服飾文化研究部にようこそ!~僕が女装させられて、先輩たちのオモチャにされるにされる日々~

桃ノ木ネネコ

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第23話:お見合いなんて認めない〈その3)

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前回あれほど(色んな意味で)頑張って
証拠を手に入れたにもかかわらず、

なんと見合いが決行されたというのだ。
圭太たちが持ち帰った証拠もあったがそれでも行われたと、
藤乃から連絡があったのは、見合いから2週間ほど経った後だった。
「マジですか・・・」
「敵は思った以上に強行してるようね。」
「しかも葵はすでに3回も断っているのに・・・相手がまだ食い下がってるの。」
「それは・・・ちょっとまずいかもしれませんね。」と沙由美が言う。
「え・・・?」
「そこまで食い下がってるということは、相手はかなりしびれを切らしている状態よ。
何をしでかすかわからないわ。」
確かに、ここまでしつこいとなると何か仕掛けてくるかもしれない。
「何とかなりませんか?ふーちゃんさん!」
圭太は思わず叫んでしまった。
少し間を置いて、藤乃は答えた。
「・・・今度また葵と鈍川が会うの。葵も今まで以上に突っぱねると思うわ。
あの子ハッキリ言うときはかなり強い言葉を使うから、
それを聞いたら諦めるかも・・・」
「そうなんですか!それなら・・・」
「問題はその後よ。何をしでかすかわからなくなるのは。」
「そんな・・・」
「誰か常に見張っていてくれる存在がいればいいんだけど・・・」
「そうね、今度二人が会う店は私の知り合いの店だから、
頼み込めば誰か一人ぐらい見張り役を潜り込ませることができるかも・・・」
「ならだれかが潜り込めば・・・」と言いかけたところで圭太は
二人の視線が自分に集まっていると気付く。
「え?俺・・・」
「そうね、それが一番いいでしょうね。」と沙由美も同意した。
「そうねわたくしからもお願いしたいわ。」
(まぁ・・・拒否権はないんだろうな今回も)

そんなこんなで当日。
圭太は藤乃の知り合いの店に潜入することになった。
ウェイトレスとして。
(やっぱりこんな展開かぁ・・・)
本人による「これウェイターでも問題ないのでは?」という抗議はもちろん却下された。
「あなたには面倒をかけてしまったわね。」
事前に葵に謝られる。
「いえ、僕も葵さんのこと心配ですから。」
「一応感謝しておくわ」
「ま、ついててもしょうがないかもしれないですけどね」

しばらくすると鈍川がやってくる。
一見眉目秀麗な見た目だが、爽やかさが皆無な感じの人物だ。
(一言でいえば『胡散臭い』・・・)などと思いながらも
圭太は愛想笑いを浮かべ、テーブルへと案内する。
「いらっしゃいませ、こちらへどうぞ」
「ああ、ありがとう」
席に着く二人。
圭太はテーブルの近くに付き、耳をそば立てる。
二人の話し合いが始まる。
いや、話し合いとして成立していたのかも怪しい。
なぜならば初っ端から葵の圧勝ムードだったからだ。

鈍川は葵の話を何とか取り付くをうとするが理路整然とした態度の葵に
バッサリと斬られる。しかも鈍川が何か言い返そうとすれば、
その度に圭太がわざとらしく邪魔に入った。
定番の「水お代わりいかがですか~」から、横でわざと大きな音をたてたりなど、
ことごとく反論のタイミングを崩していった。
更に葵の返す刀での一撃のような反論と、
ひそかに組まれたタッグの威力を遺憾なく発揮した。
成人してるとはいえ金持ちのボンボンでは勝てるはずはなかった。

(怒ってるときの葵さんの言葉って突き刺さるからなぁ・・・)
そして葵がとうとう最後の一撃を加える。
鈍川の見合いへの意欲についてである。
葵は見合いを受けるつもりは微塵もないこと、
今回の見合いはただの形式上のものであり自分にその気は全くない旨を伝える。

「私とあなたでこれ以上話し合ってもあなたに好意的な気持ちを持つことはできません。
つまりまったく持って時間の無駄ということです!もう連絡をしないでください。
そして金 輪 際 私の前に顔を出さないでください。」

「ぐぅ・・・・!」
鈍川の顔が怒りで真っ赤に染まる。
(あーこりゃ終わったかな・・・)
「じゃあお会計お願いします」
「はい」
圭太が伝票を持ってレジに向かう。
鈍川が慌てて立ち上がるが圭太が足を引っかける。鈍川が派手に転ぶ。
鈍川が痛みに耐えながら立ち上がり、葵の方を睨みつける。
葵は涼しい顔のまま、鈍川を一顧だにせず店を出ていく。
その後圭太が「お客様~忘れ物ですよ~」とわざとらしい声をあげて店を出て追いかける。
これは葵をバス停まで無事に送り届ける口実である。

「今日はごめんなさいね。色々と突き合わせてしまって。」
葵が圭太に話しかけてくる。
「いえ、僕は別に何も。あとでふーちゃんさんにもお礼を言っておいてください。
今回の事をおぜん立てしてくれたのはあの人ですから。」
「ふーちゃん・・・さん?」
「あのお身内の方ですよ」
「あ・・・ああ分かったわ。」
歩いているうちに公園前のバス停が見えてくる。時間は8時を回っている
「ここまでで大丈夫よ。ここなら人通りが多いし、道も明るいしで心配ないわ」
「分かりました。じゃあ僕はこの公園の歩道突っ切って店に帰ります。
この格好で人目に付きたくないし、近道なんで。」
そう言って圭太は公園に入っていった。

そうして公園の歩道を歩く圭太だが、街中とはいえ夜の大型公園は不気味である。
(さっさと帰ろう・・・)店への近道となる1本道を早足で歩いた。

その時だった。
「!?」
圭太はいきなり誰かに背後から掴まれ口をふさがれる。
(な・・・なんだ?!)
「お前・・・さっきから邪魔ばかりしてきてたが、
やっぱりあの女とグルだったか!」
ものすごい力で押さえつけられ植え込みの中に押し倒される。

声の主は・・・鈍川だった。

圭太は必死でもがく。しかし男の力は強く、逃れることができない。
「まったく、可愛い顔して馬鹿にしやがって!」
そういう鈍川のその眼はとても正気とは思えなかった。
よく見ると多少酒も入っているようにも見える。
どうやら公園でヤケ酒食らっているところに出くわしたようだ。
(ダメだ!ちょっとおかしくなってる)
圭太は渾身の力を込めて、鈍川の腕を振りほどく。
鈍川は一瞬ひるむものの、すぐに体制を立て直す。
圭太は逃げようとするが、すぐさま鈍川につかまる。
今度は地面に仰向けに押さえつけられる
(え・・・こ、これはちょっとまずい展開?!)
と恐怖おびえる一方で
(まてよ、男なら実質的な実害でないかな・・・)
などと妙な考えが頭をよぎる。

「さぁちょっと大人しくしような」鈍川が圭太のブラウスのボタンを外す。
(ちょ・・・待ってこれだと・・・)
女装中、圭太はブラをしているが、乳房はないので実質中身は空っぽである。
(これ・・・ブラに指突っ込まれたら・・・男ってバレるか?!)
圭太はなんとか拘束を逃れようともがき続ける。
そんな様子をみて鈍川の興奮が高まっていく。
そしてついに・・・ブラジャーに手をかけ指を入れる。
(これで男ってバレるな・・・)と圭太が覚悟しかけた瞬間。
「おや・・・サイズの合わないブラ付けて胸を大きく見せてたんだ・・・
意外とかわいいところがあるじゃないか・・・」
「?!」
圭太は絶句する。何を考えとるんだこの男は?!
(いや胸が小さいとかの問題じゃなくて、胸筋しか存在してないだろ!!)
などと思うも口に出せるはずもない。口をふさがれている。
すると鈍川がさらにとんでもない行動に出る。
スカートに手をかけ始めたのだ。そしてその手は下着の方へ・・・
(いやダメだ!そっちは色んな意味でダメだ!!!)

「う、うぐっ!うぐっ!」
さすがにこれは涙目で抵抗する。しかし鈍川は容赦しない。
(もうだめだ!)圭太が観念しかけたその時。
「あなた・・・何してるの!?」
という声とともに突然鈍川の体が吹っ飛んだ。
鈍川はそのまま地面を転がっていく。
圭太が見上げるとそこには葵の姿があった。
鈍川は、葵から顔面に平手打ちどこか渾身のグーパンを食らっていた・・・
「葵さん!?」ようやく戒めが解けた圭太は声を出す。
葵はものすごい形相で肩で息をしていた。
「恥を知りなさい・・・!」

鈍川の方を見ると、まだよろよろと立ち上がろうとしていたので、
「こいつ!」と圭太が背後から渾身のチョークスリーパーで責め落とした。
(姉ちゃん直伝だ・・・たっぷりくらえ!)とかなりの個人的な恨みを込めた締め技で
鈍川は完全に意識を失って倒れた。

とりあえず2人は公園のベンチで一休みすることにした。
「どうする?警察に届ける?」
「いえ・・・経緯が複雑すぎて、説明しきれないからやめておきます・・・」
そう言って圭太はため息をつく。
「どうして来てくれたんですか?」
「バス停からあなたの帰る姿を見ていたら、
突然姿が見えなくなったから慌ててきてみただけよ。
それが・・こんなことになってるなんて。」
「でも・・・助かりました。」
「あなたはいつも体張り過ぎよ・・・」葵が呆れたように言った。
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