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第19章―温かいスープ―

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「おーおー。お前ら派手にやってるなぁ。同僚イジメは、いけないぜ。みんな同じ仕事仲間なんだから仲良くしなくちゃな」

 物陰から現れるとニヤリと笑いながら話しかけた。彼らは、ケイバーを見るなりそこで一気に顔を青ざめさせた。そして、さっきの勢いとは逆に急に大人しくなった。3人はチェスターを取り囲むのをやめるとその場で一列に整列した。ケイバーはそんな3人の顔をジッと見ながら鼻で笑った。

「で、こんな所で何してるんだ? これがお前達のやり口ってわけか?」

 彼がその事を尋ねると、3人はうつ向いた表情で固まった。

「こんなにボコボコにしちゃってまあ。これじゃあ、だれだかわからなくなるだろ?」

 ケイバーはそう言ってチェスターの前に立つと、上から見下ろしてクスッと笑った。するとチェスターは泣きながら彼の足下にしがみついた。

「ヒィッ…! おっ、お願いです…! どうか助けて下さい! 何でもしますからどうか助けて下さい…――!」

 チェスターは同僚達にイビられると、精神的なショックからケイバーに泣きついて必死に救いを求めた。彼のすがりつく姿は、女々しくさえ思えた。チェスターは取り乱しながら必死で訴えた。


「おっ、お願いします…! どうか…どうか…! どうか僕を助けて下さいっ!!」


 彼は恐怖に震えた顔で、ひたすら救いを求め続けた。するとケイバーは彼の目の前にしゃがみ込むと、ニヤリと笑いながら話した。


「いいよ。助けてあげる。俺は優しいから、困ってるアンタを見捨てやしないさ。でもその代わり俺の言うことをきけよ?」


『はっ、はいっ…――!!』

 チェスターは足下にしがみつくと小刻みに震えた。情けない彼の姿を上から見下ろしながらケイバーは鼻で笑って呆れた。

「…さてと、こいつは借りてくぜ。それとも、まだこいつに用があるのか? こいつをイジメ足りないなら俺が相手になってやってもいいんだぜ?」

 そう言って彼らの前に立つと殺気に満ちた空気を漂わせた。彼らはその言葉に怖じ気づくと、一礼して足早にそこから逃げようとした。するとケイバーは一人の看守の左腕をガシッと掴まえた。

「おうおう。逃げる気か? こっちの話しは終わってないぞ?新人イジメは程々にしねーとケイバー様が黙っちゃいねーぜ。そこん所を自分の肝に命じるんだな。でなきゃ、あとで死ぬ程後悔するぞ?」

 そう言って忠告すると鋭いナイフを顔の辺りに突きつけた。脅された看守はその場で腰を抜かした様に地面に倒れると恐怖に怯えた声を上げで立ち上がるなり走って逃げて行った。3人の看守達が走って逃げて行くとケイバーはその様子を見ながらククッと小バカにして笑った。

「なあ、見たか今の? あいつら腰抜けでやんの。でかい口を叩くわりには情けねぇな」

 そう言って話すとニヤっと笑った。3人の看守がいなくなると、チェスターはガタガタしながら震えた。

「おい、いつまで引っ付いてんだよ。人の足に気安く触るな」

 ケイバーはウザそうに話すと軽く足で蹴っ飛ばした。チェスターは地面にバタンと倒れるとまだガタガタ震えていた。

「ったく、手間をかかせんじゃねーよ。ほらさっさと立てよ」

 倒れた彼に話しかけるとそこから立たせた。チェスターは、地面から起き上がると口もとを震わせながらお礼を言った。

「あっ、ありがとうございます…――!」

 そう言って話す彼の表情はどこか顔色が青ざめていた。


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