上 下
185 / 193
―短編集―1

ある日の午後

しおりを挟む
「……美岬、何食べてるの?」

 僕は思わず聞いてみた。美岬はバリバリと音をたてながら答えた。

「あ? お菓子だけど、お前も食べるか?」

 そう言って苺ポッキーを一本、差し出した。 

「わ~い有難う! 僕ポッキー大好きなんだ♡」

 いつもの調子で返事をすると、彼からポッキーを一本貰った。 

「頂きま~す、って全然ちゃうやんけ~っ!!」

 そこで思わずツッコミを入れた。

「ちょっと美岬っ……! それ、僕のお菓子じゃないか!? 何食べてるのさ!」

 怒った顔で問い詰めると、彼の傍に空のお菓子の袋が落ちていた。

「あっ、あ~!? 美岬の横に置いてある紙くずは一体それは何だよ――!?」

 彼に向けて指をさすとそこで唖然となった。

「いや~なんだかお前のお菓子全部食べたら急に元気になってきたぜ! ありがとうな、結人♡」

 美岬は悪戯にそう言うと立ち上がった。 その言葉に仰天して驚くと、咄嗟に立ち上がって自分のポケットの中を全部調べた。

「嘘っ!? ないないない、お菓子が全部ない! 美岬ひどいよぉ! 鬼、悪魔、人でなし! 僕のお菓子返してよ~!」

「何だよ、おまえ俺に早く元気になってくれって言ったじゃねーか?」

『なっ……!!』

「やっぱり人間疲れた時は断然、チョコやお菓子に限るな!」
 
 僕は額に血管をピキッと浮かせて、片手でポカポカと叩いた。

「バカバカバカ! 美岬のバカ、そう言うんじゃないよぉ!」

 半泣きしながら食べ物の怨みをぶつけた。美岬は僕の手に持っているお菓子を見て、急に悪戯に言ってきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転換タイムマシーン

廣瀬純一
SF
バグで性転換してしまうタイムマシーンの話

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】

一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。 しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。 ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。 以前投稿した短編 【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて の連載版です。 連載するにあたり、短編は削除しました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

完璧な頭脳

色部耀
SF
人類の頭脳の到達点。完璧な頭脳と呼ばれた遠野教授の秘密を私だけが知っている。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

処理中です...