか?!気を確かに!!」
「・・・・・」翠は完全にフリーズしていた。
「翠さーん!!!」
翠の肩を掴んで揺らすと、ようやく意識を取り戻した。
「・・・っ!!・・・」
圭太の顔を見ると、みるみると翠の白い肌が赤く染まっていき、
ついには頭から湯気が噴き出してしまった。
(やっぱりあいつはとんでもない!)
そう思いながら、圭太は買い出し荷物とともに、
真っ赤になる翠を家に送り届けるのだった。
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