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第28話 正体を現す
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「綺麗な海ね……でも磯くさいわ……」
「来てみたけど何もないわね! 退屈よ!」
紆余曲折のあって凪江海岸へとやってきたシルヴィアとフレドリカは、海を眺めて黄昏ていた。
昼間であるのにも関わらず、周囲に人影は一切ない。
「……ええ、不自然なくらい何も感じないわ」
ぼそりと呟くシルヴィア。
彼女の言う通り、この場所は明らかに周囲に満ちる霊力の総量が少なかった。何者かの手が加わっていなければ、このような状況は作られない。
「――やっぱりあんたなんでしょ、ナルカミ」
フレドリカはそう言いながら、離れた場所に立っていた鳴神の方へ振り返る。
「珍しく積極的に提案をしてきたから、おかしいと思ったわ!」
「……だとしたら、どうしますか?」
「とっ捕まえてやるわ! S級妖魔なんか呼んじゃったんだから、場合によっては死刑ね! かわいそー!」
右手に紅く光る紋章を浮かび上がらせながら、そう宣言するフレドリカ。
「……安心しなさい。なるべく、痛くしないでおいてあげる。……動かないでいてくれればの話だけれど」
対してシルヴィアは、左手に青く輝く紋章を浮かび上がらせながら言った。
「ルーン文字を身体に直接……それが一等退魔師の扱う魔術ですか。実に興味深い」
鳴神は、余裕の表情を崩さずに三枚の式札を構える。
三名が相対した刹那、青空が一瞬にして夜空へと変化した。
鳴神は全力で準備をし、妖魔の力を高め、かつ二人を閉じ込めることができる結界を凪江海岸に作り出したのだ。これが徹夜の原因その一である。
「これがあなたの用意した罠? その札を使って強い妖魔を召喚するつもりなんでしょうけど、その程度じゃ私たちには勝てないわよッ!」
鳴神を睨みつけながら啖呵を切るフレドリカ。
「……確かにあなた方は強い。一等退魔師が二人も揃えば、大抵の脅威は返り討ちにできるでしょう」
「…………何が言いたいの」
シルヴィアは訝しげな表情で問いかけた。
「――だからこそ、見え透いた罠に容易く嵌ってくれる」
「………………」
「あなたたちが傲慢な馬鹿で助かりましたよッ!」
そう言って、鳴神は三枚の式札を天高く掲げ、三体の妖魔を召喚した。
「な、なによこいつら……ッ!」
「こんな妖魔……見たことがないわ……」
その悍ましい姿を見て、無意識のうちに後ずさる二人。
――鳴神が召喚したのは、三匹の怪虫だった。
それぞれが異なった姿をしているが、虫と人が混じり合ったような気味の悪い風貌であることだけは共通している。
「……蠅と蜘蛛と蝗。私と取り引きしておきながら、ほとんど役に立たなかったS級妖魔たちの成れの果てです」
そう話す鳴神。
式神たちの正体は、ベルゼブブ、ツチグモ、アバドンの三柱だった。鳴神が散らばった霊力と瘴気を一晩で必死に集め、式神としてどうにか復活させた存在だ。これが徹夜の原因その二である。
本来の力には遠く及ばないが、三体ともA級相当の力を持つ強力な妖魔たちだ。
「な、なにを……言っているの……? S級妖魔の成れの果て……?」
シルヴィアは困惑した様子で問いかける。
「……あなた方が見たものは幻覚などではありません。あの時、アバドンは確かにそこへ顕現していた。……そしてベルゼブブも、ツチグモも。確かに私が呼んだんだ」
「あ、ありえないわそんなことっ! だったら……どうしてそんな姿になってんのよッ!」
「くっくっく……! そんなこと……」
フレドリカの問いかけに対し、鳴神は肩を震わせながらこう答えた。
「私が教えて欲しいですよおおおおおおおおおおお!」
「えっ」「え……」
「なんでだよおおおおおお! 私のっ、私の数十年かけた計画がああああああああああッ! ぼくの考えた最強のっ、最強の呪いがあああああああッ! うわああああああああああああッ!」
頭をかきむしりながら絶叫する鳴神。
「…………」「…………」
沈黙する少女達。
「人に金をたかるゴミみたいな同僚ッ(月城)! 言うことを聞かない生徒ばかりのクソみたいな職場ッ! 偉そうなカス妖魔どもッ! 命懸けな業務内容の割に低賃金な職場ッ! クズみたいな同僚ッ(月城)! カスみたいな同僚ッ(月城)! そんなぼくのっ、ぼくの唯一の楽しみはこれだけだったのにいいいいいいッ! 趣味くらい自由にやらせてくれよおおおおッ!」
辺り一帯は居た堪れない空気に包まれる。
「だ、大丈夫よ。元気を出して! きっと良いことあるわ!」
「が、頑張っていれば、そのうち他にも楽しみが見つかるわよ……」
「貴様らもだクソガキがあああああああああああああッ!」
鳴神は血走った目で二人のことを睨みつけた。
「えっ? わ、私?」
「……酷い。心外だわ」
「なんなんですかその態度はああああああッ! ちょっと強くて偉いからって調子に乗るなああああああああああああああああああッ! 年上を敬えええええええええ!」
鳴神がうるさかったので、フレドリカとシルヴィアは耳を塞いだ。
「その腐り切った性根をおおおおおおおおおおォ! 叩き潰してやるよおおおおおおおおおおおおおおおッ! 虫さんいっけええええええッ! コイツらを潰せええッ! 私の苦悩を思い知れええええええッ! 教育開始いいいいいいいいいいッ!」
鳴神は、全力で怪虫たちに指示を出す。
「と、とにかくいくわよシルヴィアッ!」
「ええ……分かっているわフレドリカ」
フレドリカとシルヴィアは、拳を握りしめて同時に魔術を発動させた。
すると、二人の周囲に膨大な魔力が渦巻き始めるが、見た目の変化はない。
しかし、一目見てその異質さを感じ取った怪虫たちは、各々が使役する虫達を呼び集めて二人に嗾けた。
「………………ッ!」
すると、フレドリカに触れた虫たちは次々と燃え上がって塵と化し、シルヴィアに触れた虫たちは次々と凍りついて砕け散った。
「加熱と冷却……単純かつ根源的な魔術操作ですが、ここまで強力なものは初めて見ました……ッ! それがあなたたちのルーン魔術ですかァ……!」
鳴神は、二人の力を一瞬で見抜く。
「諦めなさいナルカミ! あんたじゃ私たちには勝てないわ!」
「そう……あなたは私たちを傷つけることすらできずに負けるの。……降伏するなら今のうちよ」
じりじりと距離を詰めてくる二人の少女。
「ぜ、絶対に諦めない! 頑張れ虫さんッ! 私たちならできるうううううッ!」
かくして、一連の事件の黒幕との決戦が始まる――
「来てみたけど何もないわね! 退屈よ!」
紆余曲折のあって凪江海岸へとやってきたシルヴィアとフレドリカは、海を眺めて黄昏ていた。
昼間であるのにも関わらず、周囲に人影は一切ない。
「……ええ、不自然なくらい何も感じないわ」
ぼそりと呟くシルヴィア。
彼女の言う通り、この場所は明らかに周囲に満ちる霊力の総量が少なかった。何者かの手が加わっていなければ、このような状況は作られない。
「――やっぱりあんたなんでしょ、ナルカミ」
フレドリカはそう言いながら、離れた場所に立っていた鳴神の方へ振り返る。
「珍しく積極的に提案をしてきたから、おかしいと思ったわ!」
「……だとしたら、どうしますか?」
「とっ捕まえてやるわ! S級妖魔なんか呼んじゃったんだから、場合によっては死刑ね! かわいそー!」
右手に紅く光る紋章を浮かび上がらせながら、そう宣言するフレドリカ。
「……安心しなさい。なるべく、痛くしないでおいてあげる。……動かないでいてくれればの話だけれど」
対してシルヴィアは、左手に青く輝く紋章を浮かび上がらせながら言った。
「ルーン文字を身体に直接……それが一等退魔師の扱う魔術ですか。実に興味深い」
鳴神は、余裕の表情を崩さずに三枚の式札を構える。
三名が相対した刹那、青空が一瞬にして夜空へと変化した。
鳴神は全力で準備をし、妖魔の力を高め、かつ二人を閉じ込めることができる結界を凪江海岸に作り出したのだ。これが徹夜の原因その一である。
「これがあなたの用意した罠? その札を使って強い妖魔を召喚するつもりなんでしょうけど、その程度じゃ私たちには勝てないわよッ!」
鳴神を睨みつけながら啖呵を切るフレドリカ。
「……確かにあなた方は強い。一等退魔師が二人も揃えば、大抵の脅威は返り討ちにできるでしょう」
「…………何が言いたいの」
シルヴィアは訝しげな表情で問いかけた。
「――だからこそ、見え透いた罠に容易く嵌ってくれる」
「………………」
「あなたたちが傲慢な馬鹿で助かりましたよッ!」
そう言って、鳴神は三枚の式札を天高く掲げ、三体の妖魔を召喚した。
「な、なによこいつら……ッ!」
「こんな妖魔……見たことがないわ……」
その悍ましい姿を見て、無意識のうちに後ずさる二人。
――鳴神が召喚したのは、三匹の怪虫だった。
それぞれが異なった姿をしているが、虫と人が混じり合ったような気味の悪い風貌であることだけは共通している。
「……蠅と蜘蛛と蝗。私と取り引きしておきながら、ほとんど役に立たなかったS級妖魔たちの成れの果てです」
そう話す鳴神。
式神たちの正体は、ベルゼブブ、ツチグモ、アバドンの三柱だった。鳴神が散らばった霊力と瘴気を一晩で必死に集め、式神としてどうにか復活させた存在だ。これが徹夜の原因その二である。
本来の力には遠く及ばないが、三体ともA級相当の力を持つ強力な妖魔たちだ。
「な、なにを……言っているの……? S級妖魔の成れの果て……?」
シルヴィアは困惑した様子で問いかける。
「……あなた方が見たものは幻覚などではありません。あの時、アバドンは確かにそこへ顕現していた。……そしてベルゼブブも、ツチグモも。確かに私が呼んだんだ」
「あ、ありえないわそんなことっ! だったら……どうしてそんな姿になってんのよッ!」
「くっくっく……! そんなこと……」
フレドリカの問いかけに対し、鳴神は肩を震わせながらこう答えた。
「私が教えて欲しいですよおおおおおおおおおおお!」
「えっ」「え……」
「なんでだよおおおおおお! 私のっ、私の数十年かけた計画がああああああああああッ! ぼくの考えた最強のっ、最強の呪いがあああああああッ! うわああああああああああああッ!」
頭をかきむしりながら絶叫する鳴神。
「…………」「…………」
沈黙する少女達。
「人に金をたかるゴミみたいな同僚ッ(月城)! 言うことを聞かない生徒ばかりのクソみたいな職場ッ! 偉そうなカス妖魔どもッ! 命懸けな業務内容の割に低賃金な職場ッ! クズみたいな同僚ッ(月城)! カスみたいな同僚ッ(月城)! そんなぼくのっ、ぼくの唯一の楽しみはこれだけだったのにいいいいいいッ! 趣味くらい自由にやらせてくれよおおおおッ!」
辺り一帯は居た堪れない空気に包まれる。
「だ、大丈夫よ。元気を出して! きっと良いことあるわ!」
「が、頑張っていれば、そのうち他にも楽しみが見つかるわよ……」
「貴様らもだクソガキがあああああああああああああッ!」
鳴神は血走った目で二人のことを睨みつけた。
「えっ? わ、私?」
「……酷い。心外だわ」
「なんなんですかその態度はああああああッ! ちょっと強くて偉いからって調子に乗るなああああああああああああああああああッ! 年上を敬えええええええええ!」
鳴神がうるさかったので、フレドリカとシルヴィアは耳を塞いだ。
「その腐り切った性根をおおおおおおおおおおォ! 叩き潰してやるよおおおおおおおおおおおおおおおッ! 虫さんいっけええええええッ! コイツらを潰せええッ! 私の苦悩を思い知れええええええッ! 教育開始いいいいいいいいいいッ!」
鳴神は、全力で怪虫たちに指示を出す。
「と、とにかくいくわよシルヴィアッ!」
「ええ……分かっているわフレドリカ」
フレドリカとシルヴィアは、拳を握りしめて同時に魔術を発動させた。
すると、二人の周囲に膨大な魔力が渦巻き始めるが、見た目の変化はない。
しかし、一目見てその異質さを感じ取った怪虫たちは、各々が使役する虫達を呼び集めて二人に嗾けた。
「………………ッ!」
すると、フレドリカに触れた虫たちは次々と燃え上がって塵と化し、シルヴィアに触れた虫たちは次々と凍りついて砕け散った。
「加熱と冷却……単純かつ根源的な魔術操作ですが、ここまで強力なものは初めて見ました……ッ! それがあなたたちのルーン魔術ですかァ……!」
鳴神は、二人の力を一瞬で見抜く。
「諦めなさいナルカミ! あんたじゃ私たちには勝てないわ!」
「そう……あなたは私たちを傷つけることすらできずに負けるの。……降伏するなら今のうちよ」
じりじりと距離を詰めてくる二人の少女。
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