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第25話 悪は滅びた
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「な、なにッ!?」
圧倒的な気配を感じ取ったフレドリカが上空を見上げようとしたその時、突如として周囲が真っ暗になる。
「手始めに、ここら一帯の全てを喰い尽くしてくれるわッ!」
昭間公園に顕現したアバドンは、思わず耳を塞ぎたくなるような悍ましい声で言った。
二人の頭上に姿を現した蝗の王は、鳴神が結界を一時的に破ることで、彼女たちが公園の奥へ踏み込むタイミングに合わせてこちらへ呼び寄せた存在である。
「あっ、あぁっ…………!」
自身の身体に纏わりつく醜悪な瘴気と、圧倒的な霊力に当てられ、その場に座り込んだまま口元を押さえるシルヴィア。
S級妖魔のアバドンは、一等退魔師である二人が力を合わせて立ち向かったところで、どうにかなる相手ではないのだ。
並外れた魔法の天才であっても決して届かない、絶望的な強さを持つ存在。
それがS級妖魔なのである。
「こ、ころさないで……ころさないでください……っ」
大粒の涙を流し、全身を震わせて無様に命乞いをするシルヴィア。
自分よりも遥かに強大な力を持った相手から敵意に近い感情を向けられることなど、彼女にとっては初めての経験だった。
――しかし、アバドンにとって彼女は他の有象無象と同じ取るに足らない存在でしかない。
敵意とはいっても、周囲を飛び回る邪魔な羽虫に向けられる程度のものでしかなかった。
だが、それでも二人の気力を削ぐのには十分である。
「ひい、ひいいいいいいいいッ!」
目を見開き、大量の冷や汗を流し、歯をガチガチと鳴らすフレドリカ。
恐怖のあまりあれほど嫌っていたシルヴィアに抱きつき、その場でぎゅっと目を瞑る。
「あ、あぁぁ……!」
「いやぁぁぁ……!」
そこに居たのは二人の大天才魔術師ではなく、完全に戦意を喪失した哀れな少女だった。
全ての終わりを悟り、白目をむいて気絶する二人。
――刹那。
「ぐわああああああああッ!」
アバドンは派手に爆発四散するのだった。
*
「シルヴィア様……フレドリカ様……大丈夫ですか……?」
全てが終わった後、鳴神は倒れている二人によろよろと近づき呼びかける。
「う、うーん……はっ!」
「…………うぅん……?」
それによって、無事に意識を取り戻したシルヴィアとフレドリカ。
「チッ……。良かった、目が覚めたのですね」
「あ、あんたは……!」
「鳴神です」
「死人みたいな顔した案内役の……!」
「鳴神です」
「そう! ナルカミ! ……酷い顔だけど、大丈夫?」
――フレドリカが目の当たりにしたのは、一時間前に別れた時よりも明らかに顔色が悪い鳴神だった。
「それは私がお聞きしたいことですが……」
「私の顔は酷くなんかないわよ! 失礼ね」
「そうですか」
彼が長い時間をかけ、時には命の危険を冒して取引したS級妖魔達は、全て謎の力によって消し飛んでしまったので無理もない話である。
もはや計画はほぼ失敗に終わったと言って差し支えない。悪は滅びたのだ。めでたしめでたし。
「心配しなくても、鳴神は元からそんな顔をしていたわよ……」
するとその時、一緒に目覚めたシルヴィアが言った。
「ナルカミだって、あんたにだけは言われたくないと思うわ!」
「あと……離れなさいフレドリカ。……鬱陶しい」
シルヴィアは、自身に密着していたフレドリカの体を両手で押す。
「う、うるさいわね! あんたが離れなさいよっ!」
それに対抗して、シルヴィアの体を全力で押し返すフレドリカ。
「やめて。……最初にくっついてきたのは、あなたの方でしょ」
「あんたが惨めに泣き喚いてたから慰めてあげたの! 『ころさないでくださいーーっ』って、あれは傑作だったわね!」
「そ、そっちこそ無様に怯えてたくせに……! 『ひーーーーーっ!』って言いながらバカみたいに抱きついてきたこと、もう忘れてしまったのかしら……?」
お互いの真似をして馬鹿にしあう二人。
「うっ、うるさいうるさいうるさいうるさいっ!」
「そのうるさいっていうのがうるさいわ……!」
先ほどまで絶望して泣き叫んでいたのにも関わらず、早々に元気を取り戻して取っ組み合いを始めるフレドリカとシルヴィア。強い退魔師は、強靭な精神を兼ね備えているのだ。
「――お二人とも、この場で喧嘩をするのはやめてください」
罵り合う二人をただ眺めているわけにもいかない鳴神は、ほとばしる殺意を抑え込んで渋々仲裁に入る。
「…………一体何があったのですか? 私に説明してください」
そして、何も事情を知らない第三者として振る舞った。
――計画が失敗したのであれば、また一からやり直せば良い。育てた手駒たちはまだ残っている。
そう思える鳴神もまた、強靭な精神を持った強い退魔師であった。
胃へのダメージは計り知れないが。
「はぁ!? あんなにやばい妖魔が出現したのに、分からなかったの!? 正気? ぼさっとしてるからよ!」
「…………恐るべきお間抜けさんね。基礎のお勉強からやり直すことをオススメするわ」
二人の言葉に対しては何も言わず、右手の拳を固く握りしめる鳴神。クソガキどもを心の中で百回ずつくらいしばき倒しているが、決して顔には出さない。
「……申し訳ございません。検知器が異常な動作をしたので、すぐにこちらへ向かったのですが……その時は、すでにお二人が倒れているだけでした」
鳴神は、無の表情で説明する。
「えー? 検知器を確認しないと妖魔の強さも測れないのー? ぷぷぷっ、だっさーい! もっと頑張った方が良いわよ! 応援してあげる!」
フレドリカはそう言ったが、妖魔の等級を直接測るには特殊な才能が必要だ。
できる者は感覚のみでやってのけるし、できない者はどう頑張っても測れないのである。
「…………あなた、緊急事態だって分かっているの? ……異常を確認したらもっと早く駆けつけなさい。まったく……世話の焼ける案内人さんね……この仕事を舐めないで」
そう言って、鳴神に対しさらに理不尽な追撃を加えるシルヴィア。
S級妖魔に泣かされて無様な姿を晒すことになった鬱憤を彼にぶつけているのだ。完全に八つ当たりだった。
「申し訳ございませんでした」
鳴神は、死んだような表情で深々と頭を下げる。
「ふん! 次からは気をつけなさい!」
「……私は優しいから、今回は許してあげる」
「………………………………」
少々扱いづらく思っていた自分の教え子――育てた駒たちが、いかによくできた人間かを思い知らされた鳴神。
しかしそんな教え子たちは現在、彼の計画に巻き込まれて全員入院中である。
そのせいで二人の世話をする任務が回されたのだ。自業自得といえばその通りであった。
「とにかく、この公園についてはだいたい分かったわ! ベルゼブブは何らかの理由で消滅した可能性が高い! そして、霊力の高すぎる私たちが長居すると、S級妖魔の幻覚を見る! 検知器まで騙すだなんて、強烈な幻覚ね!」
「おそらく、ベルゼブブの纏っていた瘴気が、まだ消えずに残っているのでしょう。それが、私たちの霊力に反応して悪さをしたのね……。この公園の調査はもう少し時間を置いた方が良さそう……」
フレドリカとシルヴィアは、先ほどまでの体験を「ベルゼブブの瘴気が生み出した幻覚」だと結論付けた。S級妖魔が五大老の結界を容易に破ることなど不可能だと理解している熟練の退魔師だからこその判断ミスである。
「……S級妖魔を一瞬で倒せる規格外の力を持った人物が、この近くに潜んでいるという可能性は?」
対する鳴神は、二人に向かってそう問いかける。
呼び出したアバドンが目の前で爆発四散する様を見てしまった彼には、もはやそれ以外の可能性を考えられなかった。
「はぁ? 何言ってるのあんた? バカ?」
「……本当に、おかしなことを考えるものね」
一方フレドリカとシルヴィアは、そんな鳴神のことを嘲笑う。
「もしそんな奴が居るんだったら、私はなんだってするわよ! 四つん這いで犬の鳴き真似をしてあげたっていいわ! 絶対ありえないけどねっ!」
「私だってなんでもするわ……。そんな神様みたいな存在が居るのだったら、気の済むまで犬の鳴き真似をしてあげる……。絶対にありえないけれど……」
そう言った後、二人は声を揃えて笑った。
「あははははっ!」
「うふふふふ……」
他人を馬鹿にする時だけは団結できるのだ。
「何故犬の鳴き真似を……?」
「ただの例え話よ! そんな奴絶対にいないってこと!」
「ですが、仮に先程の妖魔が幻覚であったとしても、ベルゼブブの方は――」
しかし、鳴神は尚も反論する。
彼は二人の力を利用し、なんとしてでも自分の計画を邪魔した存在を見つけ出したかった。
だが――
「異界で他のS級妖魔と戦って負傷! 何らかの方法でこっちに逃げ込んだけど、五大老様の結界を越える時に力を使い果たしてここで死んだ! きっとこれが真相ね!」
「おそらく、ツチグモと交戦したのでしょう。……同じS級妖魔だし、それならあの話にも説明がつくわ。……要するに、 S級妖魔同士の争いにこの街が少しだけ巻き込まれたってこと……迷惑な話よ。」
なまじ知識があるばかりに、完全に間違った方向へ突き進むシルヴィアとフレドリカ。
S級妖魔を殺せるのは、同じS級妖魔か五大老のみ。それが彼女たちにとっての常識なのである。
いくら鳴神が論破を試みても、頑固な二人の考えを曲げさせることなどできないだろう。
「なんにせよ、瘴気が消えるまでこの場所の調査はしばらくお預けね……」
「帰るわよ鳴神! ホテルまで送りなさい!」
「………………かしこまりました」
こうして、フレドリカとシルヴィアは一度昭間公園を離れ、鳴神の運転する車へ乗り込むのだった。
圧倒的な気配を感じ取ったフレドリカが上空を見上げようとしたその時、突如として周囲が真っ暗になる。
「手始めに、ここら一帯の全てを喰い尽くしてくれるわッ!」
昭間公園に顕現したアバドンは、思わず耳を塞ぎたくなるような悍ましい声で言った。
二人の頭上に姿を現した蝗の王は、鳴神が結界を一時的に破ることで、彼女たちが公園の奥へ踏み込むタイミングに合わせてこちらへ呼び寄せた存在である。
「あっ、あぁっ…………!」
自身の身体に纏わりつく醜悪な瘴気と、圧倒的な霊力に当てられ、その場に座り込んだまま口元を押さえるシルヴィア。
S級妖魔のアバドンは、一等退魔師である二人が力を合わせて立ち向かったところで、どうにかなる相手ではないのだ。
並外れた魔法の天才であっても決して届かない、絶望的な強さを持つ存在。
それがS級妖魔なのである。
「こ、ころさないで……ころさないでください……っ」
大粒の涙を流し、全身を震わせて無様に命乞いをするシルヴィア。
自分よりも遥かに強大な力を持った相手から敵意に近い感情を向けられることなど、彼女にとっては初めての経験だった。
――しかし、アバドンにとって彼女は他の有象無象と同じ取るに足らない存在でしかない。
敵意とはいっても、周囲を飛び回る邪魔な羽虫に向けられる程度のものでしかなかった。
だが、それでも二人の気力を削ぐのには十分である。
「ひい、ひいいいいいいいいッ!」
目を見開き、大量の冷や汗を流し、歯をガチガチと鳴らすフレドリカ。
恐怖のあまりあれほど嫌っていたシルヴィアに抱きつき、その場でぎゅっと目を瞑る。
「あ、あぁぁ……!」
「いやぁぁぁ……!」
そこに居たのは二人の大天才魔術師ではなく、完全に戦意を喪失した哀れな少女だった。
全ての終わりを悟り、白目をむいて気絶する二人。
――刹那。
「ぐわああああああああッ!」
アバドンは派手に爆発四散するのだった。
*
「シルヴィア様……フレドリカ様……大丈夫ですか……?」
全てが終わった後、鳴神は倒れている二人によろよろと近づき呼びかける。
「う、うーん……はっ!」
「…………うぅん……?」
それによって、無事に意識を取り戻したシルヴィアとフレドリカ。
「チッ……。良かった、目が覚めたのですね」
「あ、あんたは……!」
「鳴神です」
「死人みたいな顔した案内役の……!」
「鳴神です」
「そう! ナルカミ! ……酷い顔だけど、大丈夫?」
――フレドリカが目の当たりにしたのは、一時間前に別れた時よりも明らかに顔色が悪い鳴神だった。
「それは私がお聞きしたいことですが……」
「私の顔は酷くなんかないわよ! 失礼ね」
「そうですか」
彼が長い時間をかけ、時には命の危険を冒して取引したS級妖魔達は、全て謎の力によって消し飛んでしまったので無理もない話である。
もはや計画はほぼ失敗に終わったと言って差し支えない。悪は滅びたのだ。めでたしめでたし。
「心配しなくても、鳴神は元からそんな顔をしていたわよ……」
するとその時、一緒に目覚めたシルヴィアが言った。
「ナルカミだって、あんたにだけは言われたくないと思うわ!」
「あと……離れなさいフレドリカ。……鬱陶しい」
シルヴィアは、自身に密着していたフレドリカの体を両手で押す。
「う、うるさいわね! あんたが離れなさいよっ!」
それに対抗して、シルヴィアの体を全力で押し返すフレドリカ。
「やめて。……最初にくっついてきたのは、あなたの方でしょ」
「あんたが惨めに泣き喚いてたから慰めてあげたの! 『ころさないでくださいーーっ』って、あれは傑作だったわね!」
「そ、そっちこそ無様に怯えてたくせに……! 『ひーーーーーっ!』って言いながらバカみたいに抱きついてきたこと、もう忘れてしまったのかしら……?」
お互いの真似をして馬鹿にしあう二人。
「うっ、うるさいうるさいうるさいうるさいっ!」
「そのうるさいっていうのがうるさいわ……!」
先ほどまで絶望して泣き叫んでいたのにも関わらず、早々に元気を取り戻して取っ組み合いを始めるフレドリカとシルヴィア。強い退魔師は、強靭な精神を兼ね備えているのだ。
「――お二人とも、この場で喧嘩をするのはやめてください」
罵り合う二人をただ眺めているわけにもいかない鳴神は、ほとばしる殺意を抑え込んで渋々仲裁に入る。
「…………一体何があったのですか? 私に説明してください」
そして、何も事情を知らない第三者として振る舞った。
――計画が失敗したのであれば、また一からやり直せば良い。育てた手駒たちはまだ残っている。
そう思える鳴神もまた、強靭な精神を持った強い退魔師であった。
胃へのダメージは計り知れないが。
「はぁ!? あんなにやばい妖魔が出現したのに、分からなかったの!? 正気? ぼさっとしてるからよ!」
「…………恐るべきお間抜けさんね。基礎のお勉強からやり直すことをオススメするわ」
二人の言葉に対しては何も言わず、右手の拳を固く握りしめる鳴神。クソガキどもを心の中で百回ずつくらいしばき倒しているが、決して顔には出さない。
「……申し訳ございません。検知器が異常な動作をしたので、すぐにこちらへ向かったのですが……その時は、すでにお二人が倒れているだけでした」
鳴神は、無の表情で説明する。
「えー? 検知器を確認しないと妖魔の強さも測れないのー? ぷぷぷっ、だっさーい! もっと頑張った方が良いわよ! 応援してあげる!」
フレドリカはそう言ったが、妖魔の等級を直接測るには特殊な才能が必要だ。
できる者は感覚のみでやってのけるし、できない者はどう頑張っても測れないのである。
「…………あなた、緊急事態だって分かっているの? ……異常を確認したらもっと早く駆けつけなさい。まったく……世話の焼ける案内人さんね……この仕事を舐めないで」
そう言って、鳴神に対しさらに理不尽な追撃を加えるシルヴィア。
S級妖魔に泣かされて無様な姿を晒すことになった鬱憤を彼にぶつけているのだ。完全に八つ当たりだった。
「申し訳ございませんでした」
鳴神は、死んだような表情で深々と頭を下げる。
「ふん! 次からは気をつけなさい!」
「……私は優しいから、今回は許してあげる」
「………………………………」
少々扱いづらく思っていた自分の教え子――育てた駒たちが、いかによくできた人間かを思い知らされた鳴神。
しかしそんな教え子たちは現在、彼の計画に巻き込まれて全員入院中である。
そのせいで二人の世話をする任務が回されたのだ。自業自得といえばその通りであった。
「とにかく、この公園についてはだいたい分かったわ! ベルゼブブは何らかの理由で消滅した可能性が高い! そして、霊力の高すぎる私たちが長居すると、S級妖魔の幻覚を見る! 検知器まで騙すだなんて、強烈な幻覚ね!」
「おそらく、ベルゼブブの纏っていた瘴気が、まだ消えずに残っているのでしょう。それが、私たちの霊力に反応して悪さをしたのね……。この公園の調査はもう少し時間を置いた方が良さそう……」
フレドリカとシルヴィアは、先ほどまでの体験を「ベルゼブブの瘴気が生み出した幻覚」だと結論付けた。S級妖魔が五大老の結界を容易に破ることなど不可能だと理解している熟練の退魔師だからこその判断ミスである。
「……S級妖魔を一瞬で倒せる規格外の力を持った人物が、この近くに潜んでいるという可能性は?」
対する鳴神は、二人に向かってそう問いかける。
呼び出したアバドンが目の前で爆発四散する様を見てしまった彼には、もはやそれ以外の可能性を考えられなかった。
「はぁ? 何言ってるのあんた? バカ?」
「……本当に、おかしなことを考えるものね」
一方フレドリカとシルヴィアは、そんな鳴神のことを嘲笑う。
「もしそんな奴が居るんだったら、私はなんだってするわよ! 四つん這いで犬の鳴き真似をしてあげたっていいわ! 絶対ありえないけどねっ!」
「私だってなんでもするわ……。そんな神様みたいな存在が居るのだったら、気の済むまで犬の鳴き真似をしてあげる……。絶対にありえないけれど……」
そう言った後、二人は声を揃えて笑った。
「あははははっ!」
「うふふふふ……」
他人を馬鹿にする時だけは団結できるのだ。
「何故犬の鳴き真似を……?」
「ただの例え話よ! そんな奴絶対にいないってこと!」
「ですが、仮に先程の妖魔が幻覚であったとしても、ベルゼブブの方は――」
しかし、鳴神は尚も反論する。
彼は二人の力を利用し、なんとしてでも自分の計画を邪魔した存在を見つけ出したかった。
だが――
「異界で他のS級妖魔と戦って負傷! 何らかの方法でこっちに逃げ込んだけど、五大老様の結界を越える時に力を使い果たしてここで死んだ! きっとこれが真相ね!」
「おそらく、ツチグモと交戦したのでしょう。……同じS級妖魔だし、それならあの話にも説明がつくわ。……要するに、 S級妖魔同士の争いにこの街が少しだけ巻き込まれたってこと……迷惑な話よ。」
なまじ知識があるばかりに、完全に間違った方向へ突き進むシルヴィアとフレドリカ。
S級妖魔を殺せるのは、同じS級妖魔か五大老のみ。それが彼女たちにとっての常識なのである。
いくら鳴神が論破を試みても、頑固な二人の考えを曲げさせることなどできないだろう。
「なんにせよ、瘴気が消えるまでこの場所の調査はしばらくお預けね……」
「帰るわよ鳴神! ホテルまで送りなさい!」
「………………かしこまりました」
こうして、フレドリカとシルヴィアは一度昭間公園を離れ、鳴神の運転する車へ乗り込むのだった。
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