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番外編―偽りの仮面―

ケイバーside。

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「まあ、誰にもわからないだろうけどな。俺の歪んだ過去なんざ。俺はやられた分だけやり返しただけだ。それが何が悪い」

 彼は最後にそう言い残すとそのまま寝ようとした。すると黒髪の男が、彼の牢屋の扉の鍵を開けた。

「――さあ、これでお前は自由だ。出て行くがいい」

 男がそう言って牢屋の扉を開けると彼は唖然とした表情で驚いた。そして、寝転がったベッドから起き上がると扉の方へと歩み寄った。

「これは驚いたな。まあ、一応礼は言っとく。でも、何故おれを助ける?」

「そんなのは簡単だ。お前が気に入ったからだ。それに私の気紛れでもある。不満か?」

「気紛れねぇ。勝手にそんな事してもいいのか?」

「ああ、いいんだ。お前は私の刑務所に移す予定だ」

「へぇ…この監獄からオサラバできるってわけか?」

「ああ、そう言うことだ」

「――アンタは何者だ?」

「私はタルタロスの牢獄の所長、ギレイタスだ。お前にはそこで私の息子の監視役をしてもらう」

「監視? 俺にアンタの息子を監視しろって事か?」

「ああ、そう言うことになる。それにせっかく自由になれたのに、その自由を無駄にする気か?」

 男の揺さぶりに彼は笑いながら頷いた。

「なんだか面白そうな話しじゃねーか。いいぜ乗ってやるよ。ただし、本当に自由になれるのか証明してくれよ? どうせそこに移っても、また俺を牢屋の中にぶちこむんだろ?」

 そう言い返すと疑りながら目を向けた。

「それはない。お前は息子の監視役として、"看守"になってもらうつもりだ」

「看守の役か……。まあ、囚人役よりかはマシだな」

 彼はそう呟くと了解した。

「この俺に頼むんだからアンタの息子は余程のワルか?」

「それはお前自身が確かめろ。私は持病が悪化して、しばらく療養するつもりだ。近いうちに刑務所の所長を息子のクロビスに任すつもりだ。お前の役目は私の目となって息子を監視する事だ。わかったか?」

「俺に息子のおもりでもしろってか? まあ、いいさ。どうせこのまま生きてても、牢屋の中じゃ暇で退屈なだけだしな。それじゃあ、タルタロスの牢獄って所に行ってやる。さっさとそこに案内しな」

 瞳を怪しく光らせるとにニヤリと答えた。そして、偽りの仮面をつけて偽りの自分を演じると。さらなる闇の中へと入り込んだ――。

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