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獣人と建国の章

二つの種族についてのあれこれ

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翌朝、気がついたら朝になっていた。目を覚ますと仰向けに寝る俺の両脇に二人が寄り添うようにくっ付いて眠っている。

 「ふぅ・・・さてこれからどうするかな」

 嫁さんを一人増やして予定としては嫁さんが三人となった代わりに狐人族と狼人族の諍いについて知らぬ存ぜぬとは行かなくなった。なにせ一部が身内になってしまったのだ。ほっとくわけにも行くまい。
あれこれ考えつつ空いた両手で彼女達をさわさわしていると徐々に反応が艶っぽくなってきたのでやめておく。朝からは流石に・・・昨日もはしゃいだばかりだしたなー。

 「とりあえず今更だがどうして二つの種族はあそこまで争っているんだ?」

 朝食の後、着替えを済ませた俺達はシロナと共に狐人族と狼人族の諍いについての情報を調べていた。

 「ええ、それに関しましては私も直接伺ったわけではありませんが・・・どうにも長の嫡子様を狼人族がかどわかしたと」
 「嫡子を浚ったのか?!」
 「ええ、そのように聞いております・・・」

そうなると確かに大問題だ。狐人族の跡継ぎを誘拐してしまったのならば狐人族としては大義名分として彼らと戦う口実も義務もある。反戦派の両筆頭が居なくなったそれからは停戦に傾きつつあった情勢があっと言う間に再び開戦へと転がっていったらしい。

 「ただ・・・」
 「なんだ?」

そういうとシロナは困ったように続けた。

 「事情を知る方が狼人族からも抗議があり、狐人族の里に向かった筈の長老家の長子が行方知れずと相談を受けたとか・・・」
 「どういうことだ?」
 「さあ・・・それから双方から長子、嫡子を返せと言い争いが続き・・・」
 「今回の泥沼の戦いに至ると・・・」

そうなるとどうも解せない、どうして双方の嫡子が消えた?どちらも重要人物のはずだ。しかも時期が似通っているというのは不可思議だ。推理小説などの類は苦手だがどう考えても無関係とは考えにくい。

 「どうにも腑に落ちないな、こりゃ・・・そうなると苦手な分野だが頭を使うしかあるまい」
 「と、いいますと?」
 「俺は狼人族のニーミツから情報を探ってみる。その間狼人族がはやまった真似をしないように釘を刺しておくつもりだ、お前はアウロラを連れて狐人族の国に戻り一時的な講和の交渉に入れ。アウロラを俺の妻だと紹介するのも忘れるなよ?それとややこしくなるからお前が俺の妻になったことはゴタゴタが片付くまで伏せておいてくれ」
 「了解しました」

 仕事を振ると二人は真剣な面持ちでうなずく。

 「アウロラ、集落から密偵・斥侯能力に長けた奴をお供に連れて行け。二つの国を争わせて得をしてる奴がいるはずだ」
 「はい、ですがどのようにして情報を聞き出しましょうか?」
 「クロと判断できた場合は好きなように対処しろ、怪しい場合は産業で出ている利益をチラつかせて出方を伺え。可能なら色香を・・・やっぱナシ、色仕掛けはナシで」
 「密偵としてはそういった方法もアリかと思いますが?」
 「できたとしてもアウロラはナシ!」
 「は?・・・あ!了解しました」

ムキになって否定すると俺の言いたい事がわかったのかにんまりと笑顔を浮かべるとアウロラは俺の頬にキスしてからシロナを伴い狐人族の国へと向かっていった。

 「さて、俺も仕事だ・・・」

 黒刀を片手に俺も出かけることにした。ただ普通に探しても見つからないと思う・・・っていうか場所聞いてなかった・・・。クソ、間抜けだが仕方ない。サイズを大きくしないよう注意しながらドラゴンの姿に変身して大空へと舞い上がって空から探すことにした。

 『彼らの国ってどんなところにあるんだ・・・?』

 飛び上がって探してみる。しかし何度見ても驚かされるのはフィゼラー大森林の大きさだ。
 数千の軍勢を一息で吹き飛ばし、焦土に変える俺のブレスを放ってもこの一帯を更地にしようと思えば何ヶ月かかるだろうか・・・。しかも森林帯でありながらここら一帯は農地に容易く転用できるほど肥沃でこの一帯に生える木々はすべて木材として非常に優秀と来たから驚きだ。
 獣や魔物が多くて一般人では住むのに適さないが狩りを主に行う亜人や獣人にはここほど過ごし易い場所もないのだろう。ドラペディアによると今は海路があるとかでなくなったが昔はここをとおり抜けて他国と貿易していたこともあったらしい。
 狼人族や狐人族が人間の組織運営等を知っているのは貿易に使われていた際に残された貿易商の遺品や本人からのレクチャーを受けてのことらしい。大抵の商人は感謝もすれば必要な事を教えたりもするが大抵は環境に馴染めなかったり、帰国後再起を図ることができず廃業してしまったりで再び国を訪れる者はすくなかったという。ただ森林ではコボルトと貿易できる可能性があるのでいまでも森林に踏み込む商人はいないわけではなさそうだ。

 「お、あったあった・・・なるほど、なかなか立派な国構えじゃないか」

 狼人族の国は木製の塀で覆われた大きな都市で構成されており、戦備えを考慮し防火対策なのか塀には漆喰らしきものが使われている。こうみるとこの国も狐人族の国も和風のテイストが強い気がするな。
 俺はこそこそと地面に降り立つと人間に変身して辺りを見回す。

すると。

 目と顎を外さんばかりに開いたニーミツが木の陰から覗いていた
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