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第7章―消えゆく命の残り火―

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「なっ、何をやっていやがる! そんな事しても無駄だ! どうせもう残ってないんだ!」

「いいえ、俺は諦めません! ケイニッフィ大佐ならこうするはずです!」

「アレックスっ……!!」

 カーターはその言葉に心を突き動かされた。

「そうだ! アレックスの言う通りだ! 僕達は諦めるにはまだ早い――!」

カーターはアレックスの行動を止める事もなく、剥き出しになっている柱をアームで支えた。2人がおかしな行動を突然とると、マードックはそれを見て止めさせようとした。

「おい、お前らやめろ! 変に触ったら中で爆発するぞ! ここはもう引き下がるしかねーっ! どうせもう俺達終わりだっ!!」

 そういった途端、アレックスは言い放った。 

「俺は諦めたりはしない! きっとまだ残ってるはずだ!!」

『アレックスてめぇっ!!』

 マードックはカッとなると、今にも殴りかかりそうな雰囲気を漂わせた。誰もが混乱する中で、アレックスはアームを岩の中に入れて、手探りで慎重に探すと奥で何かにあたった。

「こ、これはもしかしたら…――!」

『なにっ!?』

 ジョンはそこで思わず反応した。 

「ありました…――! 奥にまだ使えそうな柱が2本残ってます! これならプロテクトシールドを作動できるかも知れません!」

アレックスは奥に無傷な柱が2本残っている事を確認するとそれをジョンに報告した。

「よくやったお前ら、なら話しは早い! いいか、その柱をそっと岩から抜き取るんだ! 中で間違って爆発したらそれこそお陀仏だ。いいか、慎重に抜き取るんだぞ!?」

 アレックスはジョンに指示を受けると、慎重に作業にとりかかった。カーターは、アレックスが柱を上手く抜き取れるように側でサポートした。

彼らが作業を開始してから10分後、1本目の柱を抜き取る事に成功した。ジョンは自らそれを両手に抱えた。

2本目の柱を岩から抜き取る作業にとりかかると大破した柱の部品の残骸が中で邪魔をしていた。少しでも接触したら中で大爆発してしまうような状況下の中でアレックスは、今まで以上に慎重になった。2人が作業してると見兼ねたマードックが手を貸した。

「ちぃ、くそが……! 2人揃っていつまでも、グズグズ作業をしてるんじゃねー! 早いところこれを引っこ抜いてオサラバするぞ!」

 マードックはぶっきらぼうな口調で2人を叱りつけると、中で邪魔している柱の残骸を手で押さえた。アレックスはマードックとカーターと共に3人で協力し合うと、ついに作業を終えた。抜き取られた柱は2本とも無事だった。アレックスはそれをカーターに委ねた。
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