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第7章―消えゆく命の残り火―
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「美岬君や隼人君は即戦力になるとけど、結人君はパイロットとしては、戦力外だから戦闘は無理だろうね。イさんはどうなんだろ? まあ、いざとなったら彼に出てもらうしか――」
雪矢は一人考え込むと不意に呟いた。するとジノは横から口を挟んだ。
「確かに3人が戻らない場合、イ殿に出てもらうしかないです。ですが少し問題が…――」
「何、問題って? 彼がどうかした?」
そこで聞き返すと彼は言いにくそうに伝えた。
「その、イ殿は待機中にお酒を飲んでたらしく、今部屋で酔い潰れて寝てます」
その言葉に雪矢は思わず声をあげて驚いた。
「じょ、冗談だろ!? この状況で酔い潰れてるなんて!?」
「いいえ、先ほど他のクルーが彼にその事を伝えに部屋に向かった所、彼は完全に酔い潰れて寝てました」
ジノがそのことを伝えると、雪矢は椅子の上で頭を抱えた。
「な、なんて悪夢だ! こんな時に彼は何でお酒なんか……!」
雪矢はそう呟くと頭の中がガーンとなった。
「恐らく長い時間の拘束が原因かと。もともと彼は大のお酒好きですから、待機中にお酒を一滴も飲めないのは、彼にとっては苦痛かと思います。それにイ殿は待機中の間に暇だと、他のクルーに不満を漏らしてましたし――」
ジノがそう言って答えると雪矢はキッと睨んで言い返した。
「やけに彼の肩を持つじゃないか! こんな時は何をやってるんだって非難するべきだろ!?」
「そっ、そう言われましても……。じっ、自分はあくまでも中立ですから何とも言えません。それに各パイロットの情報が知りたいのでしたらこのファイルをご覧下さい。副艦長の立場柄、知っていても損はないと思います」
そう言って彼はパイロットの情報が入った電子ファイルノートを手渡した。
「えーっと、何々~イ・ヨルグ。生まれた場所E―750。好きな物はお酒……。って、ホントにお酒って書いてあるよ! うわぁ、段々と頭痛くなってきた! 3人以外に頼みの綱であるイさんが使えないなら、本当にいざって時にどうするんだよ!?」
雪矢は再び頭を痛めると、困った顔で天井を見上げた。
「もしもの時、戦えないじゃないか! 君達この状況を真剣に理解しているか!?」
彼の問いかけに司令室にいたオペレーターや、クルー達は全員、沈痛な顔をしながら沈黙した。
雪矢は一人考え込むと不意に呟いた。するとジノは横から口を挟んだ。
「確かに3人が戻らない場合、イ殿に出てもらうしかないです。ですが少し問題が…――」
「何、問題って? 彼がどうかした?」
そこで聞き返すと彼は言いにくそうに伝えた。
「その、イ殿は待機中にお酒を飲んでたらしく、今部屋で酔い潰れて寝てます」
その言葉に雪矢は思わず声をあげて驚いた。
「じょ、冗談だろ!? この状況で酔い潰れてるなんて!?」
「いいえ、先ほど他のクルーが彼にその事を伝えに部屋に向かった所、彼は完全に酔い潰れて寝てました」
ジノがそのことを伝えると、雪矢は椅子の上で頭を抱えた。
「な、なんて悪夢だ! こんな時に彼は何でお酒なんか……!」
雪矢はそう呟くと頭の中がガーンとなった。
「恐らく長い時間の拘束が原因かと。もともと彼は大のお酒好きですから、待機中にお酒を一滴も飲めないのは、彼にとっては苦痛かと思います。それにイ殿は待機中の間に暇だと、他のクルーに不満を漏らしてましたし――」
ジノがそう言って答えると雪矢はキッと睨んで言い返した。
「やけに彼の肩を持つじゃないか! こんな時は何をやってるんだって非難するべきだろ!?」
「そっ、そう言われましても……。じっ、自分はあくまでも中立ですから何とも言えません。それに各パイロットの情報が知りたいのでしたらこのファイルをご覧下さい。副艦長の立場柄、知っていても損はないと思います」
そう言って彼はパイロットの情報が入った電子ファイルノートを手渡した。
「えーっと、何々~イ・ヨルグ。生まれた場所E―750。好きな物はお酒……。って、ホントにお酒って書いてあるよ! うわぁ、段々と頭痛くなってきた! 3人以外に頼みの綱であるイさんが使えないなら、本当にいざって時にどうするんだよ!?」
雪矢は再び頭を痛めると、困った顔で天井を見上げた。
「もしもの時、戦えないじゃないか! 君達この状況を真剣に理解しているか!?」
彼の問いかけに司令室にいたオペレーターや、クルー達は全員、沈痛な顔をしながら沈黙した。
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