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第22章ーセフィロトの兄弟ー
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「ああ、そーだな。図体ばかりデカくなったが、中身は全然、子供だ。第一、そんな事を威張って言う所がそもそもの間違いだ。いや、体は大きくなっても中身が全然成長してないな」
「あっ!? てめぇ、そこまで言う気か! 誰が中身が成長してないだ! 俺よりもほんの僅かに先に生まれたからって調子こくなよ!」
「はー、ヤレヤレ。聞いてるこっちが恥ずかしくなる。これが自分の弟だと思うと我ながらに情けない」
『何だとぉ!?』
その言葉にガブリエルは剥きになると、彼の左肩を手で小突いた。二人はそこで小競り合いして口喧嘩をした。
「本当のことだろ。お前は中身が全然、成長してない。私に言わせれば、まだまだ『子供』だってことだ。わかったか?」
「お前それを本人の前でストレートに言うか!? いくら俺でも、普通に傷つくぞ!」
「すまんな。私は思ったことをストレートに言うタイプなんだ」
「わ~、兄貴。性格悪っ!」
ガブリエルはそう言って顔を引きつらせると、彼はツンとした表情で聞き流した。
「……ラファ兄ぃは、中身も大人だよな?」
「当たり前だ」
「大人の色気も出てて、俺には敵わねーや」
そう言って隣で話すと彼はクスッと笑った。
「何だ? お前『大人』になりたいのか?」
ラファエルは、ふーんとした表情で弟のことを茶化した。その小馬鹿にした笑みにガブリエルは慌てて言い返した。
「おっ、俺だってそのくらいは卒業してるわ! 誰が童貞だ、誰が……!」
急に慌てる彼を見て怪しむ目で見た。
「ああ、そうか。それなら良かったな。別に誰もそんなこと言ってないんだが…――」
「あーそうだった! 思い出した! さっき飛んでた時に、ブレイザブリクの近くを通ったんだ。そしたら偶然あいつを見かけたんだ」
「何?」
「あいつに会ってやらないのか? あいつも兄貴と同じ『顔』で寂しそうにしてたぜ」
その言葉に急にラジエルのことを思い出した。そして、胸がギュッと切なくなった。
「じゃあな、俺に構わず行ってやれよ。アイツも兄貴の顔を見たら喜ぶはずだ。それにラファ兄ぃも虚勢なんか張らずに、もっと素直になった方が良いぞ。そうでなきゃ相手に本当に伝えたい思いも届かなくなるって言ったのは、兄貴の方だろ。安心しろ、ウリ兄ぃには黙っておいてやる」
「ガブリエル……」
そう言って彼は大空へと羽ばたいて何処に消えて行った。姿が見えなくなるとラファエルは一人きりで草原に佇み自分の体を両手で抱き締めて、揺れる想いに戸惑いを隠しながらも、そこで迷いを断ち切った。そして、会いに行く事を決心すると自然に歩きだした。彼の心は今、愛する者へと向いた――。
「あっ!? てめぇ、そこまで言う気か! 誰が中身が成長してないだ! 俺よりもほんの僅かに先に生まれたからって調子こくなよ!」
「はー、ヤレヤレ。聞いてるこっちが恥ずかしくなる。これが自分の弟だと思うと我ながらに情けない」
『何だとぉ!?』
その言葉にガブリエルは剥きになると、彼の左肩を手で小突いた。二人はそこで小競り合いして口喧嘩をした。
「本当のことだろ。お前は中身が全然、成長してない。私に言わせれば、まだまだ『子供』だってことだ。わかったか?」
「お前それを本人の前でストレートに言うか!? いくら俺でも、普通に傷つくぞ!」
「すまんな。私は思ったことをストレートに言うタイプなんだ」
「わ~、兄貴。性格悪っ!」
ガブリエルはそう言って顔を引きつらせると、彼はツンとした表情で聞き流した。
「……ラファ兄ぃは、中身も大人だよな?」
「当たり前だ」
「大人の色気も出てて、俺には敵わねーや」
そう言って隣で話すと彼はクスッと笑った。
「何だ? お前『大人』になりたいのか?」
ラファエルは、ふーんとした表情で弟のことを茶化した。その小馬鹿にした笑みにガブリエルは慌てて言い返した。
「おっ、俺だってそのくらいは卒業してるわ! 誰が童貞だ、誰が……!」
急に慌てる彼を見て怪しむ目で見た。
「ああ、そうか。それなら良かったな。別に誰もそんなこと言ってないんだが…――」
「あーそうだった! 思い出した! さっき飛んでた時に、ブレイザブリクの近くを通ったんだ。そしたら偶然あいつを見かけたんだ」
「何?」
「あいつに会ってやらないのか? あいつも兄貴と同じ『顔』で寂しそうにしてたぜ」
その言葉に急にラジエルのことを思い出した。そして、胸がギュッと切なくなった。
「じゃあな、俺に構わず行ってやれよ。アイツも兄貴の顔を見たら喜ぶはずだ。それにラファ兄ぃも虚勢なんか張らずに、もっと素直になった方が良いぞ。そうでなきゃ相手に本当に伝えたい思いも届かなくなるって言ったのは、兄貴の方だろ。安心しろ、ウリ兄ぃには黙っておいてやる」
「ガブリエル……」
そう言って彼は大空へと羽ばたいて何処に消えて行った。姿が見えなくなるとラファエルは一人きりで草原に佇み自分の体を両手で抱き締めて、揺れる想いに戸惑いを隠しながらも、そこで迷いを断ち切った。そして、会いに行く事を決心すると自然に歩きだした。彼の心は今、愛する者へと向いた――。
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