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第20章―消せない罪―

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 2人は星の瞬きにその身を置き。闇夜の天上に広がる星々を眺めた。流星は静寂の夜空に光を照らしながら距離を移動して消える。その瞬きを見ながら 2人は星にまつわる神秘の話しを語り合った。そうしているうちに、やがて夜が明けた――。

 2人は長い時間を一緒に過ごした。夜が明けると、地上から天界へと帰って行った。天界に帰還すると2人は門をくぐった。汚れた地上とは別の世界。かつて神がいた頃、創世のままの美しい形を残した神秘の楽園。それが天使が住む天界と呼ばれる世界だった。

 聖なる空に響くは天使達の歌声。ここは人間や他の種族さえも踏み込めないような、汚れを知らない美しい世界が広がっていた。白い柱が幾つも並ぶ廊下を2人は歩くと、柱の隅に誰かが寄りかかっているのが見えた。眼帯姿に赤い髪をした男が、両腕を組んだまま柱から離れると、ため息をついて話しかけてきた。

「――朝帰りとは驚いたぜ。どうせ兄貴のことだから、下界にでも行ってたんだろ?」


「ガブリエル…!?」


「一人で下界に行くなんて危ないだろ。もしもの時に、どうするんだよ?」

「それなら心配する必要はない。ラジエルが迎えに来てくれたからな…――」

 ラファエルは弟のガブリエルにその事を話すと、不意にラジエルの方を振り向いて話しかけた。

「なあ、そうだろ?」

「はい。ラファエル様の身の安全は、この私がしっかりとお守り致しました」

 ラジエルは彼の隣で返事をすると、礼儀正しくお辞儀をして挨拶をした。

「おいおい、よりによってコイツと一緒に居たのか…!? こんなこと兄貴には報告できねーな。2人ともあとで大目玉をくらうぞ…!?」

「お前がここに来たって事は兄さんは…――?」

 ラファエルが尋ねると、ガブリエルは鼻を人差し指で擦って目を反らして気まずそうに話した。

「昨日の夜から大荒れだぞ。ラファ兄ぃが居ねぇって、ウリ兄ぃが一人で騒いでたぞ?」

「兄さんが…!?」

「ああ、俺までアニキにトバッチリ喰らっちまったぜ。だからこうして探しに来たんだ」

「…すまんガブリエル。迷惑をかけたな」

「俺はいいさ別に。そんなことよりも、早く兄貴の所に行ってやれよ? テミスの宮殿もまだ修復出来てねーのに、これ以上暴れられたら元も子もねぇぞ」

 ガブリエルは、ぶっきらぼうな口調でそのことを話すと、白い翼を広げて飛び去った。ラファエルは弟にそのことを告げられると直ぐにテミスの宮殿へと向かった。

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