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第21章ー竜と少年ー
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しおりを挟む「でも、やっぱり気になるのは『アレ』だよな。ファースト・キスはレモン味ってよく聞くけど、どんな味だった?」
カイトは興味津々に尋ねてきた。
「しっ、知りませんよ……! それに、いきなりだったから考える暇もありませんでした……!」
「ホントか? 神に誓えるか?」
「……なんか大袈裟じゃないですか?」
「うるさい! キスくらい妄想させろ! 俺より2歳下の癖に生意気だなぁ~!!」
カイトはそう言い返すとキスの話しに妬んだ。
「そっ、そうですね……。『メロンソーダ』の味がしました…――」
『なにっ!? メロンソーダの味だと!?』
ユングは困り果てると思わず、そんな事を口にした。
「ファースト・キスの味ってメロンソーダだったのか……!? それは俺も知らなかったな……」
カイトはその話しに驚愕すると、持っていた餌を下に落として動揺した。
「くぅ~っ! 羨まし過ぎるぜ、おまえ! 恋の狩人にでもなるつもりか!?」
カイトは大きな声で羨ましがると、彼の背中をバシッと叩いた。
「ゲホゲホッ……! カイトさん、茶化さないで下さいよ! それに恋の狩人って何ですか!? その変な例え方、やめて下さい!」
2人は仕事中だったことも忘れて、すっかり話し込んでいた。すると、いきなり2人の背後からジフカが声をかけてきた。
『お~ま~え~ら~っ!!』
「ゲッ! りゅ、竜小屋隊長……!?」
2人は背後から首根っこ掴まれると、そのまま宙吊りにされた。
「お前ら竜達に餌をやらないで、恋バナとは良い度胸だ! その根腐った根性叩き直してやる!」
彼は宙吊りにされると慌てながら弁解した。
「ち、違いますよ隊長! べつに俺達、サボってたわけじゃ……!」
「黙れカイト! お前が小屋の中で大きな声で、話していたのを俺は立ち聞きしていたんだ!」
「なっ…!? 竜小屋隊長、立ち聞きは良くないですよ!」
「ふん! ミント味だの、レモン味だの、わけのわからんことを言っている暇があったらパッパと手を動かせ!」
ジフカは怒りながら話すと、眉間にシワを寄せてイカツイ顔をした。
「謝りますから『アレ』だけは止めて下さい!」
「もう遅い! 2人纏めて根性を叩き直してやるわい! 仕事をサボった罰として今から2人ともスクワット50回の刑だ!」
『え~~っ!!』
2人はそこで声を上げると、いかにも不満そうな顔をした。ジフカは2人を下に降ろすと、さっさとやらないかと叱った。
カイトとユングはスクワットの刑に処されると数を数えながらスクワットをやり始めた。鬼軍曹の様に指示をすると、ジフカは2人の回りを行ったり来たりしながら数を数えた。こうして彼らのキツい一日が幕を閉じた――。
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