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ドラゴンと独立宣言の章
ザンナルのあれから その2
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アレクシアにまずはあうべく俺は総督府へと足を運んだ。もしかするとまたぞろ瓦礫の撤去なんぞに精をだしているかもだが。彼女は難しく考えるより行動派の最たる例だ。
弟のように飄々とした裏で熟考を重ねていたり、祖父や父のように立ち止まって考えたりとするのが苦手ですらある。
「ふーむ、脇を固めないと転びやすいタイプだからなぁ・・・」
一人呟いた。呟いてから周囲を見渡してみたが幸い聞き耳を立てている連中は居ないようだ。いけねえ、悪い癖だ。
そう思いつつ総督府の扉を潜る。すると今度はどこかで見たような状態に陥った文官の面々が目に隈を作って働いていた。
「大丈夫か?」
「は、伯爵様ですか・・・なんとか」
終戦までの段取りは俺達がやったがそこからの段取りは全て彼らの手に委ねられている。指揮系統が俺からサマルに移ったので当然と言えば当然だが当事者から突然部外者にパスが回ってきたのでてんてこ舞いの状態だ。何故なら状況の把握なんかからやっていかないといけなく、税の周知や賠償金の回収、残党への勧告、被害状況の把握。思い付くだけでもこれだけある。
「聞いたぞ、木材の流通が滞ってて困ってるってな」
「お耳が早いですね・・・その通りです。工事が進まず、人足の逃亡が早くも始まっていまして・・・」
当然だが工事が進まなければ人足に日当を払うこともできない。働かない人足に賃金を払っていては資金がいくらあっても足りない。申し訳ないが戦場になった都市部は俺が徹底的にぶっ壊したからな。工事はいまもフル稼働状態だ。
コボルト達を派遣するのも本格的に考えるべきか?
「流通の方策を考える必要があるが・・・本国から馬なりなんなり手に入れたいな」
「それも難しいでしょうね」
「なぜだ?」
おおよそ見当はつくがあえて尋ねておく。
「本国で我々の失敗を今か今かと待っている連中がいるので・・・おそらく協力は望めないでしょう」
「なるほど、嫌われたもんだ」
「代われるもんなら代わってやりたいくらいですがね」
もうけ話と思って遠路はるばる来てみればあるのは商機でも財貨でもなく、瓦礫と疲れきった市民ばかり。ザンナルの首都に集められていた国庫の金銭はすでにほとんどがアレクシアの元にあり、彼女の親派で固められた財務に明るい貴族と軍閥が詰めている。
残りはアルトリア王女が運営資金として管理している。それも表向きは扶桑国のものなので彼らがいくら望んだところで手には入らんがな。
「それも良い案だが、それだとここの市民が可愛そうだな?」
「わかってますよ、それに・・・ここまで頑張って来たのに今さら渡してやるもんですか」
文官の男性はそう言うと強い意志を込めた瞳で書類を掴んだ。執念だろうか、それとも使命感か。悲惨な現実に直面してもなお逃げ出さないその姿は俺にとってもとても好感がもてる。
「今はたかが羊皮紙、でもこれが人を豊かにするんです。奴等みたく金儲けだけ考えている訳じゃない・・・意地があるんですよ」
カッコいいね、情熱ってやつか。俺もこれくらいの情熱をもって事にあたれているだろうか?もしくはそれに代わるなにかが・・・。
「ふ、応援させてもらうよ、流通の方法に関しては任せてくれ」
「本当ですか?でもどうやって・・・」
「それは秘密さ、だが見てろ・・・俺の魔法を見せてやるよ」
彼の肩を叩いてウィンクしてやると彼も苦笑しながらも楽しみにしてます、と返事を返してくれた。さて、我ながら単純な話だが彼のように頑張る人間がいる以上は見捨てる訳には行かないな。かといってトラックの技術は特に本国の連中には知られたくない。
どうしたもんか。
「とりあえずまずはアレクシアに会わないと話が始まらないな」
そう思いつつ総督府の二階、彼女の執務室に向かうと・・・。ドアを開けっ広げにした状態で着替えているアレクシアの姿が見えた。
「もしもし、ノックは必要か?」
「ひゃぃっ!・・・ヴォル!連絡なく今まで何してたんですか!」
シャツに手を掛けようとした所で声を掛ける。流石にそれは危ないよな。
「何って、リットリオで外交の話し合いだが?」
「あ・・・そうでした、じゃなくて!遅いです!」
ぷんすこ怒った様子のアレクシアだが・・・個人的な理由っぽいのでそこまで気にしないでおこう。
「はいはい、ごめんよ・・・それより本国から嫌がらせが来てるってのはホントか?」
「気持ちが籠ってないです!・・・えっと、物資の輸送なんかも滞り始めてます、軍用の馬なんかを貸してもらえるようにお願いしてるんですが・・・」
「祖国の馬鹿が騒いでるのか」
そう言うとアレクシアはやれやれと言った様子でうなずいた。なんだってここまで邪魔してくるのか。わかんねえなぁ。
弟のように飄々とした裏で熟考を重ねていたり、祖父や父のように立ち止まって考えたりとするのが苦手ですらある。
「ふーむ、脇を固めないと転びやすいタイプだからなぁ・・・」
一人呟いた。呟いてから周囲を見渡してみたが幸い聞き耳を立てている連中は居ないようだ。いけねえ、悪い癖だ。
そう思いつつ総督府の扉を潜る。すると今度はどこかで見たような状態に陥った文官の面々が目に隈を作って働いていた。
「大丈夫か?」
「は、伯爵様ですか・・・なんとか」
終戦までの段取りは俺達がやったがそこからの段取りは全て彼らの手に委ねられている。指揮系統が俺からサマルに移ったので当然と言えば当然だが当事者から突然部外者にパスが回ってきたのでてんてこ舞いの状態だ。何故なら状況の把握なんかからやっていかないといけなく、税の周知や賠償金の回収、残党への勧告、被害状況の把握。思い付くだけでもこれだけある。
「聞いたぞ、木材の流通が滞ってて困ってるってな」
「お耳が早いですね・・・その通りです。工事が進まず、人足の逃亡が早くも始まっていまして・・・」
当然だが工事が進まなければ人足に日当を払うこともできない。働かない人足に賃金を払っていては資金がいくらあっても足りない。申し訳ないが戦場になった都市部は俺が徹底的にぶっ壊したからな。工事はいまもフル稼働状態だ。
コボルト達を派遣するのも本格的に考えるべきか?
「流通の方策を考える必要があるが・・・本国から馬なりなんなり手に入れたいな」
「それも難しいでしょうね」
「なぜだ?」
おおよそ見当はつくがあえて尋ねておく。
「本国で我々の失敗を今か今かと待っている連中がいるので・・・おそらく協力は望めないでしょう」
「なるほど、嫌われたもんだ」
「代われるもんなら代わってやりたいくらいですがね」
もうけ話と思って遠路はるばる来てみればあるのは商機でも財貨でもなく、瓦礫と疲れきった市民ばかり。ザンナルの首都に集められていた国庫の金銭はすでにほとんどがアレクシアの元にあり、彼女の親派で固められた財務に明るい貴族と軍閥が詰めている。
残りはアルトリア王女が運営資金として管理している。それも表向きは扶桑国のものなので彼らがいくら望んだところで手には入らんがな。
「それも良い案だが、それだとここの市民が可愛そうだな?」
「わかってますよ、それに・・・ここまで頑張って来たのに今さら渡してやるもんですか」
文官の男性はそう言うと強い意志を込めた瞳で書類を掴んだ。執念だろうか、それとも使命感か。悲惨な現実に直面してもなお逃げ出さないその姿は俺にとってもとても好感がもてる。
「今はたかが羊皮紙、でもこれが人を豊かにするんです。奴等みたく金儲けだけ考えている訳じゃない・・・意地があるんですよ」
カッコいいね、情熱ってやつか。俺もこれくらいの情熱をもって事にあたれているだろうか?もしくはそれに代わるなにかが・・・。
「ふ、応援させてもらうよ、流通の方法に関しては任せてくれ」
「本当ですか?でもどうやって・・・」
「それは秘密さ、だが見てろ・・・俺の魔法を見せてやるよ」
彼の肩を叩いてウィンクしてやると彼も苦笑しながらも楽しみにしてます、と返事を返してくれた。さて、我ながら単純な話だが彼のように頑張る人間がいる以上は見捨てる訳には行かないな。かといってトラックの技術は特に本国の連中には知られたくない。
どうしたもんか。
「とりあえずまずはアレクシアに会わないと話が始まらないな」
そう思いつつ総督府の二階、彼女の執務室に向かうと・・・。ドアを開けっ広げにした状態で着替えているアレクシアの姿が見えた。
「もしもし、ノックは必要か?」
「ひゃぃっ!・・・ヴォル!連絡なく今まで何してたんですか!」
シャツに手を掛けようとした所で声を掛ける。流石にそれは危ないよな。
「何って、リットリオで外交の話し合いだが?」
「あ・・・そうでした、じゃなくて!遅いです!」
ぷんすこ怒った様子のアレクシアだが・・・個人的な理由っぽいのでそこまで気にしないでおこう。
「はいはい、ごめんよ・・・それより本国から嫌がらせが来てるってのはホントか?」
「気持ちが籠ってないです!・・・えっと、物資の輸送なんかも滞り始めてます、軍用の馬なんかを貸してもらえるようにお願いしてるんですが・・・」
「祖国の馬鹿が騒いでるのか」
そう言うとアレクシアはやれやれと言った様子でうなずいた。なんだってここまで邪魔してくるのか。わかんねえなぁ。
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