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第14章―魂の在りか―

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「ん? 誰だこのお嬢ちゃんは? お前さんの妹か? それにしちゃあ、すこし歳が離れてないか?」

 シュナイゼルは彼女を見下ろすと、不思議そうに顔をジッと見た。ミリアリアはムッとすると、手を伸ばしてシュナイゼルの顔にビンタした。パチンと叩くとシュナイゼルは首を傾げた。

「ああ、違ったのか。じゃあ、迷子のお嬢ちゃんか? それじゃあ早く、両親のもとに帰らないとな!」

 彼がそう答えるとミリアリアは再び顔にビンタした。パチンと顔を叩かれると、シュナイゼルはまたしても首を傾げた。

「じゃ、じゃあ……! お前の隠し子か…――!?」

 そう答えるとミリアリアは、彼の顔を往復ビンタした。

「まあ、失礼ね! 私がアレンの妹なわけないでしょ!? ついでに隠し子でもないわよ!」

 目の前にいる少女が怒って言い返すと、彼は口元を震わせながら指をさした。

「ア、アレン……! お前そんな趣味があったのか…――!? どうみてもお子ちゃまだろ! 犯罪になるからそれだけは止めとけ! いいや、人として一言いっとく! お前そう言うのロリコンって言うんだぞ!?」

 シュナイゼルのその言葉に彼は明らかに動揺した。

「まっ、待って下さい団長! 誤解です……! 彼女とはそんなでは…――!」

「アレン違うと言うの……!? ひ、ひどいわ…――!  私が9歳の頃、結婚してくれるって言ったじゃないッ!!」


『けっ、結婚っっ!?』 


 少女の思わぬ言葉にシュナイゼルは驚くと、そこからひっくり返るように落馬した。アレンは彼女に頭を抱えると、その場から消えたい気持ちになった。

「きゅ、9歳で結婚の約束だと!? お前は正気か!?」

「シュナイゼル団長、これにはわけが……!」

「い、いかん! 強い酒を飲まなくては無理そうだ!! と、とにかく一旦落ち着こう! 話しはそれからだ……!」

 彼は気が動転すると懐から酒が入った銀のボトルを取り出した。ボトルのキャップを開ける手がガタガタと震えていた。あからさまに気が動転していることが見て伝わった。シュナイゼルはお酒が入ったボトルを煽るように飲むと、片手で頭を抱えた。

「――私は人の恋路には口出しはしない方だが、お前さんらは明らかに間違っているぞ!」

「まあ、そんなこと貴方には言われたくないわ! ヒゲモじゃの筋肉おじさんに私達の何がわかるのよ!?」

「ミ、ミリアリア様…――!」

「アレンは黙ってて! わたし今、頭にきてるんだから!!」

「お嬢ちゃんは引っ込んでなさい。私は今、自分の部下に失望しているところだ。いいか、お前は確かに優秀な部下だが道をはずしてはいかん! それもお子ちゃまなんかと、結婚の約束なんかしてだな!」

「まあ、失礼な人ね! 私はこれでも12歳なのよ!?」

『ブッ!!』

 彼は衝撃の言葉に飲みかけのお酒を口から吹き出した。

「アレンお前は上司の私に不満でもあるのか――!? あ、あれだな!? 休みがないからその腹いせにってことか……!? ならお前に当面の間、有休を与える! それで休んで頭を冷やして来い! それで手を打とうじゃないか!?」

「あの……一体何に手を打つんでしょうか?」

 気が動転する彼とは打って変わって、アレンは悪までも冷静だった。

「とっ、とにかくだな……! そんな歳もいかないようななお子ちゃま相手に手を出すなんてのは私が断じて許さんぞ!! 我が騎士団の恥さらし者にでもなりたいのか!?」

「ちょっと、アレンを責めるならこの私が許さないわよ!」

「お子ちゃまの分際で、私にケチをつける気か!?」

「あ、あの……!」

「だいたい子供の癖にだな――!!」

「貴方こそ、さっきから誰に向かって言ってるのかしら!?」

『シュナイゼル団長ッ!!』

 アレンは2人の会話に口を挟むと正直に話した。

「シュナイゼル団長、彼女はこの国の姫様で在らせます――!」


「はっ?」


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