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第4章―舞い降りた翼―

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「確認させてくれ。君はここの者ではないな?」

「ああ、そのとおりだ。俺は第7基地のエデンに所属しているウィクトリア部隊のパイロットだ」

「やはりウィクトリア部隊のパイロットか……。君の名は?」

「アンタこそ、誰だよ?」

「私の名は冴嶋三齊だ。このラケシス基地を代表する総司令官だ」

「アンタがこの基地の…――? 俺は東美岬だ。一度しか言わないから覚えとくんだな!」

 美岬はそう話すと、あくまでも毅然とした態度をとった。 

「君に質問したい事がある。いいか?」

「質問? こっちは今戦闘中なんだ。手短にしてもらいたいね」

「わかった。では率直に尋ねる。君はどうやってそのアビスを操縦できた? 新型だが、他の基地にはまだ実戦配備はされていないはずだ」

「ああ、そうだな。この新型は、ここが初めての実戦配備とは聞いた。何で操縦できるかだって? そんなこと簡単だ。アビスのシステムを起動する時にマニュアルを読ませて貰った。あとついでに機体のデータを使いやすいように、一部書き換えさせて貰った。あんなデータは無茶苦茶だ」

 そう言って淡々とその事を彼に告げた。それを聞いていた彼らは一斉に驚いた。

「おい、今の聞いたかよ! 起動時にマニュアルを読んだって言ったけど、アビスのは複雑な内容でその情報量もかなりなはずだぞ。それにアイツ機体のデータを書き換えたって言ったよな!? 天才パイロットの異名は本当だったのか……!」

 周りは騒然となると一同は一斉に美岬に注目をした。

「機体のデータを改ざんしたと言うわけか……。これは実に面白い。さすがウィクトリア精鋭部隊のパイロットだ」

 冴嶋は怒る所か、彼の秀才ぶりに感服した。

「――それにしても、ここのパイロットはどれも素人ばかりだな。的もにアビスを操縦できる奴がいないのはおかしい。そんなパイロット達ばかりで、アンタはこの基地を本気で守れると思ってるのか?」

「そのことなんだか、私も君の意見には同感だ。しかし、今はそれについて答えている暇はない。この戦いが終わったら話そう」

「その必要はない。この基地がどうとかは俺には関係ないことだ。俺は目の前の状況を打破したいだけだ――!」

美岬はそう話すと再び毅然とした態度をとった。

「では、私からも話しとく。アビスのパイロット達については皆が操縦には慣れてない未熟な連中ばかりだ。そこで尋ねる。君はその機体にすでに慣れてるようだが、そのデータを改ざんした機体で目の前にいる敵を倒す事は可能か?」

「それは命令か――? アンタは俺の司令官でもない癖に命令するのか?」

「では、君はグラギウス艦長の命令になら従うのか?」

「残念だが俺は誰の指図も受けない。俺は自分のやりたいようにやるだけだ!」

 美岬は悪までも自分の意思を貫いた。周りは、彼の傲慢な態度に驚きを隠せなかった。
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