上 下
111 / 193
第6章―運命の選択―

22

しおりを挟む
 ドーンッと、大きな激しい轟音が突如鳴った。そして、近くの林から再び銃声が鳴った。ハッとなって背後を振り返ると、後方から襲いかかってきた敵に向かって誰かが森から狙撃した。

その攻撃は手を休む事もなく、再び敵を狙撃して撃ち落とした。あっと言う間に4機を撃墜させると、狙撃して来た者は森から姿を現した。

彼は突然起きた出来事に呆気をとられながらも、狙撃してきたものに目を向けた。コックピットのメインカメラを操作するとそこで確認した。

 それは彼にとっても、驚くような光景だった。メインカメラをズームしてとらえると、狙撃した機体はラケシス基地の狙撃戦闘用ドールアームズだった。その機体は長い先のライフル銃を片手に森から姿を現すと、誰かが緊急時用の無線で話しかけてきた。

「おお、銀の翼に黒の線が入った戦闘機……! まさかリゲル部隊の戦闘機、インフィニティか!?』

緊急時用の無線で誰かが話しかけてくると、彼は直ぐに返答した。

「ああ、そうだ!」

「おお、やっぱりそうか! その声はKか!?」

「ん? その聞き覚えのある声は、まさかバッツじいさんか……!?」

2人はそこで誰かを確認しあうと、互いに返事をしあった。

「おお、ワシだ! K、生きていたのか!?」

「そっちこそ元気そうだな、バッツじいさん! よく俺だとわかったな!?」

 ケイニッフィは思わぬ知り合いに遭遇すると、話を続けた。

「当たり前だバカもん、ワシを誰だと思ってる! ワシはここの基地に長年勤めてる整備士の中では最年長のベテランと言われている男だぞ!?」

 彼はそこで叱ると自慢気に言い返した。

「このワシに直せない物はない! 無論、お前達の戦闘機もわしが直してるようなものだ。なのにお前さんはまたインフィニティをそのような姿にして……! 大体、後で誰がそれをだな――!」

 バッツと呼ばれる老人は、彼の戦闘機を見るなりブツブツと文句を呟いた。

「ああ、やっぱりバッツじいさんだ!」

「K! そんな所にいたら、またフェニックスの奴らに襲われるぞ、早く地上に降りて来い!」

「ああ、わかった! 近くに着地させてみる!」

「よし、ならわしが安全な場所に誘導してやる。補給所はもうすぐそこだ。さあ、ついて来い!」

彼の言われるがままにケイニッフィは安全な所に誘導されるとそこで地面に大きく着地した。機体は着地したと同時にヒューマノイドから戦闘機へと姿を変えた。そして、完全に動かなくなった。

左翼は大破していて的もに飛べそうになかった。ケイニッフィは戦闘機から降りると、頭に被っていたヘルメットを脱いで銀の髪を風に靡かせた。

 地上の空気をおもいっきり吸うと、彼はそこで生きている実感を噛み締めた。彼の近くでバッツは他の仲間を引き連れると動かなくなった戦闘機を補給所へと運ぶ作業に取りかかった。

 2体の狙撃戦闘用のドールアームズはバッツの指示の下、彼が乗っていた戦闘機を補給所へと運んで行った。ケイニッフィはそれを見届けると、彼が乗ってるドールアームズを下から見上げた。
しおりを挟む

処理中です...