上 下
129 / 193
第7章―消えゆく命の残り火―

13

しおりを挟む
「なっ、何をやっていやがる! そんな事しても無駄だ! どうせもう残ってないんだ!」

「いいえ、俺は諦めません! ケイニッフィ大佐ならこうするはずです!」

「アレックスっ……!!」

 カーターはその言葉に心を突き動かされた。

「そうだ! アレックスの言う通りだ! 僕達は諦めるにはまだ早い――!」

カーターはアレックスの行動を止める事もなく、剥き出しになっている柱をアームで支えた。2人がおかしな行動を突然とると、マードックはそれを見て止めさせようとした。

「おい、お前らやめろ! 変に触ったら中で爆発するぞ! ここはもう引き下がるしかねーっ! どうせもう俺達終わりだっ!!」

 そういった途端、アレックスは言い放った。 

「俺は諦めたりはしない! きっとまだ残ってるはずだ!!」

『アレックスてめぇっ!!』

 マードックはカッとなると、今にも殴りかかりそうな雰囲気を漂わせた。誰もが混乱する中で、アレックスはアームを岩の中に入れて、手探りで慎重に探すと奥で何かにあたった。

「こ、これはもしかしたら…――!」

『なにっ!?』

 ジョンはそこで思わず反応した。 

「ありました…――! 奥にまだ使えそうな柱が2本残ってます! これならプロテクトシールドを作動できるかも知れません!」

アレックスは奥に無傷な柱が2本残っている事を確認するとそれをジョンに報告した。

「よくやったお前ら、なら話しは早い! いいか、その柱をそっと岩から抜き取るんだ! 中で間違って爆発したらそれこそお陀仏だ。いいか、慎重に抜き取るんだぞ!?」

 アレックスはジョンに指示を受けると、慎重に作業にとりかかった。カーターは、アレックスが柱を上手く抜き取れるように側でサポートした。

彼らが作業を開始してから10分後、1本目の柱を抜き取る事に成功した。ジョンは自らそれを両手に抱えた。

2本目の柱を岩から抜き取る作業にとりかかると大破した柱の部品の残骸が中で邪魔をしていた。少しでも接触したら中で大爆発してしまうような状況下の中でアレックスは、今まで以上に慎重になった。2人が作業してると見兼ねたマードックが手を貸した。

「ちぃ、くそが……! 2人揃っていつまでも、グズグズ作業をしてるんじゃねー! 早いところこれを引っこ抜いてオサラバするぞ!」

 マードックはぶっきらぼうな口調で2人を叱りつけると、中で邪魔している柱の残骸を手で押さえた。アレックスはマードックとカーターと共に3人で協力し合うと、ついに作業を終えた。抜き取られた柱は2本とも無事だった。アレックスはそれをカーターに委ねた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転換タイムマシーン

廣瀬純一
SF
バグで性転換してしまうタイムマシーンの話

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】

一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。 しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。 ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。 以前投稿した短編 【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて の連載版です。 連載するにあたり、短編は削除しました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

完璧な頭脳

色部耀
SF
人類の頭脳の到達点。完璧な頭脳と呼ばれた遠野教授の秘密を私だけが知っている。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

処理中です...