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第22章ーセフィロトの兄弟ー
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しおりを挟む「うっ……」
「兄貴、大丈夫か……!?」
ガブリエルの呼びかけに彼は呟いた。
「僕は……僕は、ガブリエル……お前を…――」
「ウリエルっ!!」
うわ言のように呟く彼を見て、両手で体を揺すって話しかけた。
「今、悪の手先を始末してやったから安心しろ! だからこれ以上、夢の中で苦しむな!」
そう言って自分を責める兄をガブリエルは抱きしめた。彼の腕の中で目を覚ますと、ウリエルはハッとなって両手で突き飛ばした。
『僕に触るんじゃないっ!!』
彼に突き飛ばされるとガブリエルは、床に手をついて上を見上げた。ウリエルは突然の出来事に驚きつつも、目の前で体を震わせて激怒した。
「何を血迷ったつもりだ貴様は…――! この僕に触れるとは恥を知れ! 例えお前が我ら兄弟としても僕はお前に心を許したつもりじゃない! ラファエルがお前と仲良くしろって言うからしてやってたのに、それなのに己っ……!」
そこで怒鳴るとベッドとから起き上がって、床に倒れたガブリエルを怒りの表情で見下ろした。そして、体を小刻みに震わせながら下唇をグッと噛んだ。彼の怒りに触れると、自分の頭を掻きながら床から立ち上がった。
「――ったくよ、それくらい元気なら一人で悪夢から自力で目を覚ませよ」
『何っ……!?』
「兄貴が夢の中で酷く魘されてたから、俺が親切に起こしてやったのによ……」
「何だと……!」
「いきなり突き飛ばしてくるからこっちがビビったぜ」
彼がそう言うとウリエルは、さっきの夢を不意に思い出した。
「私が『悪夢』だと? バカな…――!」
「兄貴が見た悪夢はコイツの仕業だ。この蛇が、天界に忍び込んできたらしい」
『何っ!?』
ガブリエルは彼に悪夢の正体を伝えた。後ろの壁を指で指し示すと、壁にはナイフが突き刺さっていた。そして、真っ黒な灰が床に落ちていた。
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