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第6章―運命の選択―

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「何だよジェイド。尻込みか? さっきの威勢はどうした。それでも誇り高きリゲル部隊の一員か? そんなんじゃ、大佐に顔見せできないな。尻込みするくらいなら、でしゃばった真似なんかせずにそこで大人しく防衛してろ!」

マードックはそう言って彼を茶化すと、他の3人の意思に同意した。

「かっ、勝手なこと言うんじゃねー! 誰が敵に何かに尻込みなんかするか! ただ俺はわかっただけだ!」

 ジェイドはそう言い放つと、自分の唇を噛んで抑えていた感情を剥き出した。

「――聞いてやる。何がわかったんだ?」

 マードックはあえて口を挟むと真っ向から対立した。

「命ってものは今までちっぽけなもんだと感じて生きていたが、ハーングの野郎が死んだ時。俺はそんなちっぽけな命が尊いものだと気づかされたんだ……!」

 その言葉を口にすると感情を剥き出した。

「だから俺は死にたくねぇ、間違った選択や判断で死ぬくらいなら俺は図太く生きてやるって決めたんだ! ああ、そうだ……! こんな時だからこそもっと慎重にならなくちゃならないんだ!」

 「ジェイド……」
 
カーターは彼の話に、亡くなった仲間の顔が頭に浮かんだ。

「――本当にどうしようもないあんな奴だったけど、いなくなれば寂しいし、もうあいつをいじることも出来ねぇ! 人間は死んじまったらそれで終わりだ! それこそ何も残らないんだっ!! でも俺は違うぞ、生きてやる! 死んだあいつの分まで長生きしてやるんだ! だからこんな所で死ぬのはゴメンだ――!!」

 ジェイドはそう告げると、有りのままの思いをぶつけた。マードックは呆れるとそこで深いため息をついた。

「ケッ……! ああ、そーかい。それがテメーの本心か、だったら図太く生きることだな! 俺は自分の選択に後悔なんかしねえ! もしその選択が間違いならそれまでだ。その時はバカみてえに後悔してやる! だけどな、それは今じゃねぇ! 臆病風ふかしてるお前達よりかは何倍もマシだ! 俺はやるぜ! 自分の生き方に一々、後悔なんかしねえっ!!」

 マードックはそう言い放つと、自分を真っ直ぐ貫いた。メンバーの意見が別れる中、言い出したジョンが決断を迫った。
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