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第20章―消せない罪―

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「ラファエル答えなさい。お前は一体、 どこに行ってたんだ…!? まさか"下界"に行ってたんじゃないだろうな!?」

「兄さん……」

「兄さんは許さないぞ。あんな汚れた下界に行く事は間違っている! あそこはお前を誘惑して、唆し、堕落させる場所だ! お前も聖天使なら、それくらい解るだろ!」

「兄さんの気持ちもわかる。でも、私だってたまには下界に一人で降りたい時だってあるさ…」

「ラファエルっ…! 兄さんの言うことが聞けないのか!? 兄さんは心配しているんだ! お前は戦うことが出来ないんだぞ!? もしもの時、誰がお前を守ってやるんだ! 兄さんの傍にいる限りお前は安全なんだ!? 何故それがわからないんだ! 兄さんはこんなにもお前を大切に思ってるのに何故わかろうとしない!!」

 ウリエルは取り乱した様に気持ちをぶつけると、弟のラファエルは困惑した。

「たしかに兄さんの言う通り下界は危ない。でも、だからと言って行かないわけには行かない…! あそこにかつていた者としては、そう簡単には忘れることも出来ないさ…!」

『ラファエルっ…!!』

 ウリエルはそこで怒鳴った。2人の険悪な雰囲気にラジエルは、ただ戸惑うことしか出来なかった。

「お前にとっては良い思い出の地だろ…! だが、私にとってはあそこは最悪だ…! 下界はお前を堕落させた…! お前が下界に降りさえしなければ、お前は大切なものを失うことはなかった…! 聖天使であるお前を堕落させたのはあの下界ではないかっ!!」

「ッ…! 兄さんに言われたくない…! 私から大切なものを奪ったのは兄さんの方だ…――!!」

 ラファエルはカッとなると、ついその言葉を口走った。ウリエルはその言葉に、顔色を悪くさせながら足下がふらついた。ラジエルは咄嗟にウリエルを抱き止めた。

「ウリエル様、大丈夫ですか…!?」

「ううっ…ラ、ラジエル…。何故お前がここに……?」

 ウリエルは最愛の弟しか見えていなかった。ラジエルの存在に気がつくと急に態度を変えた。

『僕に触るなっ!! ただの下級の天使ごときが、至高の聖天使である僕に気安く触れていいハズがないだろ!? 貴様、身の程わきまえろ!!」

 ウリエルは感情を剥き出すと、ラジエルの顔を平手打ちした。ラファエルは兄の振る舞いに呆れるとそこで思わず反論した。

「兄さんは本当に何も見えていないんだ…。ラジエルはそこに居た…!それすら気づかないなんて兄さんはどうかしている! もう沢山だ! 行くぞラジエル…――!!」


 ラファエルは呆然と立ち尽くす彼に声をかけると、話の途中で切り上げた。ウリエルは弟の振る舞いに逆上すると念力で扉を固く閉めた。

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