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第13話:遅れてきた新入部員(前編)
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<前回までのあらすじ>
主人公白石圭太は美人保険医が顧問の『服飾文化研究会』に強引に入れられる。
しかしそこは服飾研究とは名ばかりのコスプレHを楽しむ場所であった。
そこで祥太は言われるがままに女装して、顧問の沙由美と先輩部員の葵たちに
オモチャにされる日々を送っているが、前回遂に誰かのために自らの意思で
女装をするという行動に出たのだった。
(あらすじここまで)
あの文化祭から1ヶ月が経った。
一時期圭太のあの女装姿が話題を呼び、学校内外を問わず人気となったが、
普段の圭太自身は、小柄ではあるがいたって普通の高校生であるため、
次第に皆の熱は冷めていった。
しかし一部の「ちっちゃいもの大好き」な女子からは熱狂的に支持され、
ひそかにファンクラブが設立されていたが、圭太本人は知る由もなかった。
「うーん……」
そんな圭太も、あれ以来すっかり女装にも慣れてしまい、
今や完全に自分の一部となりつつあった。
今日も放課後になると、部活がある為、いそいそと着替え始める。
「ふぅ……」
圭太は小さくため息をつく。
(沙由美先生から無理矢理女装させられてから早数ヶ月・・・
いつまでこんな生活が続くのか)
もはやこの悩みも恒例となっていた。
「どうしたんだい? 圭ちゃん?」
後ろを振り向くとそこには沙由美がいた。
「あ……いえ別になんでもないです」
圭太は慌てて返事をする。
そんな時部室のドアをノックする音がする。
「失礼・・・します。」部員の松山翠だった。
「あら! 翠ちゃんじゃない!久しぶりね!」
そう言うと沙由美は翠の元へ駆け寄る。
「先生・・・実は・・・入部・・・希望者を連れて・・・来ました。
ほら・・・入って」
相変わらずの途切れな口調で誰かを呼ぶ。
(あの人間不信な翠さんが…誰かを呼んでる?)
圭太たちが不思議に思っていると、入ってきたのは、
ショートヘアにメガネの地味な見た目の女生徒だった。
その女生徒が軽く会釈すると、自己紹介を始めた。
彼女の名前は、2年C組の藍川真由里と言った。
「初めまして!こちらの翠殿には日ごろから大変お世話になっております!」
「えっと・・・翠さんのお友達ですか?」
突然の訪問客に戸惑った様子で圭太は質問をした。
「はい・・・前に話した・・・コスプ・・・レイヤーの」
「ああ、あの翠さんの衣装サイトをよく利用しているっていう・・・」
「はい・・・あの後・・・同じ・・・学校と知って・・・」
二人がそんなやり取りをしていると、真由里が圭太に熱い視線を送ってきているのを感じた。
圭太は「あの・・・僕に何か?」と問いかけると
真由里は「はうっ!」と叫ぶとその場に突っ伏した。
「どうしたんですか?!」と再び問いかけるも、更にに突っ伏した状態で悶絶していた。
「押しに・・・話しかけられるなんて・・・」
「えぇ・・・」
(なんだこいつ・・・)
呆気に取られていると今度は沙由美が真由里に声をかけた。
「ねぇ真由里ちゃん? せっかく来たんだし、あなたも圭ちゃんの可愛い姿見たいわよね~?」
「はい!ぜひ!よろしいのですか?!」
「え?いやちょっと待ってくださいよ!」
「いいわよね?圭ちゃぁん♡」
「あ、ハイ・・・(だめだこれは逆らえない)」
こうして圭太はまたしても着せ替え人形になることが決まったのであった。
「ああ・・・尊くて・・・死ぬ。」
「真由里・・・しっかりして・・・まだ死なれたら困る・・・」
衣装を着替え終わった圭太が部室に戻ると、真由里は目をキラキラさせながら、
スマホのカメラ機能でパシャリ、パシャリと圭太の姿を撮っていた。
「ちょっと翠さん、この人どういう人何ですか?」と圭太は翠に耳打ちする。
「あ・・・うん。彼女は・・・」
「はいぃ!私は、圭太様の忠実な下僕にして奴隷、そして信者でございますぅ!」
翠の声を遮るように真由里が割り込んできた。
「ハイ、あの文化祭でお見掛けいたしまして!それ以来ずっと押しとしてきました!
そうしたらこちらの翠殿が圭太様とご懇意であるとお聞きいたしまして・・・」
真由里はひたすらしゃべり続ける。
(すごいマシンガントークだ・・・)と、圭太が呆れていると
「翠殿から『ここならもっとキラキラした圭太様が見れる』と伺いました!」
「そ、そうなんですか?」
「はい!なので、これからは私もお仲間に加えていただきたく存じます!!」
「えぇ……」
「もちろんタダというわけではございません!私特技がありますので!」
とここまで言うと真由里は持ってきたカバンを取り出し、
「それではちょっと更衣室を使わせていただきます!」
と一人で更衣室に入り込んでしまった。
「なんかものすごい人でしたね・・・」
「いつもは・・・かなり・・・冷静なんだけど」
「・・・へぇ、なかなか面白い子じゃない。」と口々に感想を述べていると
更衣室のドアが開き始めた。
そして現れたのは・・・銀髪に漆黒のスーツを身にまとった美少年だった・・・。
「ファーガ王国4騎士の一人!激震のグランデ!ここに参上!」
とポーズを決めて見せた。その瞬間、真由里以外の全員の表情が変わった。
「すごい・・・本当にグランデだ。」と圭太が驚きの声を上げる。
「圭ちゃん、知ってるの!?」
「知ってるも何も今大人気のゲームのキャラですよ・・・」
「ふむ、君は僕のファンかな?君のような美しい人に覚えてもらえているとは光栄だよ。」
先ほどまでと口調も声色もがらりと違う。
皆で呆然としていると真由里は上着のポケットからメガネを取り出し、それを掛けると
「まあこんな感じで」と元の口調に戻る。
翠以外の二人がずっこけた。
「き、切り替え早いですね。」
「うーんあなたも着替えると性格変わる系?」
「いえ、これはキャラの動きと性格を分析してトレースしたうえでの演技です。」
「あとなんか身長もさっきより高くなっていませんか?」
「このシューズのせいですねこれを履くと身長が10cmほど高くなります。」
「!」少しだけ圭太の目の色が変わる。「落ち着きなさい、本当に背がのびるわけじゃないんだから!」
と沙由美にたしなめられる。「わかってますがね」と圭太が不貞腐れる。
***
「・・・以上が私の特技となります。」と再び制服に着替えた真由里は言った。
続けて「入部許可していただけますでしょうか!」と懇願するように言う。
「うちは年中新入部員大歓迎よ!特にあなたみたいな子は」と沙由美。
「じゃあ、よろしくお願いします。」
こうして真由里は圭太たちの部活に仮入部することになった。
「というわけでこれはお祝いのプレゼント~」とその瞬間、
沙由美が圭太の来ているチャイナメイド服のスカートをめくりあげる。
「ちょっ……!」
慌てて裾を押さえるが時すでに遅し。
スカートの下の下着があらわになる。
「あなたという人は!」と圭太が抗議する横で
ぱたんっ
と何かが倒れる音がした。
見ると真由里が鼻血を吹いて倒れている。
「ちょっと真由里さん大丈夫ですか!」と圭太が駆け寄る。
すると真由里は
「あぁ、これが噂の『尊み』というものなんですね……。ありがとうございます……。」
と言い残して気絶してしまった。
「すごい人が入ってきちゃったな・・・」
流石の圭太もそれ以外に呟けなかった・・・
つづく
主人公白石圭太は美人保険医が顧問の『服飾文化研究会』に強引に入れられる。
しかしそこは服飾研究とは名ばかりのコスプレHを楽しむ場所であった。
そこで祥太は言われるがままに女装して、顧問の沙由美と先輩部員の葵たちに
オモチャにされる日々を送っているが、前回遂に誰かのために自らの意思で
女装をするという行動に出たのだった。
(あらすじここまで)
あの文化祭から1ヶ月が経った。
一時期圭太のあの女装姿が話題を呼び、学校内外を問わず人気となったが、
普段の圭太自身は、小柄ではあるがいたって普通の高校生であるため、
次第に皆の熱は冷めていった。
しかし一部の「ちっちゃいもの大好き」な女子からは熱狂的に支持され、
ひそかにファンクラブが設立されていたが、圭太本人は知る由もなかった。
「うーん……」
そんな圭太も、あれ以来すっかり女装にも慣れてしまい、
今や完全に自分の一部となりつつあった。
今日も放課後になると、部活がある為、いそいそと着替え始める。
「ふぅ……」
圭太は小さくため息をつく。
(沙由美先生から無理矢理女装させられてから早数ヶ月・・・
いつまでこんな生活が続くのか)
もはやこの悩みも恒例となっていた。
「どうしたんだい? 圭ちゃん?」
後ろを振り向くとそこには沙由美がいた。
「あ……いえ別になんでもないです」
圭太は慌てて返事をする。
そんな時部室のドアをノックする音がする。
「失礼・・・します。」部員の松山翠だった。
「あら! 翠ちゃんじゃない!久しぶりね!」
そう言うと沙由美は翠の元へ駆け寄る。
「先生・・・実は・・・入部・・・希望者を連れて・・・来ました。
ほら・・・入って」
相変わらずの途切れな口調で誰かを呼ぶ。
(あの人間不信な翠さんが…誰かを呼んでる?)
圭太たちが不思議に思っていると、入ってきたのは、
ショートヘアにメガネの地味な見た目の女生徒だった。
その女生徒が軽く会釈すると、自己紹介を始めた。
彼女の名前は、2年C組の藍川真由里と言った。
「初めまして!こちらの翠殿には日ごろから大変お世話になっております!」
「えっと・・・翠さんのお友達ですか?」
突然の訪問客に戸惑った様子で圭太は質問をした。
「はい・・・前に話した・・・コスプ・・・レイヤーの」
「ああ、あの翠さんの衣装サイトをよく利用しているっていう・・・」
「はい・・・あの後・・・同じ・・・学校と知って・・・」
二人がそんなやり取りをしていると、真由里が圭太に熱い視線を送ってきているのを感じた。
圭太は「あの・・・僕に何か?」と問いかけると
真由里は「はうっ!」と叫ぶとその場に突っ伏した。
「どうしたんですか?!」と再び問いかけるも、更にに突っ伏した状態で悶絶していた。
「押しに・・・話しかけられるなんて・・・」
「えぇ・・・」
(なんだこいつ・・・)
呆気に取られていると今度は沙由美が真由里に声をかけた。
「ねぇ真由里ちゃん? せっかく来たんだし、あなたも圭ちゃんの可愛い姿見たいわよね~?」
「はい!ぜひ!よろしいのですか?!」
「え?いやちょっと待ってくださいよ!」
「いいわよね?圭ちゃぁん♡」
「あ、ハイ・・・(だめだこれは逆らえない)」
こうして圭太はまたしても着せ替え人形になることが決まったのであった。
「ああ・・・尊くて・・・死ぬ。」
「真由里・・・しっかりして・・・まだ死なれたら困る・・・」
衣装を着替え終わった圭太が部室に戻ると、真由里は目をキラキラさせながら、
スマホのカメラ機能でパシャリ、パシャリと圭太の姿を撮っていた。
「ちょっと翠さん、この人どういう人何ですか?」と圭太は翠に耳打ちする。
「あ・・・うん。彼女は・・・」
「はいぃ!私は、圭太様の忠実な下僕にして奴隷、そして信者でございますぅ!」
翠の声を遮るように真由里が割り込んできた。
「ハイ、あの文化祭でお見掛けいたしまして!それ以来ずっと押しとしてきました!
そうしたらこちらの翠殿が圭太様とご懇意であるとお聞きいたしまして・・・」
真由里はひたすらしゃべり続ける。
(すごいマシンガントークだ・・・)と、圭太が呆れていると
「翠殿から『ここならもっとキラキラした圭太様が見れる』と伺いました!」
「そ、そうなんですか?」
「はい!なので、これからは私もお仲間に加えていただきたく存じます!!」
「えぇ……」
「もちろんタダというわけではございません!私特技がありますので!」
とここまで言うと真由里は持ってきたカバンを取り出し、
「それではちょっと更衣室を使わせていただきます!」
と一人で更衣室に入り込んでしまった。
「なんかものすごい人でしたね・・・」
「いつもは・・・かなり・・・冷静なんだけど」
「・・・へぇ、なかなか面白い子じゃない。」と口々に感想を述べていると
更衣室のドアが開き始めた。
そして現れたのは・・・銀髪に漆黒のスーツを身にまとった美少年だった・・・。
「ファーガ王国4騎士の一人!激震のグランデ!ここに参上!」
とポーズを決めて見せた。その瞬間、真由里以外の全員の表情が変わった。
「すごい・・・本当にグランデだ。」と圭太が驚きの声を上げる。
「圭ちゃん、知ってるの!?」
「知ってるも何も今大人気のゲームのキャラですよ・・・」
「ふむ、君は僕のファンかな?君のような美しい人に覚えてもらえているとは光栄だよ。」
先ほどまでと口調も声色もがらりと違う。
皆で呆然としていると真由里は上着のポケットからメガネを取り出し、それを掛けると
「まあこんな感じで」と元の口調に戻る。
翠以外の二人がずっこけた。
「き、切り替え早いですね。」
「うーんあなたも着替えると性格変わる系?」
「いえ、これはキャラの動きと性格を分析してトレースしたうえでの演技です。」
「あとなんか身長もさっきより高くなっていませんか?」
「このシューズのせいですねこれを履くと身長が10cmほど高くなります。」
「!」少しだけ圭太の目の色が変わる。「落ち着きなさい、本当に背がのびるわけじゃないんだから!」
と沙由美にたしなめられる。「わかってますがね」と圭太が不貞腐れる。
***
「・・・以上が私の特技となります。」と再び制服に着替えた真由里は言った。
続けて「入部許可していただけますでしょうか!」と懇願するように言う。
「うちは年中新入部員大歓迎よ!特にあなたみたいな子は」と沙由美。
「じゃあ、よろしくお願いします。」
こうして真由里は圭太たちの部活に仮入部することになった。
「というわけでこれはお祝いのプレゼント~」とその瞬間、
沙由美が圭太の来ているチャイナメイド服のスカートをめくりあげる。
「ちょっ……!」
慌てて裾を押さえるが時すでに遅し。
スカートの下の下着があらわになる。
「あなたという人は!」と圭太が抗議する横で
ぱたんっ
と何かが倒れる音がした。
見ると真由里が鼻血を吹いて倒れている。
「ちょっと真由里さん大丈夫ですか!」と圭太が駆け寄る。
すると真由里は
「あぁ、これが噂の『尊み』というものなんですね……。ありがとうございます……。」
と言い残して気絶してしまった。
「すごい人が入ってきちゃったな・・・」
流石の圭太もそれ以外に呟けなかった・・・
つづく
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